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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2010年の日記  (最終更新日 : 2011/01/02)
5月の日記・総集編 映像写経

5月の日記・総集編 映像写経 (2010/06/02) 5/1(土)記 鈍行列車で行こう

日本にて
谷川温泉は桜が満開。
さあ下山。
帰りも鈍行にする。
大宮乗換え北浦和下車。
群馬の県立美術館は、アクセスも悪く展示もイマイチな感じ。
埼玉県近代美術館を拝むことにする。

「山本容子のワンダーランド」展。
稀有な才能と、描くことの喜びあふれる作家の作品を一挙に見れるのはうれしい。
常設展でも思わぬ発見あり。
来館者もめちゃくちゃ多くないのがよろしい。


5/2(日)記 メイシネマ祭はじまる

日本にて
夏も近づく八十八夜。
五月連休おなじみのメイシネマ祭が始まった。
初日のドキュメンタリーは4本、いずれも気になる作品ばかり。
して、いずれも刺激的で、観ておいてよかった作品ばかり。

1本だけ見ると「長い」と思いがちな作品も、複数見ると、ドキュメンタリー独自の時間感覚があるのに気づかされる。
ドキュメンタリーにとって、時間は不可分のテーマだ。
時をつなぐ。

今村昌平監督に捧げられた「花と兵隊」の松林要樹監督は、学生時代に岡村の作品上映会に来てくれたことがあるという。
そういう若い世代がこれだけの作品を作り、劇場公開するようになった。
これまた時間を感ず。


5/3(月)記 ふるさとはTOKIO

日本にて
今回の訪日後、はじめて目黒の実家で一日を過ごす。
厚く層をなしたさまざまな疲労。
宿題は山盛り。
写経作業もようやく着手。


5/4(火)記 四人ばやし

日本にて
下高井戸シネマ上映に次ぐ、今回の訪日のメインイベント。
メイシネマ祭での「下手に描きたい」上映。
ゴールデンウイークの午前中なるも、まずまずの入り。
思わぬ友人知人たちの来岩(小岩に来ること)がうれしい。

夕刻よりメイシネマ祭20周年記念監督トークショー。
発言順に行くと、小林茂、岡村淳、四宮鉄男、伊勢真一。
岡村が最年少かつもっともマイナー。

司会の藤崎さんが打ち合わせ抜きで質問をふってくる。
小林監督が雄弁をふるっている間に、ない知恵を絞って答えを考える。
そのため、小林監督の話をきちんと聞けずに残念。

この4人トーク、観客にバカウケだった。

岡村はともかく、さすがは藤崎キュレーター。


5/5(水)記 祐天寺無惨

日本にて
同業になる若い人から、こっちの都合に合わせた場所に出向くので、ぜひ話をしたいと懇願されて。
今晩9時、東横線祐天寺駅待ち合わせとする。

昨日も飲み過ぎ、実家でするべき作業はいくらでもあるので飲み屋ではなく喫茶店にさせてもらおうと思う。
もう何年も前に行ったことがある喫茶店の電飾看板が点灯しているのを確認して、駅で待機。

現れた彼氏と、ビルの2階にあるその店に向かうと欧風家庭料理屋になっているではないか。
外の看板だけ昔の名前で出ていましたのだ。

駅周辺には夜9時過ぎに開いている喫茶店がないとは。
しょうがないから居酒屋へ。
時間も経費も予定をはるかにオーバー。

お隣の中目黒や学芸大学駅周辺は、店がひしめき合っているのに。


5/6(木)記 みらい世紀ブラジル

日本にて
日中は実家の用事にあいさつ回り。

夜、横浜大口駅のステーキハウス・ガウシャへ。
とってもうれしい打ち合わせ。
タイトルのようなノリで盛り上がらせていただく。

夢と知りせばさめざらましを。


5/7(金)記 先生と私・日本にて

日本にて
さる企業に依頼を受けての上映。
作品は「ギアナ高地の伝言 橋本梧郎南米博物誌」。
先方と、思わぬ共通の話題で盛り上がる。

新たによみがえる、橋本先生。


5/8(土)記 みちのく紀行

日本にて
さあ日本列島縦断開始。
積もった疲れは、移動中に癒すか。

まずは、山形の親類を訪問。
ビデオ撮りも少々。


5/9(日)記 高岡専太郎の故郷にて

日本にて
早朝6時半発の左沢線に乗る。
山形から、秋田へ。

ブラジルの赤ひげ先生・高岡専太郎の故郷・横堀にて上映。
高岡専太郎については、
http://www.mumyosha.co.jp/docs/08new/takaoka.html

