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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2010年の日記  (最終更新日 : 2011/01/02)
4月の日記・総集編 君の瞳はシーボルト

4月の日記・総集編 君の瞳はシーボルト (2010/05/04) 4/1(木)記 ヤポンス・ロックとHANAMI

ブラジルにて
昨年11月、上映で訪れた長崎。
夜遅くに長崎駅着、近くの食堂でチャンポンをいただく。
店にあった地元紙で「日蘭通商400周年記念展」が開催されているのを知る。
無性に見たくなる。

して、17-18世紀のオランダで、日本の着物がヤポンス・ロックと呼ばれて大流行したと知る。

今日の午後、パウリスタ大通りへ。
気になっていた「HANAMI」というドイツ映画を見に行く。
ドイツ人の老夫婦が人生の締めくくりに思い切って日本に行ってフジヤマをみたり桜のハナミもしようかどうしようか、というお話。
ずばり大OZ「東京物語」へのオマージュだ。

日本の舞踏がストーリーのカギでもある。
数日前に、在日本の舞踏評論家の知人からメールをいただいたところ。
この「HANAMI」、日本では2年前のドイツ映画祭でかかった程度らしい。
なんとももったいない。
いろいろ語りたい映画。

この映画の女主人公がキモノをパジャマ代わりに用いているのだ。
想えば、シーボルトもドイツ人。

で、僕は2週間後にはオランダにいる、はず。
共時性に身をゆだねるのは面白い。


4/2(金)記 沈みゆく太陽

ブラジルにて
夜、日本の新聞社のサイトにアクセス。
すると、日本航空が2010年度末までに成田-サンパウロ路線を廃止する予定との報。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100403-OYT1T00003.htm?from=nwla
廃止をめぐって話題になっていたが、稲盛氏が会長になってから、自分の仲間もいるブラジルの路線は残すつもり、といった発言が公にされてからまだ何ヶ月も経っていないと記憶する。
この人の言葉の重みは、この程度か。

ずばりこの稲盛氏を教祖と仰ぐ在ブラジルの日本人集団から、ブラジルを訪問する稲盛氏を撮影されることを頼まれたことがある。
正直に申し上げて、これほど下品な日本人の集団をブラジルで見るのは初めてだった。
その僕の印象を裏切ることなく、この人たちは撮影に際して約束した条件を平気で反故にして、さらに何重にも僕をあなどり、おとしめてくれた。
こういう人たちとかかわってしまった自分の不徳を恥じるばかり。

大観航空がアジアからブラジルへの直行便の広告をブラジルの日本語新聞に大きく乗せるようになった。
ドバイ経由のエミレーツ航空についで、カタール航空も成田とサンパウロを結ぶ路線開設とのこと。

日の丸を掲げるいんちきな権威から、こちらも自由にならないと。


4/3(土)記 ブラジルか死か。

ブラジルにて
茨城県牛久の入管の収容所で日系ブラジル人青年が自殺した事件。
もっと詳細が知りたかった。
Twitter経由で、茨城新聞の記事を知る。

入管で自殺の日系ブラジル人、出国なら〝戻れない〟

一家離散、いじめ… 家族求め、さまよう
 今年2月8日、法務省東日本入国管理センター(牛久市久野町)の施設内で、入管難民法違反(不法滞在)で摘発され、強制送還処分を受け、収容されていた日系ブラジル人男性(25)が自殺した。男性は5歳の時に、母親に連れられ来日。ポルトガル語の読み書きはできず、母国に知人は1人もなく、頼るすべもない。母親(43)と妹(23)、妻(33)の家族3人が話す男性の生涯は、夢を求めて来日した日系ブラジル人の悲哀を浮き彫りにする。

