11月の日記・総集編 霊障講座 (2009/12/02)
11/1(日)記 逆出世
ブラジルにて 日曜恒例の路上市へ。 顔なじみの魚屋のあんちゃんに声をかけられる。 「ニーサン、オジェ(今日)、ハマチ、キレイヨ!」
彼らがブリ(ポルトガル語名を直訳すると「牛の目」)と称する魚はけっこうよろしかった。 して、ハマチとは?
切り身でも巨体である。 5分の1程度を購入。 値段もよかったが、きれいに刺身にさばいてくれた。 瀬戸内に育ち、魚にはうるさいこちらの義母が激賞するほどの美味。
さて、これまでブリと呼ばれていた魚は50-60センチぐらいだったろうか。 ところが「ハマチ」はそれより大きい。 何か日本の出世コースとは違うような…
ググッてみると、ブリの養殖ものをハマチと総称することもあるようだが、ブラジルでは海水魚の養殖は寡聞にして知らない。 ふつう、関西で40-60センチサイズのものをハマチと称し、それ以上のものは西も東もブリを襲名するよう。
ブラジルでは、通ぶった半可通の日本人が呼称を間違えて伝道したのだろう。 南半球、日の本の地球の反対だけに逆出世か。
11/2(月)記 タランティーノの夜
ブラジルにて 今日は「死者の日」の休日。 カトリック由来の行事で、日本人移民は「お盆」と呼んだりする。 日本のお盆は死者といっても亡くなった自分の家族、先祖の供養になろう。 こっちはあらゆる死者をしのぶのだから、はるかに懐が深い。
午後、思い切ってサンパウロ国際映画祭にかかる日本のドキュメンタリーを見に行く。 もはや外出の余裕もあまりない。 遅くなるが、もう一本、気になる映画をハシゴすることに。
タランティーノの最新作「イングロリアス・バスターズ」。 「これが映画だ!」「これが映画か?」と感嘆することばかり。 かつてペキンパーがナチスを舞台とした映画を作るとあって、えらく期待したことがある。 「戦争のはらわた」。 失望したことだけ覚えている。 ペキンパー作品では、ドイツ兵も「ちゃんと」英語をしゃべっていた覚えがあるが。 タランティーノ作品はフランス語、英語、ドイツ語、イタリア語が飛び交う。 「敵性語」のナマリがキーとなるようなリアリティ。
当地を代表する週刊誌「VEJA」では、この映画を「戦争コメディ」の分類している。 これがコメディかよ?
それにしてもタランティーノ! みといてよかった。 つまんないドキュメンタリーを何本も見るより、はるかにずっと刺激的。
11/3(火)記 もんもんアート
ブラジルにて ついに猛暑襲来。 午後、街に出ると、34度との表記。
次回作「下手に描きたい」のラッシュのチェックを再開。 最初はラクショー気味でまとめられるかと思っていたが… 作品として成立しうるのか?
ひとりで悶々。
11/4(水)記 初予告
ブラジルにて 次回作、一気にまとめ上げたいところ。 しかし明後日からはアルゼンチン遊行。 帰った翌週から訪日である。 どうみても、タイムアウト気味。
次回作の予告編を作ってみよう。 テレビディレクター時代は予告編制作も業務のひとつだった。
プチトラウマがよみがえる。 フリーディレクター時代のこと。 プロダクションからつけられたADに、アホな予告編を作られてしまったことあり。 プロデューサーから、こっちまでアホ扱いされて。 まあ、アホは抜きに一人でやるに限る。
自主制作を始めてから、予告編を作るのは初めて。
まずは使用カットのチョイス、抜き出しまで。
11/5(木)記 おとずれ
ブラジルにて 本業の方の予告編制作と並行して、アルゼンチンに持参するおそらく上映会初公開のアルゼンチンロケ作品の準備。 念のため、DVD焼きした作品をチェックすると…
音声が数フレームずれているではないか! 原因不明。 どうやらDVDライターでのコピー作業中に生じたようだ。 直せるものなら、直さないと。
もう一度、やり直してみる。 どうしてこういう事態になったのかわからないのだが、このSONYのDVDライターで一枚に複数の作品をコピーすると生じるトラブルと見た。
いやはやまったく。
11/6(金)記 軍人ノ鑑
ブラジル→アルゼンチン アルゼンチンはブエノスアイレス・エセイサ国際空港に到着。 入国審査官が英語で尋ねる。 「あなたは軍人ですか?」 ど、どうしてバレた!?
