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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2009年の日記  (最終更新日 : 2010/01/01)
10月の日記・総集編 五輪と虐殺

10月の日記・総集編 五輪と虐殺 (2009/11/02) 10/1(木)記 五輪どこじゃ

ブラジルにて
事情により、日本の行政から書類を取り寄せることになった。
経費等を、世界各国の郵便局で販売されている万国共通のクーポン・ポスタルというのをこちらで購入して郵送されたし、とのこと。

近くの郵便局2局をまわるが、そんなものは聞いたことがない、存在しない、という。
ブラジル国郵便局のサイトをチェックする。
あるではないか。
Cupon-Resposta とこちらでは呼ぶと知る。

時間を工面して、サンパウロの中央郵便局に買出しに。
受付で聞くと、そのまま窓口待ちの列につくように言われる。

結局。
ない。
製品管理担当というねーちゃんに聞く。
現在、ブラジルではクーポン・ポスタルの取り扱いを中止している。
代用のものができるはずだが、いつどのようにかは、まるで不明、とのこと。

夕方のテレビニュース。
リオデジャネイロにオリンピックを誘致できるかどうかが大ニュース。
各局とも、ブラジルの広告塔としてコペンハーゲン入りしているペレが記者会見でマイケル・ジャクソンとマイケル・ジョーダンを混同したという、おめでたいニュースを放送している。

この国はオリンピックどころじゃない、と一緒に見ていた娘と意気投合。

万国共通であるはずのインフラも整っていないのだから。
ペレに、ジョーダンじゃないと言いたいところ。


10/2(金)記 禁じられた都市

ブラジルにて
日本国国際協力機構(JICA)では、同機構が南米に派遣するシニアボランティアや青年海外協力隊などが休暇中にブラジルのリオデジャネイロに立ち入ることを禁止しているとのこと。
理由は、犯罪が多発して危険だから。

そんな都市でのオリンピック開催が決定した。
日本国は選手の派遣も禁止するのだろうか。

かくいう愚生もリオでは映画祭に参加して、期間中に市バスを利用して強盗に襲われている。
在リオデジャネイロ日本国総領事館に電話で報告したが、相手にもされなかった。

これからリオはブランドとなり、お金儲け志向や、ただお祭りがスキといったおめでたい方々が群がるだろう。

リオでは地域性にちなんだ新たな競技を導入したらどうか。
リオ警察・エリート部隊とのスラム街での銃撃競技。
一定時間・距離のなかでの観光客からの強盗のあがりを争う競技。
市民・観光客参加型の開かれた五輪だ。

リオデジャネイロ州には原子力発電所もある。
クリーンエネルギーで、クリーンな競技を。
国威発揚オリンピックのオプションツアーとして欠かせないだろう。

1992年、リオ。
地球サミットが開催。
ブラジル国は軍隊を投入して治安維持を図った。
市民フォーラムに参加した僕は、あの戒厳令のような市内の軍人たちと自動小銃の鈍い輝きを思い出す。

「neoneo」で紹介させていただいたブラジル人の若い映画監督ジョゼ・パジーリャのことに改めて触れよう。
http://www.melma.com/backnumber_98339_4609803/
(「neoneo」ではポルトガル語表記部分が文字化けしている)
日本でも公開された「バス174」や、ベルリン映画祭で大賞を受賞した「Elite Squad(エリート部隊)」でリオの犯罪、貧困、スラム街を見事に描き、国際的な名声を獲得しながら彼は、市場と観客の期待しないブラジル奥地の貧困問題に挑んだ。
その志に、改めて拍手を送りたい。


10/3(土)記 佐々木神父の書評

ブラジルにて
昨日、フマニタス慈善協会の佐々木治夫神父から郵便が届いた。
「福音と世界」10月号(新教出版社・ http://www.shinkyo-pb.com/ )を送ってくれたのだ。
「低きに立つ神」(コイノニア社)の佐々木神父の書かれた書評が掲載されている。
書評を書くのは生まれて初めてとのこと。
「低きに立つ神」もすばらしい本だったが、佐々木神父の書評はブラジルの解放の神学や土地なし農民問題にも触れ、読み応えたっぷり。

