(2008/10/14)
このページに収録した作品の作者、松井太郎さんは西暦2017年9月1日朝、サンパウロ市近郊のお嬢さんのお宅で亡くなられました。 満100歳の誕生日を迎える寸前でした。 いまこそ、9年間にわたってお付き合いいただいた松井さんを再生していくことの使命を痛感しております。
在ブラジルの作家・松井太郎。 19歳にしてブラジルに家族とともに農業移民としてわたり、西暦2009年現在92歳。 ブラジルで創作活動に目覚め、いまも現役の作家として執筆を続けています。 孤高にして濃厚な松井ワールドを、なかまと共有したい。 そしてその思いをご本人にお伝えしたい。 そんな願いから、松井さんのご快諾をいただき、ナメクジの歩みながら、少しずつ作品群の一部をアップさせていただきます。 日々の家事と本業の合間の写経作業になりますので、気長にお付き合いください。 まずは松井作品の中の移民ものの短編で強く岡村が惹かれる1970年発表の「ある移民の生涯」全文のアップを終了しました。 新たにノルデステ(ブラジル北東部)ものの氏の代表作「堂守ひとり語り」(1990年)の写経入力を開始しました。 前作とは打って変わった松井ワールドのさらなる芳醇さと深遠さを味わいください。
追記 畏友・細川周平さんらの尽力により、松井太郎さんの小説集『うつろ舟』が西暦2010年に日本の松籟社から出版されました。 この本のなかに「堂守りひとり語り」が収録されています。 さらにこの本の好評を受けて「松井太郎小説選・続」として『遠い声』が同じ松籟社から西暦2012年に出版され、このなかには「ある移民の生涯」が収録されています。 代表作の長編「うつろ舟」をはじめとする芳醇な松井ワールドを、ぜひ書籍で堪能下さい。
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