この力作の著者・押切宗平さんに地元をご案内いいただく。
見るもの聞くもの目新しいことばかり。

橋本梧郎先生に、この世でこの上映のご報告をできないのが残念。

一時帰国した専太郎も逗留したという秋の宮の稲住温泉の絵画コレクション、女性画に見入るも一興。


5/10(月)記 あきた縄文天文館

日本にて
秋田県南から県北まで、電車を乗り換え乗り換え3時間。
ついに白神のふもとへ。

今晩はあこがれの体験農家民宿「白神 森のかぞく」( http://shirakami.hots.jp/ )での体験上映。

それに先立ち、縄文屋垂涎の国指定遺跡・伊勢堂岱遺跡をご案内いただく。
縄文のストーンサークル複合遺跡。
空港建設に伴なう大開発で山林から発見された。
見学時間は16時までとあるが、16時前でもゲートが閉じられ、プレハブの見学施設もヒトケはなく施錠されている。

この遺跡は、白神山地の霊峰を意識して何世代にもわたるプランのもとに各村が共同で築いていった壮大な墓地兼プラネタリウムだ。
ネットやケータイがなくても、人々の心は距離と世代を隔ててもつながれる。

東北では核開発、ダムや空港建設に伴なって、新たな驚きばかりの縄文期の大遺跡が発見されている。
祖先たちからの、かけがえのない警告。

上映会では泊りがけで遠方、他県からも来て下さった方々と珍味美酒をほおばりながら時空を共にする。


5/11(火)記 北秋田の巨木と滝と古社と書と

日本にて
昨晩の上映を主催してくれた白神山地きみまち舎のスタッフ、そしてお泊り参加者の皆さんと、尽きないお話。

舎のスタッフに、近くの巨木、滝、古社等々をご案内いただく。
巨木のバラエティは、あっぱれ。
イチョウの古木の巨大な気根に驚く。
橋本先生にご報告したいところ。

翌日から関西取材旅行を始めなければならないオカムラが、最初においとま。
舎長にちょうだいした小坂太郎著「西馬内内盆踊り わがこころの原風景」 ( http://www.kageshobo.co.jp/main/syohyou/nisimonai.htm )を帰路、読み耽る。
大きな気付きをさせていただく。

古くはヤマト朝廷、そして現代の天皇制国家につらなる権力は、如何に人類史上稀有の縄文文化を育んだこの大地と人々から奪い続けてきたことか。

近くは20世紀前半の身売りを余儀なくされた少女たち、そして20世紀後半の「金の卵」・集団就職の若者たちのいたみをすっ飛ばして、いきなり縄文にアクセスしようというのはおめでた過ぎたと、まさしく痛感。


5/12(水)記 任侠奥吉野路

日本にて
アサイチの「ひかり」で京都へ。
近鉄特急を乗り継ぎ、最後はタクシー。

ボランティア取材というのも、なんだかしっくりこない言葉。
「任侠取材」というのはどうだろう。
「任侠」をネット引きすると「弱い者を助け、強い者をくじき、義のためには命を惜しまないという気風」とある。
イエスの教えそのものではないだろうか。
「ボランティア」ほどは、いかがわしくなくていいかも。
こっちは引き寄せられた、選ばれたに過ぎないけど。

一期一会の連続の取材。
夜、奥吉野から西明石まで移動。


5/13(木)記 子午線上のアリア

日本にて
兵庫県明石にて。
朝から取材・撮影。
とりあえずブラジルも南米もまったく関係ないテーマ。

取材を通して被写体の方が「いきいき」としてくるのは、まことにうれしい限り。


5/14(金)記 東京取材

日本にて
今回の取材(仮題「明瑞発掘」)のキーパーソンのご都合に合わせて、昨晩のうちに関西から急きょ東京に戻る。
午後中、都内でどっぷりと撮影。

この三日間、よく移動してよく撮影した。
とりあえず山口県限定公開バージョンを8月までにまとめないと。
「橋本梧郎」と「あもれいら」③の完成が少しずつあとに押されていくぞ。
さあ離日も近い。


5/15(土)記 東京美術

日本にて
午後、森一浩画伯と目黒駅で待ち合わせ。
まず駅前の久米美術館を鑑賞。
サンパウロでもよくご一緒にアート散歩をしたものだ。

近くの喫茶店に。
オランダの絵画についてなど、ここのところ疑問に思っていたことをいろいろ聞いてみる。
最前線の画家かつプロフェッサーに、気軽に質問できるというのはありがたいこと。

