1月の日記・総集編 カールじいさんとゴロー先生 (2010/02/01)
1/1(木)記 @ホーム
日本にて 2年続けて、日本で年明け。
元旦は東京の実家でアットホームに過ごす。
なかなかつくづく移民とは、親不孝なものである。
1/2(土)記 正月酩酊
日本にて 正月。 TVディレクター時代の上司を訪ねる。 思いもかけない話をうかがう。 ドキュメンタリストの、根本にかかわる問題。
さらに、美酒と手の込んだご馳走の数々。 すっかり酩酊。 新年の反省。
1/3(日)記 新春フェジャ
日本にて 昨年末の好評を受け、実家で正月早々フェイジョアーダづくりを再現。 未明から始めるが、豆の水漬け時間が、ちと少ないかと心配。
先回以上に安定した味になった感じ。 この岡村バージョンの味を覚えて、実際にブラジルの庶民版フェイジョアーダに接したらショックだろうね…
昨日の酩酊に懲り、フェイジョアーダにつきもののアルコール飲料バチーダ・デ・リモンは自粛。
先回、乳児から老人まで、食後のお通じがよいというのも好評だった。 今回はフェイジョアーダとお通じの因果関係を確認するいい機会。
1/4(月)記 心霊リカ
日本にて 久しぶりに銀座のおもちゃ屋でリカちゃんコーナーを訪ねる。
リカちゃんの歳は変わらずとも、付随するものの変化には目を見張るものが。
巫女さんセットなんてのがある。 ハーフの巫女なんて、ブラジルでもなかなかお目にかかれないぞ。 ルノワールリカちゃんなどというのも。 ルノワールの絵画に登場する、白と青の女性の衣装。
セーラー服類もいくつかある。 極めつけは、女子美リカちゃん。 女子美術大学付属高等学校の制服のリカちゃんだ。 シャレにもならないが、これの付属品のノートに「H3桜 香山リカ」とある。 リカちゃんは、美術系を志したのだ。
リカちゃんに会う機会があったら、ブラジルの心霊画家の話でもしてみるか。
1/5(火)記 肉食正月
日本にて 離日を前に。 いくつかの打ち合わせと、買い物。 見ておきたいアート展があるが、生きていくうえでの優先順位がある。 タイムアウトで割愛。
夜。 横浜、大口駅のステーキハウスガウシャに伊藤修さんを訪ねる。 せっかくだから、コースのステーキをいただくが… うまい。 今までより、どの肉もおいしくなった感じ。
年末。 大阪で、ブラジルコネクションの友人知人たちの集い。 著名ブラジル人の経営するというシュラスカリア(ブラジリアンバーベキューハウス)で行なわれた。 まず、高い。 肉が恐ろしくなかなか出てこない。 肉をサービスするブラジル人店員のノリが悪く、クラい。 日本で何軒かシュラスカリアを体験しているが、総合すると僕には最低クラス。 ブラジリアンサラダで、ゆでたモヤシを置かれてもねえ。 店のコストを下げずに、客のコストを下げてもらわないと。 ブラジルの大衆シュラスカリアが恋しい。
伊藤さんのガウシャは大阪著名人店の10倍はうまかった。
以下、お店の情報を。
「ガラス張りの店内は中南米を思わせる暖かい雰囲気のお店」オーナーこだわりのアンデスの幻の岩塩を使用。 炭火でじっくり焼いたブラジリアンメニューの数々。 南米グリルコース料理専門店。 ラテン音楽も最高潮♪
★ご予約&お問い合わせ★ 伊藤 080-6675-1552 こちらまでお願い致します!
神奈川県横浜市神奈川区入江2-4-18
080-6675-1552
JR横浜線・大口駅西口を出て、線路わきを東神奈川方面に50m、左側の100m先、徒歩3分
ラストオーダー22時30分。ランチは11時30分から15時まで、ディナー18時から00時まで。
この店はステーキハウスといっても日本によくあるタイプのステーキハウスではなくマスター曰くパナマ風のステーキコーススタイルが売り。 よい素材の肉を炭火で焼いて余分な脂を落とし岩塩だけで調理。 ニュータイプのステーキハウス店
ガラス張りの店内は、おしゃれ空間。 中南米っぽい、とっても暖かい雰囲気。 是非一度ご来店下さい!!
