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紺谷君の伯剌西爾ぶらぶら
     過去の記事  (最終更新日 : 2002/03/05)
【コロニアおばあちゃんの知恵1】(2002年1月)

【コロニアおばあちゃんの知恵1】(2002年1月) (2002/01/03) 豆腐奮戦記


 戦前、日本からの食料品輸入などは、カンズメや乾物などごく限られたものだけで、値段も高かった。移住地に入った日本人は、なんとかして郷土の味を再現しようと、涙ぐましい努力を続け、試行錯誤を繰り返していた。そうした知恵は、口伝えによって母から子に伝承されていったのだが、最近では物質文明の波の飲まれて、忘れ去られようとしているのではないだろうか。コロニアの生活の知恵(おばあちゃんの知恵)を記録に止めておかなければ先人の努力は、無駄になってしまうような気がする。(紺谷充彦記者)


 「豆腐はどうやって作るのだろう?」
 この連載を書くきっかけはこの疑問から始まった。
 最近の健康ブームなどで、うちの『山ノ神』が無謀にも豆腐を作ろうと言い出したのだ。
 豆腐は大豆から出来ていることは知っている。「ニガリを入れるらしい」という知識もあったが、「いったいニガリとは何ぞや?」という基本的疑問にまずぶち当たった。
 コロニアでは昔から手作り豆腐などがあり、田舎の移住地でおばあさんに分けてもらったこともある(豆腐自体に、ほのかな味があり、醤油をかけなくても美味しかった)。ブラジルでも、手軽にニガリが手に入るはずだ―。
 翌日、同僚に聞いて回ったところ、ニガリとは塩の一種で、海水を煮詰めると出来るらしいとのこと。
 日本の専門書などによると、ニガリとは、海水の中に含まれる塩化ナトリウム以外の有機物で、塩化マグネシウムを主体に、他の微量元素で構成されたもの。元来、塩製造の過程でできる副産物だったが、現在は逆にそれを原塩に混入することで本来に近い組成に戻してやっているようだ。
 また、ニガリには「本にがり」と「合成ニガリ」とがあり、「本ニガリ」は海水から食塩を取った後の苦味のある液体で、塩化学マグネシウム、硫酸マグネシウムその他のマグネシウム塩から構成されている。これに対して合成ニガリは、塩化学カルシウムや硫酸カルシウムなどを主成分として合成したもの。

【ニガリは薬局で購入】
 では、このニガリを、ブラジルでは何処で購入すればよいいのか?
 移住三十年という五十代の女性に尋ねてみたところ、「自分で豆腐を作ったことはないが、それは、サウ・アマルゴ(硫酸マグネシウム)といって薬屋なんかで売っているわよ」との回答。
 早速、日系の薬局に出向いた。
 「豆腐を作るサウ・アマルゴはありますか」と尋ねたところ、直ぐに小さなビニール袋に入った塩のようなものを見せてくれた。三十グラム入りで、七十センターボ。
 店員の説明によれば、「サウ・アマルゴは下剤として知られており、虫下しの薬と共にも使用されている」。ブラジルでは、かなり以前から販売され、マラリアが蔓延していた時期には、ニキーネと伴にサウ・アマルゴを飲んでいたようだ。
 豆腐作りに関しては、「一キロの大豆に対して一袋(三〇グラム)を入れる」とのこと。(つづく)


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