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南米漂流
     過去 の写真日記  (最終更新日 : 2022/11/25)
2016年1月1日~ 1月30日 [全画像を表示]

2016年1月1日~ 1月30日 (2016/04/30) 1・1 新年

 朝7時20分、窓を開けると肌寒い風が吹き抜けた。今夏初めて、秋を感じた。
昨夜、皆大騒ぎをしたのか、今日1月1日の朝は車もほとんどなく、なんとなく日本の正月のような雰囲気がする。
 昨夜は、年が明ける前に眠り込んでしまい、起きたのは午前3時。慌てて買っていた年越しそば食べた。日本の慣習はほとんどなくなったのだが、年越しそばは毎年食べることにしているのだ。それでも、乾麺のそばを茹でるのが面倒くさく、カップ麺のそばにすれば良かった、と後悔したほどなので来年は年越しそばでさえ食べなくなってしまうかもしれない。
 なんとか日本の伝統・風習を自分の中にとどめておきたいと思っているのだが、なかなか難しい。息子に「日本」を伝えていくことはましてやである。かと言って、ブラジルの習慣らしきこともほとんどしないし、どんどん国籍不明の人間になっていく

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします

穏やかな正月





1・3また来週

土曜日はオルガニック市の日。さすがに正月はやっていないかも?、そのうえ小雨だし・・・、と思いながら、バスにのって向かう。気持ちを奮い立たせてきたのは「農家には休みはないんですよ」といった、野菜を売りに来るおじさんの言葉がずっと頭に残っていたからだ。
 当然、今日もやっているだろうと思っていたが、バスケットボールのコート一面が入るほどの建物の中はガラガラだった。いつもはこの建物いっぱいにならぶ野菜も今日は4つの売り場が出ていただけである。がっくりである。あの農家の日系人おじさんも今日ばかりは休んだようだ。仕方ない。良い散歩になった、と思うことにした。シソを大量購入し1年分のシソ茶を作るつもりだったのに。残念だ。
 いつも買う卵が売られていたので1ケース購入し、すごすご帰った。また来週

気合いを入れて2016年を迎えたい



1・4 ブラジルのハード事情

今年も本を読みながら寝正月。
とは言っても、ひとつ仕事があるので2時間寝ては、2時間仕事といった感じである。そんなダラダラでもなんとか目標点までは仕事を終えることができた。
 本当はランでつなげばよいのだろうが、つなぎ方がよくわからないのでCFカードで写真を移動していると、数枚の写真が壊れていた。カードは有名メーカーで以前はこんなことはなかった。最近は撮影した写真が壊れていることもあり困ってしまう。これを避けるために、仕事ではカード2枚差しのカメラを使い、2枚に録画するようにしているが、それでも不安はある。
 デジタルカメラが出始めの頃は、1枚のカードが1Gもあればそこそこ撮れていたのだが、今は、16Gは当たり前、32G、128Gなんていうのもあるからびっくりである。録画する容量が大きくなりイメージが壊れやすくなった気がする。今のところ僕は16Gで抑えているが、そのうちに32Gにしないと容量が足らなくように思う。
日本ならまだしもブラジルの一般人はたいして速いPCを持っていないから、あまり1枚のイメージの大きさが大きいとPCが固まってしまう。情報はあっという間に流れてくるようになったが、ハードの部分はまだまだである。一般市民のハード面は日本より数年遅れていると思う
 僕自身、日本のカメラ事情からは1,2年は遅れているが、僕の最新機で撮っても、依頼主に画素数を落としてくれ、と頼まれることがしばしばである。ブラジルでは出版社などは別にして最新機で撮ったイメージは使い切れないのである。もちろんお金をかけて機材をそろえればそれも可能であるが、なかなかそうもいかない。なにしろ、ブラジルで買えば、日本の1・5~3倍するから大変だ。海外で最新のカメラを買っても、イメージを調整するだけのPCをもっておらず、画素数を落として使ったり、撮ったままで写真をわたしたり、せっかくの性能を使い切れずに、豚に真珠のカメラマンもいるようだ。
 そんなわけで僕も機材をそろえるのに苦労している。なんとか日本の高スペックPCや高画素カメラを手に入れているが、細かな備品を用意するのがとにかく大変だ。お金をだせば、そこそこの値段でなんでも簡単に手に入る日本に住む人がうらやましくなる。



1・5 散歩

「まあ、かわいそうに。もう少しゆっくり歩いてあげたらいいのに」
 犬の散歩をしていて、追い抜いたばかりのおばさんが言った。それも日本語で。僕を日本人だと知っていっているのか? ブラジル人だと思って、わからないと思って言っているのか? いらぬお世話だと思いながら無視して歩き続ける。
 犬の散歩約3キロを毎朝、速足で歩き、基本的には、犬たちが僕の前を歩かせないようにしている。ある人に、だれが主人か教えるためにも、犬たちに前を歩かせない方が良いと教えられ、確かにそうだなと思い、僕の横を並んで歩いても前を歩かせないようにしている。
 愛犬たちは足の短いダックスフンドだから僕の速度についてくるためには、小走りになるか僕以上に足を回転させなければならない。犬たちを無理にひきずりながら散歩しているわけでもなく、犬たちはしっかり僕の後ろをついてきている。雌犬は速歩きができるが、雄犬はトロいのか速歩きができず小走りになってしまう。はたから見れば、僕がいじめて速く歩いているように見えるのかもしれない。とは言っても彼らは、もともと猟犬であるから3キロほど小走りで走っても屁でもない。と思っていたが、10歳を超え最近は家に帰りつくと結構疲れていて、横になって寝ている。
 時に犬たちも足が痛かったり、体調が悪い時があるようで、歩くのが遅くなるときがある。そういうときは、抱いて帰る。それなりに気を使っているのである。
 毎日の散歩のおかげで僕も犬たちも健康を維持できていると思う。