1/6(水)記 解放の神学VS聖母マリア
日本にて 離日前日。 実家の諸々。 日暮れより、西荻窪へ。 APARECIDAさんでの上映会。 今日の2作品をチョイスしてくれたWillieさんは、現在ブラジル。
「生きている聖書の世界」なんて命名者がいっちゃオシマイだが、今どきの日本的感覚からすると、かなり相当ウサンくさいタイトルの作品かと。 プラス「フマニタス」を上映。 数人ぐらいでしんみりと、と思いきや。 満員御礼になってしまった。
上映後の対話で、僕自身が深く学んでしまった。 昨年末以来、APARECIDAは僕にとってますます濃い出会いの場となっている。
それにしても、大阪のブラジル人有名人の店はなんだったのかと思うぐらい、アパレシーダのカイピリーニャはうまい。
1/7(木)記 新聞情報
日本→ ばたばたの離日となる。
成田のラウンジで、日本の新聞をいくつか手に取る。 滞日中、地方移動の時は地方紙購入を欠かさない。 ネットカフェでも余裕のある時は新聞をピックアップするが、そもそも新聞を削るネカフェ・マンキツが増えた感あり。
新聞の文化欄、エッセイ等が絶妙に面白い。 ・テレビは鏡-鑑たりえるか。 ・愛媛県上黒岩遺跡の縄文時代殺人事件の再考察 ・「二重被爆」の山口さん逝去とキャメロン監督の訪問 ・父の介護を契機に、自宅を人の集まる文化スポットにしてしまったノンフィクション作家
今日だけで、あとから思い出すだけでも、これぐらい拾えた。 新聞を読み、守り、育てないと。
1/8(金)記 カールじいさんとゴロー先生
→ブラジル これはびっくりした。 JALの機内で流れる映画「カールじいさんの空飛ぶ家」。 なんと、妻をなくした老人が、明らかにギアナ高地をモデルとしたロストワールドに挑むという話。
老人とギアナ高地。 拙作「ギアナ高地の伝言 橋本梧郎南米博物誌」(2005年)はディズニーを先取りしていたぞ。 天下のディズニーが、老人の冒険譚とは、泣かせてくれるではないか。
以下、プチねたバレ。 主人公のカールじいさんが「パラダイス・フォール」の地で出会う人物… これが拙作「郷愁は夢のなかで」の主人公、西さんそっくり。 橋本梧郎VS西佐市。 こうなるともう、星野智幸ワールドである。
そういえば、初夢ぐらいで橋本先生が静かに微笑んでいたような。 ちょっと近年、アーチストたちの記録に浮気をしているが、今年中には橋本梧郎最後の2部作の編集制作に着手するつもり。
1/9(土)記 蛹の日
ブラジルにて 猛暑のサンパウロ。 けっきょく今日は一歩もアパートメントからアパートせず。 でれでれと、時差に身をまかす。
北半球の冬を想い、来週のミッションに備える。 さなぎちゃん。
1/10(日)記 アマゾンを越えて
ブラジルにて 日中、外に出ると灼熱の陽射し。 くらくらである。 アマゾンより強烈かも。
妻の実家で、顔面や腕を蚊にくわれる。 これも久しぶり。
さあ、明日から毛穴を引き締めに行くぞ。
1/11(月)記 散髪エコ
ブラジル→ 日本では、格安理髪店に行く時間もなかった。 出陣を前に、髪がうっとうしい感じ。 東洋人街の移民床屋にアポを取り、断髪。 床屋でうとうとする、至福のとき。
帰宅後、洗髪すると。 毛髪量が数分の一になった感。 シャンプーの量も少しですむ。
切った毛髪の有効利用があれば、ますますエコだ。 人毛がハイテク分野で使えるという新聞記事だったかを読んだ覚えあり。 これだと、そうは量を必要としないようだが。 料理のトッピング、隠し味に? これも量ははけないし。
1/12(火)記 怪獣映画かも。
→アメリカ合衆国 アメリカに、トランジットじゃなくて入国。 全身カメラ化。
いつ、どうなるともまだわからない。 怪獣映画のノリの作品かも、なんて今日、現場に着いて想う。
1/13(水)記 メトロポリタン遭難
アメリカ合衆国にて 三鷹の森ジブリ美術館では、ここでは閲覧順路など設けず、迷子になってほしいという宮崎駿さんの願いが書かれていた。
ニューヨークメトロポリタン美術館。 ジブリで迷子になるぐらいの向きなら、こっちでは遭難してしまうだろう。 壮大な美の迷宮。
