うなぎ(?)の蒲焼に挑戦 前編 (2004/09/26)
まず、読者の皆様に教えて頂きたい。 下記の写真は、うなぎなのでしょうか?( mkontani@nethall.com.br )
2004年9月11日に、カンタレーラ(サンパウロ中央市場)の魚屋で購入した。 その魚屋では、「Enguia」と書いてあった。うなぎのことである。しかし……、灰色というか白いのだ。うなぎの印象は、黒光りしてヌルヌルしているものなのだが、こいつは、どう見ても日本で売られているようなウナギには見えなかった。
種類が違うのか? それとも、あなごかもしれない。でも、あなごならばポルトガル語で「Congro」のはず。Enguiaと書いてあるので、うなぎのはず。 全長80センチほど。頭の部分だけで6~7センチある。うなぎはそんなにデカイか?
サンパウロでは最近、日本の物はなんでも手に入るが、それでも、うなぎだけは難しい。リベルダーデ(日本人街)の日本食料品で売っているのは、真空パックに入った冷凍のうなぎだけだ。それも輸入品で30~50レアル(1200~2000円)もする。何度か購入したことはあるが、身が軟らかく歯ごたえが全くなかった。 「ブラジルでも、20~30年前に日系人がうなぎの養殖をやっていた」という話を聞いた事があるが、現在ぜんぜん見かけないところを見ると「うまくいかなかった」のだろう。 とにかく、我々日本人移住者にとって、うなぎの蒲焼は憧れの的で、大々ご馳走なのだ。そのうなぎが、魚屋の前に平然と並んでいたのだ。
魚屋の前で腕組みしていた私は、店員のおいちゃんに尋ねてみた。 「この魚は、いつでもあるのか?」 「南の方(ブラジル南部サンタカタリーナ州)から来て、この頃は、いつも置いているぜ。それに、先週だったかな、ポルトガルから来た6キロのうなぎもあった」 「日本人は買うのか?」 「そうだなぁ、日本人もいるが、大体、中国人が買っていくよ」 ブラジル人のおいちゃんは、黄色い歯をむき出しながら答えた。 果たして、こいつであの蒲焼が出来るのだろうか? 確かに中華料理では、ぶつ切りにしたウナギを揚げた料理を食べたような…… 1キロが5レアル(200円)だ。日本でうなぎを食べることを考えると、とにかく安い。別な魚屋でも置いていて、そこでは1キロ4レアルで売っていた。ただ、こちらの方が新鮮そうだ。 立ち止まったまま悩んでいた。 「買うのか?」 おいちゃんは、うなぎを取り出して見せ、量りに乗せる。 「こいつ1匹、1キロだ。ほらもう一匹どうだ。ほら! ほら!」 量りに、2匹、3匹とうなぎを乗せていく。 「ほら、どうだ。ほら! これで3キロだ」 量りの上にうなぎが盛り上がった。 「おいおい、1匹だ。1匹でいい」 「リンパ(内臓を取り除く)だけしてくれ」 そう言うと、おいちゃんは不服そうに「1匹だけか」と言いながら、他の2匹を元に戻した。そして、まな板の上に白いうなぎを置いた。内臓を取り除いた後、包丁でガーンと頭を叩き落とす。その勢いで、ガーン、ガーン、ガーンと胴体部分までも切り分け始めた。 「やめろ! やめろ!」 悲鳴のような叫び声をあげた。たぶん、ここ数年で一番大きな声だったと思われる。 「止めてくれ、リンパだけだ」 おっさんは、「アッ そうか」といった感じで包丁を置いて、チラリと私を見る。ニッと黄色い歯を見せた。 頭部の他に、10センチほどに切られた胴体部分が2つ。それでもまだ尻尾まで40~50センチはあろう。それらを一緒にビニール袋に入れる。おっさんは、別に謝りもしない。黙って手渡されたので、私は複雑な気分なまま黙って5レアルを支払った。 ――果たして、うなぎの蒲焼はできるのでしょうか? (つづく)
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