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日本語教育機関の模索6

日本語教育機関の模索6 (2001/07/25) 公教育機関での学習者は増加
―レジストロ―

 日本語普及センターの九八年度調査によれば、ブラジル全土で日本語学習者の総数は一万六千六百七十八人。日本語学校数は三百四校、日本語教師数が八百七十二人。日本語学習者は年々減少しており、九四年(一万八千七百八十二人)に比べ二千人減少している。
 近年の傾向として日本語学習者総数は微減となっているが、結果から述べると地方文協日本語学校での学習者が減少、同時に公教育機関での学習者が増加して、総数が微減という状態になっているのだ。
 ブラジル州立校(サンパウロ州、パラナ州)では、九五年から本格的にCELプログラム(課外授業での外国語教育)などによる日本語教育が始まり、公教育機関の学校でも導入されるようになった。九八年度の同調査ではこうした文協日本語学校以外の機関での学習者が二千二百二十九人(全体の約一三%)。さらに、非日系人の学習者が約三千人(一八%)との数字が出されている。
 現実に日系子弟の学習者が減り、公教育の中での生徒が増加している以上、文協日本語学校でも、州学校と協力を深めたり、提携することが日本語教育の方向ではないだろうか。CELプログラムで日本語教育を始め、文協日本語学校と共存しているレジストロのように、他の地域でも新しい学習層を取り込むことが出来るはず。
 同プログラムの対象年齢は、十二歳から十七歳。実施期間も三年間と限られているため、「CELで日本語学習者の裾野を広げ、さらに学びたいという生徒を文協が受け持つ」、「十二歳までは文協で学び、その後、CELで三年間。友達を連れて、再び文協学校に戻ってくる」というパターンなどが、文協とCELが共存共栄する理想的な方法。また、「CELの生徒も、文協の行事などに積極的に参加してもらい、日本文化への関心を高めてもらう」といった連携が、レジストロなどでも取り入れられている。
 しかし、現実は簡単ではない。あるレジストロ文協役員によれば、「文協日本語学校は、少ないながらも授業料を取っているが、公立学校では無料。いきなり有料の学校に来るかどうか。さらに、学年が上がるごとに、入試準備などで日本語を学ぶ余裕が無くなってしまうため、このプログラムで学んでいる生徒が、もっと上級レベルを学びたいといった理由だけで文協日本語学校に来るとは限らない」と指摘している。
 さらに、同プログラムはサンパウロ州で十二校が実施しているが、ある地域では「授業料が無料なので、文協学校の学習者を取られてしまうのでは」と危惧している文協もある。
 レジストロの場合は、同プログラムによる日本語教育をスタートさせたのも日系人、同センターの実質的な運営も日系人。日本語教師も両方を兼ねているという特殊なケース。歴史的に見ても、「移住は、定着するものでなければならない」という思想のもとに東京シンジケートの青柳郁太郎代表が移住地の分譲を行った植民地で、非日系人と交わることの抵抗が少なかった地域。
 こうした背景があるため、文協とCELが共存しているのも確かだが、同時に、新しい日本語普及の指針となっていることも疑いないはず。(紺谷充彦記者・つづく)


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