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雌犬アズミ。彼女も年を取った。





1・6 久しぶりの牛丼

 息子をさそい数か月ぶりに「すきや」に行く。ラーメンがメニューに加えられたという噂を聞きつけたからだ。息子によると、リベルダーデのラーメン屋に比べるとおいしくない、という。しかし、自分で試してみないとわからない。パウリスタ大通り近くの店にいくことした。
 すきやがブラジルに入って、もうだいぶんになる。サンパウロに100店舗の展開を目指すとのことだったが、最近止まってしまったような感じだ。それでも安くてそこそこおいしく食べられることから、人気は上々のようである。昼にいくと座れないほどである。
 知人の「すきや」マニアによると、店によってずいぶん味が異なり価格も少し違うらしい。おいしいのは、日本の日本人がよく利用するパウリスタ近くの店らしい。おそらく日本人は味にうるさいからだろう。
 店について、メニューを見ると醤油ラーメンを中心に3,4種のラーメンがある。早速頼むと
今日はラーメン、シメジ丼はないという。「無い!」注文を聞きに来た、人の好さそうな男に文句をいいかけたが、彼に文句を言ってもしかたがないことに途中で気が付きやめた。血圧があがるだけだ。所詮ブラジルの「好きや」なんてこんなものだ。仕方がないので牛丼のMを僕が頼み、息子は照り焼き丼のGGを頼む。二人で水を頼んで1000円かからない。今のサンパウロでこの値段で食べられるのは驚きである。
 みていると、お持ち帰りでもっていく人が結構多い。つい最近、3か月吉野家の牛丼を食べ続けて健康に問題がなかったという記事を読んだが、マクドナルドのハンバガーを食べるよりはずっと健康的だろう。
 久しぶりの牛丼は一口食べて、ずいぶん味が洗練され日本の味に近くなったことに気が付いた。しかし、一切れ一切れが大きく、というか肉が切れておらず、かみ切るのが一苦労だった。肉もご飯も味はおいしいのだが、肉が固い上に日本のものに比べると少し厚いのである。筋が歯にひっかかって非常に気分が悪い。残念だ。せっかくおいしくなったのに。国によってそれぞれ事情があるだろうが、日本の味、質を知っている人間には少々つらい。息子はよく好きやに行くようで、「この店は量が多いけど、あまりおいしくない」と不満そうであった。
 少々不満はあるが、それなりに面白く楽しめた昼食ではあった。 

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1・7証明写真

ギョギョギョである。
 運転免許の更新のために息子に撮ってもらった証明写真に驚いた。
 目つきは悪くなっているし、右目と左目の大きさ形が異なる。常に右目でカメラのファインダーを見るので、変わったようだ。1回の撮影で4時間以上だから、目が耐え切れずこんなことになってしまったのだろう。30代のころは、3晩連続サンボドロモ(カーニバル会場)で写真を撮っても目の変形はなかったのに! 長い年月の写真歴と年をとり目がハードな使用に耐えきれなくなったのだろう。
 常に重いカメラを担いでいるので右肩は下がっているし、顔はすっかり初老の域に入ってしまっているし・・・。一応、洗顔歯磨きついでに毎日朝鏡で顔をみているのだが、ここまでいっているとは気が付かなかった。ふつうに撮った写真は「嘘をつかない」からどうしようもない。現実である。受け止めなくてはならない。
 数年まえから、肉食を野菜・魚食中心に、白米を玄米に、食事の変更をして以来、痩せた。実際はわずか3キロほどの体重減であるが、ぐっと痩せたように見える。写真の中の僕は昭和時代によく店頭におかれていたケロヨンの首振り人形のような感じである。これじゃ、「セニョール」、「おじさん」と言われても仕方がない。もう50歳を越えているから当然といえば当然だが、あ~あである。ずっと若いつもりであったし、若い気持ちを持ち続けたいと思っているが、自分の容姿というものはしっかり把握していた方がよさそうである



1・8  Que Bunda (なんて尻だ)!

「Que Bunda(なんて尻だ)!」
 道路脇で寝ていた路上生活者のおじさんが声をあげた。
 その視線の先を追うと、二人の女性が歩いていた。一人はふつうの体型、もうひとりは太っていた。太った方は大尻で、はいているぴっちりとしたショーツ?(なんていのだろう 膝までのパンツ?)がなんとなく生生しい。そのはいているショーツをよく見ると、なんとスケスケで、歩くとお尻の肉のたるみまで透けて見える。パンティーはTバック。プライア(海岸)ならともかくサンパウロの路上で、そんな姿を見るのは初めてである。これじゃー、路上生活者のおじさんが驚くわけである。
 プロポーションの良い女性なら、見たいというスケベ心も起きるかもしれないが、そんな気持ちも起こらないようなお尻であった。しかし、前はどうなっているのだろう、という好奇心がむくむく沸く。追い抜いて、チラリとみるが、僕は目が悪いし、ジロジロ見る勇気はとてもない。ちらりとみた女性の顔は30歳ほどの意地の悪そうであったし、とても後ろを何度もみる勇気はなかった。
 信号で立ち止まったので車を見るふりをしてみると、後ろと同じくスケスケのようである。それを確認したらそれ以上の好奇心はわかなかった。
 その後図書館の若い日系人女性にこの話をすると驚いていた。
「90%の女性は街では、そんな服はきれないと思うわ」
 海岸にいくと、ほとんど局部をやっと覆うほどのビキニをきているブラジル人女性が多いのだから、街中でも少々スケスケの服をきても恥ずかしくはないのだろう、と思っていたが、そうでもないようだ。

