8月の日記・総集編 私の夏は明日も続く… (2010/09/02)
8/1(日)記 南溟
日本にて 九州南端の小さな町で、何人もの知人と再会するというのはスゴい感じ。 撮影と、上映と、接客と…
上映直後。 夕方からの南溟館野外特設ステージでの音楽コンサート。 関係者に頼まれ、ご縁のあった地元のバンドをサービス撮影。 カミが降りたのを感じるほどの時空だった。 ポジションは限られたが、いい感じで撮れちゃったような。
お疲れ様でした。
8/2(月)記 鹿児島のぜいたく
日本にて 今日は、森一浩さんのご実家に寄らせていただく。 敢えてカメラを回さない時間。
往路、鹿児島空港から市内へ向かうバスの左車窓、山中に一条の滝が見えた。 道路周辺に、なんの観光スポットの案内板も見当たらない。 帰路は枕崎から空港への直行バス(乗客は不肖オカムラのみ)、この左車窓からは絵に描いたような平面に拡がる滝が見えた。 こちらも案内板は見当たらず。 これだけの滝が名所として認識されていないのか?
空港にある無料の足湯は19時までとのこと。 ギリで急いでカップ麺がゆで上がるぐらいの短時間だけ、浸かる。 JALのラウンジには、呑み放題の芋焼酎の甕まであるではないか。 退屈しない空港。
8/3(火)記 PARC招暑上映会
日本にて 納涼上映のはずが、招暑上映となってしまった! 30人も入れば息苦しい淡路町のエレベーターなしビルのPARCの一室に、40人以上が! それにしても多彩な人たちが集まってくれた。
特筆に価するのは、臨月の女性、受験を控えた女子高生の参加。 PARCスタッフの、地道な告知の積み重ねのおかげ。 このまま引っ張って生きたい、いい空気だった。
して、そのPARCとは? 以下をご参照あれ。 http://www.parc-jp.org/
8/4(水)記 夏休みファミリー上映会
日本にて 緑濃き世田谷へ。 友人一家を訪問。 小学生のお子様が、申し訳ないぐらい喜んでくれる。 かつての拙作を見てもらう。 返礼の出し物まで見せてもらって。
また会おうね!
8/5(木)記 私の夏は明日も続く…
日本にて 目黒の実家で、諸々。 先日、茣蓙(ござ)を探しに行ったら、枕付きのものが数種。 買ってみるが、なかなか遊行の者にびったしな感じ。 藺草(いぐさ)の香りの心地よいこと。
ラジオによると、暑さがまだ続くが、ピークは今日明日とか。 絶対的に君臨している感のあるこの猛暑も、やがて終わるか。
8/6(金)記 フェイジョアーダ健康法
日本にて 実家で諸々の用事をしながら、合い間にブラジルのナショナルプレート・フェイジョアーダをこさえる。 先回、乳児も老人も食後に便通がよかったという報告が。 豆って、お通じによかったっけか? 再び人体実験も兼ねて。 それにしても今どきの日本のキッチンの火力は強い。
8/7(土)記 はま松くん
日本にて 始発バスより早い時間。 タクシーは、もったいない。 実家からJR目黒駅まで歩く。 緑の窓口も開いていないので、SUICAを使う。 鈍行を乗り継ぎ乗り継ぎ、浜松へ。 若者たちを始め、同様に旅する面々が多い。 静岡県内の諸々の駅が、自分にはなかった日本の田舎のような胸キュン感覚をそそる。 夏の「黒富士」も強烈だった。
浜松駅で、まず5000YENほど精算機でチャージ。 しかしチャージは出来ても、JRの会社が違うので乗り越し料金は現金しか受け付けないという。 な、なんなんだ! あまり現金の持ち合わせはない。 明日、離日なので帰りは新幹線と思っていたが、もうそのカネがないぞ。