神父さんにぜひオリジナルを書き下ろされるよう、メールを送る。


10/4(日)記 タール酒

ブラジルにて
早朝から家族を連れ出し、とんでもないところに閉じ込められてしまった。

脱出、生還、サンパウロ帰宅は夕方になる。
日曜の路上市での魚の買出しどころじゃなかった。

台所に立ちながら、タール酒をくらう。

まさしく移民オリンピックの国だけあって、ブラジル国内で生産されている各国起源の酒の種類は大変なもの。
日本起源のものだけでも日本酒、焼酎、梅酒などがブラジルで生産・販売されている。
スーパーあたりで未知の酒を探してたしなむのは、楽しみのひとつ。

ポルトガル語の特殊記号が入るのでカタカナ書きすると、アルカトロンのコニャックというのを買ってきた。
辞書を引くとアルカトロンとは、タールとある。
タールのコニャック?
検索にかけると、そもそもタール イコール発がん物質という記載がまず目に付く。
調べていくと、木タールというのがあって、北欧ではサウナの香料、酒の添加物とされるとのこと。
これか。
お味の方は、まさしく燻製、ヤニ系。
よく言って、珍味。
あまり繰り返したくない味。

牛乳割りもイケル!
などとボトルにうたってある。
試してみると、ヤニの燻製に牛乳を混ぜた以外の何物でもないお味。

捨てるのはもったいないし。
いま台所であるのは、いずれも料理用の安物のワインと日本酒、そしてお祝い事のためにとってあるレアな珍酒ぐらい。
しばらく自宅での酒量は控えめになりそうだ。

タール酒…
樽酒ならいいんだけどね。


10/5(月)記 五輪と虐殺

ブラジルにて
在ブラジルのカトリック司祭からの電話。
2016年のオリンピック開催地がリオデジャネイロに決まったことで興奮している。
「植民地国での開催は初めてじゃないでしょうか?」と司祭。
「…ソウルがありましたよね」
「?」
「大韓民国は大日本帝国の植民地だったんじゃないですか?」
「…、でも欧米の植民地では…」
僕はすでに手元のPCを開いている。
「オーストラリアで2度やってますね」
「…、あそこは特別でしょう」
「ラテンアメリカ、メキシコでやってるじゃあないですか」

ブラジルの貧しい人たちの励ましになるのではないかと意気込んでいた先方が気の毒になり、「確かに南アメリカなら初めてですよね」とフォローしておく。
貧しい人たちは、それどこじゃないだろうけど。

作家の星野智幸さんが記しているように、メキシコオリンピックの際は開催10日前に学生のデモを弾圧と虐殺が行なわれた。
http://hoshinot.exblog.jp/8465278/
民間団体の調査によると、死者の数は300人に及ぶという。

ブラジルの権力をなめてはいけない。
すぐに思い出すのがパラ州での土地なし農民たちの虐殺。
1996年、軍事警察によってデモを行なう土地なし農民19人が虐殺された。
リオだけでも、有名な事件がいくつもある。
1993年には教会の前をねぐらとしていたストリートチルドレン8人が警察関係者に虐殺された。
同年、ヴィガリオジェラルというスラム街では、21人の市民が当局に虐殺されている。
犯罪組織の方もそれに拮抗するボルテージだ。
2002年にはスラムに潜入したブラジル人ジャーナリストが日本刀で!処刑され、遺体はスラムの密葬所でDNA鑑定も難しいほどの処理をされていた。

リオ当局は、市内のスラムを高い塀で遮断する政策を進めている。
五輪開催時には、万里の長城なみの景観を披露するかもしれない。

五輪強行のために追いやられ、抹殺されていく小さい人たちに今から心がいたむ。


10/6(火)記 岡村南進

ブラジルにて
ビデオ編集の合い間に、間近になってきた上映会の件の連絡のやりとり。
今月18日クリチーバ、来月7日はアルゼンチンのブエノスアイレス。
偶然だが、いずれも南だ。

どちらも現地ではいい盛り上がりを見せているとの報が入る。
新たな出会い、なつかしい再会がいずれも楽しみ。

先月、予定していた北での上映は、現地側にあまりにも不可解かつ無理難題が多いので、見合わさせていただいた。
それでもぜひ今年中に、と頼まれ、気にかけていたが、そもそも先方からの連絡が途絶えてしまった。
ますます不可解。