▼来日後に両親別居
 男性は1984年7月、ブラジル・サンパウロ州生まれ。先に日本で働いていた父親の「家族一緒でないと寂しい」という求めに応じ、男性は90年1月、母親と当時3歳の妹と共に来日。当初は三重県に住み、両親は自動車部品の工場で働いた。その後、愛知県内に転居したが、両親は不和になり別居。
 中1の終わり、男性は家に帰らなくなった。
 「ポルトガル語を話すだけで殴られていた」と妹。男性は不良たちにいじめられていた。それでも、男性は不良たちと一緒にいることを望んだ。妹は「兄は家族のようなものを求めていた」と振り返る。
 男性は中学卒業後、バイクの無免許運転で繰り返し逮捕された。
 20歳のころ、後に妻となる女性と暮らし始めた。しかし、2006年9月、男性に道交法違反容疑などで逮捕状が出た。女性の背負わされた借金を返すため、男性は姿を消したが翌年、同法違反と覚せい剤取締法違反などの疑いで逮捕された。
▼ビザ更新できず 
 男性は約2年の服役中、ビザの更新を申請したが受理されなかった。09年7月、刑務所を出た後、東京入国管理局横浜支局(横浜市)に収容。男性は、このまま出国すれば二度と戻れない「現実」を知り、特別在留許可を求めて訴えを起こす一方、10月に結婚した。
 男性は11月、牛久市の東日本入国管理センターに移送。午後4時半に居室の鍵を閉められる。落ち込んだ男性は、電話で妹に「家族って大事だと分かった」と話したという。
 2月8日午後4時ごろ。男性は死亡する直前に妻と電話で話した。男性はもうろうとし、ろれつが回らなかった。施設内で精神安定剤などを常用していたという。
 その夜、男性は首をつった。
▼「幸せになって」 
 「自分が死んだら、自分を忘れて、幸せになってください。愛しています」
 牛久に着いた家族に、同センターは男性の死亡の状況などについて説明。メモが家族の写真に張られていた。同センターは「中にいるのに疲れた」などと書かれた入管側にあてたメモもあったとも説明した。
 母親は今も「入管がちゃんと見ていれば、自殺を防げたのではないか」と嘆く。
 「もし、わたしがブラジルに帰れと言われたら…。ポルトガル語の読み書きもできない。どうやって生活したらよいか分からない」と妹は話した。

【写真説明】
男性の来日当初のパスポート。母親は「入管がちゃんと見ていれば自殺を防げたのではないか」と嘆く=愛知県内

(茨城新聞2010年4月4日付 http://www.ibaraki-np.co.jp/ から)


日本で死を選ぶぐらいなら、ブラジルに来てみたら?
ぐらいのメッセージを僕なりに発信してきたつもりだっただけに…
ポルトガル語の読み書きができずにブラジルで生活している人たちは、決して少なくないのだが。


4/4(日)記 ♪空がとっても低い

ブラジルにて
聖週間・イースターの3連休のクライマックス。
ここのところ、雨がち。

このイースターの時期は、はるか北半球の祖国と南回帰線下の当地の気候がほぼ同じになる、稀有な季節かも。


4/5(月)記 異国のいのち

ブラジルにて
ここのところ、いつもより祖国のニュースが気になる。
間接的に存じ上げていた、アフガニスタンで誘拐されたフリージャーナリストの常岡さんの消息。
処刑間近の、中国の日本人死刑囚のこと。

ちなみに、ブラジルには死刑がない。
しかし、私刑が発達している。
田舎町などでは、幼女レイプ犯などは激高した市民たちに留置所から引き出されて、なぶり殺しに。
刑務所内でも、囚人たちの「倫理観」にもとる犯罪をおかした輩は、密殺されることしばしば。
かたや、他国なら死刑相当の犯罪者が組織の手を借りて脱獄。
まじめな皆さんの死刑廃止論争など、どうぞご勝手に、といったところ。

それにしても。
不本意な荷物を、不本意な人間から無理やり日本に担いで行かされたこと、担いで来させられたことも少なくない。
こちらの気が弱いのにつけこまれ。
思えば、押し付けたのはいずれもセンセイと呼ばれる類の輩。
裁判制度のでたらめな国だったら、これで殺されてしまう。

異国では、より自衛意識を強くしないと。


4/6(火)記 寒い・暗い

ブラジルにて
起床時は真っ暗である。
大通りの交通量が増えているのが騒音でわかり、それで朝の訪れを推し量る。
これから2ヵ月半、日が短くなる一方。

雨続きで、めっきり冷え込んだ。
日中の町の温度計は、14度と出た。

エレベーターで乗り合わせたブラジル人のおばちゃん。
こっちの半袖姿を見て、
「寒くないの?」
「寒いですよ」
Tシャツの上に襟付き半袖シャツを着ているので、けっこう厚着のつもりだったが。

