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岡村淳のオフレコ日記
     岡村淳アーカイヴス  (最終更新日 : 2025/06/22)
『消えた炭鉱離職者を追って アマゾン編』を読む

『消えた炭鉱離職者を追って アマゾン編』を読む (2025/06/22) 西暦1999年に撮影を行ない、西暦2025年にようやく完成させた『消えた炭鉱離職者を追って』シリーズ三部作の完結編『アマゾン編』にいただいたレビューをご紹介します。



『消えた炭鉱離職者を追って アマゾン編』を観て
                    ベレアの整備士


以前に、「消えた炭鉱離職者を追って」の第二部を拝見した際、上映会の会場で私は、映像の中で語られる炭鉱離職者の様子に、同胞との生存競争から身を引くように海の向こうに渡った移民たちの、本当に素直で謙虚なる姿を観ることができた、との感想を述べさせていただきました。

彼らは、かつて炭鉱にて、助け合い、励まし合いながら、過酷な生活環境の中にいました。しかし、自分の労働が、仲間や国家の繁栄につながっているという確かな手ごたえを感じていたのではないかと推察します。やがて炭鉱はその役割を終え、それらの素直かつ謙虚な者たちは、自分たちの存在をまだ喜んでくれる人の存在を信じてブラジルに渡ったのではないでしょうか。

移民たちのブラジルでの生活の厳しさを、映像から改めて知ることが出来ました。ブラジルの荒野で、移民たちは孤独な戦いを強いられてきたことがわかりました。

彼らがもし、あのかつて過ごした炭鉱の町での、密接な付き合いの中で感じた一体感を、自分が馬車馬のように隣の人の分も働きたいと願うほどに助け合って生きる事に感じる喜びを、つらく苦しい思いをお互い涙して慰め合うやさしさを、ブラジルの移住先でも共に分かち合うことが出来たらそれはどんなに素晴らしい事でしょう。

日系社会はその為の大きな役割を果たしました。しかし、またそれとは別の、さらに喜び苦しみを分かち合う存在があったら移民はどれほど救われるでしょうか。

今回の第三部の映像中での、犬養牧師ご夫妻たちのブラジル訪問は、そのような移民たちの細き声に耳を傾け、共に喜び、共に泣くことに他ならないと感じました。当時の移民の中にはすでに天に召されていて、地上でのそのような交流が叶わなかった人もいるかもしれませんが、犬養牧師を通じて、そしてこの映像を通じて、そのような移民たちと、映像を見て同じ心を持てる人との交流は、時空を超えて成立するのだと「消えた炭鉱離職者を追って アマゾン編」はそのように感じられる作品でした。


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