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紺谷君の伯剌西爾ぶらぶら
     「ハルとナツ」エキストラ出演記  (最終更新日 : 2004/07/17)
5 ジャポネス・ガランチード [画像を表示]

5 ジャポネス・ガランチード (2004/06/19)  6月3日午前11時集合。
 前回とほぼ同じ顔ぶれだ。アライちゃんとその構成息子、僕の構成娘、ファミリー3や4の構成員など、十数人がチャーターバスでカンピーナスへ向かった。サンパウロ市内を出発するときは、どんよりとした空で、目的地に近づくほど窓ガラスに水滴が激しく当るようになってきた。
 午後1時、東山農場に到着した頃には土砂降りになっていた。
「こんな雨で撮影するの?」
 エキストラ構成家族らは口々に呟いていた。
 当日の撮影は、コーヒー畑の中、疲れ果てて帰路につくコロノ(雇われ農民)たちという設定。雨ではとうてい無理だ。普通この時期、サンパウロで雨が続くのは珍しい。予定が狂うのも当然であろう。結局3時間ほど待ったが、雨は止まず撮影は中止になるようだった。
(天気が相手では、文句も言いようがない)
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待機するエキストラたち

 サンパウロから来た我々だけではなく、カンピーナス市内から来た日系人エキストラ組や非日系人エージェントから派遣されてきたイタリア系移民エキストラなども一緒になってボンヤリとテントの中に座っていた。
 全員共通の関心事は、「日当はどうなるのだろう」ということで、様々な憶測が流れていた。
 イタリア系移民役のあるエキストラは、「グローボ局(ブラジル最大手の民放)のエキストラでは日当が25レアル、雨で中止になるとその半額しかもらえない」と息巻いている。
「何もしてないのだから、半額もらえれば上等だろ」
 そう反論しているオヤジもいた。
 22才だというアライちゃんの構成息子・ロベルトは、「もらえないだろう」と言いきっていた。ロベルトは法律を勉強している学生。
 また、年配の日系人女性は、「数日後に東芝のコマーシャル撮影で出演するエキストラのオーデションがあって、日系人を数十人募集しているのよ。日当150レアル貰え、『セリフ有り』のエキストラだと2千レアルもらえるわ」という話しを前置きにして、「だから、日本のNHKなら全額もらえるはず」と自信を持って語っていた。

 そうこうしているうちに、スタッフが現れ正式な通達があった。
「今日は、中止です。次回繰り延べになり、日程は追って連絡します。本日の日当は全額支払いますので、みなさんもう少しお待ち下さい」
 そう言い終わると、
「おおーー」
 どよめくような声がテント全体から湧き上がった。
 さすが、天下のNHKだ。
 イタリア人らは口々に、「ジャポネス・ガランチード」と言って、年配の日系人らは誇らしげに目を細めているように思えた。
 この「ジャポネス・ガランチード」というのは、直訳すれば「信用できる日本人」という言葉であるが、それだけの意味ではない。初めて日本人移民がブラジルに渡った明治末期から、ドラマの時代設定である昭和初期を通してさらには現在まで、日本人移民が築き上げた日本人のポジチブイメージなのだ。いわばブラジルでの日本人に対する通説になっており、「日本人は、真面目で働き者、信用できる」と評価されている。ただ、「クソ真面目」と小馬鹿にしたニュアンスも多少含まれていることも事実だ。
 とにかく、NHKがこのイメージを裏切らないでくれて良かった。(つづく)


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