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こんな服もセントロではふつうに売られているし・・・





1・9 女性も怖い

 いつものようにセントロを歩いていると、路上生活者らしき黒人カップルが言い争いをしていた。
とは言ってもほとんど女性が一方的に声をあらげているだけで、男性はシュンとした様子である。
 女性はおなかの大きな妊婦? 155センチほど、男性は180センチを超えているだろう。女性は怒りまくっていて、男を殴打し、40センチほどのコンクリートの塊を投げつけている。
 道行く人は足を止めて、ニタニタ笑いを浮かべてみているだけである。日本では夫婦喧嘩は犬も食わない、というし見ているのが賢明のような気もする。一人のおばさんが、「なんで止めないの!」と興奮していたが、そういう彼女も止める様子は一向に見せない。人にいうくらいなら、まず率先して自分で止めなくては!
 人々が止めようとしないひとつの理由は、暴行をしているのが妊娠の女性、受けているのが体格の良い男性ということがあると思う。もし、これが反対なら、おせっかいな誰かがとっくに止めるか、警察を呼んでいるだろう。
 そうしているうちに、怒りに耐え切れなくなったのか、男性は黒ビニール袋を肩に担いでスタスタと後ろを振り返ることもなく行ってしまった。
 賢明な行動だと思う。ブラジルの法律は弱者、女性や子供、老人に以上に優しい。女性警察と呼ばれる、女性専用の警察があるほどで、DVなど不当な暴行に対して女性の駆け込み寺のようなところである。 たとえどんなに頭にきても、女性に手をあげないのが一番である
 最近のブラジル女性は体格もよいし、多くの女性は僕などより重そうな体つきをしている。腕などはゆうに僕の腕の2倍はあるような女性はざらである。喧嘩になったら、体力的にもかないそうにない。女性の犯罪もどんどん増えているし、女性だからと言って決して油断はしないようにしている。

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1・10凶暴の芽

 あるパーティに呼ばれて一人チビチビとお酒を飲んでいた。
ふと見ると、5歳ほどの2人の男子がプラスチックの板を蹴り逢っていた。落ちていた板でサッカーをしているのだろうと思っていた。住居人用の子供部屋をのぞいてみると壊れたおもちゃが転がっていた。先の男の子が入ってきて、おもちゃを蹴り始めた。プラスチックをはがして、蹴りに蹴り、踏みにじる。一瞬なにをしているのかわからなかった。子供たちの顔を見るとニヤニヤ薄ら笑いを浮かべている。はっと気づき、「そんなことはしちゃいけないよ!」というとやめたものの、相変わらずニヤニヤ笑い笑っている。
 立ち去ると、再び壊して始めた。これは、もう手に負えない。自分の子供なら叱るところだが、知らない、それもブラジル人の5歳ほどの子供である。パーティの主催者に告げた。主催者が注意したが、それでも、ニヤニヤ笑いながらおもちゃを軽く蹴っている。これはダメダと判断した主催者が子供の母親に告げ、血相を変えて母親がやってきた。この感じではこの子供たちは、今までにも同じような破壊行動をしているのだろう。
 今まで感情のないニヤニヤ笑いを浮かべていた男の子も、母親に叱られ、初めて通常の5歳の子供の顔に戻った。結局2人の親たちは嫌がる子供を連れてパーティから帰っていった。
こんな子供を見たのは初めてのことであった。感情のないニヤニヤ笑いながら破壊行動を行う子供の気持ちがわからない。おそらく、こうした子供がそのまま大きくなったら、寝ている路上生活者に火を放って焼き殺したりするのだろう。今まで何件かの路上生活者が焼き殺される事件があったが、たいてい犯人は中流以上の子供たちであった。人の痛み、モノの痛み、したらいけないことがわからないのである。もちろん、親の教育、育った環境などが大きく関与するのだろうが、先の子供たちをみていて、もって生まれた「凶暴」の芽を感じた。
ブラジルも日本でも世界中で、凶暴な子供たちが増えているような気がする



1・11減らないノミ

 朝の散歩、犬のノミ取り、ブログ・サイトの更新が、日課である。日曜日はブログとノミ取りのみを行うようにしているが、つい面倒くさくてノミ取りを怠けてしまった。夕方、ノミを取ると、いつも以上に取れた。せっかく減っていたのにがっくりである。たかだか1度取らなかっただけなのに! いったいこのノミはどこから出てくるのだろうか?
 散歩中に運んできてしまうのはわかるが、なかなか減らない。家の中で増殖しているのかもしれない。今までノミ取り用の櫛を使ったことがなかったので、目に見えて取れる数がわかるので増えたように感じるかもしれないが、それにしてもしつこい。完全撲滅がなかなかできない。朝の散歩をやめることがない限り撲滅できないのであろうか?
 雄犬ニンジャはノミ・アレルギーでノミに噛まれるとかゆくてたまらないようで、噛みむしってすっかり毛が少なくなってしまった。一緒に歩くのも少し恥ずかしいほどである。
以前にも書いたが、今まで何本ノミ取り用の薬をつけてきたのかわからないほどつけたが、さほど効果がなかった。ノミ取り櫛が一番効果はあるようである。怠けず、せっせと毎日、朝晩櫛をかけるしかない。



1・13 永久ビザの更新とPC

数年に一度の永久ビザの書き換えにあたふたとしている。意外にわかりずらくめんどうだ。政府のサイトに入って、重要事項に記入をして、さらに登録所にいく日にちと時間を予約して・・・・。途中でPCがおかしくなるわ、印刷できなくなるわ、大変だった。息子と一緒にやってもらってなんとかに記入を終え、行く日を予約した
 更新の時期だから、目をつけられるようなこともしない。だから、警察のビデオ等にとられる可能性のあるデモにも写真を撮りにいかない。そんなに気を使わなくても・・・、と思われるかもしれないが、今のブラジルは何があるかわからない。後ろ盾のないフリーの人間は用心してしすぎることはない。
 
 PCとモニターがクラッシュする寸前のようだ。画面が突然消えたり、青っぽくなったりしている。PCは5年以上、モニターは10年ちかく使っているから、いつクラッシュしてもおかしくない。去年10月に日本で新しいPCを購入して本当に良かった。
 しかし買ったばかりのPCもなんとなくいまいちだし、早め早めに交換していった方が良いかもしれない。日本で買う製品も壊れやすくなったような気がする。ブラジルで買うよりは製品がしっかりしているからましであるとは思うが・・・