今回、日本で取材した天才書家の話を面白がられる。

アートの森を僕はいつまで歩くのか。


5/16(日)記 J&B

日本にて
横浜黄金町の映画館・ジャックアンドベティを訪問。
「アンダンテ 稲の旋律」を拝見してから、打ち合わせ。
映画館できちんと映画を観ることの快感。
かなりの人の入りで、客のノリもいいのに驚いた。

J&BはJUN & BRASILに通ずるのも奇遇。
7月の大作戦に向けて、いろいろとアイデアが沸いてくる。

あの「天国と地獄」の黄金町で・・・
まさしくゴールデンシティ。


5/17(月)記 横浜酒池肉林

日本にて
離日を前に、横浜線大口駅のステーキハウスGAUCHAの伊藤マスターのところにお礼参り。
喜びのおすそ分けにHPとミクシィでシンパの皆さんの参加を呼びかける。
伊藤さんに新作料理を披露していただき、さらにアルゼンチンワインをじゃんじゃん開けていただいてしまい、恐縮。
バタパ・パラエンセはブラジルでも食べたことのない逸品。
懐かしくもうれしい再会、面白い出会いを楽しませていただいた。

さあそろそろ7月のお楽しみを発表しちゃおう。


5/18(火)記 目黒の麻婆

日本にて
さあ日本最終日。
日中は日本の家族の件で。

夕方より目黒駅で友人と打ち合わせ。
東チモールコーヒー飲みながら。
思わぬうれしい提案をいただく。

さあ祖国最後の晩餐、何を食べるか。
せっかくうれしい話もいただいたのに、残り物というのも芸がない。

日本蕎麦系で行こうと思う。
と、麻婆豆腐専門店というのが目に付き、やたらに気になってしまう。
いったんは行き過ごすが、反転してトライ。
注文取りのお姉ちゃんもチャイニーズ。
味はソコソコだが、かなり山椒が効いている。

ニューヨークでも宿の近くにズバリ店名に麻婆豆腐をうたう店があり、挑戦した。
これも山椒が効いていて、ひとりでは食べきれない量、しかも自分で作った方がいいようなお味だった。
麻婆豆腐は紐育より目黒の方がいいぞ。

本場四川省はまた格別だが。


5/19(水)記 SEX AND THE WINDOW

日本→オランダ
まことに長い一日。
成田発が昼前のフライトで、アムステルダムまで約11時間。
JALの機内で「インビクタス」他を楽しませていただく。
日本航空はいろいろ問題があるが、それでも格別なサービスが多々あり。
アムステルダム-成田往復はマイレージのチケットだが、手数料なしで日にちを変更してくれた。
他の航空会社じゃ、こうはいかない。

さあアムステルダムについても初夏のオランダは日が長い。
セントラルステーション近くのホテルで旅装を解き、出陣。
徒歩圏にあるはずの「飾り窓」地帯を見学することに。

これは強烈である。
女性観光客も訪ねるセックス産業地帯は、他にもあるのだろうか。
不思議と、日本人らしいのに出会わない。

ブラジルの掃除のおばさんみたいな女性から「お」と息を呑む女性まで、ガラスの向こうは多彩である。
博物館もガラスの向こうからトントン叩いてくるような展示を図るべきかも。
感じること、考えること多く、なぜかタルコフスキーの映画が観たくなってきた。


5/20(木)記 黒澤の夢・ゴッホの現実

オランダ→スペイン
アムステルダムでの、あと半日の使い方。
日本から頭を悩ましていた。
大げさに聞こえるかもしれないが、僕自身が問われる選択だった。

けっきょく「ゴッホ美術館」ひとつを選択。
10時開館、開館15分前に切符購入の列について、入場できたのは10時15分。
ここに来れたことが、いちばんの感激。
あの、黒澤の「夢」の一話がにわかにリアリティを帯びる。

1時間ちょっとしか時間がない。
全体をざっと把握して、2周目にピンポイントで人波の少ない作品を再鑑賞。
これだけ一人の大物作家の作品がそろっていると、圧巻そのもの。