迷宮入りと後では、なにか自分が変わったような気すらする。 アートのイニシエーション。
1/14(木)記 黄昏の冬枯れ
アメリカ合衆国→ 冬の北半球の日は短い。 夕方、JFK空港に向かう。 残雪は闇に沈んでいく。 シルエットとなる落葉樹林。 美しい。 そう感じる自分。 芽吹きの予感か。
1/15(金)記 高原都市サンパウロ
→ブラジル アメリカ大陸を南下。 ひと晩のフライトでサンパウロへ。
冬のニューヨーク用のコートが重い。 と、冷房の効いている空港を出ても、けっこう涼しいではないか。
出発時は、うだる暑さで、北米に避暑に行ける楽しみすら感じていたのだが。
さあて宿題がいろいろたまったぞ。
1/16(土)記 勇気と忍耐
ブラジルにて ニューヨークと夏時間のサンパウロとは、3時間の時差。 その前の日本との時差の余韻もあり。
ひたすら「沈まぬ太陽」(山崎豊子著)文庫バージョンを読みふける。 最後に成田で残り全巻、買っておいてよかった。
著者のあとがきより。
今回は非常に勇気と忍耐のいる仕事であったが、その許されざる不条理にたち向い、それを書き遺すことは、現在を生きる作家の使命だと思った。
共感、喝采とともに、姿勢を正す。
1/17(日)記 ニベもあり
ブラジルにて 先週よりは早い時間に買出しに出るつもりが、今日も昼近くになってしまった。 さあどんな魚が残っているか。
マグロの腹の方をゲット。 あと一品、刺身用に…
おじさんがまずスズキをすすめる。 スズキは先週、買ったし、値段が高い。 スズキよりちょい安のカンブク(CAMBUCU)というのを買う。 以前にも買ったことがあるので、そう間違いはないだろう。
サンパウロで売られる多くの魚に、日系人客向けにテキトーな和名が付けられている。 このカンブクはそれを拒み続けてきた筋金入りの魚だ。 見た目、味わいもスズキに似ているが。
ポル語でググッてみる。 最初に当たったのは、学名の記載からしてシロートの愚生にも間違いだろう、というシロモノ。 ネットで出てくる資料は批判的回路がないと使えない。
ポル語と日本語のサイトをいろいろ当たり、スズキ亜目ニベ科ナカニベ属の魚らしいとわかる。 「ニベもない」のニベはこの魚から来ていることを知る。
カンブクとは、橋本先生流にいえば「土語」だろうが、土語の意味合いも知りたいところ。 締め切り迫る書き物もたまっているし、とりあえずはこの辺にしとくか。
1/18(月)記 THIS IS BRAZIL
ブラジルにて 自動車の所有税と強制保険の支払いが今日まで。 この二つの支払いはセットになっている。 動きの鈍いデスクトップPCとプリンターをやっとこさ機動させて、オンラインで銀行での支払い用紙をプリントアウト。
口座のある銀行の自動支払機で。 プリントアウトしたバーコードを読み取らない。 交通局の登録番号を入力して、トライ。 まずは所有税の支払い、OK。 さて同じ手順で強制保険の支払いを試みる。 ところがエラー。 交通局に問い合わせろとのこと。 手順や支払機を変えてもNG。
しょうがない、番号札を取ってカウンターで支払い可能かやってみよう。 小1時間待たされて。 銀行のおねーちゃんいわく、この銀行では所有税の支払いは受け付けるが、強制保険は受け付けないとのこと。 支払先は同じなんだが。 どこの銀行なら受け付けるか、と聞くと、知らない、とのこと。
近くのブラジル銀行に行くと、口座所有者以外の支払いはダメといわれる。 もうひとつの銀行で支払いオッケーとあんちゃんに言われるが、列に待つことまた1時間近く。 あんちゃんの言うとおり、払えた。 払えただけでもありがたく思えってか。
自動車関係の支払い手順は、毎年ガラガラ変わる。
銀行待ちの列では、イスなどない。 日本なら本を読むか、ケータイメールといったとこか。 ブラジルではほとんどの人が無為に時を過ごすか、近くの人とのばか話。 この時間を土いじりや学習にでも費やせたら、この国の「民度」もさぞかし…
1/19(火)記 THIS IS BRAZIL-part2
ブラジルにて 昨日、銀行のハシゴのあとで。
