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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2010年の日記  (最終更新日 : 2011/01/02)
2月の日記・総集編 三位一体のはざまで

2月の日記・総集編 三位一体のはざまで (2010/03/01) 2/1(月)記 きさらぎ全開

ブラジルにて
未明より、子供たちの送り出し再開。
朝、暗いうちに学校に向かうというのが、かつての日本の苦労譚みたい。

次回作の編集、まさしくガンガンにつなぐ。
さあ、どうなるだろう?

家族の知人のハプニングで、深夜までスタンバイ。
サンパウロの大降雨の余波が、我が家にもおよぶ。

今日、断食したことも忘れるぐらい。


2/2(火)記 下手に撮りたい・つなぎたい

ブラジルにて
次回作「下手に描きたい」 http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000050/20091203006034.cfm
の編集たけなわ。

岡村作品群の延長にありながら、かなりの異色作になりそう。
どのようにご覧いただけるか…
少なくても、僕はノッている。

油絵の具の揮発油のにおいが鼻をつくような作品かも。

4月に日本でお披露目できるよう、鋭意作業中。

作業の合間、日中に外に出るとやけどしそうな暑さ。


2/3(水)記 恥ずかしいブラジル日系社会の私

ブラジルにて
ここのところ、ブラジルの日刊邦字紙が2紙とも興味深い。
この興味深さは、日系社会の腐敗度と比例しているようだ。

2紙がそれぞれ告発・糾弾している複数の事件。
いずれも巨額のカネ・利権・おいしいとこ取りがらみである。
告発・糾弾される側が、それぞれ二宮金次郎やらニホンブンカやらを掲げているのが泣かせる。

唯一の救いはこうした醜聞をあばき、たたくメディアがかろうじて複数あること。

おかげさまで僕は自分の仕事に専念できるというもの。


2/4(木)記 井のなかのミミズ

ブラジルにて
流しで冷蔵庫から出した有機農場産のレタスをほぐす。
と、勢いよく飛び出す赤黒い生物!

ナメクジにはないフットワーク。
ミミズではないか。
ナメクジ、アオムシ、線虫類は時々、遭遇したが、ミミズは初めてかも。
7-8センチのいいサイズだ。

流すのも気の毒。
ハンバーグにするには…

洗濯場においてある、土がコチコチになっているオリヅルランの鉢に移して、水をかけてみる。
頭部で懸命に土を掘ろうとするが、およばない。
何度か水を注いでみる。

じきに、全身、土中に隠れる。
たいしたものだ。
ミミズは単体で繁殖するかと。

楽しみ、そして扶養家族が増えた。


2/5(金)記 モヒートで。

ブラジルにて
昨日、ビデオ編集の技術トラブルに気づく。
急ぎの仕事の作業中である。
終夜作業で復旧の見込みを立てる。
なんとか明日・明後日の上映の旅に心安らかに向かえる見通しがついた。

昨日ためしに作ってマテリアル不足から今いちインチキくさかったキューバのカクテル、モヒートに再挑戦。
実物を飲んだことはない。
こっちの雑誌でレシピを見つけて挑戦。
ブラジルのナショナルカクテル・カイピリーニャとの相違を楽しむ。


2/6(土)記 This is ALSO Brazil

ブラジルにて
さあ、カンポグランデ上映だ。

上映は18時からとのこと。
午前中に現地到着できるGOL便を予約してあった。
現在、ブラジル国内便はTAMとGOLが大半のシェアを占める。
GOLは経営破綻のVARIGのブランドを買収している。
近年、客人をマナウスにお連れして、行きのGOLはエクセス料金フリー、帰りのTAMではガッツリとられた覚えがある。

クリチーバで乗換えというイヤハヤの便だが、GOLで。
すると、クリチーバの天候不良で遅延に!
これではコネクションにつなげない。

カンポグランデには、意外と空の足が少ない。
これは、現地入り無理かも。
現地に上映素材を事前に送り、テストOKと報告をいただいている。
岡村抜きで上映を進めてもらうしかないか。

予定ゲートはガラガラと変わり、それにあわせて空港内移動。
と、こっちの名前をアナウンスで呼ばれる。

コネクションが不可能のため、TAMの直行便に振り替えるという。
よくぞこんな芸当ができたものだ。

現地に変更を伝えなければ。
ゲートのボックスにいるTAMのねーちゃんにフライト時間を聞く。
「…1時間よ」。
いったん公衆電話に向かうが、カンポグランデは時差があったっけ?
再びねーちゃんに聞いてみる。
「…ないわ」。

