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岡村淳のオフレコ日記
     岡村淳アーカイヴス  (最終更新日 : 2024/02/18)
岡村淳2021年東大闘争資料②
岡村作品をオンライン上映会でも快適なクオリティでご覧いただくために(12月13日)

岡村淳2021年東大闘争資料②岡村作品をオンライン上映会でも快適なクオリティでご覧いただくために(12月13日) (2021/12/17) 岡村作品をオンライン上映会でも快適なクオリティでご覧いただくために

本稿アップ後、ブラジル時間13日夜に東大東文研のボランティアスタッフから、彼女の元に寄せられた上映方法改良策について岡村に報告がありました。
これは後述する科研費スタッフ伝授の方法より、さらに参加者にとっても簡潔と見られ、テスト結果が期待されます。
いずれにしても18日が最終回となるイベント主催者への諸々要望は、どしどし本稿末尾のメールアドレス宛お寄せください。
このスタッフの優秀さには舌を巻き、絶望のなかの希望を見る思いです。
さすがは東京大学。
「上」は絶望的でも、こうして優秀かつ謙虚で表に出ることもない逸材がいる!


僕は自分のことを記録映像作家と称しています。
ときにジャーナリストと呼ばれることがありますが、アーチストと言われる方がうれしいし、拙作をアートとしてご覧いただけるのは本望です。
アートのジャンルとしては視覚芸術:ヴィジュアルアートになるのでしょう。
画家の富山妙子さんは、ずばりヴィジュアルアーチストです。
富山さんと僕は同じヴィジュアルアーチストとして、眼で結ばれました。

生前の、特にお元気な頃の富山さんは、ご自身の関わるイベントに関して細部に至るまで何度もダメ出しをするので、担当者はかなり大変だったという話を複数の方々からうかがっています。
作家が名前を出しての仕事をしているのですから、当然のことでもありましょう。
そんな富山さんの名前を掲げるイベントに、同じビジュアルアーチストとして、そして晩年の富山さんの薫陶をいただいた身として恥じない振舞いをしなければと決意しました。

さて僕はこれまで自作をテレビで放送したり、ソフト化して販売したりレンタルしたりせずに、岡村本人の立ち会う上映の場にのみ提供する、というのを原則としてきました。
しかしパンデミックというまさしく想定外の事態でブラジルから出ることもままならなくなり、やむをえず昨年末からオンラインでの上映依頼にも応じ始めました。

今回の東京大学東洋文化研究所主催のオンラインセミナー「岡村淳監督作品・連続上映会-富山妙子、百年の孤高」をお受けしたのは、次のような狙いもありました。
・オンライン上映でも、さらに電波状況やパソコン機種にある程度の問題があっても「並」のレベルの鑑賞が可能である
・岡村の継続するような、市販の小型ビデオカメラを使って、スタッフひとりだけで、三脚も用いない方法の映画製作でも、これだけのクオリティの作品をつくることが可能である
・「無名無冠の」「いち個人の」「資金もない」「なんら後ろ盾もない」存在でも、この程度のクオリティの映像の発信がオンラインでできる

以上のような、いわば様々な意味での「弱い立場の人たち」にこうした僕にとっての「福音」を伝えるミッションのつもりでもありました。

今回、主催者は「予算がない」「スタッフがいない」をいろいろなエクスキューズとしてきています。
しかしその範囲でできることはホストとして、招いたゲストの要望に極力、沿うように、しかも映像作品の「上映会」と銘打っているのですから、参加した方々に見苦しくないような上映クオリティを提供するように努めるのは当然ではないでしょうか。

残念ながら今回の主催者にはその意識が欠けています。
一度だけの上映なら、もう二度とこの主催者には自作を提供しないことを決意して、ゲストの分際ながら不本意にも本来のクオリティに著しく劣る上映を受け入れてしまったことを参加者に僕がお詫びする、ということにするでしょう。
しかし今回は全3回の連続イベントで、関係者限定のプレイベントを含めると計4回になり、先回に失敗や改善するべき点があれば善処に努めるのは当然だと思います。
毎回、生じる映像上映のトラブルを改善すべく、僕はさまざまな方々にアドバイスをいただいて、東文研の協力スタッフにも尽力いただいて努力をしました。