拙宅の電球が2個ばかり切れていた。 現物を持って、近くの電気屋へ。 ひとつは60ワット、もうひとつが100ワット。 「これらと同じものをください」 カウンターの女は無言で球を捜しに行った。 球を二つ持ってきて、女は伝票を書き始めた。 遠めに電球の球の紙ケースを見ると、2個とも60ワットとあるではないか。 「ちょっと、ひとつは100ワットを頼んだんだけど」 むっとする女。 一拍おいて、100ワットはない、という。 「ないって、存在しないってこと?それとも今、在庫切れなの?」 「…在庫切れよ。」 「じゃあ、いつごろ入荷するの?」 「知らないわ」。 家庭の事情もあり、電気屋のハシゴまではしていられない。 背にタマはかえられず。 60ワットを2個、購入…
帰宅してタマ付け。 と、ひとつが異常に暗い。 記載を確かめると、暗い方は220ボルト用ではないか。 レシートには2個とも127ボルトとあるのだが。
今日の雑用のひとつは、タマの交換。 こちらのミスだといわれかねない。 アテンドしたのは男の店員。 レシートを確かめ、220ボルトの球を元の棚に戻すと、無言で127ボルトの球を差し出した。 もちろん無愛想そのもの。
暗い電気屋、ってとこかね。
1/20(水)記 迷走原稿
ブラジルにて 6千字という「字圧」に屈して、訪日中に書き出した原稿。 拙HPでも紹介させていただいているガリ版刷り!ミニコミ誌「あめつうしん」の田上編集長じきじきに頼まれてしまって。
最近の「あめつうしん」をいくつか読んだうえで「傾向と対策」を検討のうえ、書き出してみたのだが。 毒々しいばかりで、まるで迷走状態。
こんなんでいいんですかい? と書きなぐりの経過を田上さんに何度か送っておいた。 その度、巧みに乗せていただいて…
「アマゾンの怪談」について書くつもりが、それどころではなくなってしまった。 とりあえず書き上げたものをお送りした。 と、字数のオーバーもあり、2回に分けたいとのこと。 Wordの計算と、そんなに字数の誤差があるとは。
前後編とするには、それなりにそれぞれ読みきりの味わいとつじつまを合わさなければ。 さらにリライトを重ねる。
なんだか、けっこうサマになった感じ。 図らずも、最初に田上さんが希望されていた趣旨に整合する内容になってしまった。 できる編集者に併走してもらえる原稿は、書き手としても格別。
ちなみに、メールのファイルでやり取りしている原稿がガリ版化されるというのがよろしいではないか。
1/21(木)記 クルージング便
ブラジルにて ブラジルに戻っての懸念事項のひとつが、年賀状の返信。 新暦の小正月も明けてから、いまだに日本からのカードが届く。
我が家の近くの郵便ポストが撤去されていたのもうっかり忘れていた。 いかにブラジルの日常から離れていたが。
ようやく、ひととおり書き終わる。 と、夕方、日本から新たに4通が! この年末年始、特に日本からの郵便の日数がかかり過ぎと思っていたが。 最新到着便、昨年12月14日の消印の航空便も。
このメール・スカイプ時代に。 いまや郵便は時代遅れというより、クルージング旅行のような贅沢なものになった感。 バーチャルな記号や電子変換された映像や音声ではなく、現物が届くのだから。 相手の指紋から、唾液までが(今どきも切手をなめる人、そこそこいるのかな?)地球の反対側からもたらせるというのはすごい。
おっと、返信、書かないと。
1/22(金)記 その後のカールじいさんと橋本先生
ブラジルにて カールじいさんと橋本梧郎先生。 拙日記に書いたところ、日本の友人たちより思わぬ波紋が。
まずはSaudade Booksさん。 http://sea.ap.teacup.com/saudadebooks/198.html 僕はジェット機の爆音のなかでの視聴だったので、音の怖さについてはまるでわからなかった。
次いで、星野智幸さんがTwitterで。 「カールじいさん」、3D映画とはまるで知らなかった。
ブラジルできちんと映画館で観るか… おっと、サンパウロの上映案内では、もう見当たらないぞ。 それにしても、映画館に行くより国際線の飛行機に乗る方が身近になってしまったこの頃。