ひと月で20度、温度が違っちゃうか。


4/7(水)記 郵便配達人の栄光と苦悩

ブラジルにて
ブラジルでは国民的常識のことが、ほとんど日本語の情報になっていないことは少なくない。

先週、ブラジルで封切られた国産の伝記映画「CHICO XAVIER」の主人公、「職種」でいうと「霊媒師」で心霊主義者のシッコ・シャヴィエルさんのことが好例。

シッコ氏は2002年に92歳で亡くなるが、あの世からのメッセージを自動書記することで「超」の部類の有名だった。
映画は封切り後3日間の動員数がブラジルの国産映画の記録を塗り替えた。
現ブラジル大統領ルーラの伝記映画が大コケしたのと好対照だ。

やはり心霊主義者で心霊画家のガスパレットさんのドキュメンタリー番組を制作した身として、シッコ氏の映画は必見。
さっそくテレビ屋の話で始まるのに、仰天。

エンディングの長いロールクレジットも、大半に観客が席を立てない仕掛けになっている。
終了後の観客たちの、深く高揚したムードは、類例を思い出せないほど。

なぜ日本では安手のオカルトばかりが消費されて、いわゆる心霊主義が浸透しないのか。
心霊主義がキリスト教を大きなベースとしており、キリスト教そのものが理解されていないせいか。

今日のタイトルは、映画のシッコさんが自分のしていることは郵便配達と同じだ、と言っていたことから。
映画のロケ地、ミナスジェライス州の田舎町の情景を見ているだけでも心地よい。


4/8(金)記 アートのありか

ブラジルにて
花祭り、忠犬ハチ公の日、シワ(4・8)の日。
今日は何の日?みたいなサイトで見ると、そんなところ。

ブラジルでは、ガン撲滅の日だという。
検査のため訪れたサンパウロの病院で知った。
その記念に、弦楽のグループの生演奏あり。
ヴィラ・ロボスにパッヘルベル。
心に染みる。
受付ホールではプリミティブ系のアート展が開かれている。
こっちの方はまだ麻酔が効いていて、よくディテールを覚えていない。
病院でのアートというあり方がすばらしい。

重病の人、その家族はどのように受け止めているのだろう。

弱者、病者の力になりうるアートをこそ。


4/9(金)記 ドキュメンタリー三昧

ブラジルにて
拙作「赤い大地の仲間たち」などのスペイン語字幕バージョンを作ることが決定。
ついては、日本語とポルトガル語の字幕のない、いわゆる白素材を作らなければ。
この作品の日本での仕上げの際、日本の編集スタジオで制作を頼んでいた。
しかしこのスタジオで作業をした作品は、すべて「白」になっていないことが後年わかり、こっちが白くなった。
こちらの手元ではDVカムを再生する術がなく、「まさか」のチョンボが積み重ねられていたのだ。

いろいろ考えて、とにかく他人の手とカネをかけない方法で、作り始めてみる。
手間と時間はかかるが、なんとかいけそうである。
デジタル作業ながら、アナログの職人芸もいいとこ。

いっぽう今日からサンパウロ国際ドキュメンタリー映画祭。
訪日準備もあり、ばたばただが。
この機会にみておかないと生涯、みれないような作品もあり。
neoneoへのリポート執筆もある。
プログラムを眺めてにらんですかして、家庭の用事、外回りの用事をうまく組み合わせて、今日は2箇所で2本こなす。

みといてよかった。


4/10(土)記 誰が民衆の敵か

ブラジルにて
取材を通して親戚のような関係になっている方を、訪日前にお見舞いをかねて内陸の町まで訪ねる。
話は尽きないが、夜の予定もあるので、そこそこに失礼する。

ドキュメンタリー映画祭、今日は何を観ておくか。
ふとしたことから、今朝になって方針を変えてみる。

イギリスとカンボジアの合作「Enemy of the People」。
親と兄弟を虐殺されたカンボジア人ジャーナリストが、ポル・ポトの側近、そして虐殺の実行者たちを10年がかりで訪ね、証言を小型ビデオカメラに収めていく。
圧巻。
自国の軍による犯罪の執拗な追及という意味では「ゆきゆきて、神軍」を思い出す。
記録者そのものと被写体の関係が描かれるという点では、「第二の祖国に生きて」との共通点も。
みておいてよかった、を超えて、みておかなければならない作品だった。
薄氷を踏む選択!