さて南での上映、今年4月の東京の映画館のような機材トラブル・不備や先月のような上映中の停電がなければいいけど。

このまま南に進むか。
目指すは、南極上映。
併映は深作欣二監督「復活の日」あたりで。


10/7(水)記 サルピコン

ブラジルにて
すぐに思い出してしまうのが、フェリーニの映画の類似タイトル。

サコロンと呼ばれる野菜・果物中心のスーパーマーケットで昨日、セロリを買った。
ローストチキンの残りがあるので、サルピコンを作ってみようかと思った次第。

サルピコンというと、チキンとセロリのマヨネーズ味のサラダというのが、うちらあたりの共通認識。
ググッてみると、とんでもなく奥が拡がっている。

そもそもサルピコンのサルはモンキー、じゃなくてラテン語でもポルトガル語でも同じの「SAL」:塩のことだった。
サラリーやサラダがこれに由来することは知っていたが、サルピコンもとは。
塩を振ったもの、ぐらいの意味合いが元のようで、それならあれもこれもサルピコンだ。

スペイン料理ではシーフードのサルピコンがポピュラーなようで、ボリビア料理の豚のサルピコンなんてのも検索に引っかかる。

アマゾンでは日本移民が猿の脳ミソを使って、というのはウソ。
ピコンというのは、ブラジルの初期移民が野菜の代用にした雑草の名前、というのはホント。
話がこんがらがる。

初めて作ってみるが、よろしいではないか。
いくつかのレシピに干しブドウやパイン缶があげられていたが、確かに果物がよくマッチする。
先日、入手したセラード産のナッツを合わせても面白そう。


10/8(木)記 南に幸あり

ブラジルにて
これから始まる南の上映会。
特にブエノスアイレスがますます盛り上がっているようだ。
岡村のライブ上映会では、今度のアルゼンチンが6ヶ国めになる。

11月後半からの再訪日では、列島の南・九州から上映・講演を始める予定。
日本の知人が、これに合わせてさらに九州の新たな上映箇所の交渉を行なってくれているとのこと。

有り難い。


10/9(金)記 浸水三昧

ブラジルにて
まさしくアマゾンの浸水林にどっぷり浸かっている日々が続いている。
迷路のような水路をとにかく進み、ようやく木漏れ日を見た感じ。
まだ先は長そうだが、目の覚めるこの光の反射を信じるしかない。

人事を尽くして、天命を待つ。


10/10(土)記 南回帰行

ブラジルにて
橋本梧郎シリーズの次作は、こんなタイトルにしようかと考えている。

もう一昨年になる橋本先生との旅の工程をほぼトレースするような工程、片道700キロ。
北パラナで妻の親類一族が集うことになった。
僕の役どころは運転手とビデオ撮り。

カステロ・ブランコ街道は大型トラックの事故で大渋滞。
夕方、へろへろになって現地に到着。
「おっとりビデオ」で催しの長回し。
撮りがいのある集いは、疲れをしばし忘れてノラせてくれる。