ところが。
フライトは1時間15分。
1時間の時差がしっかりあった。
迎えより早く到着することに。

おかげさまで、上映は成功裏に終了。
またぜひに、と熱く言っていただけるのがとてもうれしい。

ブラジル日本交流協会の現役研修生の熱意と尽力の賜物である。


2/7(日)記 出会いと刺激

ブラジルにて
今回の上映会の仕掛け人である研修生の引き受け人さんが、朝からカンポグランデ市内の案内をしてくれた。
半分は改装中のミュージアムへ。
なかなかオシャレで驚いた。

昼は、研修生をお世話してくださっている方のお宅に招かれる。
手作りの沖縄料理を各種ご馳走になり、満腹。

今回の上映旅行、思いもよらないさまざまな出会いと刺激をたくさんいただいた。
それらが、僕の糧となる。


2/8(月)記 3Kな東洋人街の私

ブラジル→
きたない。
クサい。
そして、キケン。

所用によりリベルダーデ=東洋人街を訪ねて感じたこと。
路上のゴミがひどい。
そして生ゴミ類から漂う汚臭。
さらに蛍光灯類でも割りまくったのだろうか、細かいガラス片がでこぼこの歩道に散りばめられている。
これもキケンだし、ドロボウ類の多さは邦字紙等を参照されたい。

この街のシンボルとされる巨大な本殿なき赤鳥居は、この3Kの象徴か。
日本から皇族が来た時だけ、カネかけていじくりまわして、どうすんのよ、という気がする。
さすがにもうこの族はしばらく来ないだろうし、あといくつKが増えていくことか。
ブラジル日系社会の人心のすさまじい3Kぶりは、最近の邦字紙をご参照いただければ。


2/9(火)記 映画みたい

→アメリカ合衆国
ちょうど機中で「ニューヨーク アイ・ラブ・ユー」というオムニバス映画がかかっていた。
アメリカ、特にニューヨークは諸々の映画のせいだろう、デジャヴ感たっぷりの街だ。

サンパウロとの時差は3時間。
空港からの移動中から撮影。
夕方より街で撮影。

ホテルで一息ついたのは、現地の20時、サンパウロの23時だ。
付近の食事情のロケハンも先回、済ませている。
おなかもすいたし、せっかくだから外食したいが…
疲れきってダウン。
部屋の果物をほおばるが、オレンジ以外はいずれもブラジルに軍配を上げる。
明日は豪雪だというが。


2/10(水)記 紐育にふるゆき

アメリカ合衆国にて
本日のニューヨークは大雪予報。
取材はお休みとなる。
して美術館はオープンするのだろうか。
MoMAことニューヨーク近代美術館が観たい。
日本語の情報紙、さらにニューヨーカーの友人によると水曜はお休み。
美術館のサイトは火曜が休み、10日は天候にかかわらずオープンの予定とある。

転ばぬよう、そろりそろりと歩いていく。
Yes,you are open.
すごい人である。
列に並んで上着とカバンを預けるだけで数10分。
これ、なんとかならないものか。
日本なら自分でロッカーに、で済むんだが。
手ぶらで来ればいいのだが、手ぶらで歩けない事情の時もある。

建物はガラスを多用しているので、随所から雪のニューヨークが拝める。
映画マニアだった時期から30年以上、経っても数本ぐらいは雪のマンハッタンの銀幕上のイメージは沸いてくる。
「ある愛の詩」。
最新版の「キングコング」。
いずれもセントラルパークだな。
「ある愛の詩」の雪のシーンのサントラ音楽まで浮かんでくる。

雪の日のアートのシャワーもいいもんだ。


2/11(木)記 出会いの空港

アメリカ合衆国→
どうやら今日は飛行機は飛ぶようだ。
短期間だったが、身心へろへろでJFK空港にたどり着く。

まずは意外な人とばったり。
「BUMBA」誌の話など。
ついで、ゲートでおそらく同便の人を見つけて岡村の次回作のことなど話し込む。

さあ自分の仕事、自分の家族のもとへ。


2/12(金)記 身近な事件

→ブラジル
酷暑のサンパウロに戻る。
強盗事件を追跡取材中のテレビ局のヘリコプターが墜落して、パイロットが死亡した事件。
このパイロットは、わが子の仲間の父親だった。
何度か顔を合わせているはず。

今年になって、ブラジル全国区の災害・事件の犠牲者が3人も出た。
前代未聞。
この辺で打ち止めにしてほしい。


2/13(土)記 牛久に死す

ブラジルにて
「牛久」の語源はなんだろう。
ワイナリー、観音のほかに入国管理局がある。

ここに収容されていた25歳のブラジル人が自殺をした。
ミクシィのマイミクさんの記載で知る。
http://mainichi.jp/select/today/news/20100210k0000m040052000c.html
毎日新聞9日付の記事だ。

渡米中のブラジルの日本語新聞、ひと通りチェックしたのだが、この記事は見当たらなかった。
カーニバルに日本人が出るとかいったおめでたい記事ばかりだったかと。
こっちの見落としか?