いくつかの作品からゴッホのゲテモノ趣味、遊び心がうかがえたのが大きな発見。


5/21(金)記 やれやれの帰伯

スペイン→ブラジル
ようやくブラジルにたどり着く。
ややこしいコネクションだったが、荷物もぶじ到着。
旅の虫も数日ぐらいは、うずくこともないだろう。

ああ腰が痛い。
さて急ぎの原稿の字数を確認しないと。


5/22(土)記 THE WAR OF THE GARGANTUAS

ブラジルにて
息子と「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」を鑑賞。
日本で買ってきた東宝特撮映画DVDコレクションのひとつ。

劇場公開は、1966年。
この映画、不肖岡村がリアルタイムで劇場で見た初めての怪獣映画と記憶する。
兄貴に連れられていったのだが、権の助坂にあった目黒東宝だったか、祐天寺にあった目黒金星座だったか。
当時は中目黒に銀映座という映画館もあった。

まあよくもこんな映画が作られたもの。
けなすのは簡単。
最大限の賛辞をしてみると、サンダとガイラの兄弟怪獣はフランケンシュタイン博士が創造した人工生命のクローンなのだが、ホモ・サピエンスに駆逐されていった他の多様なホモたちへの哀歌といったところか。
作品の面白さは、この映画の前作にあたる「フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン」の方が圧巻。

パッケージを見ると、英題の表記が。
「THE WAR OF THE GARGANTUAS」。
フランスのルネッサンス期の作家・ラブレーの「ガルガンチュア物語」を踏襲している。
ルネッサンスに連なるわれらが怪獣たち。


5/23(日)記 コリアンダーは、おいや?

ブラジルにて
日曜のフェイラ(路上市)に、魚類を買出しに。
ミンダナオ島生まれだというおじさんに、スズキをすすめられる。
高級魚だが、思い切る。

スズキはマリーネが家族に好評。
コエントロ(コリアンダー、香菜)嫌いの家人も、これに入っているのはOK。

コリアンダー嫌いは少なくない。

僕がブラジルに移住してフリーディレクターを務めていた頃。
日本から親しいカメラマンを呼んで、ブラジル北東部を広く取材することになった。
彼が、コリアンダーがダメだった。
ところがブラジル北東部の料理は、ほぼ全部と言っていいぐらい、コリアンダー入りなのだ。
米のメシにも混ぜ込んであったり、刻んで振りかけてあったり。

かつての映像記録よりは予算のある取材で、日系人の助手兼VE(ビデオエンジニア)も雇ったのだが、これが気が利かない、どころか大変なトラブルメーカー。
レストランに入るとさっそくお客さんモードになって動かないので、ディレクター自らがセン・コエントロ(コリアンダー抜き)をまず第一に発注したものだ。

食べ物ぐらいなら、まだいい。
往生したのは、スタッフのオンナ問題。
最初のブラジル取材から、これには泣かされた。

これはまた、場を改めますか。


5/24(月)記 三つの時間帯のソナタ

ブラジルにて
日本時間、西ヨーロッパ時間、ブラジル時間と、身心ともにどこに適応したらいいのか戸惑っている。
未明に起床、PC作業。
早朝には子供たちの送り出し。
電球替え、買い物など家事諸々。

メインは7月の横浜の映画館・ジャック&ベティでのオカムラ作品集中上映用の原稿書きと写真等の手配。
予定されている11作品の概要を各150字ずつ、新たに書き下ろす。
ツイッターより10字多いぞ。
自分でも見たくなるような内容を心がける。

6月に迫るアルゼンチンでの「フマニタス」スペイン語字幕版上映のための完成台本写経作業も大詰めへ。
日本で写経を仕上げておくつもりが、こぼれてしまった。

つまらん会合等や「迷惑」「失礼」メールに怒りの返しをするのは時間と労力のムダ、自重しましょう。


5/25(火)記 映像写経

ブラジルにて
「フマニタス」スペイン語字幕版制作のための日本語完成台本入力を、ようやく終了。
留守中、しまいこんでいたビデオ編集機を取り出し、セッティング。
スペイン語字幕入れ用の「白素材」作りの再開。
コツを取り戻すまで手間取る。
こりゃ、まさしく映像写経と呼ぶべきアナログ作業。

これまでこの作品で気になっていた、数フレーム(約1秒)の部分の手直しも図るか。

午後から病院での検査があり、タイムアウト。
麻酔を注射されフラフラ、またどことも知れない時間帯におちいって帰宅後も眠る。


5/26(水)記 写経の合い間に

ブラジルにて
今日は日中、ずっと自分の作業ができる。
アルゼンチン上映のための、もとの素材つくり。
これは一人相撲とは行かず相手のあることで、6月の上映に間に合うのか、ちと心配。