10/11(日)記 畜チャン

ブラジルにて
ミクシィのプロフィールの趣味欄に「テレビ」とあるのは、ブラックジョークのつもり。
自分の家でテレビを見ることはほとんどない。

旅先でテレビがあると、スーパーマーケットをのぞくのと同じような関心でチャンネルをめくってみる。
テレビ民俗学。

今回の北パラナでは、家畜の競売チャンネルが目に付く。
サンパウロや日本では、はずした時間などはテレビショッピングの番組が多いのだが。

牛や馬のセリのチャンネルが、どれぐらいを占めるのか。
受信可能な全28チャンネルのうち、なんと4局が同時にそれそれ別の家畜の競売番組をオンエアしている。

みているうちに、牛馬の値段の相場もわかってくる。
トモベ(移民用語で、乗用車)よりだいぶ安いぞ。
エコセラピー用に、一頭買うか。


10/12(月)記 浸水道紀行

ブラジルにて
未明より激しい雷雨。
宿は停電となる。

出発を遅らせる。
ロウソクの明かりで朝のコーヒーをいただく。

じゃんじゃんぶり。
高速道は冠水部分もあり、とてもとばせない。

3連休の最終日。
案の定、サンパウロに近づくと渋滞。

人も車も無事で何より。
しばらく車の遠出は勘弁。

明日から、また浸水林か。


10/13(火)記 土鍋おろし

ブラジルにて
ブラジルの街道筋の休息所兼売店、日本の「道の駅」的なスポットには、なぜか土鍋がよく売られている。
いずれもエスピリット・サント州産。

我が家の炊飯用の土鍋に容量不足を感じていた。
昨日、帰路思い切って購入。

使用に際して、蓋も含めて全体に油を塗って20分間、熱したのち、自然に冷やすこと、とある。
編集作業の合い間に実行。

ゴハンが油くさくならないか、この工程は最初だけでいいのだろうか、内側にゴハンがこびりつかないか等々、疑問は尽きず。
容量は十分だ。

夕御飯でデビューさせるが…
作業責任者は本日、断食でした。


10/14(水)記 縄文かあさん

ブラジルにて
日本での考古学徒時代を思い出した。
4000年以上前に使用されていた縄文土器を発掘。
内側にはオコゲがこびりついていることも。
縄文の母は、何をこがしてしまったのだろうか。
洗い落とす暇もないうちに、土器と住居を廃棄しなければならなかったのだろうか。

昨夜、フデオロシしてみた土鍋。
けっこうゴハンがこびりついてしまった。
オコゲも少々。
油の塗りこみが足りなかったのだろうか。

もったいないので、味噌味のオジヤにしてみる。
悪くない。
土鍋でドナドナ。


10/15(木)記 ギャラリーウオーク

ブラジルにて
ちょっと気になるギャラリーでのアートの展示を2箇所、ハシゴすることにした。
おおまかにいうと市内の同じ地域なのだが、徒歩だとなかなかの手応え、足応え。
サンパウロをこれだけ歩くのも久しぶり。

本業の方も追い込まれている。
が、見ておいてよかった。
いずれも、予期せぬ意外な発見があり。

今後の制作のためのお勉強。


10/16(金)記 アラジオストック

ブラジルにて
明朝から、また旅。
フンパツしてちょっといい牛肉を買った。

鉄板でいってみよう。
まずは、塩だけでいただこう。

台所の奥に、シュラスコ用の粗塩(あらじお)があった。
さらにヒマラヤ産ピンクの岩塩。
これに観音供養・伊豆大島の自然塩「海の潮」でどうだ。

アラジオはまさにズドンと荒い感じ。
息子が小さな付属おろし金で懸命におろしたピンキー岩塩は、ファインな味わい。
「海の潮」の雑味が僕は一番気に入った。
「焼肉にいいよ」とかおっさんに言われて昨年、高知で買った土佐のゆず塩はがちがちに固まってしまい、煮物ぐらいにしか使えそうもない。

塩だけでこれだけ楽しめる。

世は地産地消。
せめて南米大陸にこだわりたい。
ボリビアのウユニ、チリのアタカマあたりの塩原の塩はどうだろう。


10/17(土)記 クリチーバのガンQ

ブラジルにて
このサブタイトルで通じる人は、地球上に何人いるだろう?

早朝のバスでクリチーバを目指す。
到着は、午後。
馴染みのホテルに旅装を解いて。
さっそくオスカーニーマイヤー美術館に。
圧巻。
食傷気味になるほどのボルテージの高い展示企画が、両手の指の数ほど。

シュラスコの後で寿司、さらにイタリアンに中華と続いたら、そりゃあ食傷になるというもの。
時々、ここだけのためにクリチーバ詣でをしてもよさそう。


10/18(日)記 クリチーバ熱く

ブラジルにて
今日のクリチーバ上映の主催は、基本的に昨年と同じ。
昨年は、機材に詳しい人が会場にすべてセッティングしてくれてあった。
僕はDVDの出し入れ、音声の微調整をすればよかった。

今年は会場は変わったが、安心しきっていた。
すると…
プロジェクターが届いているだけだった。

DVDの出しは、たまたま僕が持参したノートPCか!?
この広い会場で、音はどうする?

