夜話その28 変態男 (2012/06/18)
今日は何故か家に帰りたくなかった。何故か人が恋しかった。アルゼンチンからやってきた寒気団の冷たい風のせいかもしれない 気づくと、いつものバールに足が向かっていた。酒はしばらく止めようと思っていたのに。まっ、こんな夜には仕方がないか、自分に言い訳をするのがおかしかった。 バールに着くと、近くのマッサージ店で働いているマルシアが一人カウンターでビールを飲んでいた。 「元気?」 「元気よ。最近顔見せないけどどうしたの?」 「金欠だよ。キ・ン・ケ・ツ」 「最近、不景気よね」そう言って彼女も顔を曇らせた。 彼女の横に座ると、何も言わないのにマルシオが気を利かしてカウンターの下の冷蔵庫から僕がいつも頼むスコール(ビールの銘柄)とコップを出してくれた。時にこうい
うアウンの対応が気持ちいい。 「ところで何か面白い話ない?」 そういうと、マルシオは急に表情を崩して「あのさ~、この前一緒に働いている女の子に聞いたんだけどさ」と身体を乗り出して話し始めた。 マルシアはパラナ出身の27歳の脂の乗り切ったイタリア系の女性。大学も出て、親にサンパウロにアパートを買ってもらってすむくらいだから、決して貧乏ではない。昼
間働いている会社もしっかりした所で結構な給料をもらっている。一度「どうして働くんだ」と聞いたことがある。「お金が欲しいから」という当たり前の答えが返ってきた
。もちろん、お金も欲しいのだろうが、彼女はセックスを楽しんでいる感じが強い。お金が欲しいというよりも、セックスが好きなのだろうと僕は思っている。 「それがね。女の子と話していてね。最近、店に変態男が来るんだって! 白人系の小太りだって」 「変態男?」 「2人の女の子が頼まれたらしんだけど、一人はおしっこを飲ませてくれって言われて、もう一人はうんことおしっこ!! 400レアルくれったて!」 「え、ええええ。うんこなんて食ったら病気になっちゃうよ」 「トイレで仰向きになって口を開けて、おしっこ、うんこを待ち構えるそうよ」彼女はそう言いながら顔をしかめた。 「もし君がそのお客にあたってうんこ、おしっこを頼まれたらどうする?」 「う~ん、うんこを人前で、それも口を開けて待っているところにするのは無理だけど、おしっこなら考えるわ!」 団鬼六かなんかの本でうんこは苦い味がするという話を読んだ覚えある。うんこを食べた人間は病気になったらしい。日本ではこの手の変態の話はよく聞いたが、ついにブ
ラジルもここまできたのだ。アメリカのポルノ映画の影響でアナルセックス好きの女性が増えていることは知っていたが、うんこを食べる男がでてきたとは!! 「別の店の女の子に聞いたんだけど、インド人の変態がいて、彼は飲み込まずに、口の中で噛んだ後、ぺっとはいたらしいわ」 オオッ・・・ここまで行くと、もうついていけない。 「君も、恋人とお尻の中の舐めっこをするって言っていたじゃない。ということは、うんこのカケラを食べたかもしれないよ」 「いやだ~。そんなことないもん。私はちゃんとコンドームをつけて舐めたから、そんなことはんわ」 コンドームを舌につけれる訳がない。すぐ嘘だと解ったが、あまり追及すると本気で怒り出しそうだったので止めた。 ブラジル人の変態度もだんだん強烈になってきた。
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