4/11(日)記 人類学者の人類への犯罪

ブラジルにて
今年のドキュメンタリー映画祭で、これがいちばん観たかった。
「バス174」や「エリート舞台」で世界市場に飛び出したブラジルのジョゼ・パジーリャ監督の「Secrets of the Tribe」。
この監督がブラジルとヴェネズエラの国境地帯に暮らすヤノマモ(僕はこう呼ぶ)インディオを取材したというのだから、気になっていた。

これは西暦2000年にアメリカのジャーナリストが著書で告発したベネズエラ側のヤノマモに対する人類学者たちの人道にもとる数々の行為の問題について、映像で追求した作品だった。
告発されているのは、日本でも人類学を標榜する者なら基礎知識になる著名な学者たちである。

数々の性犯罪、そして病原菌の人体実験!
槍玉に挙げられている人類学者は「自分が有罪なら、すべての人類学者、のみならずすべての研究者は有罪だ」と語る。
しかし当のヤノマモたちが、こいつが再び来たら矢で殺す、と語り、どんな性行為を強要されたかを実に具体的に語っているのだ。

これらの「研究費用」は原子力推進機関からもたらされ、核に対する先住民の抵抗能力も調べられていた疑いもある。

ブラジル側のヤノマモを日本どころか外国のテレビで初めて取材許可を得て入域したのは1984年の牛山純一代表の「すばらしい世界旅行」の取材班、現場監督は不肖岡村が担当させていただいた。

資料にも当たって、neoneoあたりにでも詳報を書かせていただこう。


4/12(月)記 嗚呼チベット

ブラジルにて
日中は諸々。
夕食の支度をして、ドキュメンタリー映画祭の見納めに。
19時からのを楽しみにしていたが、20分以上前に到着して、満員札止め。
時間をつぶして、21時からの作品を待つ。

訳すと「太陽を呑み込む龍」、アメリカ人の監督による北京オリンピック前後のチベット問題の記録。
自由を奪われている人たちに胸が痛む。
僕あたりにはふだんは空気なみに意識されないこの自由のために、どれだけの人たちが苦しみ続け、命まで奪われ続けてきたことか。
アシスタント兼録音担当の身だったが、日本映像記録センターのスタッフ時代に100日間、チベットに滞在取材させていただいている。
せめてこの作品の紹介ぐらいさせていただかないと。

映画祭に参加した監督によると(どこまで英語が聞き取れたか、おぼつかないが)この映画のサイトに中国の若い人たちのアクセスが集中して、中国当局がインターネット使用の制限に踏み切ったということのようだ。
自分の国(と仮定して)のなかの広大な地域の人たちのナマの声が伝わらないという事態を想像してみよう。
もちろん国を自由に出入りできず、本音の考えを発することができないことも。


4/13(火)記 SAL肉

ブラジルにて
サルの肉ではない。
離伯(ブラジル関係の日本人用語で、ブラジルを去ること)を目前にして、数時間はかかるカレーを家族への遺作料理としてこさえることに。
豚の細切れ肉を買い、昨日から塩漬けにして、今日の昼から塩抜きをしてみる。

これまで日本で何回かフェイジョアーダを制作して、いずれも好評をいただいてきた。
今まではフェイジョアーダの材料として、ブラジルから塩(sal)漬けの牛肉や燻製のソーセージなどを日本に担いで行ってこともあるが、肉類の持ち込みは日の本では御法度であり、重量もばかにならない。
さらに今回のように途中で寄り道をする場合は、よけい荷物を減らさなければならない。
そのため、日本での塩漬け肉の制作を試みようと思い、まずためしにブラジルで「浅漬け」に挑戦してみた次第。
浅漬けでも肉の新たな味わいあり。
SALものは買わず、担がずでもいけそうだ。


4/14(水)記 いざ欧州へ。

ブラジル→
朝のお勤めのあと、身辺整理と出国準備。
この期におよんで銀行の手続きと郵便局。
今回はいつもと路線が違うため、日中に出家。
このたびオンラインでチケットを購入したD旅行社からは、何重にもサギ同然の目に遭わされた。
空港のカウンターで当日、直接、航空会社の人間とやりあうまでは、無事に搭乗できるかずっと心配だった。
すんなりとパス!
どっと気が緩む。
さあまずはスペインのマドリードへ向かう。
サンパウロ国際空港から旅発つと、もはやポルトガル語の機内放送もない。
最初の目的地はオランダ。
ヨーロッパで初のライブ上映会だ。
わくわくどきどき。