さて、Bumba誌の次の連載に、橋本先生についての続きを書くことにする。 橋本先生の次のドキュメンタリーのまとめ着手には、まだヒマがかかりそうだけど。
1/23(土)記 ブラジルの通過儀礼
ブラジルにて 知人のお嬢さんの結婚式。 カローナ(車に便乗)の女性も乗せ、行ったことのない教会に家族で招待状記載の開始時間10時30分の25分前に到着。
10時32分になって、弦楽四重奏のグループの二人がばたばたと到着。 写真担当らしい男は、10時45分に不機嫌そうに登場。 後で聞くと、司祭である神父の到着は11時だったとか。 親類たちの正式入場は、11時22分。
ちょっと手持ち無沙汰だが、撮影など頼まれないでよかった。
まあその間、弦楽四重奏のグループによるバッハ・管弦楽組曲や、ブラジルの名曲Carinhosoなどをナマで楽しませてもらった。
場所を代えての披露宴がドラマチックだった。 会場に移動する順路にあるチエテ川を渡る橋が、深夜から通行止めになっていた。 路頭に迷う車、続出。
会場にたどり着くと、豪雨襲来。 目の前の送電線3箇所が火花を吹いて、停電。
うだる会場から、くわえタバコの作業員たちのトビ職仕事を見やる。 2時間で復興。
新郎新婦の心中を思いやる。
1/24(日)記 悲しき南カイピ線
ブラジルにて 日本の知人が、東京で美味しいカイピリーニャ(ブラジルのナショナル・カクテル)を出すバーがあるとメールで教えてくれた。 店の名前は、バスク語ときた。
フェイラ(路上市)に出たついでに、スーパーでピンガ(カシャッサ、サトウキビの蒸留酒)も購入。 昼食の準備をしながら、キッチンドリンクを始める。 在庫たっぷりのパラナ産ハチミツを砂糖代わりに。
イマイチ感あり。 台所に転がっていたリモン(ライム)の数が少なく、しかもだいぶしぼんでいたみかかっていたせいかと。 カイピにはリモンも贅沢に絞り込みたい。
雨続きで野菜は高騰かつ質が落ちているものの、フェイラではリモンが通常より安かったのを思い出し、無念。
1/25(月)記 思い出ごろごろ2
ブラジルにて 今日はサンパウロ市の誕生日で、市内は祝日。 「Bumba」連載の原稿を書き始める。 橋本梧郎先生についての続きを書くことにする。
日航破綻と機内で見た「カールじいさん」ぐらいの書き出しを考えていたが、ちょくちょく夢枕に立つ先生のことにしてみる。
今朝も立たれた。 座っていたかな。
1/26(火)記 よくやる手段
ブラジルにて (前略)全体の構想などまったくないままに連載を始めたのです。よくやる手段で、描いていくうちになんとかなるわいと思いつつ進めていくやりかたですが、そのうちに主人公たちが勝手に行動をはじめて、なんとかまとまってしまいます。 「手塚治虫文庫全集 ユフラテの樹」『あとがき』(初出1983年)より
巨匠・天才もこうした手段もとっていたことに、妙な安堵。 橋本梧郎先生についての原稿、一気に書き上げてみる。 先回以上の量になるとは。
不思議な脱力感。 また先生に、なにか持っていかれた感じ。
1/27(水)記 2D
ブラジルにて いまだ休暇中の子供二人と映画「アバター」を観に行く。 初めて3Dとやらを体験できるか。
しかし娘が3Dはイヤダと強く主張。 伝統的な2次元上映も同じシネコンで並行上映されているとのこと。
調べてみて3Dは吹替え版、2Dは字幕スーパー版と知る。 水曜は映画料金が若干安い。
ちなみに週末料金だと3D版で25レアイス(約1300円)、2D版で15レアイス(約800円)。 ブラジルの物価水準からすると、相当に高い。
日本のインターネット上の情報で、3D鑑賞に問題のある人へのアドバイス特集があった。 メガネを常用している人は、コンタクトレンズに換えて鑑賞すること、とあった。 3D映画鑑賞のためにコンタクトレンズを作る人って、どれぐらいいるだろうか。
最近、チェックした不在中のブラジルの新聞記事を思い出した。 サンパウロの料理店の衛生検査で、宅配ピザ屋がワーストとのこと。 電話でピザを頼む場合は、まずその店を訪ねて衛生状態をチェックすること、と当局のオススメ。 そうまでして宅配ピザを頼む人って、なかなか…