入国カードの亜国滞在先に、軍国時代の日本語で訳せば「陸軍会館」と書いたためだろう。 不思議な経緯で、今回のアルゼンチンでの宿泊先は陸軍会館のゲストハウスとなった。
生まれてこのかた、軍人と見まがわれたことはおそらく初めて。
結局、ブエノスアイレスの中心街にある軍人会館では軍服姿の人は一人も見かけなかった。 みな諜報関係者か?
11/7(土)記 ブエノスアイレスのよい空気
アルゼンチンにて さあ、いよいよアルゼンチン初ライブ上映会。 昨日、機材と素材の相性のチェックもしているので、あの日本でのトラブルの時のように僕とブラジルが不本意にののしられることもないだろう。 技術担当が会場にいるので、なんとも安心。 今日、近くで見ると、常時、流れる映像のノイズが気になるが、もはや。
上映作品は「アルゼンチンの被爆花嫁」「第二の祖国に生きて」「60年目の東京物語」の3本。 「アルゼンチンの被爆花嫁」は今回の上映企画の立ち上げに奔走してくれたアルゼンチン生まれの若い日系人がぜひ観たい、と言ってくれたので盛り込むことに。
僕には数え切れない人の数。 主催者側によると約200人、よくぞ集まってくれた。 ブラジルもアルゼンチンも越えた、移住者としての熱く濃い共感と感動の空気に包まれる。 2作目からは、いい笑いがたっぷり取れる。 感無量。
ブエノスアイレスとは、「よい空気」の意味である。 語源は諸説あるようだが。 筆舌を超えたよい空気が上映会でかもし出されたことを書いておきたい。
11/8(日)記 アルゼンチン酒池肉林
アルゼンチン→ブラジル いやはや酒池肉林の日々。 サケはアルゼンチンの赤ワイン、ニクはアサードと呼ばれる牛の焼肉。
おかげさまで上映は、大成功の部類。 ウルグアイから差し入れしていただいた赤ワインが残っている。 昨晩、差し入れていただいた太巻き寿司をサカナに、今回の上映のプロデューサー・国司さんと朝ワイン。
今回の主催である在亜沖縄県人会連合会(オキレン)の役員さんが、空港に送る前にオキレンの運動会を見ませんかと誘ってくれた。 美術館はまた今度にすっか。
郊外の高級別荘地の広大な敷地にある「うるま園」が会場。 ぶったまげる規模である。
まじめに競技する若者たち、ゲートボールに熱の入るシニア連、バーベキューの仕込みに取り掛かる人びと、スペイン語でのおしゃべりに夢中なセニョーラたちなど、さまざま。
役員さんたちが1リットル瓶のセルベッサ(ビール)をすすめてくれる。 ウチナーグチとスペイン語が混ざった会話… 出来立てのチョリパン(ソーセージのバーベキューをはさんだパン)をいただきつつ。 フライトぎりぎりまで、セルベッサ早飲み競争。
11/9(月)記 日本航空の名誉のために
ブラジルにて アルゼンチンの余韻を引きずりながらも、来週に迫った訪日の諸々ばたばた再開。 先月、マイレージ特典では3ヶ月先の予約も取れないと拙日記でボヤいた日本航空。 今月発、12月初めの帰りなら空席が取れるとメール連絡があり。 12-1月はそもそもマイレージでの空席ゲットが難しいことがよくわかった。 この件へのJALアメリカオフィスへのクレームも、一応の返信をいただいている。 マイレージで切符をいただいても、さっそく倍返しをさせていただくつもり。 理想的な関係ではないか。
ところが、JALの機内サービスの低下は身をもって知っているが、同じワンワールドのアライアンスでのフライトなら、アメリカン航空の方がサービスがよろしいとのウワサが。 アメリカンも体験してみないとなんとも言えない。 JAL応援のために、あえてアメリカンも乗ってみるか。 ヤブヘビにならなきゃいいけど。
負けるな日本!