結局、プロジェクターのスピーカーの音を僕がハンディマイクで拾って、ラジカセの雑音の激しいスピーカーから出すことに。
合計4作品、けっこう疲れるぞ。

観客の反応は予想以上に、とてもよかった。
メインの「ブラジルの土に生きて」の空気はあっぱれ。
作品が、さらに新しくなった印象も。

ブラジル移民の父・水野龍の愛したクリチーバで、ご子息の龍三郎さんにも参加していただき、感無量。

次なるステップへの、エールを送られた感あり。


10/19(月)記 Cyber Securityの恐怖

ブラジルにて
数日前から、ノートPCの調子がおかしい。
インスツールした覚えもないCyber Securityというのが君臨、暴走し始めている。
Mixiあたりにアクセスしようとしても、危険サイトとしてシャットアウトされてしまう。
しかもこのプログラムを削除できないではないか。
削除しようとすると、英語表記が現われ、ドルだてでこのソフトを購入しないと進めない仕組みになっている。
ググッてみると、他にも最近、同様の被害にあっている人がいることがわかったが、解決法を記すサイトへのアクセスも遮断されてしまった。
そのうえ、青画面から強制終了するしかなくなり、機能停止に。

日本に担いで行って修理するしかないか!
トラブル対策のマニュアルを引っ張り出す。
再セットアップ…

これに挑戦。
失ったものも少なくないが、機能はすっきり復元した感じ。
HALコンピューターに打ち勝ったデイブ船長の気分。
木星は近い。


10/20(火)記 その後のリオの仁義なき戦い・ヘリ撃墜編

ブラジルにて
先週末からクリチーバで巡礼をしている間に、リオでは大変な事件が生じていた。
警察と麻薬組織の抗争で、警察のヘリが組織の自動小銃に撃墜された。
麻薬組織の親分は他州の刑務所に収監されているが、刑務所内から指示を出しているとのこと。
この数日間で、市民も巻き添えになり、死者数は30人近く。

リオでのワールドカップとオリンピック開催を記念して、いっそのことブラジルでは麻薬を合法化したらどうか。
アホな観光客に合法的に麻薬を楽しんでもらい、マネーをしこたま落としていただく。
クスリ漬けの日本の女性タレントあたりも、ブラジルで合法的に再デビュー。
麻薬組織も健全経営で、きちんと納税。

時々、岡村のコメントを額面どおりに受け止める素朴な人がいらっしゃるようなので、この辺にしとくか。

それより恐ろしいのは、リオ州での新たな原子力発電所建設計画で、政府は業者の予算に大幅な削減命令を出したこと。

リオのチェルノブイリ化か。
負の世界遺産が増えるぞ。


10/21(水)記 独占上映

ブラジルにて
家族の夕食の支度を済ます。
サンパウロのお気に入りスポット、ラゼール・セガール美術館へ。
リトアニア出身のユダヤ人で、20代初めにブラジルに移住したアーチストの住居がミュージアムとして開放されている。

ラゼール・セガールの回顧展示は、圧巻の一言。
他に誰もおらず、この空気を独占。

今日の最大のお目当ては、ミュージアム内のシアターでの映画上映。
アン・リーの「ラスト、コーション」。

どうやら、夜の部の観客は僕ひとり。
映写技師のおっさんに「ひとりでも見るのか?」と聞かれる。
そのために夕食も準備してきたんだし…

上映後にもうひとり、入場。
刺殺シーンで退場してしまったようだが。

まことに贅沢な時空であったぞ。


10/22(木)記 日本航空のフシギ

ブラジルにて
昨年末からの非常事態で訪日を繰り返しているうちに、だいぶ日本航空のマイレージがたまった。
赤字経営とのことだが日増しの手抜きサービスの中、だいぶ貢献させていただいた。
マイレージ特典航空券をゲットしようかと、予約サイトにアクセスするが…
3ヶ月先のフライトも空席がないではないか。

すでに日本での仕事も入れてしまったため、ドバイ経由ででも訪日しなければならない。
こちらの旅行社に連絡してみると…
カネを払うチケットだと、こちらの希望する日にちの予約が取れるという。

使えないマイレージというのも困りもので。
大韓航空やヴァリグブラジル航空などは、申し訳ないぐらい歳月が経ってからもマイレージチケットがもらえて、かたじけない思いがしているのだが。


10/23(金)記 香木の街

ブラジルにて
ブラジルの道で売られているのは、女体ばかりではない。
用足しで街を歩いていると、いろいろな物売りと遭遇して面白い。

昨日は郵便局に行く道で、ベルト売りのあんちゃん。
「国産?」
「そうだよ。タトゥアペー(サンパウロ市東部の地名)のイトコが作ってるんだ」
2本、強く勧められるが、まず試してから、と1本買い。
家に帰ってよく見ると、記載などからまず中国製だろう。