詳細がわからない…


2/14(日)記 酷暑思考停止

ブラジルにて
サンパウロは酷暑続き。
思考停止の暑さ。
祖国日本や豪雪のニューヨークの冷気を思い浮かべる…気力もわかないほど。
太陽の移動を待つばかり。


2/15(月)記 三位一体のはざまで

ブラジルにて
過酷なまでに異なる環境での三位一体:撮影・編集・上映が続いたせいか。
歳もあってか。
一日、寝たぐらいではぐらいでは疲れが抜けなかった。
ようやく、いくらか…

世はカルナヴァル休暇。
日本は0泊2食ブームの由。
こちらで0泊3食(朝、昼、午後の軽食付き)のエコロな宿に目をつけていたが、すでに満員とのこと。
近場で他になんかないか…?
猛暑のなかの献立を考えながら。


2/16(火)記 聖州華寺

ブラジルにて
せっかくの連休。
たまには、家族で出ないと。
子供が、しぶしぶでも親に付き合う年数はそう長くはない。

近場をいろいろ検討。
サンパウロ市近郊にあるチャイニーズ系の仏教寺院に行ってみることにした。
佛光山。
海岸山脈中に築かれたサブトロピカルな伽藍は、なかなか目が覚めるものがある。
この宗派は台湾南部の高雄で興った由。
建築や仏像がサブトロピカルなわけだ。
日本、北米、南米各地から南アフリカにも進出しているという。
この世を浄土に、とのこと。
近年、台湾に通い、寺を訪ねたり、仏教系の大学にお世話になったりもした。
しかし台湾中部どまりだったので、このグローバルに広まる南部起源のグループに気づかなかったのかもしれない。
セルフサービスのベジタリアンランチが一人15レアイス、約750円。
グッズ売り場にはハローキティ系のものがあったり、ゆるいのがよろしい。

寺も面白かったが、最も感じ入ったのは、付属の池近くの大西洋森林のささやかなフローラとファウナ。
人生、林住期。
仏教も、森で生まれたかと。

ところで、ブラジルの日系寺院に家族でそこそこ過ごせるのって、あったっけ?
祖国の葬式仏教はこりごりだけど。


2/17(水)記 下手な、不器用なあなたへ

ブラジルにて
4月の日本での公開上映のチラシ印刷のため、作品の時間をとりあえずフィックスする必要が出てきた。
「下手に描きたい」。 http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000050/20091203006034.cfm

いったんつないでみたバージョンを見直してみる。
理屈がモチベーションとなって作品を作ることはあまりなく、作品の完成後はよけい理屈を言わないことにしている。
制作中のつぶやきならいいか。

下手に、不器用に生きている、生きざるをえない人たちへの、主人公と記録者の共感、エール、賛歌。

かつて「貧しくなりたい」というタイトルの聞き書きをしたためたことがあるが、ベクトルはかなり似ているかも。
宗教者の記録が近年、続いたが、これからアーチストを何人か。
研究者もまとめないと。


2/18(木)記 アート巡礼

ブラジルにて
日本からの客人を誘って、サンパウロの中心街へ。
サン・ベント修道院という創立400年近い施設でのコンテンポラリー・アートの展示。
これまで公開していなかったという空間も巧みに活用して、現代アートが繰り広げられる。
応用可能なプロジェクトだ。

モニターまでついてロハ(ただ)というのがよろしい。
ついつい、付属の売店にあった、ちょっと高めの修道士たちが作ったというパンやケーキを購入。

客人とダウンタウンを徒歩ツアー。
この街も面白い。
同じサンパウロにいて知らなかったことを新たにいくつも発見。


2/19(金)記 ゴールドで

ブラジルにて
諸々の主夫業と映像編集。

深夜バスで、クリチーバへ。
2社の路線がある。
通常は普通車と、レイトと呼ばれる寝台バスの2種があり、値段は倍違う。
イタペミリン社の方は、ゴールドという、その中間の値段のがある。
かったるそうな切符売り場のおじさんに、普通車とゴールドの違いを聞いてみる。
「ミネラルウオーター、枕、毛布が付いて…」
「キレイなねーちゃんも?」
これがけっこうウケる。

