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座談会 &インタビュー
(最終更新日 : 2007/05/21)
--- 座談会 &インタビュー 目次 ---
- 今後の農大会を考える (1985年)
- 実習生を囲んで (1987年)
- インタビュー 「小野功先生に聞く」(20
07年3月)
実習生を囲んで (1987年)
実習生を囲んで (1987年) (2004/10/26)
対談「実習生を囲んで」
会報編集部編
1987年3月8日会館にて
会報編集部では去る3月8日、1986年度ブラジル実習を終えた実習生を囲んで対談をもった。折りよく母校より、拓殖学科の大田克洋先生も来伯中であったので、同席願い、実習生及び当地のOBの生の声を聞いていただけたのは幸いであった。当日は当地のOBも30名近く出席してくれたし、隣国ペルーから来伯中の実習生2名も加わってもらい、伯国の事情はもとより、アルゼンチン、ペルー等の様子も聞くことが出来た。対談の結果、我が伯国農大会の存在価値の重要さを再確認した。母校の協力と日頃会館維持に当って苦労されている先輩方も報いられるような感を持った。
以下、自己紹介に始まる対談は、三時間を経過したが、その要約を編集した。(以下敬称略)
編集部:
自己紹介と実習地、内容等話してください。
斎藤英徳:
拓殖科28期生(1983年入学)4年在学中。学移連実習生として来伯。ベレン郊外の上杉農場(先輩)に於いてピメンタ・ド・レイノや熱帯果樹の栽培と流通、経営について実習を終えました。
高橋成美:
拓殖科28期生4年在学中。全拓連実習生として来伯。サンパウロ近郊ピラール・ド・スールの南農場(先輩)を主に、南はアルゼンチン、北はバイア、マナウスまで広く見聞を深めた。
須藤達士:
学移連実習生。拓殖科28期生。パラナ州農村農場、サンパウロ州フランカのコロラド農場を主に、レジストロの松田会長のお茶園実習で終えました。
山田昌明:
拓殖科28期生4年在学中。個人の資格でペルーに行き、語学学習を経て、リマ郊外で日本産の野菜種子を使っての栽培と販売の目安について体験を続けました。ペルー特産のルクマの栽培に興味を持ちました。(ルクマ=アカテツ科ルクマ属。熱帯アメリカに約60種ある常緑樹。果実は生食の他、アイスクリームやジャムに使われる。ブラジルでは一般にフルータ・デ・マンテイガと呼ばれる)
編集部:
実習生ではありませんが、現在ペルー国立農科大学大学院で水利工学について学んでいる鈴木君にも対談に加わっていただきます。
鈴木孝幸:
1984年農業工学科を卒業。現在ペルー大学の大学院で農業水利と土壌について勉強の傍ら、野菜の普及に努力しています。
編集部:
それぞれの分野で一年近い実習体験から、特に印象に残ったものについて話してください。
須藤:
ブラジルに着いてすぐ現地の人と一緒に仕事したので言葉には苦労しました。つまり第一に語学力の必要性を痛感致しました。
斎藤:
私が主に実習した所は、日系農家の集団地(30家族)であり、言葉や仕事上の不自由は感じませんでした。この植民地内の人達は仕事に入ると忙殺されて近所同士で会うこともないのですが、夜間とか休日にはよく集まって、経営のことや日常生活のことなどに会話を弾ませています。日本ではこのような習慣は失われつつありますが、ここはやっぱり異国故か、仲間意識、団結も必要なのだと強く感じました。
高橋:
一番感じたのは、貧富の差がありすぎることです。その印象ですが、貧しい人は格差に慣れ切っているのか、向上心もないようで、何事にも無気力無関心。逆に、豊かな人は意欲的で貪欲で、経済も文化も流行も全て自分のものにしたいという両極にあるようです。日本のように皆中流意識というのとは大変違いがあります。
山田:
ペルーの場合、気候的要因もあると思いますが、外見上非常に不潔に見えます。また、日常の取引も信用できない。
鈴木:
リマでは生活の面で、日本製の日用雑貨、食料、農業資材、書籍などの入手が難しいことが難点ですが、三年の在住経験から言って、南米諸国の中では比較的生活しやすい国だと思います。ペルーには今、7万人の日系人がいると言われていますが、その中の1万人が商社関係を含めての一世の数と思われます。今後の生活設計は、リマ市に新鮮な野菜を供給すると同時に温帯果実、特にウメや日本梨も導入を考えています。また、ペルー固有のコチニージヤとルクマの栽培に力を入れてみたいと思います。(コチニージヤ=サボテンに寄生する虫で、虫液より赤染料を取り、高価に取引される。ペルーとメキシコだけの特産で、赤い宝石と呼ばれている。)
編集部:
次いで食べ物、風俗、習慣などについて。
山田:
ペルーで若い女性が、挨拶の時、頬にキスしてくれるのが大変感動でした。(笑)
須藤:
農場の生活で、出される昼食に日雇い労働者の悲哀を切に感じました。冷えた御飯に豆とジャガイモと豚の脂がいれてあるだけで、肉切れもなかった。丁度、肉不足の時でもあった。それでも、農場の行き帰りに、野生のシカやアルマジロなどを散見でき、至る所に野生が残っていて、楽しみを与えてくれた。
鈴木:
ペルーでは、一般の人の取引でもあまり信用できないが、特に警察など権力をもったもの程、信用できず傷横暴です。
高橋:
ブラジル全土は、果実が豊富で美味しかった。
鈴木:
ペルーの食習慣は3食です。その他にロンチエと言って、コーヒータイムがあります。主食は米ですが、パンとコーヒーの組み合わせもあります。
須藤:
朝、コーヒーだけで働きに出るので、力が入らず、まいりました。でも、昼も夜も脂肪質中心の食事ですので、コーヒーで調和が取れていると思う。でも、日本食が恋しく、夢に見ました。つくづく調和の取れた日本食がありがたいと思う。
高橋:
ブラジルでは、朝コーヒー、10時頃昼食、2時頃コーヒー、6時頃夕食という具合に回数が多いので都合がいい。
鈴木:
ペルーでは、昼食が食事の中心で、2時間以上取ります。この時間はまた家族の対話の時間でもあり、商店も会社も休みます。でも我々日本人はやっぱり夕食中心の方が落ち着く。野菜は少なく、大根、キャベツぐらいで、スープまたはサラダに使います。現在ペルーは、戒厳令下にあり、夜1時から朝5時頃まで外出は駄目。
編集部:
これから結婚問題を含め、男女のことで悩むことが多いと思いますが、ブラジルでの感想はいかがでしたか?
斎藤:
客観的に見て、ここの人は、14~5歳でハード(情熱的)な恋愛をしているようで、恋愛に対する新鮮さがなくなると思う。日本の控えめなのが良いと思う。
高橋:
やたら目立つような行動、特にキスするので不衛生ではないだろうか。また、肌の色を超えての恋愛には違和感をもつ。
山田:
習慣の違いでなかなか馴染めないところがある。
須藤:
容姿はブラジル人は美しい人が多いが、結婚の対象はやっぱり日本女性が良い。
高橋:
私は、南から北までブラジルを見てまわりましたが、南の女性のほうが足が長くスマートでした。北に行くにしたがって足が短くなってきた。南はドイツ系、北は混血が多いためか。民族の特徴によると思う。
編集部:
次いで、実習、見聞を深めたところで、諸君の再来伯、移住についての決心の程をお聞かせください。
高橋:
卒業したら移住します。北伯で永年作物を植えて経営の安定を図りたい。
須藤:
大学卒業後の都合で、サラリーマンの道を選ばない限り移住してきます。永年作物と牧畜との複合農業が良いと思う。バイア州かパラー州を選びます。
斎藤:
私も同様に北伯志向です。
山田:
ペルーに移住します。まだ在学中ですので、一度日本に帰って、今の経験を生かし、語学、貿易のこと、コンピューターなど、色々技術を身につけたい。
鈴木:
三年経過しましたが、このまま永住するつもりです。
編集部:
対談中ですが、開発青年制度で来伯した鈴木達也君が参りましたので一寸紹介いたします。
鈴木達弥:
拓殖科26期生(1985年卒)の鈴木達弥です。開発青年制度で来伯しました。現在、南伯産組中央会で野菜関係の農業技師として働いています。約三年間は組合でお世話になります。よろしくお願いいたします。
編集部:
開発青年制度について説明してください。
鈴木達弥:
制度が始まって今年で二年目に当りますが、一年に30名募集され、15名位はブラジルに来ます。受入には試験があり、受け入れ側の意向がかなり強く入ります。受け入れ側は個人ではなく、協会とか組合が中心です。三年の義務滞在があり、永住ビザで来ます。給料は240ドルが保障されますが、仕事は、畑などの外回りよりも、机での仕事が多いようです。
編集部:
色々面白い話もお聞きしましたが、この辺で、ブラジル農大会やOB、母校に対する感想について。
須藤:
実習するに当って、やっぱり外国という一抹の不安を持っていますが、サンパウロの中心に立派な会館があり、色々相談できるので私達にとってオアシスです。また、諸先輩方のお子さんもたくさんいて、同世代と交流できることも大変うれしく、農大生で良かったと思う。
斎藤:
農大会館の存在は力強い限りです。ただ、来伯前に、サンパウロにこんな立派な会館と組織があるということを知りませんでしたし、先生方も教えてくれなかった。もっと啓蒙して欲しいと思います。もちろん、私の調査不足、つまり勉強不足は承知しているのですが。
(ここで、対談に加わっていただいた母校の大田先生から斎藤君の発言に対して「君の勉強不足を母校や先生のせいにするな!」と活が入る。同時に先輩方より「単位に影響するぞ」と野次が入り場内爆笑)
高橋:
実習中、南から北、北から南と移動するに当り、サンパウロの会館は実にありがたい。また、地方の先輩方もサンパウロに来るとよく立ち寄られるようで、いい拠点になっています。二世の世代の学生も多くいて楽しい限り。
鈴木孝幸:
ペルーから見ると大変うらやましい。私どもの方にもよく実習生が来るが、殆どが中継地にするだけ。今後はこんな場合も利用して、ペルーの情報をサンパウロに伝えたい。実を言うと私自身情報が欲しい。そういう役割をサンパウロの農大会は持っている。
編集部:
この辺で、お集まりの先輩方に色々と質問をいただきたいと思います。
質問:
今回の3君の移住希望地は北伯志向のようですが、サンパウロ近郊にも多くの可能性があります。また、移住するにあたって、具体的に、資金、営農計画の有無を聞きたい。
実習生:
資金を持っているわけではありませんが、500万円位あればやっていけると思う。北伯は気候的に恵まれ、作付け計画は短期に収穫のあるパパイヤから始めてパッションフルーツ、コショウ、丁字と段々永年作物に移っていきたい。
実習生:
アルゼンチンでは養蜂は比較的少ない資金でやれるそうです。今、100箱の群があれば800グラムのロイヤルゼリーが取れるので、生活できる。500群もあれば経営は面白い。
質問:
最近、移住者もめずらしいくらいになってきましたが、開発青年制度のように、補助があれば、移住促進になると思うが。
実習生:
移住問題については、日本の経済発展の問題もありますが、それよりも、伯国側の受け入れ態勢と農業政策に魅力がない。開発青年制度に対しては、希望者がかなりあるが、試験もあり、三年間自由がないので、募集人員を増やしたとしても、移住実数は変わらないと思う。むしろ移住したら早く自分の城を持ちたいと思う。縛られたくないという気持ちがある。
質問:
実習方法として、一ヶ所重点的に実習するか、また、広く見て廻るか、どちらが良いと思うか?
実習生:
両面ありますが、折角の機会だから色々と見てみたい。でも、帰国する頃には的を絞りたい。
質問:
永住するとして、結婚問題はどうするか?
実習生:
具体的には答えられないが、やっぱり日本女性の方が良いと思う。しかし、ここで経営に入る場合、日系人またはブラジル人の方が良い場合もある。言語、習慣の問題もあり、この辺は難しい問題です。
編集部:
皆様、本日は長時間ありがとうございました。
他、沢山の質問、意見もありましたが、収録の都合で省略させていただきました。ご了承ください。
(1987年6月1日 伯国東京農大会 会報第8号)
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