「フマニタス」を改めていじり、字幕がいかにもとの映像を汚しているか、ナレーションがいかに現場の鮮やかで驚きに満ちた音声を消しているかに気づく。
「あもれいら」①以来、微妙な音声は自分でいじって自分で字幕を入れ、「あもれいら」②からはナレーションのはめ込みも自分でやるようになったので、どこかしらの違いはあることだろう。

それにしても、いろいろな用件が舞い込んでくる。
カネが入るどころか、カネと手間と労力を使う話ばかり。
こんな調子でサバイバルしてきたのは、プチ奇跡かも。


5/27(木)記 西語征シ難シ

ブラジルにて
今日から「フマニタス」スペイン語字幕入れ作業を開始できる予定。
昨日、作業した部分にズレがあるのがわかり、もう一度やり直し。
ノンリニアは、よくわからんぜ。

とにかく、メインタイトルはスペイン語で入れてみる。
そもそも翻訳もすべてあがってないし、先は長そうだ。

ひと月後にはアルゼンチン入りしている予定だが・・・
気ばかりあせる。


5/28(金)記 フマニタスの告白

ブラジルにて
「フマニタス」のスペイン語字幕入れ作業が、当面の課題かつメインの作業。

ここで、告白。
「フマニタス」はポルトガル語版を制作しているが、この時はプロの翻訳家にギャラを払って日本語テキストを翻訳してもらい、サンパウロの知人のビデオ業者に見積もり通りの料金を支払ってポルトガル語の字幕を入れてもらった。

プロに任せたことだし、当時、制作中の自作の作業に追い込まれて、翻訳のニュアンスや字幕の分け方やタイミングまでは細かく立ち入らなかった。
そのため禍根を残すことになるが、仙台の佐藤さんがそのあたりを察して、まさしくボランティアで新たに見やすいポルトガル語の字幕を入れ直してくれた。

ポルトガル語の知識もなく、よくぞ引き受けて実現してくれたものだ。
自分で、ほんの少しは理解もできるスペイン語字幕作業の大変さを体験して、彼の苦労をしのんでいる。

こんなのは手を抜けばいくらでも抜けるが、それはできない。
改めて佐々木神父とフマニタスに託した僕の想いと祈りを見直して、それがスペイン語に広まっていくのを感謝。
アルゼンチンで奮闘する、まだよく知らない同志たちの無償の厚意の賜物だ。

善意のネットワークを信じて、精進を続けよう。
まことに祈りの結集の作品。


5/29(土)記 地球防衛軍に失望

ブラジルにて
「家族を大切にできない奴は、クズだ」。
先週、ウン10年ぶりにDVDで観た「ゴッドファーザー」より。
この映画は、このセリフに尽きるかも、の名言。

通常は家族が日中も家にいることの多い週末は、ビデオ作業はしないことにしている。
「フマニタス」スペイン語字幕作業は時間がかかり、しかも日にちが限られているので、非常事態として未明より作業。

午後、先週に引き続き息子と「東宝特撮映画」シリーズを観る。
「地球防衛軍」(1957年公開)。
宇宙人ミステリアンの操るモゲラが見もの。
しかし、親子で激しく失望。
肝心なモゲラが、いとも簡単にモゲてしまい・・・
この頃の制作スタッフたちは、こうした映画に何が求められているかが、よくわかっていなかったのかも。
その傾向は、ゴジラシリーズの最後まで、巨大な尾を引いている観あり。


5/30(日)記 鰹の季節

ブラジルにて
安息日なるも、未明よりスペイン語字幕作業を少々。
この調子でいけば、人と機材に故障がなければブエノスアイレス上映に間に合いそうだ。

路上市に、魚の買出し。
カツオが出てきた。
冬の到来を感ず。

夜、タタキでいただく。
いただき物の日本酒の残りを、いただき物のおちょこでいただく。
さあ、明日は断食しよう。


5/31(月)記 古城の月

ブラジルにて
図らずも、つごもりの今日。
こんなブログを見つけて、たまげる。
http://blogs.yahoo.co.jp/tramping826/50731151.html

不世出の学兄・古城泰さんをなくして、今月でちょうど、まる10年。

この仕事をしておいてよかった、と改めて思う。
そして、ドキュメンタリーとは、人と人をつなぐことだと教わる。
たとえ片方が故人であろうとも。
いや、片方が故人であるからこそ。


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岡村淳 :  
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