夜話その24 頑張る女性 (2011/04/15)
久しぶりに、ストリップ劇場のほぼカブリツキでぼーっと踊りを見ていた。携帯についている写真や動画機能でこっそり撮る人がいるせいか、めっきり場内のライティングが暗くなった。タダでさえ目が悪いのに、暗いとほとんどなにも見えない。せっかく、高いお金(20レアル=1000円)も払っているのだから、よーくみたい。最近すっかりストリップから足が遠のいたのも、せっかく行ったはいいがほとんど何も見えない状態だからである。 別に、どうしても女性の裸が見たい、という訳でなく今日はただただぼーっとしたかったのだ。ぼんやり、踊り子の悩ましげなポーズを見て結構いい体してるな、と思いっていると、金髪の女が、僕の座席の横にやってきて、「隣に座ってもいい」と聞いてきた。本当はちょっとうっとうしかったが、見ると結構かわいい娘だったので思わず「いいよ」と言ってしまった。これが失敗であった。 「名前は?」「フェルナンド、君は?」「ルーよ」「もう長いの?」「今日で3ヶ月目かしら」・・・・・と会話は結構はずみ、彼女は自分の厳しい生活について話し始めた。 「皆に23歳だって言ってるけど本当は28歳なの」23歳にはちょっと見えないが25歳くらいに見える。薄いTシャツの上から、ノーブラの、パーンと張った胸にポツンポツンと見える乳首がなんともいえずエロっぽい。 「ふーん、どうしてこんなところで働いているの?」「カード会社に借金がたまちゃってね。それを返済するためにね」「ふ~ん」最近、こういった女性が多い。ついこの間も同じような話を聞いた気がする。 「20で生んだ息子がいるんだけど、夫とは3年前に別れて、全然援助してくれないし、もうどうしようもなくなったの。子育てにはお金ががかかるし、今看護婦学校に行っているんだけど、学費もバカにならないしね」「そりゃ大変だ。でも他にも仕事があったろう」「ここから2時間かかるところに住んでいるんだけど、朝4時半に起きて6時半から病院で12時まで働くの。それからここで夜の10時まで働くの。ほとんどゆっくり寝る暇は週日はないわね」「え~、それは頑張るね~」多分、彼女の話は本当であろう。こういう頑張っている女性に弱いのである。最初に僕の横に来たときには、随分固い顔をしていたが、今は時折笑顔さえ見せてくれる。本当は明るいやさしい女性なのだろう。思わず、ポケットの中にあった、20レアル札を握り締めた。ほんの少しだけど、まあこれで我慢してもらおう。そう思いながら、お金を渡すと「そんなことしなくてもいいのに!」と言いながらうれしそうに彼女はお金を受け取った。 今、ブラジルはバブル状態だというが、それは一部のお金もちと、一流企業で働く人々に言えることでごくごく一般的な人は、どんどん上がる物価に、四苦八苦している人が多い。そうなると女性は簡単に? お金が入る風俗関係に身を落とし、男性は犯罪に手を染める。 「少なくて悪いんだけど・・・」「助かるわ、ありがとう」そう言い残してさっと彼女は僕の横を去って行ってしまった。 お金を受け取ってからの行動があまりに早かったので拍子抜けしてしまったが、まあ仕方がない。20レアルでも喜んでくれたのだから、良しとすべきか・・・・。
|