4/15(木)記 田園国家オランダ

→スペイン→オランダ
サンパウロ発が遅れてマドリード着も遅れ、さらにマドリード空港の混雑で遅れ。
サンパウロの空港のねーちゃんは、マドリードではトランジット客は入国審査もなくターミナル内を移動するだけ、と言っていた。
ところがどっこい、長い列についての入国審査があるではないか。
係員はこちらが尋ねると、どいつもこいつもスペイン語で怒鳴りつけるように言い捨てる。
入国審査のあとは、シャトルで別ターミナルまで移動しなければならないではないか!
もはや乗り継ぎアウトか。
ひたすらターミナル内を走る。
間に合う・・・
オランダ・アムステルダムへ。
機上からの光景は、宮崎駿ワールドだ。
緑と水と、西洋家屋。
荷物もきちんと届いた。
空港には、岡村がオンライン上に発表している文章でシンパになってくれた邦人女性が、お連れ合いとともに迎えに来てくれている。
明日はいよいよ、欧州で初ライブ上映の予定。


4/16(金)記 欧州デビュー

オランダにて
昨日、空港から泊めていただくお宅に向かう途中。
お連れ合いがアイスランドで火山が噴火して、火山灰がオランダにもおよんでいると教えてくれた。
カントクと時折り呼ばれる岡村は、アイスランドはイーストウッドの「硫黄島からの手紙」のロケ地などとウンチクを披露。
して、過密ハブ空港のアムステルダム・スキポール空港が閉鎖されたとの報。
カントクの訪日便は明日なのだが、さて。

アムステルダムの国立美術館を見学。
その足で上映会場、アムステルファーン市の「囲碁会館」へ。
レンガに囲まれたシックな会館。
お集まりいただいた在オランダの邦人のみなさんに、「ブラジルに渡った植物学者」「60年目の東京物語」をお見せする。
反応も質疑応答も、実にいい感じ。
レベルの高さは、カリフォルニアでの上映を思い出した。
ありがたし。


4/17(土)記 飛べない沈黙

オランダにて
オランダからは日本航空の便で成田に向かう予定だった。
しかしアイスランドの火山噴火の影響で、予約していた本日の便はキャンセルとなった。
日本航空のサイトによると、4月30日までなら別の便に振り替え可能とのこと。
予約問い合わせは電話のみ、滞在先のお電話をお借りして日本航空オフィスの土曜営業時間いっぱいまで電話をかけ続けるが、録音案内の操作後、ひたすら待たされたあげくに、またかけなおせ、ばかりで日が暮れる。
オランダのテレビニュースを要約して教えてもらったり、パソコンをお借りしてあちこちのサイトにアクセスするが、見通しがまるでつかない。

午後、近くの繁華街へ(その間も携帯電話をお借りしてコール作業・・・)。
DVDソフトを売る店をのぞく。
3枚25ユーロのコーナーに日本やブラジルではソフトを見たことのないお気に入り映画、レアものキッチェものを見つけ、購入。
近くのスーパーでは有名なドキュメンタリー映画を5ユーロでゲット。

お宅に戻ってパッケージを眺める。
オランダはリージョンコードが2。
つまり日本のふつうのDVDデッキでは再生できない、はず。
しかも字幕はオランダ語と、フランス語かドイツ語。

ブラジルなら、サンパウロ空港で買ったリージョンフリーだというデッキがあるのだが。
しばらく、お預け。

いずれにせよ、来週月曜の東京での上映に間に合うのが厳しくなってきた。
主催のWillieさんに緊急連絡。
予定のフライト時刻が過ぎてもおるんだけど、オランダ。


4/18(日)記 ライデンドロップ

オランダにて
お世話になっているお宅で電話をお借りして、ひたすらオランダの日本航空事務所に電話をかけ続ける。
録音の案内にはつながり、ひたすら待たされて「のちほどおかけ直しください」。
今日は異国の日曜、じたばたにも限界あり。

電車にて、学都ライデンにご案内いただく。
ライデン!
初めて意識したのは学生時代、ここの民族学博物館のことだったかと。
故・古城泰学兄から聞いたのだったかもしれない。
そのライデンの街を踏み、ミュージアムを訪れることができるとは。
展示の趣味が、いたくよろしい。