11/10(火)記 闇に蠢く
ブラジルにて 夜10時過ぎ、停電。 我が家は高層アパートなので、そこそこ俯瞰がきく。 街中の停電だとわかる。 大通りの信号も消え、さっそく道路はパニック状態。
拙宅のメインの目覚まし時計は、ラジオつき。 取材に持っていった懐中電灯のありかも把握している。
ラジオ各局の断片的な情報から、国家的な規模の大停電だとみられる。 1999年のマルチナショナル大停電を思い出す。
僕の最後のテレビ用番組に、そのあたりもひっくるめようとしたが、見事に没にされてしまった。 このあたりは、橋本梧郎シリーズの次回作に含ませるつもり。
11/11(水)記 「姪の結婚」
ブラジルにて 「姪の縁談」だったっけな?と迷い、ネットで検索。 新たに意外なことを知る。 「姪の結婚」の題で始まった井伏鱒二の小説「黒い雨」。 今村昌平の映画化の前にテレビドラマ化されており、主人公を演じたのは、森繁久弥とのこと。
訪日まで、本業の方を追い込むには中途半端な日にち。 日本の姪の結婚式を撮影して、撮影素材を未編集でVHSにダビングして渡してあるだけだった。 素材は5時間分あるが、思い切って編集に着手。
タイトルは「姪の結婚」とさせてもらおう。 井伏を読みたい。
11/12(木)記 道具の使用法
ブラジルにて インターネットはバカとヒマジンのツール、といった書名の新書が出たようで。 言いえて妙。 訪日したら、さっそく買おう。
僕がHP日記を始めるきっかけとなった先達は、作家の星野智幸さん。 星野さんが最近、ツイッターにオハマリのようだ。 最新作の執筆に行き詰まり、苦し紛れに、とおっしゃる動機がステキ。 どんなものか、愚生も登録して、2度ほど発語してみた。 ミクシィにもいつの間にか類似の機能がつけられていて、見たくもない表示拒否をした相手のひとことメッセージもトップ画面に現われて、これはまことに気色が悪い。
さて僕の方は毎日更新を課題としたHP日記で十分、と判断。 ツイッターはほぼ放置してあった。 星野さんによると、ツイッター小説まで発表し始めた作家がいるとか。 俳句や短歌、シリトリ、ダジャレ合戦なんかにはいいかもしれない。
別件で、ブラジルにこだわり続ける在日本の友に連絡を取る。 彼が、日本語とポルトガル語でツイッター発信を始めたのを知った。 両国および世界の深刻かつ現在進行形の社会・政治・人権・環境等の問題の情報を提供している。 いたく感動する。
こういう使い方があった。 思えば、この友が「パソコンを使わない旧石器時代」の岡村をあわれんで、ちょっとしたことへの謝礼として日本からデスクトップとモニターを担いで来てくれたのだ。 彼は、インターネットという言葉が普及する以前からの使用者、伝道者だった。
バカとヒマジン、そして金儲けとスケベのツール化しがちなものの本質をとらえて、世直しを目指す。 ヒトに進化があるのなら、道具の的確な使用が課題だろう。
荒野に道を拓かんとする友に恵まれていることは、何よりの宝。 ツイッターは受信者として使用させてもらおう。
11/13(金)記 アマゾンの怪談
ブラジルにて ホームビデオの編集と、外回り、頼まれ品の購入。 近くに出たので「Bumba」編集部に寄る。 橋本梧郎先生追悼号は、来週には発行とのこと。
細川編集長と、最近お互いが遭遇した奇譚を披露し合う。 今年、拙日記でほんのサワリだけ記した「アマゾンの怪談」がウケる。 怒りをホメオパシー級に希釈して、さらにワラえる話に変換してBumbaの次の連載あたりで書いちゃおうか。
11/14(金)記 犬と牡蠣
ブラジルにて 夜、家族のお祝いでコリアンタウンのレストランに繰り出す予定だった。 ところが、事件発覚。 サンパウロ郊外でコリアンレストランにおろすため、犬猫を飼育していた業者が逮捕された。 野良犬や野良猫を捕獲して太らせて、多様な食文化に貢献していたわけだ。 しかし、猫も食べるのか? 猫はハンバーガーチェーン行きか?
