2009年にいただいたコメントから。 (2009/11/20)
11月、アルゼンチン・ブエノスアイレスでの上映会で移民ドキュメンタリー屋冥利に尽きる示唆に富んだ報告とコメントをいただきました。 以下、ご紹介します。
ブエノスアイレスで観る「60年目の東京物語」
週末、ブラジル在住のドキュメンタリー映像作家・岡村淳監督の上映会が開催された。 監督はいつも上映会に立ち会い、お客さんと上映会空間を共有し、話を聞くというスタンスを取っているのだそう。
今回は3本立て。 特に最後のドキュメンタリーが泣けた。 60年ぶりに日本を訪れた80歳の日本人女性が体験する出会いの数々。 姉、娘、かつての母との対面。 お姉さんは「絶対号泣するから」と大判のタオルを持参しての再会。 でも、再会の瞬間には涙は出てこなくて その後で60年ぶりに妹からのマッサージを受けている時に涙で顔があげられないお姉さん。 やっぱり普通のテレビが期待するような「感動の再会!」よりも こういう静かなものなんだよね・・・実際の再会って。 なので静かにガツンとくる。
上映会終了後のトイレで列を作っていたおばあちゃんたちがしみじみと 「私たちも苦労したわよねぇ」 「したわよねぇ」 「そうよねぇ」 ・・・言葉多く語らずとも、うなずき合うだけで分かりあえるこの空気 私が「そうですか」なんて相槌うったら白々しく聞こえるような この映画に自分の姿を投影し、追憶できる人だけが共有できる気持ちがあるのだ。
ブラジルに腰を据えて20年の監督。 小型カメラを持って南米の日系社会に隅々まで入り込んでいく。 だから、被写体は時に監督だけにしか見せない表情を向けたり 普段話さないようなことをぽろっと口走ったり。 この信頼感を作りだすのはなかなか難しいと思うよ。
私はどこまで近づけるのかなぁ 岡村監督にちょっと感染して映画熱がでてきた夜だった。
一人でも見たい人がいれば、日本でも海外でも監督自身が駆けつけて上映会を開催するらしいので、次はあなたの街でもライヴ(監督立ち会い)上映会をぜひ~
(ブエノスアイレス在住・菅谷歩美さんより。)
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