いっぽうイベントの責任者が「自分にはちゃんと見れているから」と問題を把握しようとはせず、それにもかかわらず12月4日の第2回の際には開始直前になって岡村と東文研のボランティアスタッフの準備した方法を拒否しました。
責任者の理にかなわない要求に沿った方法を土壇場で取ったため、かえって参加者を混乱させて、あってはならない劣悪なオーディオビジュアル状況で拙作を上映することになってしまったのです。

以下、具体的でないと問題がわかりづらいという方々のために、経緯を記します。

11月13日のプレイベントでは諸々のテストも兼ねて、東文研の主催者の関係者と岡村の友人知人を招いて拙作『ブラジルのハラボジ』を上映しました。
岡村はサンパウロの町なかの集合住宅からのオンラインですが、当地ではWi-Fi使用者が多い時など電波状況が悪く、時に断線することもあります。
この上映作品はほとんど動きがなく、主人公の老人の語りに日本語字幕をかぶせていますが、サンパウロで受信すると、
・画面のカクリ現象
・画面のフリーズ現象
・映像と音声、字幕のズレ
といった問題がありました。
イベントの際にこうした問題を指摘する人はなかったようで、僕はこちらの電波状況の問題かと受け止めました。

さて11月27日の第一回「公開」オンライン上映会となりました。
3作品のうち最初の2作品は静止画に音楽が流れるというものでさほど気になりませんが、3作目では同じ障害が顕著にうかがえました。
通常、こうしたオンラインイベントでは主催者が今後へのフィードバックのためのアンケートを終了後に参加者に送付することがしばしばです。
連続イベントの今回は、それがありませんでした。
岡村が参加された何人かの友人知人に問い合わせると、在日本の複数の方々から実は動画の視聴には岡村が上に掲げたような問題が生じていたことがわかりました。

その方々は、
・自分のところの電波状況やパソコン・スマホの機種のせいだと思っていた
・オンラインでの動画はこんなものかと思っていた
・ブラジルとオンラインで結んでいるのだから、こんなものかと思っていた
…さすがにオカムラの作品のクオリティはこんなものだと思った、と面と向かって返してくる人はいませんでしたが、岡村の懸念していた「偏見」が広まってしまった恐れを感じました。
主催者にこの問題を伝えても「自分のところはちゃんと見れている」と相変わらず問題にされません。
もっとも発信している側がちゃんと見れるのは、至極当然でもあるのですが。

岡村はすでに日本のいくつかの大学等でオンライン上映を行なっていて、日本側が発信する映像をブラジルで視聴してもまるで問題がないこともありました。
僕はさっそくその時の担当はじめ、こうした経験を踏んでいると思われる人、映像業界関係の知人等々に事態の改善のためのアドバイスを求めました。
日本の大学関係者からは「パンデミック以降、オンライン授業が主流になり、各大学とも動画上映のノウハウの心得があるはず。天下の東大なら、当然すごいのがあるのではないでしょうか?」と自分たちが編み出した方法の教示とともに問いかけもありました。
それが、「東大もと暗し」とはよく言ったものです。

こうした動画鑑賞に問題が生じるのは電波状況が良好でなかったり、パソコンの性能によるためとみられます。
主催者は自分は問題ないから問題ない、ではなく、また自分の招いたお友だち優先ではなく、参加者のなかの、声もあげにくい弱い立場の方々に耳をそばだてて、そうした方々へのサービスを最優先するべきだと僕なら考えます。

こうした指南をもとに岡村が東文研に提案したのはZoom使用のイベントのなかで、動画上映に際しては上映作品をYouTubeにアップしておいて、そのリンクに移ってみてもらう、という方法です。
この方法なら、ふつうにYouTubeが見れる程度の電波状況と機種があれば問題なく動画が鑑賞できるわけです。
ほんらいイベントのホストが岡村の上映作品が盗用コピーされるのを防ぐのに尽力するのも当然と考えますが、それ以前の上映そのもののクオリティを考慮していただける気配もありません。
盗用する気にもなれないようなひどい映像の発信では、シャレにもならないというものです。
有料システムを用いれば、より盗用のリスクは少ないとも教えてもらいましたが、予算ゼロではどうにもならず、僕は盗用されるリスクを覚悟でより弱い立場の人たちも快適に映像を鑑賞できる方法を選んで主催者に提案しました。

