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マツモトコージ苑
     2010年  (最終更新日 : 2018/09/14)
ジュサラ椰子シンポジウム [全画像を表示]

ジュサラ椰子シンポジウム (2018/09/14)  ABJICA(JICA留学生OB会、山添源二会長)とジュサラ・ネットワーク共催の第1回ジュサラ・ネットワーク・シンポジウムが、(2010年)11月9日、10日の両日、サンパウロ(聖)州レジストロ市のKKKK(海外興業株式会社)講堂で開催され、ジュサラ椰子生産者や関係者など約200人が参加した。ジュサラ椰子のパルミット(若芽)の乱獲・盗伐によるマッタ・アトランチカ(大西洋岸林)の環境破壊と自分たちの生活維持を懸念し、生産者たちは約10年前から同椰子の実をポルパ(果皮)として利用、商品化を実現しつつある。同シンポでネットワーク内の情報交換を行い、今後の課題克服を行っていく考えだ。

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初のシンポジウムであいさつする山添会長(左端)
 山添会長によると、マッタ・アトランチカに自生していたジュサラ椰子は、食用パルミット(若芽)の採取を目的に過去50年間にわたって乱獲・盗伐が行われ、絶滅の危機に瀕しているという。現在、市販されているパルミットは、そのほとんどがププニャ椰子から収穫されたもので、ジュサラ椰子のパルミットが出回っている場合は、「盗伐されたものと見て間違いない」そうだ。
 そうした中、州を越え南北に広がる同地帯の生産者たちは、10年ほど前からジュサラ椰子の種を植え、その実を果肉やポルパとして利用することをそれぞれに実践してきた。
 ジュサラ椰子はポルパを抽出した後、その種子は100%播種できるという。パルミットを採るためには、ジュサラ椰子1本を倒すことになるが、ポルパ採取ならば樹木を倒さずに毎年果実を収穫できるために、各地帯の生産者の収入源を満たすとともに、マッタアトランチカの環境破壊防止にもつながる。
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ジュサラ椰子の実
 関係者の説明では、ジュサラ椰子の栄養価は、アサイよりも鉄分、マンガンの含有量が多く、特に、老齢化を防ぐ効果があると言われるANTOCIANINAの含有量がアサイの4倍として注目されている。
 アマゾン地域で生産されるアサイのポルパが、サンパウロやリオといった都市部で販売されるなど有名になっているが、同じヤシ科のジュサラ椰子から採れる実も濃紺色で、ポルパから作られるジュースは味も匂いもアサイとは区別がつかないほど似かよっている。
 今回、初めて開催された同シンポは、JICA、聖州環境局、環境省、農地開発省なども後援団体として支援し、約10万レアルの予算で実現。伯国政府としてもマッタ・アトランチカの環境保全に力を入れる考えだ。
 9日午前10時から同講堂で行われた開会式には、共催団体をはじめ、連邦および聖州森林局関係者らが出席した中、山添会長があいさつ。ジュサラ椰子ポルパの効率的利用とマッタ・アトランチカの環境再生の大切さを強調。同シンポを通じて今後、ポルパの生産および販売流通路拡大の可能性をはかっていく必要性を説いた。

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ジュサラ椰子ポルパのジュース
 ジュサラ・ネットワーク・シンポジウムに参加したのは、マッタ・アトランチカ(大西洋岸林)がまたがる、リオ、サンパウロ、パラナ、サンタカタリーナ、南大河各州にある15の生産者など団体関係者で、いずれも同ネットワークに属している。
 会場は、主にジュサラ椰子ポルパの生産者たちで占められたが、同ネットワークには、ピラシカーバ農大と森林財団も加入しているという。
 開会式後には、同農大専門家がジュサラ椰子の植え方などの基調講演を行ったほか、会場となったKKKK敷地内では、ジュサラ椰子のポルパを混ぜたケーキやジュース作りの実演といった各種デモンストレーションも行われ、参加者たちの目を引いていた。
 ABJICAの山添会長の話では、同ネットワークはNGO(非政府組織)として2008年頃に創設されたが、まだ伯国農務省への正式登録が行われていない状態だという。
 登録が行われないと、商品化してもスーパーマーケットなどで販売することができず、商品として経済的に流通させるには、安定した供給量も必要になる。
 レジストロから約60キロ離れたグァピルーヴに在住しているジルベルト・オオタさん(51、3世)は、バナナ、ププニャ椰子とともにジュサラ椰子を混植している。同地には、30家族の生産者がおり、そのうち3家族は日系だ。
 同地域でのジュサラ椰子の生産量は年間10トンほどになるというが、ポルパを製品化する工場施設が整っていないのが問題となっている。
 マッタ・アトランチカ地帯全体では、「100以上のコミュニティーで生産されている」(オオタさん)が、実際の生産者数や年間の収穫量までは把握できていない。
 「ネットワークに入った目的は、生産者の正式登録と市場流通販路の拡大で、我々は今後のネットワークの動きに期待している」とオオタさんは、生産者として生きていくための切実な思いを話してくれた。
 同シンポにサンパウロから参加した蛸井喜作さん(74、山形県出身)は、「海岸山脈のイタペーバに自分の土地を持っているのですが、農業に使えない森林農場なのです。その土地にジュサラ椰子を植えてパルミットとして切ったり、ポルパとして利用したりできる可能性があるのかを知りたくて足を運びました」とその理由を説明する。
 消費者にとっても、アサイ以上に鉄分や栄養価を含むジュサラ椰子のポルパに興味を示す可能性は高い。しかし、どこでどのくらいの値段で販売しているのかが分らず、アサイとの区別も見分けにくい中、生産から販売までのルートづくりと今後の販路拡大をどのように行っていくのか、課題も少なくない。
 同ネットワークでは、こうしたシンポを今後も行い、「アマゾン産のアサイ」とともに「マッタ・アトランチカ産のジュサラ(椰子)」としてのアピールを行っていく考えだ。(おわり)
 
 


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松本浩治 :  
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