上映会は技術面で対応の難しい点があったが、いい集いだったと思う。 あのエキセントリックなアルゼンチン女性は、何だったのだろう? 出席された方が浜松-東京の新幹線のチケットを差し入れしてくれたのは、なんともありがたかった。 製作のための浄財に使うカンパの現金にさっそく手をつけずにすんだ。
2次会の店と場が、まことによろしかった。 異種の人たちが一期一会に集い、盛り上がる。 ああ、やめられない。 それにしてもカイピリーニャが300YEN台で飲める店なんて日本で他にあるか? メロンとイチゴのカイピリーニャというのは、もう飲まないけど(かき氷用のシロップ…)。
8/8(日)記 「ママ、さよなら。ありがとう」
日本→アメリカ合衆国→ これは、すごい本に出会ってしまった。 恵比寿から成田に向かうリムジンバス車中で読了。
流産、死産、人工中絶などでこの世に生まれることはなかった(あるいはまもなく亡くなった)赤ちゃんたちからのメッセージ集だ。
「ママ、さよなら。ありがとう 天使になった赤ちゃんからのメッセージ」池川明著、リヨン社 (前略)はじめに無理して産み、育児困難になって子供につらく当たるよりも、中絶をきっかけにお母さんが成長し、次の子には親子の絆を大切にする子育てができるなら、そういう選択もあるように思います。 私には、中絶される赤ちゃんの中には、中絶されることを知りながらも、お母さんを成長させるため、あえてやってくる子がいるような気がしてなりません。(後略)
産まれるべき子をなくさざるをえなかった女性の心の傷をさらに恐怖であおり、金銭等をむさぼる邪宗は少なくないようだ。
いっぽうこの本は、多くの人たちにとって救いと希望になると思う。 この本に、ありがとう。
8/9(月)記 しのびよるシャーガス病
→ブラジル 「これでも文明国か」。 第二次世界大戦前、年に数万人単位の「臣民」を移民としてブラジルに送出しながら、現地の保健衛生対策をおこたり続けた日本政府に対する医師・高岡専太郎の言である。 現在の日本国は、移民どころか在日日本人の深刻な健康危機をも看過し続けている。
日本でシャーガス病の唯一の臨床医とされる慶応大学の三浦左千夫先生と、成田からサンパウロまで同機の桜となる。 三浦先生とは以前も同じフライトだったことが。
シャーガス病は中南米の風土病で、罹患者は数100万人に及ぶ。 肝臓や脾臓の肥大、心臓疾患をもたらす。 発病後の有効な治療法は、いまだない。 中南米における年間の死者は、1万人を越えている。
シャーガス病はサシガメ、つまり吸血カメムシが原虫を媒介する。 冬場の旅館でガムテープで捕獲してくれといわれるあの臭いニオイを発する虫、庭先でオシリを付き合わせてやたらに交尾をしているあのカメムシの一種。 これの中サイズのゴキブリぐらいのやつが、人間様の生き血を吸うのである。
近年のブラジルではアマゾンのアサイジュースや南部のサトウキビジュースのなかにこの虫が紛れ込み、飲んだ人が続々と急性のシャーガス病で死ぬという事件も発生している。
三浦先生によると、現在の在日ブラジル人の1%以上の血液からシャーガス病のプラスの反応が出ているとのこと。 すでに日本での発病者、死者も確認されている。 シャーガス病は母子間、そして輸血によっても感染するのだが、現在の日本の献血禁止の疾患のなかに、いまだシャーガス病は含まれていないという。
僕はすでに日本にこの吸血カメムシが持ち込まれている例を目撃している。 珍虫奇虫ブーム、そして熱帯化の進む環境。 シャーガス病が日本の風土病となる日も遠くなさそうだ。 これでも、文明国か。
8/10(火)記 ねえ、初めてのキス覚えてる?