今日はコピー屋の店内で。
さえない老人が、サシェ(匂い袋→匂い玉)を売っている。
「ひとつ、いくら?」
「2レアイス(約100円)。三つなら…6レアイスにしてあげるよ」
「三つなら、5じゃないの?」
「じゃあ、5でいいよ」
かつてはよくアマゾンでサシェを買ったものだ。
国産品なら買おうと思ったのだが…
「これ、ブラジルの香木?」
「ブラジルにはユーカリぐらいしかないよ。これはインドのサンダロというとんでもない上物だ。一年たっても大丈夫どころか…」
サンダロ。
ビャクダンである。
ウソでも安いウソだ。
カートに入れる、をクリック。

かつて、アルゼンチン在住の邦人が香木の森を作るというのに関わったことがある。
未来の孫たちを驚かせたい、という発想が面白かった。
インドから大変な作戦を繰り広げてビャクダンの苗を入手したとのこと。
一緒にアマゾンの秘木を調べる旅をした。
残念なことに、ご本人は夭折してしまった。

奇しくも、2週間後にはアルゼンチンだ。
匂いのメッセージか。
アロマメール。


10/24(土)記 恐怖のカギ男

ブラジルにて
サンパウロ国際映画祭が始まってしまった。
主夫業に加えて自分の作品の編集、上映会や訪日の準備でなかなか心にも時間にも余裕がないのだが…
これを逃すと、永遠に観ることの難しい作品がちらほら。

家族での外出の後、思い切って2本、観ることにする。

2本目は、映画館の半数弱の入り。
上映開始後、変なオヤジが僕の隣に座ってきた。
なにか光るものをかちゃかちゃと振り回し続けているのだ。
鎖につないだ物体。
映画館の中で、ペンドロか!?
どうやらカギのようだ。
音がうるさい。
すでにこの行為からして尋常ではなく、注意を素直に聞く輩とは思えない。

シャクだが、席をひとつずらすと、ちゃっかりそこに自分の荷物を置いている。

映像作品は見るべき場所に出向いて、複数で見ましょう、などと吹聴しているものの、こういうマナーもへっちゃくれもないのがいるから、イヤハヤ。
特殊な映画の上映には、特殊な奴が来ることを、再認識。

上映中の携帯電話の使用とカギの振り回しは控えましょう。


10/25(日)記 アマゾンの片隅で

ブラジルにて
今年はアマゾンの日本人がらみで、僕あたりの常識を逸脱する事態にいくつか巻き込まれてしまった。
最悪の事態を免れたことを、よしとするしかない。

今後は「敬遠」させていただこう。


10/26(月)記 狂気の移住

ブラジルにて
今さら僕あたりが言及する話でもないが…
ドキュメンタリー映画というのは、自分の矮小な世界と、現実の「世界地図」の意味合いの世界とのショートカットになりうることがある。

今日のチョイスはよろしかった。
ブラジル南部のドイツ系コミュニティを描く「WALACHAI」。
そしてチリのカルト集団のその後をとらえた「GERMAN SOULS-LIFE AFTER COLONIA DIGNIDAD」(英題)。

後者は、1960年代にドイツから集団移住者がチリの山間部に築いた「コロニア・ディグニダッド」と呼ばれる宗教コミュニティのその後。
このコミュニティでは子供たちは幼時の段階で両親から引き離され、男女別の集団生活をさせられていた。
そして連日連夜、指導者たちによって電気ショックと性的暴行にさらされていた。
このコミュニティはチリの軍事政権、そして秘密警察と絆を結び、当局に拉致されたチリ人たちの拷問・殺害・遺体処理にも加担していた。

人類に共有される負の世界遺産の希少な記録だ。

ファーストカット。
映写事故により、2度、観ることができたが、なかなか。


10/27(火)記 木芋庵詩集

ブラジルにて
わが集合住宅では、朝、郵便物を受け取ることがある。
前日午後の管理人が分類をだらけていたり、別の住居に誤配されたものが戻された時に起こるようだ。

子供たちを送り出して帰ると、朝刊類と共に茶封筒の郵便物が。
在ブラジルの作家、松井太郎さんからだ。
封を開けると、あの手作りの製本。
「木芋庵詩集」、最新作の詩集だ。
同封の手紙に、岡村に手渡したかどうか定かでないので、念のため郵送する、とある。
松井ファンとして、この上のない感激。
まさしく、はしるはしる一読。
さらに感無量。