特に心に残ったのが、インドネシアの少数民族・アスマットの現代装飾アート展。
アスマット!
日本映像記録センターに入社して、最初に側で見ているよう指示されたのが、デア・スダルマンさんの取材したアスマットの民族誌フィルムの編集作業だった。
第1作のタイトルは「頭蓋骨と寝る人々」だったかと。


4/19(月)記 空の絶望

オランダにて
自分のPCの接続ができない。
スカイプ電話が使えない。
お世話いただいているお宅のお電話をお借りするが、オランダのJALオフィスの電話は相変わらず録音応対で待たされて、「かけなおせ」。
ヨーロッパのJAL元締めロンドン、そして日本のJALにも国際電話をかけていただくが、通じない。

お宅のPCをお借りしてオンラインで予約の取れる日本行きの便を調べると、ややこしく危なっかしい接続、かつエコノミーで1万ドルなんていうのが。
しかもアムステルダム空港はいまだ閉鎖状態、先行き不明。
オンラインのチケット購入では、今回サンパウロで痛い目に合わされている。
そのうえここは異国、航空会社と直でないと怖くて買えない。

見通しが立たないので、居直って観光というわけにも行かず。
ひとりではバスや電車の乗り方もわからず、オランダでは電車で然るべきチケットを持っていないとべらぼうな罰金を払わされるという。

いやはや。


4/20(火)記 アソとウス

オランダにて
JALのホームページにヨーロッパではJALオフィスに電話がかかりにくいとの記載が。
かかりにくいなんてもんじゃない。
電話はかからず、JALのホームページからのオンラインで近日中に予約できる便はなし。
どうしろというのだ。
JALオランダオフィスはロンドン時間での営業であり、電話もロンドンに転送されている気配がある。

旅行社とのオンライン予約購入では、ブラジルでひどい目にあっている。
しかも今はコネも金もない異国の身。
直接、航空会社に当たらないと危ない。

今回はJALお得意さん特典を利用して、日本からの頼まれ物・土産物で荷物をひとつよけいに持参しているので(ヨーロッパ路線は通常20キロまで1個のみ)JALの加盟するワンワールド系の便でないと、べらぼうなエクセス料金を払わなければならない。

苦肉の策で、フィンランド航空ヘルシンキ経由、26日発の便をオンライン購入。
予約するにはまずカードで航空券を購入しなければならないシステム。
しかもキャンセル、払い戻しはできないという。
イヤハヤいたい。

購入後、新たに今日、ヘルシンキ空港が閉鎖されたのを知る。

お世話になっているお宅の世界地図を見させていただく。
指コンパスで、アイスランドからは、アムステルダムよりヘルシンキの方が若干、遠い感じ。
風次第、か。

ちなみにアイスランドとアムステルダムの距離、日本でいうと北海道と九州ぐらいは離れている。
阿蘇山の噴火の影響で北海道の空港が閉鎖、あるいは有珠山の噴火の影響で九州島の空港が閉鎖されるようなものだ。

アソとウスという言葉の類似。
大和朝廷に侵される前の、原日本語・縄文語の世界は北海道と九州までを覆う。


4/21(水)記 君の瞳はシーボルト

オランダにて
本来のアムステルダム発の日本行き便がキャンセルされた日本航空では、あいかわらず昨日、オンライン購入したフィンランド航空のコネクション便より早いフライトの空席がない。

今日はもう一度、ライデンに行ってみることに。
オランダ上映の仕掛け人かつ岡村の寄宿先の方に、駅まで付き合っていただく。
電車のチケットは指定のカードかコインでないと購入できない。
しかも自動販売機の使用法はオランダ在住20年以上の方でも、途中でやり直すほど。

さあオランダひとり旅。
今日の狙いは、シーボルトハウス。
19世紀、長崎の出島に医師として滞在したドイツ人シーボルトは、膨大な日本の文物を収集、ヨーロッパにもたらした。
シーボルトは最初の訪日後、このライデンに住まう。
西暦2005年以来、シーボルトの住居とコレクションの一部が一般に公開され始めた。
圧巻、感動。
ずばり博物学だ。

橋本梧郎先生を想ってやまず。
19世紀の博物学の黄金時代にあこがれた橋本先生は、世界戦争の20世紀を博物に生き、長寿により21世紀まで生きて、全身博物学者の晩年の姿を岡村の映像に託した。

