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日本語教育機関の模索11

日本語教育機関の模索11 (2001/08/03) 南麻州日本語教育の現状(2002年4月)
―ファッチマ日本語学校―

 【十八年間無料で授業】
 南麻州ドラードス市近郊にあるファッチマ日本語学校では、教師六人がすべて無給、創立以来、同日本語教師はボランティアで授業を続け、生徒の授業料は無料である。
 同校では週二回で夜間(午後七時~同八時半)に授業が行われ、現在四クラス、生徒数十五人に対して、日本語教師六人が対応している。
 同校の柳生豊彦先生(七六)は、「同校創立以来、授業料はすべてタダ、私自身も十八年間、無給で授業を行ってきた」と話し、「絆が重要」と強調する。
 「自分の子供もこの学校でお世話になったし、これまでの恩返しのつもりでやってきた。植民地全体で日本語教育を行っていくという気概が必要」と熱く説明している。
 柳生先生は、戦後初の「松原ワク」で渡伯、五三年に松原植民地に移住、最初は農業に従事していたが、日本時代から教師経験を持っていたため、すぐに日本語教師に転向した。
 同校では柳生先生が中心となって、同移住地で他の五人の教師も集めたという。ボランティアの仕事となるため、柳生先生以外は、すべて主婦。
 三宮知江さんもその一人。十数年間、同校教師を続けている。「自分の子供が小さかったときも大変だったし、自営業をやっていたので、店を閉めた後に、学校に手伝いに行った。家事と子育て、仕事、教師が重なり、何度も辞めようと考えたが、その度に、柳生先生に説得された」と笑っていた。
 また、同地域のラランジャ・リマ日本語学校も授業料は無料である。ここはでは、同日本人会が教師の給料や同校の経費を負担しているのだ。同文協会長の平田忠之さんによれば、「二十年前までは生徒数五十八人であったが、現在では十人。教師二人の規模。少なくなってきているが、地元が一丸となって子弟の教育を行わなければ」と語る。
 地方文協日本語学校の月謝は、だいたい四十~五十レアル。私立学校や英語塾などに比べれば格段に安いのだが、日本語教育に関する父兄の意識は変わらず、それでも負担と考えられている。さらに、子供が二人、三人となれば支払いの遅れる家庭もある。こうした現状があるため、月謝無料は特筆できる。
 ただ、同地域連合会の小野会長によれば「授業料が無料であれば父兄は助かるだろうし、先生方のボランティア精神には頭が下がるし、素晴らしいと思う。しかし、生徒たちにとっては良いのだろうか。ボランティアの教師だけで、生徒たちの日本語レベルはどれだけ上がるのだろうか」と疑問を投げかけている。
 ドラードス日本語学校モデル校では、日本語教育を外国語教育の一環として、教師レベルの向上を目指すが、教師養成にも機材にも経費が嵩むことが問題。これに対して、同地域移住地の日本語校では、日本的な精神を重視して寄付やボランティアなどで子弟教育を行っているが、指導技術の向上が課題となっている。(おわり・紺谷充彦記者)


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