邦字新聞社内にまだ印刷機械があったこの当時、夜の工場で働く老移民たちの姿があった。締切間際に原稿を出して仕事を終え、近くのＢＡＲ（立ち飲み屋）で一杯ひっかけて社内に戻ると、地下の工場では刷り上がったばかりの新聞の発送作業が進められていた。「すんません、一部もらっていいですか？」「ああ、いいよ」と大先輩方に断ってからインクの匂いがする新聞に目を通す。様々な人の手を経て、新聞が出来上がることを実感していたこの頃。黙々と働く老移民たちの歴史は、聞けずじまいだった。（１９９８年頃撮影）

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