アイスランドの火山噴火の足止めがなければ、今回はシーボルトハウスにまず立ち寄っていないだろう。
岡村の次回作は、橋本先生の晩年の記録のまとめのつもり。
モチベーションは高まる。


4/22(木)記 出オランダ記

オランダ→
寄宿先のお宅で未明にPCを使わせていただく。
JALのホームページの、隠れたようなページに23日02:05発アムステルダム→成田の臨時便を運行するとある。
予約はJAL支店へ、予約のない人は出発1時間前に空港カウンターで受け付ける、とある。
国際電話をかけさせてもらい、日本のJALとかけあう。
臨時便は既にウエイティングリスト、空港で待機しても100パーセントむりと言われる。

これ以上、寄宿先にご迷惑をかけるわけにもいかず、空港篭城の悲壮な覚悟で荷物をまとめる。
この臨時便に乗れれば、24日の最新作完成記念上映に間に合うはずだ。

けっきょく、臨時便より早い22日21:00発の成田行きの便の座席をゲットしてしまった。
成田から仙台のシンパのところに直行して徹夜作業をしてもらえれば、よりクオリティの高い画質の素材作成が可能。

空港からもあちこちに予定変更の連絡であわただしい。
飛行機の機体のいとおしいこと。


4/23(金)記 成田→仙台

→日本
乗客の3分の2以上は日本人の団体ツアー客の感じ。
空港で話してみた何人かは、ちょうどこの便が最初から予約してあったのでかろうじてセーフだったと言う。
JALだけで5日間、デイリーの便が火山噴火問題でキャンセルされた。
それだけの人数が詰まっているわけだ。

無事成田着。
一刻も早くヨーロッパからの無事帰国をお伝えしたいでしょうが、携帯電話の使用は今しばらくお控えください、といったアナウンスが泣かせる。

成田でまず大きいスーツケースを東京の実家に発送。
急きょ予定を変更しての今晩の作業を快諾してくれた仙台のシンパの元に向かう。
成田から上野まで、京成の方がだいぶ安いので、さっそく節約モードで京成を選ぶ。
スカイライナーはもったいないので特急で。

おっと、さっそく人身事故で足止めだ。

テロリズム(英語:Terrorism)とは、恐怖心を引き起こすことにより特定の政治的目的を達成しようとする組織的暴力の行使、およびそれを容認する主義の事である。(ウイキペディア)

電車への投身自殺は、テロ行為か?
特定の政治的目的や組織が背後にありや?
それを容認する風潮はありそうだが。

火山噴火事件とあまりに乖離した祖国の現実に戸惑うばかり。


4/24(土)記 下高井戸で畑を越えて

日本にて
けっきょく仙台の佐藤さんには、体調もすぐれないなか、カンテツ作業をしてもらった。
かたじけなし。
5時台のアサイチのJRで仙台駅に出て、始発より早い臨時の新幹線で上京。
東海道線では人身事故とか。
人身事故五十三次なんてエグイ企画が浮かぶ。

下高井戸の紫煙の染み付いた漫画喫茶で時間調整。
さあ、今回のメインイベント。

下高井戸シネマ、補助椅子もいっぱいの盛況。
主人公の森画伯が集客に尽力されたおかげ。
森VS岡村のブラジル移民ギャグトーク炸裂。

近くのお店で打ち上げ。
森系の人たちに圧倒され、岡村系が小さくなるほど。
森を見て、人を見よ。

さいごに森さんの親友の画家や美術評論家の方々からコメント等うかがう。
畑違いの美術のスペシャリストたちの見解はとても刺激的だった。


4/25(日)記 水戸の美術と美食

日本にて
なかなか起き上がれず、予定よりいくつか列車を遅らせる。
常磐線鈍行を乗り継ぎ、水戸へ。
駅南口から歩いて、茨城県立美術館へ。

最高の美にただただ感動するのが生きがひではないか。そこには知識も言葉もいらない。
川端康成


川端康成コレクション展、これがよろしかった。
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/
パンフレットにもあるが、川端康成をキュレーターとする美の宇宙。
ひとりの文士がこれだけ古今東西の美を収拾していたというのもすごい。
この美術館そのものがたっぷりとしたスペースで、訪問者もさほど多くなく、外は新緑と湖水でなかなか快適である。