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写真は初日に集まった参加者。昨日の2日目は、テレビの生放送の感じでは荒れたようである。




1・15 おぞましい出来事

RNE(永住権)の更新で2日ぶりのコーヒーだった。
直火式のエスプレッソマシーンで淹れた熱々のコーヒーを茶のみ茶碗で飲んでいた。不注意からコーヒーカップを割ってしまい、カップをついつい買いそびれていたのだ。
 いつもの慣れた作業だったので、何も確認することもなく、茶碗に注ぎ、ネットをみながらコーヒーをゆっくりすすっていた。と、何か固まりが口中にコーヒーとともに入り込んだ。うっ、なんだ?? と思いながら吐き出すと、豆粒ほどの黒い物体が! 一瞬、嫌な予感が!!! 思わず、目を近づけてみてみると、ゲッ、ゲッ、茶ばねゴキブリの死体であった。思わず口に中に残っていたコーヒー吐き出してしまった。ショ、ショ、ショック! すぐに、水道の水でうがいをしたが、口中にはいや~な感触が残ったままであった。
 コーヒーは沸騰状態だったのでそれ自体は消毒されていただろうが、気分が悪い。口の中の何ともいやな感触はなかなか取れなかった。おそらく、2日間使わなかったためにゴキブリが住処にちょうどいいと思ったのだろう。入り込んでいたのだ。こんなことになってしまった原因は、茶碗の口が小さく、コーヒーを見ることなしに口をつけてしまったことにある。即、コーヒー・カップを買いにリベルダーデ走った。
 店に入って値段をみてみると一番安いのが30レアル(約750円、僕の感覚では1500円)ちかくする。思わず買いたくなるような洒落たものでもなく、ごくごく普通で味もそっけもないモノだった。日本ではせいぜい200円ほどのものである。あまりに高いので、今度日本に帰った折に、自分の気に入ったものを買うことにした。しかし、それまでカップは必要である。数年前に進出した日本の100円ショップ、DAISOでコーヒーカップを売っていたのを思い出した。
 残念なことにコーヒーカップはなくなっていた。いっそうのこと口の広い茶碗にしようかと思ったが、少しくらい広いといっても、また同じことが起こる可能性がある。探しているうちに、取っ手が2つ着いたスープ用のセラミックをみつけた。取っ手がひとつしかなければ、コーヒーカップと言ってもおかしくない。口が広いので、今度、万一、ゴキブリが混入しても見落とすことはないだろう。再びリベルダージに戻るのも面倒くさかったし、これに決めた。値段は8レアル約200円!
家に帰って、新しいカップでコーヒーを飲みながらゴキブリの撲滅を誓った。

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買ったカップ。本当はスープ用




1・16 ブラジルに住むむずかしさ

 やっと永住権の更新が終わったが、今度は免許の更新が待ち受けている。日本では簡単にできるようであるが、ブラジル、特にサンパウロでは、なかなか簡単にはいかない。とにかく人が多いし、係員も間違いが多い。自分でよーく確認しなければならない。できたことをサイトで発表することになっているが、できていても発表されていなかったり。まあ、とにかく疲れる。こんな苦労をしないように、自分でやらなくても、代行会社があるのだが、僕のような金に余裕のない人間は自分でやるしかない。
 それでも自力でこうした更新をやっていると近隣諸国やアフリカからの移民難民の様子を垣間見ることができる面白さはある。更新場(ポリシアフェデラル)が始まる前についたので、列の最後にならんだ。その列の2mほど離れた壁の横には黒人たち座っていた。明らかに列に並んでいるようには見えない。僕が並んでも何も言わないし、てっきり列には関係ないものだと思っていた。
 ところが、更新が行われ始め、列が動き始めると、何も言わず突然どやどやと列に割り込んできた。ブラジル人でさえこんなことはしない。まったくなんていう奴らだ! すべてのアフリカ人がこんな礼儀知らずだとは思わない。しかし、多くは、怠け者で休めるなら少しでも休みたい、という人が多いのではないだろうか? 一度もアフリカに行ったことはないので、そう決めつけるのは危険だが、彼らを見ていてそう思わずにはいられなかった。アフリカに進出していけるのは、それこそ中国人ぐらいだろう、本当に。
 日本企業社長らしい人も目立った。すべての人が秘書? 代行? をつれ黒のスーツを着ている。知人に会うと、お互いにぺこぺこ礼をしている。この行動も外国人ばかりの中では目立つ。当然、僕もしていることである。違和感があった。
 その国によってそれぞれの文化、道徳がある。それだけに、ほぼ単一民族の日本の田舎で生まれ育った僕のような人間が、世界中のあらゆる国の人々,それも後進国からの人々が多く住むブラジルで暮らすことは非常に難しい。

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1・17 息子の犬たち

久しぶりに、息子の犬たちを昼間つれて行く。
ちょうど2匹の犬とすれ違い、わんわん吠える。前はこんな犬じゃなかったのに・・・。
雄犬サスケはほぼ生後1年、サクラは2歳半になる。成長するにつれ2匹とも性格ががらりとかわった。
サスケは雄らしい行動をとるようになった。散歩に出るといろんな所で足をあげようとするし、他の犬にほえかかるようになった。一度家でも足をあげようとしたらしいが、息子にこっぴどく叱られ、その後はしなくなったらしい。僕には、いつも腹を見せて腹を搔いてくれとせがむくらいだったので気が付かなかったが、すっかり大人の雄になったのだ。
雌犬サクラは、サスケが来る前は、怖がりで引っ込み思案の性格で、散歩に連れて行っても、すべてのものが怖くてまともに歩こうとしなかった。アパートのベランダに出るのさえ怖がった。サスケがきて成長するにつれ、このまま引っ込み思案でいれば、すべてサスケに奪われると思ったのか、積極的な犬に変わっていった。自分から頭を撫でてくれと請求するようになったし、他の犬に関心を寄せるようになった。1匹でいるときは寂しさからか、脛を舐める癖がつき、彼女の脛は毛が舐めとられ肉さえ見えていた。今はすっかりその癖もなおり、サスケより可愛がってもらおうと一生懸命である。そのせいか、人の言葉も最近はよく理解するようになったような感じである。散歩に出ても以前のように怖がらなくなったし、ベランダにも自分からでるようになった。すっかり積極的な犬に変身してしまった。
サスケは柴犬ほどに成長し、ぐんと引きが強くなった。2匹一緒ともなると体重が軽い僕は、体がもっていかれることもしばしばで、2匹との散歩は朝の散歩とは違い体全体を使った散歩となる。疲れ方も2倍以上で1日の運動としてはなかなか良い。朝の散歩をしない土日が彼らとの散歩の慣例となっている。