岡村、主催者、東文研スタッフの3者共有のメールで打ち合わせを繰り返し、東文研スタッフに尽力してもらって上映作品のYouTubeアップとテストが行われました。
しかし4日の本番直前になって、主催者から岡村宛、これまでの経緯は自分には理解できないので説明してほしい、とメールが入りました。
そもそも岡村は別稿で書いたような、主催者がイベント申込者のなかから自分の知らない不審な人物として削除候補にした方の身元を調べて参加がかなうようにする作業に追われ、自分のトーク内容の準備や睡眠もままならない状況下でした。

主催者の教授が主張するのは、第一回イベントで自分が招いた人にいきなりZoom上での発言を求めたものの、その人はZoomでの音声をオンにする方法がわからず発言できなかった、そういう人はYouTubeへのアクセスもむずかしいだろうからYouTube使用は認められない、ということでした。
その人はZoomイベント参加はこの時が初めてでした。
とはいえ、Zoomに入室できるほどのスキルがある人が、画面に表示されるYouTubeのリンクにアクセスできないというのは考え難いと僕は主張しました。
しかし力関係により、教授の主張が理にかなわなくても従わなくてはなりません。
僕はあらたに再編集までした拙作を、条件が最適ではない方々に劣悪な画像でご覧いただくのが忍びなく、これまでのような主催者による動画配信とYouTubeのリンクでも鑑賞可能、という苦肉の折衷案を提案して教授を納得させました。

本番となり、今日の上映の方法の説明は主催者には理解がおよんでいるとは思えないためゲストの岡村が行なうことにして、そのことに気を取られて本来のトークと進行は失敗続きとなりました。
さて今回の方法では多くの方々がYouTubeのリンクに飛び、快適に動画を鑑賞できるはずでした。
しかし主催者もこれまでの方法で動画を発信するため、Zoomの音声をオフにする方法がわからないと両方の音声がずれて聞こえて、かえって聞き苦しくなってしまうという問題が生じました。
通常のZoom使用ではこうした機能を使うこともありませんから、多くの方にかえって混乱を招くことになってしまいました。

愕然としながら終了後、科研費富山妙子研究プロジェクトのいちメンバーに事態改善の相談をしました。
彼はすでに今回のイベントでのこうした動画配信の問題を懸念して、彼自身がオンライン上映でのトラブルを克服するためにたどり着いたVLC使用方法を主任の教授に伝えてあるのだが、それを実施したのか?と逆に聞かれてしまいました。
教授は事態を心配したメンバーからこうしたアドバイスを得ながら、僕とは共有しようとはせずに「わからない」「認められない」を通していたのです。

彼の説明を紹介します。
Zoom使用時に動画再生にWindow Media Playerを用いるとかなりの容量上の負担がかかり、岡村が指摘するような不都合が発生してしまう。
いっぽう無料の動画再生ソフトVLCを用いればこれの容量は軽いので、自分が試した範囲ではうまくいっている。
貧乏教師が苦肉のあげくに編み出した方法、と言います。

このVLC方法もその時その時の参加人数は主催者が本番時に決める今回のイベントでは、試してみないとわかりませんが、経費は発生しませんのでやってみる価値はあると考えます。
さらにこれでも不都合が生じる事態のために上映作品を先回のようにイベント時限定でYouTubeにアップしておく。
この2本立てで挑めば、ようやくより多くの方々に快適に現在、作成中のディレクターズカット版の拙作をご覧いただけるかと考えています。

しかしこれまでの経緯から、岡村がこうした提案をしても決定権のある主催者が採用するかは疑問です。
イベント参加を希望される皆さんから、以下のメールアドレス(連続上映会事務局itahashi[a]ioc.u-tokyo.ac.jp ※[a]→@)宛に、「上映作品を問題なく鑑賞できるよう、岡村監督が新たに提案する方法の採用をお願いします。」といった内容のメールをお送りいただければ幸いです。
このイベントに関する忌憚ないコメント、要望、批判もどうぞ書き添えてください。
参加を希望される方々の複数のこうした声が先方に届けば、さすがの責任者の教授もなんらかの対応しなければならないかと考えます。

上映作品そのものについては、どうぞご期待ください。
よろしくお願いします。

西暦2021年12月13日 ブラジル・サンパウロ  岡村 淳


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