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活躍する新日系農協4

活躍する新日系農協4 (2002/02/28) オランダの小作人
―サンパウロ花卉農業協同組合―

 九九年、JATAK(全国拓殖農業協同組合連合会)は、二十一世紀に向けたJATAK事業のあり方を検討するため現地調査団を派遣した。
 この時、サンパウロ花卉農業協同組合の荒木克弥理事長らは、農林水産省幹部に「もはや、生き残るには『オランダの小作人』になり下がるしかない」と訴えた―。
 近年になって日系花卉生産者は、オランダ系移民生産者のオランブラに、太刀打ちできない状況となっているのだ。
 花栽培に対して国家的な伝統と、技術力を持つオランダは、ブラジルでも花卉生産者として名高い。最近の特徴として、オランブラは小規模生産者の組合としてではなく企業農業として成長を遂げ、近代的なセリ市場や、広大な農場のオートメーション化、トラックで各地に輸送する大規模な流通システムを持つ。
 サンパウロ近郊での日系花卉生産者は約一千家族、八千五百万レアルの売上げなのだが、オランダ系生産者は百五十家族で七千五百万レアルを売り上げているのだ。一人当たりの売上げは八万五千レアルと五十万レアルで格段の差になっている。
 特に、オランブラが八八年から導入している「時計式セリ市場」は、日系生産者には脅威である。
 従来のセリ市場は、セリ人が場立ちし、手や声によって値段などのやり取りを行い、最高値を示した買付け人が購入する仕組み。それに対して、時計式セリ(機械ゼリ)ではスタート価格から徐々に下がる電光表示を見ながら、購入希望になった時点で手元のボタンを押し、一番初めにボタンを押した人が購入できるシステム。
 セリ人による判断が少なく、高値、安値の判断を電子的に処理することから、公平さや公開性に優れ、またコンピュータによる制御によることから、事務処理の迅速化などに優れている特徴がある。
 荒木理事長によれば、「オランブラのこうしたセリ市場によって、数多くの品種や大量の購買が可能となっており、日系生産者は、同市場を利用せざるを得ない状況となっている」。同市場の手数料も一〇%と、他の市場よりも安く、さらに八%にまで値下げする方向にあるという。
 こうした状況を、JATAK視察団に荒木理事長らは訴えたのだ。同視察団らは、すぐに現状を視察、翌年度から、地域農業プロジェクト協力の実施を具体化していくことが打ち出され、近代的なセリ市場建設に援助し、地域農業の活性化を図ることが決定した。
 同地域の日系花卉生産者は、オランブラに対抗し、これまでも組合設立、新市場開設を試みたが、資金的な問題で二度失敗している経緯を持つ。今回、同組合が設立まで漕ぎ着けたのは、同市場建設にJATAK補助が決定したことによる影響が大きい。「それが、組合員をまとめる起爆剤となった」と荒木理事長が説明している。また、CEAZESP(サンパウロ中央市場)の民営化による移転問題が、組合員の危機意識を煽ったという。
 今後、日系花卉生産者が、「オランダの小作人」となってしまうかどうかが、今年十月に完成予定の日系組合による新市場にかかっている。(つづく・紺谷充彦記者)


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