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日本語教育機関の模索10

日本語教育機関の模索10 (2001/08/02) 南麻州日本語教育の現状(2002年4月)
―ドラードス日本語学校モデル校―

【教師レベル認定のモデルに・独自の能力試験も】
 十四日にサンパウロ市で開催された第一回日本語協議会では、各教育機関の共通認識として日本語教師養成が重要課題とされた。特に、文協学校、私塾などでは、教師のレベルアップを行うことで、授業を充実させ、生徒を増やし、経営を安定させることができるとの意見。
 こうしたことから提案されているのが「教師レベル認定制度」。教師資格に沿ったレベル認定を行い、各学校で共通した給与や就職斡旋を行うといった考えで、「当初は経験年数や研修参加数を考慮してレベル認定ができないか」と検討されている。
 この「教師レベル認定制度」のモデルとなる可能性を、ドラードス日本語学校モデル校の給料体系が示している。私立学校などでは各自の認定で教師の給与を決定しているが、文協連合会が運営する日本語学校において、細かな規定で給料を決めているケースは珍しく、モデル校として、傘下の日本語学校に同様な給与体系を採用してもらえば「教師レベル認定制度」となるはず。
 城田校長によれば、「この給与体系は、同校がモデル校となった八九年から導入し、六年前から本格的な体系をとっている。こうした認定が、若い教師の励みになっているし、教師のレベルアップにも役立っている」と説明する。
 同校のレベル認定は、大卒、高卒、助手というカテゴリーに分け、さらに、それぞれを教師経験や研修有無などによってランク付けている。
 例えば、大卒でさらに日本語教育研修を受けた教師には、時給(五レアル)プラス一最低給料。大卒教師で日伯両語堪能、どのクラスを担当させても評判が良い教師に対しては、時給プラス二・五最低給料といった認定で、時間給プラスαといった形式。
 さらに、別枠を設け教師経験が豊富で指導技術が優れている教師に対しては、夜学(成人会話クラス)を担当させ、同月謝すべてを提供するシステム。レベルの高い教師などでは一千五百レアル以上の月給となるという。
 「若い教師を育て定着させるには、待遇を良くする必要があり、まだまだ給与が良いとは言えない。質の高い教育を実施するために、さらに時給のアップを要請している」という。
 また、同校の進歩的な特徴として、十六年前から、独自に日本語能力テスト(南麻州能力テスト)を実施し、同連合会加入の日本語学校や、同地域生徒たちの学習指針にしているという。「サンパウロまで、能力試験を受けに行くだけでも大変だったため、同地域で独自の能力テストを作成して普及させている」と城田校長は話す。
 この他、現在は実施されていないが、九〇年には、同校の授業を撮影し日本語講座ビデオを製作、コチア産組をスポンサーとして同地域TV局で日本語講座を放映したり、ブラジル公立学校教師を対象とした折り紙講座なども行った。
 同校でも生徒数の減少、経営の悪化という状態になっているが、地元文協のまとまりと、組織的な活動で地域の日本文化普及に貢献し、進歩的な日本語普及活動を行ってきている。(つづく・紺谷充彦記者)


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