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じゃれあう2匹。下がサスケ、上がサクラ。




1・18 何が起こるのかわからない

 仕事でモエマ区に向かう。約束時間は4時。バスターミナルの職員に聞くとモエマまでの所要時間は約15分だという。15分というのは速すぎるような気がしたが、多く見積もって30分でいけると思っていた。ところがどっこい、1時間以上かかってしまった。
 途中のイビラプエラ公園でひっかかってしまった。久しぶりに、快晴の気持ちの良い天気だったために、どっと市民が公園にやってきたために渋滞をひきおこしたのだ。
 それもそのはずで、公園前の車道には行楽客の車が2重に駐車しているために、本来は2車線の道路が1車線しかつかえない状態であった。1キロほどにわたって渋滞を起こしていた。まったくブラジル人は人の迷惑を考えない!!
 早い目に家を出ていたので10分ほどの遅刻でなんとかなったが、大汗をかいた。重要な仕事にバスを使うのは、危険なことを思い知らされた。もう少し時間に正確なメトロでできるだけ近くに行き、バスに乗り継ぐのが一番安全なことがよくわかった。とはいいつつも、メトロもしばしば止まるのでかならずしも安全だとはいえないが・・・。
 ブラジルは何が起こるかわからない。ある程度の事故は想定しながら行動しなければならないことを思い知った1日であった。

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やっと、気持ちの良い日になったはいいが・・・・





1・19 増えた路上生活者

 路上生活者の、黒人のおじさんが、お金をもらおうと歩道の中央で歩いている人々に手をさしだしている。酔っ払いや、麻薬常習者以外には基本的には小銭をあげるようにしているので歩きながらポケットの中の小銭を探った。
 ちょっと前を歩いていたおばあさんには何も言わなかったが、僕の方を見ると、横を通り過ぎる前から寄ってきた。
「1レアルちょうだいよ」酒か、麻薬に酔っ払っているのか、舌が回らない。喋り方を聞いて途中で気が変り、そのまま通り過ぎることにした。彼はプレッシャーかけるように僕に数歩近づいてきた。僕が怖がって金をだすと思っているのか!? こいう奴には絶対出さない! そのまま無視して通り過ぎた。
「日本人! この国から追い出すぞ!」と後ろから捨て台詞が聞こえた。
こういうプレッシャーをかけるようにして金を出さそうとする手合いにはロクな奴がいない。たいてい捨て台詞を吐いたり、通せんぼうをしたりする。いつでも対応できるようにして、そのまま通り過ぎるようにしている。多くのこういう手合いはたいてい酔っ払っていてふらふらなので、襲われても僕の様な非力な人間でもなんとかなるだろう。ブラジルの経済危機で、路上生活者がぐっと増えたような感じがする。以前は男性ばかりであったが、この頃は女性や家族もちも見かけるようになった。
 セントロの商店を見ていると、シャッターを降ろしている店が増えたし、営業している店もほとんど客が入っていない。これからますます首切りの嵐が吹き荒れるだろう。決して僕も他人事ではない。経済学者の発表ではブラジルがよくなるのは18年以降だとは言うが、あと2年でよくなりそうな兆しなんて今はとても見えない

セントロの街並み。シャッターを下ろしたままの店が増えてきた




1・20 毒サソリに、アフリカマイマイに、ヴィールス媒介蚊・・・

痒っ
散歩用のバミューダズボンからむき出しになった足首を見ると、黒ゴマのような小さな点が! もしや・・・。つまんで、見てみると、やっぱりノミであった。
 もう随分長い間、ブラジルにいるがノミに噛まれるのは初めてのことである。それも路上で。今日は早朝18度を記録するような寒い朝であったので、もしかしたらノミがひと肌の暖かさを求めて跳んできたのかもしれない。それにしても、家の中なら解るが路上で噛まれるとは! 普段も気が付かない間に、ズボンに取りつかれているのかもしれない。セントロでは路上生活者がいたる所でゴロゴロ寝ているのでノミが繁殖しているのかもしれない。どうりで、犬たちのノミをいくら退治しても減らないわけである。飼っている犬たちは足の短いダックスフンド種であるから、ノミに跳びつかれる可能性も高いのだろう。
 最近、サンパウロでは毒虫や貝などが大発生し問題になっている。今朝のニュースではアフリカマイマイは寄生虫が危ないので触らないように、と呼びかけていた。その他にも、毒サソリにヴィールスを媒介する蚊、毒ヘビなど、サンパウロ市内でも発生しているらしい。去年は蚊が媒介するデング熱によってサンパウロ州だけで20数人が亡くなっているし、ジカヴィールスに感染した蚊に妊婦が刺され、お腹の子供に小頭症など悪影響を及ぼしたケースも出てきている。小さな蚊も決してバカにできない。用事がなければ夏の間は田舎にいきたくない。
 経済危機による大不況に治安の悪化、その上、毒虫、病気を媒介する蚊、アフリカマイマイ・・・、もう踏んだり蹴ったり状態である。



