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活躍する新日系農協2

活躍する新日系農協2 (2002/02/26) 二つの顔を持つ農協、心情的は日系農協
―インテグラーダ農協―

 ロンドリーナ市に本部を持つインテグラーダ農協は、日系最大規模の農協と言われている。しかし、同組合員の七割が非日系人、三割が日系。同職員では七%しか日系人はいない。果たして、これが日系農協というカテゴリーに入るのか?
 日系農業者支援を謳う日本政府機関にとっても同農協の位置付けは難しいところだろう。同農協の会議や役員会はすべてポ語、資料や施設の掲示板に至るまで日本の痕跡は見られない―。
 二十一・二十二日にJICA日系農業活性化セミナーの一環として、インテグラーダ農協を視察、初日に同農協の説明会が行われた。
 ブラジル紙やテレビ局も取材に来ていたこの席で村手良夫カルロス理事長は、「この農協は日系農協なのか、パラナの農協なのか?」という問いに、はっきりと「パラナの農協である」と返答した。
 また、同農協の合理主義についても、組合というより企業という印象を受けた。
 例えば、同農協のアサイ市綿花製糸工場は、従業員数三百六十五人、同農協全体の従業員(九百九十四人)の三五%を占める主力工場。十二年前のコチア時代に設立され、コチア閉鎖と共に銀行に押さえられていた。これを同農協創立当時に買い取ったのだ。
 現在では月間五百トンの綿花を購入し、四百五十トンの糸を生産、その九〇%をサンタ・カタリーナ州へ販売している。原料とする綿花の八〇%をマット・グロッソ州から入れており、同地域組合員の綿花生産量は約二〇%。完全に、組合員のための工場というより事業としての工場となっている。
 同セミナーでは、この工場視察も行われたが、参加したパラグアイやボリビアの農協理事らは「我々の組合は日系農業者の寄り合い的機関、どうしても失敗してしまう人を、なんとか救うための農協だが、ここは、大きく儲けるための合理的な農協になっている」と呟いていた。
 当たり前のことだが、二・三世は日系であると同時にブラジル人である。ブラジル社会で事業を行うには、ブラジル流のやり方で合理的な方向でなければ、事業拡張は成し遂げられない。
 新しい農協組合には「日系」という意識は必要なく、コチア組合が創立当時から叫びつづけてきた「協同と団結」の精神は過去のものとなってしまったのだろうか。
 そうした寂しさを、同セミナー歓迎会でインテグラーダ農協の日系役員らに打ち明けたところ、「確かに、組合員の七割が非日系人だが、役員、評議委員らは日系人が中心でもあり、哲学は日系、心情的には日系の組合」と話してくれた。
 さらに、歓迎会の席で、ほろ酔い加減となった村手理事長が、「それでも日系人だ、心は日系だ、心は日系だ」と日本語で何度も繰り返し強調していたのが忘れられない。(つづく・紺谷充彦記者)


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