夜話その25 余計な事 (2011/07/22)
「お金がどうしても必要になってね。カードローンの借金もあるし、息子の学費、家の賃貸費、・・・・、私の学費が1000レアル。そうすると一月4000(20万円)近くいるわね。今の看護婦の給料じゃ1月1500レアルだからとても足りないわ。別れた夫は、無職状態で全然助けてくれようとしないし・・・」 と、夜の世界に足を染めてしまった女性が、現状を嘆く。普段は看護婦をしているという事をたまたま聞き、ついつい余計なことを聞いてしまった。確かに女性の細腕で、4000レアルものお金を稼ぐには、身体を張って稼ぐしかない。 28歳という白人系の女性は、バーン張ったお尻と、形のよさそうな大きなオッパイを真っ赤なミニ・ドレスに包み、男たちのいやらしい視線を体中に惹き付けていた。しかし、2ヶ月前に同じナイトクラブであった時には、もっと健康的な、もっと締まった身体をしていたような気がする。今日、見る気のせいか彼女の身体は弛んだような感じを受ける。多分、昼夜の仕事で疲れきっているのだろう。明るい笑顔が魅力的だったのに、その笑顔も光を失っている。 夜の世界に入って、ドンドン光り輝く女性もいるが、逆に花が萎んでいくように魅力を失っていく女性もいる。彼女は後者なのだろう。きっと夜の世界が合わないのだ。 最近こうした女性が増えているような気がする。ブラジル経済はどんどんよくなり、消費も増えているという。その一方で、人々の生活費も上昇し、給料だけではやっていけない状況になっている人が増えているのだろう。 とても彼女を助けることができるような余裕はないのに、全く余計なことを聞いてしまった。 「今日はどうするの?」といいながら軽く手を合わせてきた。「お酒を飲みにきただけだから、ごめん」というと、ちょっと悲しそうな顔をして、離れていってしまった。
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