1・21 スヌーピー人形

今、スヌーピーの3D映画の宣伝に、町中の観光スポットに1.5mほどのスヌーピー人形が設置されている。
 その場所に合わせて、ひとつひとう服を着せている点がおもしろい。例えば、東洋人街リベルダージのスヌーピーは柔道着を着ているし、ビジネス街パウリスタ大通りは、黒のスーツを着てビジネスバックを持っている。コパーンビル(有名な建築家ニーマイヤーの設計したビル)前のスヌーピーは、ヘルメットを被り建築技師風などなど・・・。
どこのスヌーピーもなかなか可愛く、人気の的で、自撮りや一緒に撮る人が絶えない。
 しかし、ひどい人間も多く、セ広場のI Love SPのTシャツを着たスヌーピーは首がもがれ、あっという間に撤去されたし、ジャルジンス? のスヌーピーは盗難にあった。その他、しっぽがもがれたり、さまざまな虐待を受けている。盗難にあったスヌーピーは盗難される瞬間が監視ビデオに映されており、その映像が流れたために、怖くなった犯人カップルが数日後こっそり返してきた。流れたビデオでは二人が簡単に持ち上げていたので、試してみると、人形は簡単に動いた。ただ置いただけで、何も接着していなかったのだ。これでは盗られても仕方がない。間が抜けているというか、何も考えていないというか、あきれてしまった。
 今のところ残りのスヌーピーは虐待されることも、盗られることもなく、元気にしているようだ。

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セ広場の破壊される前のスヌーピー




他のスヌーピーはこちら  http://www.nandemo.com.br/home/nanbei/snp



1・22 後悔

 今日はよく動いた。
午前中にデモ写真を撮りに行って、午後にもうひとつ。そして写真を渡しにパウリスタへ。
夕方早々からシャワーを浴びて汗を流して、ゆったりベランダから夕の写真を撮っていた。
夕暮れが進み、薄暗くなりつつある空を数機のヘリコプターがバタバタ轟音を発しながらセントロ上空を飛んでいる。セントロで何かあったのか? 
 早速テレビをつけると、ペドロⅡのバスターミナル付近でデモが発生しているようだ。写真をとりに行こうかと思ったが、暗くなりかけてほとんど写真を撮れないことはわかっていたし、シャワーを浴びて身体も心も出かけるには重くなりすぎていた。「暗いからどうせいい写真は撮れない」勝手な言い訳をつくり、出かけるのをやめた。
 テレビを見ていると写真を撮ればよさそうな場面が数か所流れ、残念でたまらなくなった。やっぱり行くべきだったのだ。それからセントロは荒れに荒れ、数人の逮捕者と警官のゴム弾、ガス弾によるけが人がでたようだ。
 行った方が良かったのか? 行かなくてよかったのか? よくわからないが、セントロは熟知しているだけにいい写真が撮れたような気がする。でも、良い写真が撮れるのは縁だ(と思っている)から、縁がなかったのだ?? 難しいところだ

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午前中の「老人の権利要求デモ」



老人デモの他の写真はこちら
http://www.nandemo.com.br/blog-me/ddm/



1・23 このまま秋に突入?

 夜明けが遅くなってきた。いつも散歩に出る6時には結構明るくなっていたのに、最近はまだ薄暗い。また、冬が来る。どうも寒い冬は苦手だ。かと言って暑い夏も少々苦手ではあるが・・・・。今年もカーニバルが終わると、秋風が吹き始め、急に秋になったような感じがするのであろうか? 毎年のことではあるが、この時期は郷愁を感じる。
 今夏は、曇りや雨の日が多く、いまいち夏らしさが感じられなかった。このまま夏らしさあまり感じずに秋がやってくるのだろうか? 日本の友達のブログを見ていると、木々が芽吹き、春がどんどん近づいていて羨ましい。当然のことではあるが。日本が春を迎えるときに南半球のブラジルは秋。僕の頭の中は、日本が中心に回っているから余計寂しさを感じてしまう。ブラジルに居て、一番寂しい季節、日本がうらやましくなるのはこの季節である。
 サンパウロは、夏らしくからっと晴れた日がすくなかった上に、経済危機による不況で街が暗いし、人々の顔もぱっとしない。TVで流れるニュースも殺人事件に強盗事件、汚職事件ばかりで明るいニュースがない。TV局もそのことに気を使っているようで、明るいニュースとして、日本のテクノロジーの話題などや、面白い話題を盛り込む。そんなこともあり、ますますブラジル人は日本が住みやすい国だと思ってしまう。日本に旅行したいというブラジル人が増えたのも日本=住み良い国=テクノロジーの国という印象が強いからだろう。

晴れと思っていてもあっという間に曇り。今夏はほんとに曇り・雨の日が多かった


 
11・24 プレカーニバル

 勘が強くなったというか、鼻が利くようになったというか、悪運が強くなったのか、セントロでデモやイベントがあると出くわすことが本当に多い。自分でも驚く。
 本当は別のイベントにいくつもりだったが、歩いているうちに気が変わり、小さな広場を通ることにした。するとちょうどプレカーニバルのようなイベントが始まる直前だった。僕が行こうと思っていたイベントよりはるかに華やかで絵になる。何の情報もなしに行きついてしまった自分ながらに勘の良さに感心してしまった。しかし、もう帰ろうと思っているところに、デモなどに出くわすこともしばしばで、時にうんざりしてしまうこともあるが・・・
 はじめは、ほとんど人がいなかった舞台前もどんどん人が増え、一眼レフを携えた自称カメラマンが増えてきた。イベントはどんどん盛り上がっていくが、日が暮れていくこともあり、どんどん写真はとりずらくなっていく。数組のビデオクルーが来ていたので、テレビでイベントの様子が放映されたのだろう。ちょっとしたカーニバルのイベントグッズを身に着けた人々がわいてくるようにやってくる。さらに、人々の集まるところにハイエナのようにやってくる、無許可の路上移動飲み物屋もビールやウオッカを満載したハッポウースチロールのボックスを手押し車に載せてやってきて、人で混雑する中を動き回るから、もう大変である。おそらくこの中には、コロンビア人、ブラジル人などのスリ集団も紛れ込んでいるだろう。いい気になって写真を撮っていると、気が付いたらレンズがない、携帯がないということになる。気を付けなくては! 気を引き締める。
 舞台のすぐ前で写真を撮っていると、あまりの騒音に耳がガンガンしてきた。日が陰り、人も増えすぎたこともあり、写真が撮りづらくなってきた。その場を離れる頃合いだと思った。いったんそう思うと、急激に撮影意欲が失せてきた。自分の勘に従い、場所替えすることに決めた。

