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岡村淳のオフレコ日記
     岡村淳アーカイヴス  (最終更新日 : 2024/02/18)
東京大学東洋文化研究所主催の岡村淳オンライン上映会で何が起こったか・参加者の声を聴く⓵星野智幸さん(小説家)より

東京大学東洋文化研究所主催の岡村淳オンライン上映会で何が起こったか・参加者の声を聴く⓵星野智幸さん(小説家)より (2021/12/24) (問題のイベントに参加した小説家の星野智幸さんがご自身のフェイスブックで12月21日に以下の文章を発表しました。
星野さんのご承諾をいただき、以下に紹介します。:岡村淳 記)


待望だった、ブラジル在住の記録映像作家、岡村淳監督が富山妙子さんを記録した短編作品オンライン上映会に、参加しました。
この記録映像は、東京大学東洋文化研究所が日本学術振興会の科学研究費の助成を得て続けている、富山妙子さん研究の一大プロジェクトの一環で、このオンラインセミナー「岡村淳監督作品・連続上映会-富山妙子、百年の孤高」も東文研の主催でした。
私は全3回のうち、2回目と3回目を見ました。
ラテンアメリカと韓国という、私の関心の領域であるため、とても意義深いものでした。特に、第3回に上映された2本(岡村さんは2本合わせて前半と後半みたいな位置づけと述べていました)は、人間の主体と表現のテーマを、極めてシンプルなのに繊細にして深遠な言葉を富山さんから引き出していて、深い感銘を受けました。岡村作品の中でも一つの達成点と言えるのではないでしょうか。
そんな素晴らしい作品に出会える場であったにもかかわらず、こんなに不愉快で屈辱的な上映会も、私は初めてでした。
参加者として、主催者がゲストに暴力を振るう姿を目の前で見せつけられ、怒りで自分も何をしでかすかわからなくなって何もできない、という屈辱を受けたので、冷静になった今、スルーせずにここに記しておきたいと思います。
第2回目の上映会では、最初に上映した短編が、まったくのコマ送りで、視聴する側にひどくストレスを感じさせる状態でした。じつはこのセミナーの前に、別の作品で試験的な内輪の上映会が行われ(私も視聴した)、そのときも同様の状態での上映でした。それから何も改善されていないことに、あのテストは何だったんだろうと、疑問を覚えました。
もちろん、岡村さんは、上映のクオリティに関し、主催者と何度もやりとりし、まともな上映ができるよう強くお願いをしていますが、岡村さんの証言からも私の見る限りでも、主催者ができるはずの努力を十全に行っていないと思えました。
第3回目の上映会では、冒頭で、上映の質が低すぎて見るに耐えない形になってしまったことを、主催者の方が謝罪しました。そして、第3回は、ストレスなく作品に集中できる上映が実現できました。
ところが、イベントが終わる締めの挨拶で、主催者は冒頭の謝罪を全部否定するような発言を始めたのです。上映のクオリティのみならず、岡村さんがこのセミナーに臨むにあたって、ご自身の身の上に起きた理不尽な扱いに意見したことに対して、それらを全て否定して正当化する説明を、なんと20分にもわたって展開したのです。ご自身がZoomの設定で自動的に終了になると言って岡村さんには2、3分で締めの言葉を言うように要求して無理やり切っておきながら、ご自身は20分。反論も許さない形で。
いくら主催者と出演者の間で問題があったからといって、それを一般の参加者まで巻き込んで一方的にご自身の主張を長時間に渡って聞かせると言うのは、主催者の権限の濫用です。しかも、岡村さんを公衆の面前で否定している振る舞いです。
このときに私の頭の中に想起されたのが、姫野カオルコさんが東大出身者によるハラスメントを描いた『彼女は頭が悪いから』という小説をめぐって、東大の教授たちが姫野さんをお呼びして行った討論会でした。主催者たちは、姫野さんを事実上恫喝し、二次被害に遭わせたのでした。
まさにあれが今、自分の目の前で行われていると思うと、私の頭は沸騰しました。手が震え、鼓動がおかしくなり、耳を塞ぎたくなりました。でも岡村さんが今受けている暴力から目を逸らしてはいけない、と思い、聞き続けました。ひどいのではないかと言うコメントを書き込もうとしましたが、罵倒の言葉がほとばしり出てしまって、それを送らないように自分を止めるので必死でした。
その内容はまったくの支離滅裂でした。科研費助成を受けた研究は、その成果を発表することが義務付けられており、今回のセミナーはその義務的な発表として行っているもので、プロジェクトの成果の内容を示すことが目的だから、上映のクオリティは最優先されることではない、可能なかぎりは努力したがこちらも手弁当なのでこれが限界だった云々。
この論旨が、映像を記録した岡村さんにも、今回セミナーに参加した一般の人々にも、研究対象の富山さんにも、幾重にも侮辱的であることがわからないのでしょうか? 莫大な科研費をもらっておきながら(きわめて公的な助成金です)、一般に対するセミナーでは、義務的に内容を示せばいいので上映の質は問題ではないというのが、科研費の趣旨なのでしょうか。では、それが口頭による発表でも、メモだけ見せておけばいいのでしょうか。仮に富山さんに絵画作品を描いてもらったとしたら、展示会には粗悪なコピーでも飾っておけば十分ということでしょうか。科研費をもらっているのであれば、一般に大学が主催で行っているレベルのオンライン上映会程度のクオリティは確保するよう努めるのが、義務なのではないでしょうか。そのためにお金が出ているのはではないでしょうか。
こんな暴力が、痛めつけられる民衆の側に立って表現を続けてきた富山妙子さんの研究の場で行われたことに、ひどく裏切られた思いです。
私がここに書いたのは、起こったことのほんの一部です。より詳しくは、岡村さんのサイトをご覧になってください。
http://www.100nen.com.br/.../000051/20211219016393.cfm...
ちなみに、この科研費です。4年で総額2500万円。
研究プロジェクト自体は素晴らしいものですし、関わった方たちのお仕事も意義のあるものになっていると思います。
けれど、一連の上映セミナーでの主催者の姿勢は、おかしいと思います。
https://kaken.nii.ac.jp/.../KAKENHI-PROJECT-20K20272/...


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