現役作家、松井太郎、92歳。
サンパウロ国際映画祭で新作が上映されるポルトガルの映画監督、マヌエル・デ・オリヴェイラは100歳で現役だ。
そんな話でも、松井さんのところにしにいこうか。
それには映画もみとかないと…

ちなみに木芋とは、ブラジルでいうマンジョーカ芋。
アジア東部ではキャッサバ、英語圏ではマニオックと呼ばれる。
木芋庵とは、これまた絶妙ではないか。


10/28(水)記 週日もギャラリーめぐり

ブラジルにて
サンパウロ国際映画祭の、気になる作品を観にパウリスタ方面へ。
上映の合間に、これまた気になるアートの展示を。

日本語に訳せば、サンパウロ州工業連合というところの、目抜き通りのビルのギャラリーでコロンビアの現代アート展。
50人の作家の、148点のアート。
日本なら、1000円ぐらいは取られても仕方がなさそうなボリューム。
それが、パンフレットも含めて無料である。

日本の、たとえばチッソ水俣や昭和電工あたりはアート展などすることがあるのだろうか?

思わぬ拾い物の作品と作家を発見。
胸の高まりが収まらない。
このアート展は来年1月まで開催とのことで、訪日から戻ってから、また現物に会えそうだ。

今さらにして、アートの力を認識。
問題は、それをどう流通させて力を共有し、作家の活動をサポートできるかだ。

先回、日本で買った「週末はギャラリーめぐり」(山本冬彦著、ちくま新書)の「芸術家を取り巻く現状と支援」の章が僕あたりの活動とずばりオーバーラップする。

その僕が、アーチストをドキュメントしたのが、おそらく次回作です。


10/29(木)記 究極のアート

ブラジルにて
アーチスト取材のラッシュのチェック作業。
これが、なかなか面白い。

思えばアートとアーチストの取材にも長い前史があった。
ブラジル各地での先史岩絵の調査。
この成果は日本の民放やNHKの番組で発表。
心霊画家、ルイス・アントニオ・ガスパレットさんの取材。
これは「すばらしい世界旅行」で放送。
今世紀になってから、ブラジルでさる日系画家の取り巻きから強く勧められ、取材を始めていた。
しかし各方面からいくつも反則技をかまされ、筆を絶つ、じゃなくてカメラをおろした。

そして…
アーチストとドキュメンタリストはノッている。
さあ他の皆さんにこのノリが伝わるかどうか。
僕なりに、新たな境地への挑戦。

かえりみれば先史アートから霊界アートまで、メディウムとして伝えさせていただいている。
いよいよ、ナマのアートだ。


10/30(金)記 死霊祭り

ブラジルにて
グローバリゼーションの影響で、近年ではブラジルでもハロウインにちなんだ行事が実施されている。
子供の、ハロウイン劇を撮影。

家庭はもとより学校や施設で動きの読めない子供たちの撮影をコマメにしていたことが、「あもーる あもれいら」シリーズで十二分に活きたと思っている。

次回訪日時、横浜の若衆が岡村作品のピークと本人が自覚する「あもーる あもれいら」第2部『勝つ子 負ける子』を上映してくれる。
http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000119/20090929005866.cfm
事前の打ち合わせから楽しみ。


10/31(土)記 殺人マヨネーズ

ブラジルにて
未明、胃がかなりむかつく。
昨晩、家族で大衆シュラスカリア(ブラジル式バーベキュー家)に行ったのだが。
それほど肉をバカ食いした覚えもなし。

朝、連れ合いに聞くと、彼女も少しむかつくという。
「マヨネーズじゃないかしら?」
ブラジルでは、マヨネーズを用いた日本でいうポテトサラダをマヨネーズと呼んでいる。
昨晩、ポテサラには手を出さなかったが、先日、書いたサルピコン風のものはいただいた。
思い返せば、原材料が不明なドロッとした食感だった。

かつてブラジルのリゾートホテルで、ホテルのレストランで出されたマヨネーズ:ポテトサラダを食べた日本人観光客が食中毒で死ぬという事件があったな。
さて、「死者の日」を越せるかどうか。


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