さて、家族の半数がキモチ悪いからコリアンはイヤとのこと。 犬のような高級なものを食べるわけではない、逆にレストランも何軒か営業停止にされたというホットな今こそ、清潔で慎重なものが食べられる、と説得するがムダ。
けっきょく我が家から徒歩の範囲内にある生牡蠣や魚をサーブする店に。 アマゾンには犬魚と呼ばれるのがいたな。 そういえば、ナマズはキャットフィッシュか。
11/15(日)記 食べ収め・飲み収め
ブラジルにて 出国前日。 「姪の結婚」ビデオの編集とダビングに終始。 思わぬエラーがいくつか生じるもの。 こういうのは、ゆるめのスケジュールを組んでおくに限る。
冷蔵庫の残り物もあまり片付かず。 飲みかけのアルコール飲料ぐらいは清算しておこう。
ウルグアイからアルゼンチン上映にお越しいただいた方にちょうだいした、ウルグアイワインの残り。 ブラジル産のちょっとしょっぱいカマンベールチーズをサカナに。 ペットボトルの小瓶に詰めた義母のつくったジャボチカバ(木ぶどう、と移民は呼ぶ)のリキュール。
刺身用に買った重さ3キロのアジは、ちょっと大アジだった。
11/16(月)記 小さな死
ブラジル→ オルガスムのこと、じゃなくて。
ブラジル出発まで1週間をきると、じわじわと感じるようになって来た。 来週の今日は、もうこれができないんだな、と。 日常がストップしていく。 前日、当日、出家数時間前とその思いがのぼりつめていく。
空港到着、飛行機離陸と共に加速度で日常から切り離されていく。
日常へのリフレッシュ効果を望むばかり。
11/17(火)記 ワードレス
→アメリカ合衆国→ ブラジル出発直前にいただいた日本の新聞へのエッセイ執筆依頼。 日本到着日が締め切り。 機中でしたためることにする。
そもそもサンパウロのJALのラウンジは有線が故障中、無線LANも接続不可能。 そんななか、拙ノートパソコンのワード機能がなくなっているのに気づく! 先日、PCを初期化した時にぶっ飛んだのだろうか。
むむむ、どうする? 機中で、オフラインのアウトルックエクスプレスのメッセージ部分に字数を数えつつ、書き込むことに。 トランジット時、ニューヨークのラウンジでラインはつながるが、ワードは無料ダウンロードできないことを知る。
再び機中。 へろへろと字数を数えつつ、指定量に合わせて、ひたすら削りまくる。
11/18(水)記 機長の私事
→日本 明るい房総半島が視界に入る前だったろうか。 機長が機内アナウンスを始めた。 成田の状況報告の後、「私事でありますが…」と始まる。 耳を開く。 これがパイロット生活40年の最後のフライトとのこと。 そして、いろいろ憶測されている日本航空は「必ず」再建します、との結び。 年金が心配かよ、などというツッコミは抜きによろしいものだった。 ついで機長が「私事」は抜きだが英語、ポルトガル語でアナウンス。 カタカナ読みでもポルトガル語に挑む志は結構ではないか。
じわじわとサービス部門を縮小しているのは、機上でも実感。 今回は食事時に付き物だった塩とコショウの小袋がなくなった。 次回は、爪楊枝がなくなるか。
さて、こっちの私事もおかげさまでつつがないようで、感謝。
11/19(木)記 こんにゃくヌードル
日本にて 先回、日本をあとにしてから3ヶ月も経っていない。 変わるもの、変わらぬもの。
日本の日常をちびちびと再開。 スーパーマーケットの買い物。 こんにゃくパスタ、こんにゃくラーメンというのを発見。 いずれも100円を切るお手ごろさ。
両方とも買って、ラーメンの方を食べてみる。 麺の色は伝統的ラーメン風の黄色だが、お味はズバリこんにゃく。 ヘルシー感、ライト感たっぷり。
サンパウロでも、こんにゃくとしらたきは手に入る。 むこうでもやってみようか。
11/20(金)記 枕崎イン
日本にて 未明に東京の実家を出る。 早朝の品川からの「ひかり」は、昨日の時点で喫煙席しか空席がなかった。 タバコの煙に長時間、いぶされるのは耐えられない。 東京駅まで早めに行って、自由席を狙うことに。 ラクショーで席が取れた。
JRを乗り換えること6回。 12時間以上かかって、JR南の最果て枕崎駅へ。 すでに真っ暗。 迎えに来てくれたスタッフの方々と上映会場・南溟館で機材チェック。 木づくりの、親しみやすい会場。
地元の珍味とさつま白波のお湯割をご馳走になる。 アートもサカナ。 関係者の方々が、明日の上映のために奔走してくれていることがひしひしとわかる。 ありがたし。
11/21(土)記 枕崎の珍風
日本にて 早朝より一人で不審に歩いたり。 主催者の方に市内を案内していただいたり。 かつお節の街・枕崎。 かつお節がこれほど奥深い味わいをもつとは。
サツマイモ生ビール三色セット。 これだけのために日本JR最南端発着の地・枕崎に来てもいい。
上映の前の岡村のいんちき話にも、多数お集まりいただいた方々のノリがよく、うれしい限り。 枕崎が、かつお節と共にいぶして育てたアーチスト・森一浩さんのご紹介とご尽力、信頼にすっかりあやかってしまった。
森画伯については、岡村の次回作をご参照あれ。 お楽しみに!