1/28(木)記 防共富士登山
ブラジルにて 「望郷」の誤変換ではない。 ビデオ編集の合間。 先月、山形の美術館で買ってブラジルに担いできた「土門拳の昭和」をひもとく。 改めて、眼を見張る。
絵画は、実物と画集などの複製では雲泥の印象の差がある。 写真は、そもそもコピーメディアなだけにちょっと違うようだ。
「防共富士登山」というのが、やたらに心に残る。 「防共」と「富士」と「登山」の3単語が合わさったと解釈していいだろう。 富士と登山という言葉は、ふつうに相性がいいといえよう。 防共と富士、防共と登山という組み合わせが妙に新鮮だ。
僕がこれまでの人生の大半を過ごした前世紀には、祖国日本でこうした国際的なイベントが開催されていたということ。
横山大観の描いた富士の画の大作が、ヒトラー総統に贈られたという故事も思い出す。 富士と防共は、どこかでオーバーラップするのだろうか。
すると、赤富士は? 非国山、か。
1/29(金)記 恥ずかしい日本の私
ブラジルにて 恥ずかしい日本の私
イ・ヒジャさんと竹見智恵子さんの共著、「アボジが換えるその日まで 靖国神社へ合祀取消しをもとめて」(梨の木舎)を読む。
いたたまれない思い。 あらましを紹介しよう。
イ・ヒジャさんは、大日本帝国に併合されていた現在の韓国の江華島で1943年に生まれた。 1944年、父親は日本軍に徴用されて中国戦線に送られ、その後は消息不明になる。 一家の大黒柱を奪われ、その生死も不明のため、残された家族はたいへんな困難を強いられることになる。 イさんは1980年代になって、韓国の太平洋戦争犠牲者遺族会の存在を知る。 そして1970年代から日本政府が韓国政府に徴用者の死亡者名簿等を開始したことを知らされる。 何度も国家記録院に通って書類を調べ続けた彼女は、1989年になってようやく父の死亡を確認することになる。 1945年6月11日、中国南部の病院にて戦傷死。
日本の敗戦は1945年8月15日。 大日本帝国は徴用したイさんの父の死を遺族に伝えることを怠った。 さらにイさんを驚かせたことに、書類にはイさんの父が1959年に靖国神社に合祀された由が記されていたのだ。
徴用した人間を死に至らしめ、遺族に報告を怠る。 敗戦とともに日本人ではなくなったとされるイさんの父の遺族には、他の靖国の「英霊」の遺族のように恩給が支給されるどころか、何の保証もない。
2001年、靖国神社への合祀取消しを求めて神社を訪ねようとしたイさんに、神社の事務官は「一般の参詣者の邪魔になるから、参道を通らず、脇道をまわって社務所に行くように」命じる。 靖国神社は合祀取消しを拒否するばかりか、その後はイさんを門前払いとして、彼女は神社前に待機していた日本人から、「汚い挑戦人は出て行け!」と罵られたという。
情けなく、恥ずかしい。 「汚いブラジル人は出て行け!」の声が聞こえてくる。 まずは逃げずに、知ろう。 私たちの祖国日本の「汚さ」、でたらめさは「アバター」の地球軍どころじゃない。
この問題についてイさんらが闘う日本の裁判の経過等、ぜひ冒頭のご著書にあたっていただきたい。 梨の木舎のHPは、 http://www.jca.apc.org/nashinoki-sha/ 。
岡村の日記サイトを一瞥した程度で問題を知ってるつもりになる姿勢は、敵の思う壺にはまるばかりだ。
1/30(土)記 二月三位一体
ブラジルにて さてこれから、ひたすらビデオ編集に専心するつもりだったが。 未定だった撮影や上映会が急にばたばたと実現の見込みとなった。 うれしい悲鳴。 撮影・編集・上映、三位一体だ。
1/31(日)記 ブラジリアン充実
ブラジルにて ちなみに、柔術に充実をひっかけたダジャレである。
さあ明日から子供たちの新学年。 そして三位一体作戦正式スタート。
ひとつひとつ喜びをもって慎重にいきましょう。
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