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青木カナ・ド・ブラジル
     素晴しい世界旅行  (最終更新日 : 2008/02/20)
6月23日(金曜日)ハバナ滞在

6月23日(金曜日)ハバナ滞在 (2006/09/07) 夜は熟睡しているのか、もっと寝てもいいのに7時には目が覚める。朝からすごく暑いのでクーラーをつけると、爆音とともに冷たい風が部屋をかきまわした。それにしてもすごい湿気を感じる。これで4つ星ホテルとは恐れ入った。冷蔵庫も部屋には付いていないので、喉が渇くとホテルの下の喫茶店でソンの生演奏を聞きながら水を飲める。しかし、私が下に降りる時に限って演奏の休憩時間らしく、3回ビデオカメラをぶらさげて行ったのだがいずれも撮影出来なかった。

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朝食を軽く済ませてビデオカメラとデジカメをリュックに詰めて出かける。街中が安全というのは、本当に有り難い。というのは、ブラジルでは盗難が多いので、ビデオを人ごみで出すのも恐ろしいのだ。そして、音の鳴る方へ、といった具合に歩いて行くとカフェやレストランでバンドが演奏している。やはり男性のバンドがほとんどで女性がいるバンドはあまりないが、バンドに女性が入っているときはふたりいたりする。昼間からあちこちで音が奏でられ、私達の友達でキューバの情報をたくさんくれたF氏の名言「ハバナでは石を投げればミュージシャンにぶつかる」というのは本当だなと思った。




それにしても、音楽家達のレベルが高い。リズムの切れは良いし、ブレーク後の入り際も鮮やかだ。聞いていて本当に気持ちが良い。バンドのメンバーの音がみんなピッタリと合っている。毎日生活を共にしていると音がこうなるんだな、とつくづく感心した。彼らは全て公務員なのだ。

そう考えると、ホテル、旅行会社、カフェなどの従業員、私たちのまわりにいる労働者は全て公務員なのだ。すべて国が経営しているという事実は非常に不思議に感じる。たとえば旅行の手続きにしても、手際が良いし時間は正確、なんの落ち度もない。ただ、ホテルの星の数や施設に関しては、物が不足してる分、文句はそうそう言えない。が、旅行中の間違いが無いという事、これは旅行者にとっては大変有り難い事だ。外国人旅行者はキューバにとって国の財政をささえる大切な収入源なので、当然の事なのかもしれないが。

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カジェホン・デ・ハメルという路地には、画家のサルバドールという人の壁画が一面に見られる。ヨルバやアバクアなどのアフリカ起源の宗教が題材にされていて、なるほど、こんな激しい色彩で表現されたのかと納得。なんでもこの辺一帯の地域でルンバが発祥したらしい。ほぼ毎週日曜日に、ルンバが演奏されるらしい。新しいムーブメントもここから生まれるとの事で、是非見たかったが、、、。

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レオが気に入った 画家サルバドール氏の詩

Puedo esperar mais que tu, porque soy el tiempo......

「私はあなたよりも待つ事が出来る 
     なぜなら私が時間だから」

レオの解釈では 
”人々は生まれて死んでゆくけれど時間は永遠に続いてゆく”
鈍な私にはその意味の深さが分かりませんでしたね。
さすがレオは詩人だ!と感心してしまいました。


街並をビデオにおさめたり、あちこち写真をとりながら旧市街を歩いた。街角には警察がいて、かなり安心して歩ける。泥棒はいない訳ではないらしいが、夜中に街中を歩いても危険は少ないようだ。それに街角には警察がやたら多い。彼らの旅行者に対しての対応は人それぞれだが、だいたい親切にものを教えてくれたり案内してくれる。道を聞くときはキューバ市民に聞くと、たまに間違った情報だったり、その上お金を要求されるので警察や制服を着た人に尋ねるのが無難だと思う。

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お昼過ぎてなんだかお腹が空いて来たので、インターネットで見た店(ビール製造していて、そこでビールを飲ませてくれるという)Taberna de la murallaという店へ行ってみた。やはりソンの演奏をしていて店の入り口は賑やかだ。
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サンチアゴ・デ・クーバ出身の3人組の演奏だった。やはり演奏が慣れていて息がぴったりあっているし、3人とも歌うのだがハーモニーといい、リズムといい、とにかく、ぐっとくるぐらい良い。グループというのは長い年月とともに完成されて行くものなのだろうし、また一緒に成長していくものなのだろう。CDの選曲が有名な曲ばかりだったので、気に入って買ってしまった。10CUCだった。CDの録音レベルについても聞いてみたかったので。そして後で、ホテルへ帰って聞いたが、ちゃんと聞けてまずホッと安心。聞けるか聞けないか、ブラジルでは五分五分の確率。で、このCDの録音に関して言えば、エコーだかリバーブのかかり過ぎで、風呂場で演奏している感じの録音だった。

さて、肝心のビールの話。おやおや?入り口にいた旅行者のテーブルに、なんだか長い筒のようなものがある。なんでもジョッキ6杯分のビールが入っているとのこと。その中心には氷が入っていて、ちょっと時間が経っても、ビールの冷たさが保たれるように工夫がしてある。

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さすがにふたりで6杯は飲めないだろうと、一杯ずつ頼む事にした。ビールのお味はというと、う~ん、、、あまり冷たくないので「美味しい!」とは感じないけれど、味わい深いものだった。この時ばかりは、ブラジルのビールの冷たさがすごく懐かしくなる。泡も弱い気がしたが、味にコクがあった。なんだかんだ言って、ふたりで5杯は飲んだ。なーんだ、あのジョッキ6杯分入りを頼めば少し安かったし、そっちの方がよかったなぁと、レオと残念がって店を出た。

観察した結果、ここにもキューバ人は誰もいなかった。さて???キューバ人は何処に???