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観客のノリもどんどん上がり絶好調



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2016 カーニバル前
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1・25 今年の春節は?
 何もしらべずに、中国の旧正月のイベントがリベルダージでそろそろあるのではないかと思い、午前中に散歩を兼ねてリベダーデに向かった。何ももっていなければ楽なのだが、望遠レンズに広角レンズなど持っているから、カメラを合わせて5キロ近くなる。古いレンズだから、まるで鉄の塊を担いでいるようだ。
 先週の金曜日には何も準備がされていなかったので、おそらく何もないだろう、と思っていたが、案の定何もなかった。ネットで調べてみると中国の旧正月、春節は毎年日にちがかわるそうで、今年は2月7日かららしい。ちょうど、カーニバルの時期である。もう3,4年、撮り続けているから今年は、もう、いいかな、と思っているが、直前になってまた気が変わるかもしれない。七夕まつりなども、もう、今年はいいかな、と毎年思うのだが、面白いシーンに出会うかも、と思うとついつい出かけてしまう。出かける前は、非常に気が重いが、いざ、行って写真を撮り始めると、楽しくなりついつい撮りすぎてしまう。根が怠惰だから、何事も腰をあげるまでに時間がかかってしまうのだ。
 この頃、ますます人込みが苦手になっているから、今年はどうだろう? 気分次第でころころ変わるし、中国の旧正月よりは、路上カーニバルの方が魅力的だし、その時にならないと自分自身でも予測はつかない。



1・26 いらつく撮影

サンパウロ市制462年記念日で、市内各地で様々なイベントが行われた。テレビを
見ていると4「62mの長いケーキカットをビッシーガでこれから行う」、というので慌てて、向かう。ビッシーガ地区はアパートから歩いて20分ほどの距離でだから、なんとか間に合うかもしれない、そう思って行ったのだが、残念ながら終わってしまった後だった。
 イベントのスタッフに聞くと、「ケーキかっとは終わったけど、これからビッシーガ地区のミス462年を決定するからもうすこし待ったら」、という。30分ほど暑い中を待って、やっと始まった。ショボイが地区のイベントだからしょうがない。地区の新聞カメラマンやら、にわかカメラマン、携帯カメラマンなどが集まってきた。
彼らのあまりのずうずうしさにびっくりしたし頭にきた。皆とりあえず一眼レフをもっているくらいで、短いレンズしかもっていないから、皆前に前にでる。そうなるとこちらも前に出ないと彼らがじゃまになって撮れない。携帯カメラマンは真ん前で手を挙げて撮るし邪魔だ! 黒人系の男が舞台にあがって、下で撮っている人のことはまったく考えずまん前で撮り始めた。激しいブーイングが飛ぶ。あまりのブーイングにすごすごと脇に退いた。レンズを見ると35mmくらいの短いレンズである。これではよっぽど近寄らないとダメであろう。
受賞者が舞台から下に降りてくると、その男も降りてきたが、すでに舞台前はいっぱいである。その男は前にいる人にしゃがめと言い始め、僕の肩にも手をかけてきた。こんな男の言うことを聞く人なんかいない。もちろん、僕も無視して、彼の手を払いのけ撮り続ける。それにしてもこの男は場所どりが悪すぎる。これでカメラマンなのだろうか? まったく何も考えずに動いている。一応カメラマン風に見えたが、レンズも短いモノ1本しかもっていないし、これじゃ~まともな写真は撮れないだろう。
 車に運転すると人が変わる人がいるが、どちらかというと僕もそのタイプで、写真を撮り始めると性格が変わる。それだけにこういうイラつかさせられる場所で写真を撮るのは嫌いである。

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1・27海外に住む難しさ

 どこの国の犬好きも同じなのかもしれないが、ブラジルには犬を見ると近づいてくる人間いる。たとえ、犬が吠えてもだ。おかまいなしなのだ。
 今朝、愛犬たちを連れて、散歩を始めたばかりのところで雄犬ニンジャが大便をもよおした。ちょうど後ろから2匹の犬連れの男が迫っていた。「何もこんな時に!」と思っていた。うちの犬たちは他の犬が嫌いで、とくに雌犬アズミは大嫌いで吠え向かっていく。
 案の定、男性と犬たち近づくと、アズミが吠え始めた。それにつられ、ニンジャもキャンキャンうるさく鳴く。そんな状態なのに、この男はニコニコ笑いながら近寄ってこようとする。 朝6時の早朝だから、まだ街は静かで犬たちの吠え声が響き渡る。この男はいったい何を考えているのだろう? 犬好き同士、交友しようとでも思っているのだろうか?? 僕からすれば、こんな奴とは知り合いたくもない! 
まったく状況を考えないこの男にカチンときたので
「早く行け!」と言い放った。
 ニコニコ笑みを浮かべながら、軽くうなずいてこの男は犬たちを引いて離れていった。この様子を見ていると、それほど性格が悪い男でもなさそうである。見知らぬ人間に対する言い方としては、ちょっと言い方が強すぎたかもしれない。僕にしろ、犬たちにしろ、閉鎖的なのだ。犬と散歩する人間にできるだけ会いたくないから、朝早く散歩しているのである。その辺を、少し考えてもらいたいが、多くのブラジル人はそんなことを考えもしないから、ここでは僕の方がおかしいということになる。
 長年ブラジルに暮らしているが、ブラジル人社会にはなかなか溶け込めないし、日系社会からも完全浮いている。外国に住むということは難しいものである。