美術のあとは、最近、東京の美食家の間でも話題になっている手打ち蕎麦とアルゼンチンワインの店・にのまえさんで、拙作の上映会。
アイスランド噴火遭難で一度、キャンセルとさせていただいたにもかかわらず、濃いメンバーが集まってくださり、感謝。
にのまえさんの底力はこのリンクからご覧あれ。
http://www.b-shoku.jp/modules/wordpress/?author=2530&p=159759

残念ながら、にのまえさんは5月の連休はお休みなのでご注意を。


4/26(月)記 マリア様がみてる

日本にて
午前中は下高井戸シネマで、観客として他人様のドキュメンタリーを鑑賞。
夕方、西荻窪APARECIDAにイン。
岡村作品三夜上映の第2日目。

先回、不思議な出会いをした方がいらしてくださる。
この度のアイスランドの火山噴火とオランダで足止めになったことどもなど、話す。
すると「アムステルダムの聖母」の話をされるではないか。
秋田の聖母マリア像の100回以上にもわたる落涙現象などの奇跡は、かえって日本以外でよく知られている。
このマリア像のもとのイメージが、アムステルダムの聖母像なのだ。

そもそもこのお店の名前は、ブラジルの守護聖母。
今回はこれから昨年、地元の古書店で偶然、秋田の聖母マリアの奇跡についての本を見つけて僕に届けてくだった方の手引きで秋田での巡礼上映があるのだ。
ブラジルへの帰りには、またアムステルダムを経由しなければならない。

な、なんなんだ。
ちなみに今日のタイトルの原作小説は未読。
今度、映画化とか。


4/27(火)記 ドキュくわば皿まで

日本にて
午前中は下高井戸で他人様のドキュメンタリーを鑑賞。

夕方より昨日に引き続き、西荻窪APARECIDAさんで巡礼上映。
見たり見せたりドキュメンタリー尽くしだ。
またしても面白いメンバーが集まってくれた。
「サルバドール県人会長」から、まだまとめるかどうか決めていない撮影済み作品「サルバドールの水彩画」の完成を強く望まれる。

さあどうしよう。


4/28(水)記 祖国初飲み会

日本にて
午前中は下高井戸。
日暮れより新宿。
上映の打ち上げ以外では今回、日本に来て初めての飲み会だ。

女性の出席予定者がすべてドタキャンとか。
また天変地異か、はたまた人身事故か?

さあ明日からは念願の温泉合宿上映。


4/29(木)記 温泉合宿上映実現!

日本にて
以前からの念願が、ようやくかなった。
温泉宿に泊り込んでの、岡村作品上映会。

2年前に台湾で実現する予定だった。
しかし上映の規模が大きくなり、岡村のみ台北の温泉ホテルに泊まり、近くの大学のシアターの提供を受けての上映となってしまった。

鈍行列車を乗り継いで、群馬・水上駅へ。
谷川温泉、おっと、この道はいつか来た道。

カラオケルームを借りての上映を予定していた。
しかしドタキャンの人が何人か出た。
部屋にもソコソコのサイズの液晶テレビがある。
これに岡村持参のポータブルDVDデッキをつないでやってみることに。

うひゃあ、どうしたことか4:3に変換できないぞ!

上映・飲酒・入湯を繰り返す。
参加者はギョーカイの論客ばかり、上映後のディスカッションもまた楽しからずや。

ちなみに本日付の「ジラルドの絵本箱」に松本乃里子さんのドキュメンタリー屋冥利に尽きる「あもれいら」①評が掲載されました!
以下のリンクをご参照ください。
http://ziraldojapao.pokebras.jp/e132195.html


4/30(金)記 温泉美術

日本にて
朝湯朝飯。
宿の横の天一美術館へ。
まことにゆったりしたスペース。
来客もまばら。
岸田劉生コレクションのほか、青木繁、佐伯祐三などの日本の近代絵画、ヨーロッパの近代絵画などのコレクション。
藤田嗣治の黙示録なども興味深い。
一行と一巡したあと、一人残させていただく。

作品数は多くはないので、ふたたびゆったりとまわる。

名画は大都市ばかりにあらず。
美を求めて地方に旅するもよし。
今回はまさしく偶然に複数の麗子像に谷川温泉で出会った。


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