11/22(日)記 山の上映会
日本にて いったん薩摩をあとにする。 博多駅でブラジルコネクションの青年と再会。 一路、西へ。 脊振山地、峻険なり。 ウエスタンテイストの山荘にて、近隣の人らと共に拙作鑑賞の集い。
たまたま集った人たちだったが… 長崎でブラジル日系人母娘の営むスナックに通っていたという人。 父親がかつてブラジル密航を企てたという人。 妹がブラジル音楽にハマって、ブラジルに滞在していたという人。 いちばんブラジルと関係なかったのが、僕。
まことに奇妙。 そして青年から、思わぬ告白が。
11/23(月)記 弥生経由
日本にて 古場岳山荘の夜明けは、寝ているのが惜しいすばらしさ。 部屋からの眺めに飽き足らず、付近を散策。
昨晩の上映仕掛け人らと、下山。 途中、ぬるい温泉にゆっくり浸かる。 吉野ヶ里遺跡を見学しようということに。
車窓から見る楼閣は、圧巻。
一行の運転手は「アルゼンチンってヨーロッパにあるんでしたっけ?」ぐらいの世界・歴史観の持ち主。 彼らにも興味が持てるよう、この遺跡の意義を解説。
こういう遺跡も、再現ジオラマや映像で、誰かのイメージに規定されちゃうのが残念な気がする。 袖触れ合う観光客たちのツッコミは、なかなか鋭い。 それぞれの豊かなイメージ喚起のお手伝いぐらいをしてくれればいいのだけど。
一行と別れて、再び!鹿児島川内へ。 天然温泉付きに負けて選んだホテルは、ネット状況が異常に悪い。 近くに原発があるのと関係があるのだろうか?
11/24(火)記 薩摩川内・原子原始幻視
日本にて 夜中なら少しはネット状況がよくなるかと思い、トライするが、かえってひどい感じ。 一晩かかってファイルどころか、メール1本開けられない。 朝になり、フロントにクレームすると、他室からクレームはないとのこと。 別の部屋のを使わせてもらうと、数千倍の速度の差。 さっそく急ぎのメールを打ちまくる。 一晩、徒労をしてしまったぞ。
鹿児島純心女子大学は、スペイン風の建築、スペイン瓦を用いているという。 チャペルの内部は、あっと驚く作り。 観光スポットにしてもいいぐらいかと。
肝心の講演は、キャパが800人という巨大な会場。 鉄人28号と奈良の大仏を一緒に収納できそうだ。 講師の唾液の飛沫を避けてか、前方に女子学生たちは座らない。 しかも壇上でライトを浴びているので、聴衆の反応が汲み取れない。
主催者が選んだ演題は「ブラジルから見た日本、鹿児島」。 1時間30分、どうつぶそうかと思ったが、やや時間が足りないぐらいの、いい感じだったかと思う。 疲れ果てる。
余裕を見ておいた列車の時間まで、担当スタッフが市内を案内してくれるという。 最近、発見・発掘されたという古墳、そして古社。 どちらも、とってもそそるものが。 里に下りると、製紙工場がもくもくと煙を上げていて、近くに行くとあの悪臭が漂っている。
市内に厳存する原子力発電所の存在を、教員、シスター、学生、保護者がどのように受け止めているのか、話を聞きたかった。
11/25(水)記 三ツ山の種まき
日本にて 長崎のリオデジャネイロな坂のミュージアムを朝イチで見学。 ついで長崎のブータンと呼ばれる三ツ山の長崎純心聖母会・長崎純心大学に登山。
大学の一年生たちに「あもれいら」②を授業の時間内、75分ばかりお見せする。 反応は、いたくよろしかった。
シスターたち、職員の有志の人たちにお見せする夜の上映会に、昼間の学生たち何人かが来てくれたのは格別にうれしかった。
種をまいた、という実感。
11/26(木)記 色相と肌触り 長崎