明日は朝から出番があるので、少しでも快適の方がいい。
ゴールド車は座席数も通常車より少なく、乗車時に袋詰めのスナックまでくれた。
横は通路を挟んで両側に2席ずつだが、隣が空席でラッキー。
上映という格闘技、こっちにとっては、いわば宗教儀礼。
キレイなねーちゃんの誘いも辞退すべきミソギの道行き。


2/20(土)記 授業

ブラジルにて
未明のクリチーバに到着。
タクシーの運ちゃんの暴走ぶりと体臭が旅情をさそる。

全パラナ州の日本語教師講習会のお招き。
岡村講師。
講師混同。

今日から二日間、午後の最後の「アトラクション」が拙作上映。
朝9時からの開校式にもご出席を、ということで昨晩からの出陣となった。

引き続き顔見知りの先生の講義が始まり、出るに出られず。
これがけっこう面白くて。

日本語教育とこっちのドキュメンタリー。
日本語表現、コミュニケーション、さらに教師と生徒、作者と被写体、観客の関係を考える点でとても刺激的だった。
家庭教育についてももちろん。


2/21(日)記 クリチーバ熱く

ブラジルにて
さあ日本語講習、そして上映の二日目。
今日は「あもれいら」②、尺も長いのでなるべくいい条件でご覧いただきたい。

昨日は真四角でのフレーム、音はPC接続スピーカーから手持ちマイクで拾うという苦しいものだった。
映像音声担当の先生が昨晩、いろいろ研究されたそうで、フレームは4:3となった。
スクリーンなしの壁写しだが、画面は昨日より大きめに。
音は手持ちマイク拾い。

いかんせん猛暑のなか冷房はなく扇風機の爆音、しかも外光がきちんと切れず。
上映がメインの集いではないので、どこで妥協するかである。
上映を目当てに来てくれている人たちもいるのだが。

ブラジルでの日本語教育とブラジルの底辺の教育事情の照らし合わせというのが、実に面白かった。
それぞれの先生たちが、それぞれ受け止めてくれたことだろう。

この町を舞台にしたドキュメンタリーの主人公のご家族と夕食。
こういうのが、とってもうれしい。


2/22(月)記 未明の悪夢

ブラジルにて
昨晩、クリチーバから深夜バスに乗車。
隣が空いている窓側の席を買ったのだが、おばさんが乗ってきた。
アフロ系で横に張り出した体形。
座席の境の肘掛けを越境して肉体がこちらに迫ってくる。
窓に寄り添うように小さくうずくまる。

夜中の1時、トイレとカフェの休憩。
多くの乗客は寝静まったまま。

再び発車すると…
おばさんがなにやら話しかけてくる。
自分が寝たきりの親の面倒を見ているのですこぶる大変、というようなことを言っているらしい。
声はぼそぼそ、こちらも眠いし、聞き返したり相槌を打つ気力もない。
なおも窮状を訴えているらしい話は続き、援助が欲しいということなのか?
静まり返るバスのなかで続く呪文は、いつの間にか自分の孫の話になったようだ。
こちらは寝息を立てることに。

未明5時、サンパウロ到着。
他の乗客が次々と降りていくが、隣のおばさんは深い眠りについている。
「セニョーラ(おくさん)、セニョーラ」とまずは控えめに声をかけるが、起きる気配もない。
もはや最後の乗客、声を張り上げ、巨体を揺すると、ようやく開眼。
辺りを見回し、「今まで起こさなかったの?」というようなこちらを非難するセリフ。
立ち上がったセニョーラのGパンはずり落ち、ショッキングブルーの下着もずれ落ちて臀部の割れ目もあらわ。

これはホラーだ。


2/23(火)記 寝たいや熱帯夜

ブラジルにて
さる土曜でサマータイムが終了。
とともに再び猛暑酷暑。
夜も無風で寝苦しいこと。

日中は子供の送迎の途中、用もないスーパーに入ってささやかな冷房を浴びたり。

ニューヨークの冷気、東京始め祖国の冷たいシーンを思い起こすも…


2/24(水)記 続・アマゾンの怪談

ブラジルにて
昨年はアマゾンの同胞にひどい目に遭わされた。
最悪の事態までは、かろうじて避けたが。

昨年はアマゾン日本人移民入植80周年の年。
ブラジル領アマゾンのいくつかの町で、記念式典が行なわれていた。

取材で以前から通っていた、その中のひとつの町の人から、記念式典にちなんで岡村作品の上映会をお願いしたいと依頼があった。
現地の方々への長年のお付き合いの返礼と思い、交通費こちら持ちでの上映を快諾した。