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ニンジャもすっかり年をとってしまった






1・28 怖いものだらけ

 このごろ、毎日のように夕の大雨で、サンパウロ市内各地で冠水、地滑りなど多大な被害がおきている。国内空港では、雨漏りで天井から滝のように水が落ちていた。
 急激にムクムクと成長する入道雲や雨雲を見ていると非常に面白いが、これほど被害がでてくるとそんなことを言っている状態ではない。うちのアパートは22階だから、冠水するようなことはないが、低地に住居する人たちは雨が降り出すと、いつ浸水するかもわからないので安心して眠れない。
 小学生のころ、数m先が見えないほどの大雨に襲われることもしばしばあったが、そんな大雨の中をびしょびしょになって家に帰るのも結構楽しかった。当然、時代が違うが、サンパウロでは、雨の中を濡れながら歩く気もならない。降ってくる雨はかなりの酸性雨だし、道路を川のように流れる水は、ネズミの小便や、犬の小便などバイキンだらけである。つい最近も冠水した道路を歩いていたことが原因で、傷口からバイキンが侵入し男性が死亡した。冠水した道路を歩いて体調を崩したというような話もよくきく。あまり神経質になるつもりはないが、雨にぬれたり、冠水した道路は歩いたりはしたくない。雨に逢って濡れたら即シャワーを浴びることにしている。
 蚊といい、雨といい、強盗といい、この頃のサンパウロは怖いものだらけになってきた。

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この頃 入道雲が驚くほど多い





1・29 スマホが利用する気にならない

 日本に行くのに、PC代わりにスマホを買って、そろそろ5か月になる。日本では、ネットを調べたり、サイトを見たりするのに重宝した。買って良かったと満足していたが、ブラジルでは思ったほど利用できていない。というより、ほとんど持ち歩いていない。路上では盗難が多すぎて使う気にならないので、ほとんど家においている状態なのだ。最近、仕事の依頼はほとんどがSNSかメールで、電話で依頼してくる人は滅多にいないし、電話をかけてくる友人等もほとんどいないから、ヘタに持ち歩いてスマホを盗られて仕事ができなくなるより、持ち歩かない方がいいのだ。スマホは盗られてもいいが、データーも一緒に盗られるのが困るのだ。しかし、これじゃースマホを持つ意味がない。
 とにかく、今のサンパウロは強盗がびっくりするほど多い。ニュースを見ていると、仕事場に出勤するためにバス停でバスを待っていて、拳銃で脅され強盗に持ち物を根こそぎ捕られるような事件がしばしばある。それも早朝6時にである。強盗は怠け者だろうから、早朝は大丈夫、雨の日は大丈夫だろうと思っていたが、そんなことは今の強盗には当てはまらない。どこでも、時間、天気にかかわらず襲ってくるのだ。街の中には、スリにひったくり、強盗がごろごろなのである。カメラを常時持ち歩いているから、僕の注意はどうしてもカメラにいってしまい、後ろポケットのスマホのことなどはしばしば忘れてしまう。スリに狙われたら一発だろう。そんなことを考えているとますます持ち歩きたくなくなる。
 スマホを買う前は、メモ代わりに使えて、その場ですぐ情報を発信できるなどと思っていたが、とてもそんな気にはならない。しかし、人々は、平気で歩きながらスマホを見ているし、電話をかけている。僕が気にしすぎているのかもしれない。びっくりするほど多くのスマホが毎時間毎分盗難にあっているのも事実である。息子も3か月の間に2台のスマホを盗まれている。



1・30リベルダーデでカーニバル・デ・ルア

 朝のニュースを見ていると、夕方6時からリベルダーデでカーニバル・デ・ルア(路上カーニバル)が行われるという。リベルダーデで路上カーニバルがあるなんて僕は今まで見たこともない。テレビで宣伝するくらいだから、リベルダーデの中心通りガルボン・ブエノ通りは数万人の踊る人々でいっぱいになるかもしれもない! これはぜひ行かなければ。
 文協図書館の受付の人に、「今日、カーニバル・デ・ルアがリベルダーデであるみたいですね」と聞くが誰も知らない??? 図書館の人は誰も興味がないだけだろう、と思いつつも、一抹の不安がよぎる。リベルダーデ広場で6時まで待つが、いつもと同じで、一向に、カーニバル・デ・ルアが始まりそうな雰囲気はない。何より、だれもいない。
 去年、市内各地のカーニバル・デ・ルアを巡ったが、どこも始まるのは1時間以上遅れていたことを思い出した。しかし、始まり予定時間には少なくとも音響装置や数人の関係者は到着して用意をしていたものである。誰もいないなんて本当に今日はあるのだろうか? 不安が募る。しかし、今朝2回もニュースで流れたからないことはないだろう、と思っていると、橋の方で、打楽器の音がし始めた。
 音にひかれていくと、数人の男たちが用意をしていた。でも、観衆はほとんどいない、と言ってもいいほどだ。さすがに、ガルボンブエノ通りが数万人で埋め尽くされるなんてことはなさそうである。がっかりである。それでも1時間以上待っていたので、ここで諦めるわけにはいかない。
 7時半ごろになって、やって人が集まり始め、打楽器隊や吹奏楽隊が演奏し始めた。聞くと、このブロッコ(チーム)はビッシーガ地区の伝統あるチームだという。ムラータ(踊り子)まで駆けつけ、絵にはなる。夕方のリベルダーデに踊り子なんて、今まで出くわしたことはない。待ったかいがあった。
 数人の黒服警備員まで用意していたから、おそらく主催者もたくさんの人が集まると思っていたのであろう。ぼくもちょっとがっかりしたが、そこ満足できる写真が撮れたので、それはそれでよかった。写真が撮れないほどの暗さになったところで、リベルダーデを離れた。

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