日本にて 三ツ山を下山。 出島の先にあるミュージアムへ。 「東松照明展 色相と肌触り 長崎」、これがいたくよろしかった。 偶然と確信の写真空間。 東松さんのあり方に、すこぶる共感・共鳴する。
ミュージアムショップでかなり散在してしまった。 あと味のいい金遣い。
小倉経由で大阪へ。
11/27(金)記 上方アートウオーク
日本にて 大阪市内で、ミュージアムを二つハシゴすることにした。 懐かしい響きのある、喫茶店のモーニングサービスで腹ごしらえ。 ホテルの別料金朝食の半額以下で済む。
市立美術館の「小野竹喬展」は作家の17歳から89歳までの仕事を網羅している。 まさに人生という大河絵巻物の迫力。 常設展でも意外な広いものあり。
またまた図録等、買い込んでしまった。 中崎町のアラビクさんへ。 書籍とこだわりコーヒーのお店。 http://arabiq.jugem.jp/ 大阪で美術館の図録あたりをかかえて、アラビクさんで一服するのにあこがれていた。 お店で12月に行なうという豆本展にそそられる。
11/28(土)記 コリアンフラワー
日本にて 来週、金沢文庫での上映会実行メンバーと横浜関内で打ち合わせ会食。 コリアンレストランにて。
席に着くと、近くにいた小学生低学年ぐらいの少女が、こっちの女性メンバーに切り花を差し出した。 その心は? 「コノ子ハ、日本語マダワカリマセン」 と、母親らしき女性が言う。 ブラジルなら、子供の花売りも夜の飲食街で見受けられるが…
「アンニョンハセヨ」と「カンサハムニダ」だけでは細かいコミュニケーションが成立しない。 営利目的ではなく、大人の女性に花をあげたいという少女心と見たが。 ブラジルのBISチョコを返礼。
ブラジルでもアメリカでも、僕の行ったコリアン飯屋は突き出しの小皿が何種類も無料で提供された。 僕の知る日本のコリアン飯屋にこうしたサービスがないのが残念だったが、この店は小皿サービスあり。
マッコリにキュウリスライス酒で盛り上がる。
11/29(日)記 霊障講座
日本にて 今日は、PARCさんの講座。 連続講座の中のひとコマを拙者が担当。
どうせなら、ということで西荻窪のブラジリアンスポット、APARECIDAさんでブラジリアンランチをいただき、グアラナ、カイピリーニャでもすすりながら、ということになった。 本来のメンバーとは初顔合わせだが、昨年のOBOGも参加してくれて、ありがたい限り。 ランチの段階でけっこう相当盛り上がる。
で、肝心な上映に入ると… 結局持参したいずれの作品のDVDも、お店の2台のDVDデッキできちんと読み取らないか、まるで受け付けない。 このお店ではすでに再三上映しているし、数日前に上映してきた同じDVDなのだが。
岡村のいんちき話だけで切り抜けようとするが、店主のWillieさんが以前、岡村からもらったDVDがあるはず、という。 こちらは、まるで覚えていない。 現われた作品は「ピカソが絵を描く!ブラジルの心霊画家」。
その後の「霊妙」な進展は、ミクシイにWillieさんが発表して、これまた盛り上がっている。 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1351072877&owner_id=177110&comment_count=12
PARCの方は改めて12月に補講をしようということに。 そもそもの作品を見ずして、これだけ盛り上がっていただけるとは。
11/30(月)記 旅疲れ飲み疲れ
日本にて 九州場所から戻ってすぐ、2日間つづいてディープな飲み会が続いた。 今日はゆるく実家のこと・身辺のことを処理。
歳末初冬の故郷目黒を歩く。
|