ところが。
いつのまにか岡村が現地の記念式典をボランティア取材・撮影・制作をすることにすり替わっていた。
「上映会の方は?」と問い合わせると、
「いったい何を上映したいのですか?」
との返答。
しかも当時、やむをえない事情で訪日していた僕に、経過や式典の詳細はまるで伝えてこないで、依頼人の私物としか思えない、ややこしい買い物を次々と命じてくる始末。

先方の支離滅裂はエスカレートするばかり。
こちらのリミットを軽くオーバーした。
現地の複数の方々より善意のアドバイスをいただき、アマゾン行きを見合わせた次第。

ところが。
現地の式典に岡村が来て取材していったことになっている、と最近になって消息筋からの報。
にせオカムラか?
岡村幽体離脱説も伝えられたが、幽体になってもそんな魑魅魍魎支離滅裂なところには行けないというもの。

サンパウロの日系社会の「うみ」は日本語新聞などの糾弾が行なわれているが、アマゾンの「うみ」も追求していただきたいもの。
岡村の被害などは、まだ笑い話に転化できるレベルかと。
現地側のでたらめさもさることながら、アマゾン日本人移民史の貴重な資料をかっぱらっていった奴等あたりに天誅を!


2/25(木)記 「レヴィ=ストロースと忘れられた日本人」

ブラジルにて
浅野卓夫さんがまたしても、そしてさらにヴォルテージを上げた書きものを発表された。
「レヴィ=ストロースと忘れられた日本人」。
http://sea.ap.teacup.com/applet/saudadebooks/msgcate5/archive

ゲラの段階で読ませていただいてもらったが、言葉も出ない迫力がほとばしっていた。
レヴィ=ストロースとブラジルの日本人移民を「不器用」というキーワードで括られているのに、再び感無量に。

知・情・意の三拍子そろったこの若き書き手に、ただ瞠目。
そして、豊かな気持ちに。


2/26(金)記 絵を描く喜び

ブラジルにて
サンパウロの精神医療研究所で開かれている、自閉症の若者たちの絵画展を見に行く。
男一人、女二人の計三人の作品。
会場にうち二人がいて、ライブで描いてみせてくれる。

青年はアメリカのコミックをオリジナルとするものの多い作画。
女性一人はチャイニーズドラゴンが大好き、もう一人は恐竜系。
爬虫類、トリ系の作品が中心と感じるが、偶然だろうか。

いずれも、作品も作画も眼を見張るものが。

絵を描く、ポジティブな動機があふれているのを感じる。
プロのアーチストとのお付き合いがあるが、逆にこの動機のないの作画は、つらいものがある。

自閉症の子供も、アモレイラのような奥地の貧しい子供も、保護者次第で如何に変わりうるかを再認識。


2/27(土)記 津波便

ブラジルにて
在日本の複数の方から、チリ地震のお見舞いのメッセージをいただく。
さすがに太平洋岸と大西洋岸ほどの距離があるので、サンパウロに直接の被害はない。
もしサンパウロで大地震が起こったら、ハイチを越える犠牲者が出ることだろう。
大地震などありえない、という大前提の積み木細工の高層建築。

日本の新聞社のサイトをのぞく。
地震発生地の被害状況の記事を跳び越して、日本への津波警報のニュースばかり。
津波の速度は、インターネット並だ。

ちなみに2月も末になって、日本から昨年の消印の年賀状が何枚も届いている。
津波を有効利用したら、郵便事情も改善されるかも。


2/28(日)記 サルガドの創世

ブラジルにて
本日付「FOLHA DE S.PAULO」紙の付録雑誌にセバスチャン・サルガドの特集があるという。
「氷の城」という写真で、まずたまげる。
さらに「失われた世界」という写真で、ぶったまげる。
写真を見て、これほど驚いた体験は今まであったろうか?

サルガドのインタビューがまたよろしい。
現在、取り組んでいる「創世記」シリーズについて。
このプロジェクトは70歳になる時に終え、その後はもう少し小さな仕事をするつもりとのこと。
60代後半のサルガドが、まさしく地球の各地で大変なフィールドワークに挑んでいる。
マイケル・ジャクソンと同じ歳ぐらいで、へたっていられないかも。


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