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明日、飛行機でとうとう期待のサンチアゴ・デ・クーバへ飛ぶ。なんと、明朝3時45分に、空港までの送迎タクシーが迎えに来る。でも、夜の時間はどうしても貴重で、何が何でもライブを見たかった。

ガイドブックで探していると、どうやらボレロ専門店があるらしいのを発見。そこで食事も出来るらしいし、早めに行って、さっさと帰ろうとレオと話して行く事にした。

店の名前はドス・ガルデニアス。タクシーに送ってもらったが、間違えて隣の店に乗り込んでしまった。歩いて隣のレストランに着くと、また名前が違った。ここも違うらしいので、店員に聞いてみるとやはりここだと言う。でも、ボレロの店へ行きたいのだと言い張ると、反対側の入り口へ行き、ほら、とドス・ガルデニアスと書いた看板を指差した。そのレストランの2階にボレロバーがあったのだった。はっきり言ってくれれば分かるのに、といっても、スペイン語だから聞き取りがうまく出来ない。

レストランのテーブルに着くと、トリオが演奏していた。女性ヴォーカルにギター、マラカスの構成。こういうライブが心に染みる。リクエストをしていいというので、私の大好きな『コモ・フエ』を歌ってくれと頼んだ。すると、なんだなんだ、女性ヴォーカルはレオを口説くかのように熱っぽく歌い始めた。歌の一拍目がこんなに深いのは素晴しい。もうそれだけで私の胸は熱くなった。でも最後に照れたようにそのおばさんヴォーカルは「私の主人の事を思って歌ったのよ。」と言いつけ足したのがかわいかった。ご主人はギタリストで、そして嫉妬深いのだろう。残念ながら、この一曲を最後に、トリオはさっさと帰ってしまった。もっと聞きたかったのに残念。美味しい食事をたらふく食べてまったりとしていると、ボーイが来て「上の店が開くから行きますか?」と聞いたので支払いをすませてボレロの店へ向かった。


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薄暗くて、そんなに広くない店内でも、やはり寒かった。この日はちゃんとカーディガンを持って行ったので大丈夫。後ろの方の席についた。入場料はここはたったの5CUC。30分も待つとショーは始まった。なんだか4人の歌手がかわりばんこに出て来た。なかなかの熱唱で素晴しいし、バンドも良い。

しかし、私には、なぜかブラジルのボレロの方が聞きやすい気がした。どちらかといえば、キューバよりメキシコの方がボレロは本物、と誰かが言っていたっけ。世界中にそれぞれのボレロがあるというのは、素晴しい事ではないか。ブラジル産の2/4拍子のボレロもなかなか良く、もっとゆったりと聞こえるし、キューバ産ボレロは、ハーモニーもブラジルで聞いているものに比べて、ストレートな感じがする。言葉(撥音)の違いがリズムに影響したのではないだろうか。

ここで比べなくても良いけれど、やはりついつい気になる事が多い。ボレロに関してはスペイン語でもポルトガル語でも自然に流れる感じだ。しかし、言語と音楽は切っても切れない関係があるようだ。スペイン語の撥音はやはり短く、単語と単語が、離れていて鋭く聞こえる感じ。ポルトガル語は鼻にかかる撥音、F、Vの撥音が丸く長く、単語が繋がる感じに聞こえる。それによって当然、生まれて来る音楽やリズムにも、違いが出て来るのは不思議な事ではないと思った。やはりサンバはポルトガル語が作った音楽だと少し確信が持てた気がした。あのサンバの丸い感じのシンコペーションはまさしくポルトガル語から来ているのだろう。言葉のうねりがサンバに影響したのだと思う。

これからスペイン語も覚えたいので、その謎も時間と共に、いろいろ明らかになってゆく事だろう。今、私が住んでいる南米大陸は、ブラジル以外の国はスペイン語なのだから、スペイン語が理解出来れば、南米大陸の音楽はほとんど歌えるようになるかもしれない、と古くからの野望が再び燃えた。音楽はどこの国のものでも良いものと、そうでないものしかないと思う。価値観によって人それぞれ好みはあるにしても、良いものは誰が聞いても良いものだ。そういう曲を歌って行きたい。

4人の歌手が熱唱するのを見れたので、1時半には帰る事にした。ホテルに着いて2時過ぎ。荷物整理もしなければならないので、もう寝る時間はないと思いつつ、うたた寝をしていると電話が鳴って飛び起きた。モーニングコールを頼んだ3時20分には、もうタクシーが来て待っていた。ほんとうに抜かりのないキューバの観光協会に感謝しながら、眠たい目をこすりこすり、最新型タクシー(ここでは、古くない普通乗用車のこと)で空港へ向かった。


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