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ピカソとアフリカと行列 [画像を表示]

ピカソとアフリカと行列 (2004/04/05) ――ピカソの絵画と、アフリカ芸術を鑑賞するために、3時間以上も並んでいられるだろうか?
 芸術に関して特別興味があれば別だろうが、普通は、出来るだけ空いている日時を選び、待ち時間を短縮させようとするだろう。ところが、大部分のブラジル人は待つことは厭わないし、むしろ並ぶこと自体を楽しんでいるようだ。
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アフリカ展に並ぶ人々(3月28日撮影)

 今年、サンパウロ市では創立450年を記念して、様々なイベントが行われている。その目玉が、ピカソ展とアフリカ芸術展である。ピカソ展は、サンパウロ市イビラプエーラ公園内のOCA(ドーム型展示会場)で開催されており、連日長蛇の列である。休日は家族連れ、平日は課外授業の生徒たちが団体で押しかけており、1時間2時間待ちは当たり前。私も妻と一緒に、雨の日の夕方に出かけたがのだが、それでも1時間以上の行列だった。
 また、アフリカ展は、サンパウロ市中心街にあるブラジル銀行の展示会場で3月末まで実施された。最終日に妻と朝早くから出かけたが、やはり1時間半は待たされた。そして、正午に展示会場から出たのだが、中心街の1ブロックを行列が2周していた。たぶん彼らは、3時間以上待っただろう。
 ピカソ展は作品126点をパリのピカソ博物館から、アフリカ展はベルリン博物館から展示品を持ってきている。入場料はピカソ展は65才以上は無料(一般は10レアル=約400円、学生半額)、アフリカ展は老若男女すべてタダである。両イベントとも、一流銀行がバックアップしており展示物の質も高く、無料となれば人が集まるのも当然である。
 それにしても、ブラジル人は行列が平気なのだ。銀行や郵便局、警察、役所などどこに行っても行列。みんな、お喋りしながらのん気に構えている。待たす方も、「早く処理しなきゃ」などと気にしない。コーヒーを飲みに席を立ったり、ダラダラと同僚同士で立ち話などをしている。月末に銀行に行って、半日潰すことなど日常茶飯事だし、警察や役所は並ぶだけで1日仕事、下手すれば2~3日かかることもある。
 だから、タダのイベントであれば、並ぶことは厭わない。それに、行列が行列を呼ぶのだ。郷土食祭などで「たこ焼き」を手伝っているときにも思ったのだが、(※たこ焼きマンが行く参照)単に我々が作るのを手間取っていただけなのに、「行列が出来ているので美味しい」と錯覚されてしまった。
「行列が出来ている」、「みんな並ぶのだから、きっと価値がある」、「じゃあ、並んでみよう」ということになるようだ。
 ピカソ展もアフリカ芸術展も、始めからそのつもりで来ている人と、行列を見て並んでしまったという人がいるだろう。入場無料ならなおさら「じゃあ、並んでみよう」組が多いはず。行列好きのブラジル人にとっては、険しければ険しいほど到達した喜びは大きい山登りのように、並べば並ぶほどピカソやアフリカの価値が高まるのかも。


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