ブラジルにて 今度もブラジル滞在は1週間ポッキリ。 するべきことはテンコ盛り。
先週、鹿児島枕崎で野外ライブを友情撮影させていただいた地元のRENSというグループの映像が気になっていた。 撮影中、カミが降りてきたのを感じるほどの時空が展開したので。 さっそく編集機に取り込んで、編集作業。
このグループの曲がなかなかよろしい。 かつての太田裕美のような胸キュンの世界。
音のデジャヴュというか「既聴感」がある。 ためしに件名に引用した歌詞のある「A」という曲を検索してみると、どうやらオリジナルのようだ。
これはすごいかも。
RENSのブログはこちら。 http://ameblo.jp/rens/ You Tubeで曲も聴けますぞ。
8/11(水)記 明瑞発掘再開
ブラジルにて 鹿児島のRENSさんのコンサート映像は、あとは曲名を確認してスーパーインポーズするぐらいとなった。 さあ「明瑞発掘」の続きだ。 「明瑞発掘 奥吉野編」は7月のシネマ・ジャック&ベティでの「岡村淳 ひとり取材ひとり語り」の際にワールドプレミア上映をさせていただいた。 ブラジルも移民もカンケーない短編だが、意外と好評。
あと「明石編」「東京編」が残っている。 次回訪日の際に追加撮影の要ありかを検討するため、東京編素材を先にチェック。 ふむ、これはこれでいっちゃうか。
ほんらい、山口・龍昌寺の伊藤明瑞美術館(仮称)はこの8月下旬オープンの予定で、それに合わせての作業だった。 先方に不幸があり、オープンは延期に。 8月下旬はさらに東北で友情撮影あり。 なかなか橋本梧郎シリーズに手を付けられないまま、橋本先生の三周忌を迎えることになりそうだ。
8/12(木)記 ブラジル青海苔文化論
ブラジルにて 緑藻類アオサ科アオノリ属(Enteromorpha)。 寒帯から熱帯にまで分布するという。
夕食にヤキソバを作る。 おっと、日本でアオノリを買ってくるのを忘れてた。
サンパウロではブラジル産から日本からの輸入品まで、ひととおり何でも日本食品はそろうといえる。 ヤキソバ系のものでいえば、紅ショウガはブラジル国産のものが複数あるし、おたふくソースも輸入モノがあり。 日本で存在するのか気にしたこともないが、ブラジル産のヤキソバ用ソースというのもある。 しかし、意外とアオノリは見かけたことがない。 けっこう漏れてるものはありそうだ。
人はアオノリのみに生きるにあらずか。 して、なかなかの栄養に富んでいるようではないか。 祖国じゃお盆。 中隅さんや橋本先生あたりとアオノリ談義がしたいものだ。
8/13(金)記 未来世紀ブラジル
ブラジルにて 試運転中のサンパウロの地下鉄・黄色路線。 初めて乗ってみる。 これは驚き、最新の都営地下鉄以上のモダンさ。
目的地はピニェイロスのインスチチュート・トミエ・オータケ。 Guignardというブラジル人画家の展示が気になっていた。 日本画・中国画を研究してミナスジェライス州の山野と文化を描いた画家。 期待通りのよろしい作品群だった。 常設展であれば、何度でも通いたい思い。 しかし今月29日まで。
見ておいてよかった。 黄色線は15時までの運行。 帰りはバスで。 渋滞のなかで、豊かな気分。 この展示に会えただけでも、少し無理してブラジルに帰ってきた価値があった、といったら大げさかな。
8/14(土)記 堂々枕崎ロケ
ブラジルにて 昨日、ダウンタウンに出た折、レコード屋(さすがにレコードは見当たらなかったが)で「男たちの大和」ポルトガル語字幕版のDVDを買った。 日本のロードショー料金まではいかないが、安くはないものの、奮発。
先回の訪日で枕崎に行った際、現地でロケをしたと聞いていた。 見てみると、枕崎が作品のなかで重要な位置を占めているではないか。
監督は、佐藤純彌、なつかしー。 不肖オカムラ、かつてこの佐藤監督の「人間の証明」に出演したのを思い出した。 クライマックスの、東京のホテルのシーン。 今はなき松田優作との競演だ。
そろそろ次の「Bumba」の連載を書かなければいけない。 別ネタを考えていたが、これでいくか。 「65年目の終戦物語」みたいな感じかな。
8/15(日)記 カツオは海を越えて
ブラジルにて 路上市に魚を買いに。 家族にサシミを食べさせたい。
まずはブリをすすめてくる。 ちょっと大き過ぎ。 次いで、タイ。 タイはあんまし食べたくない。 次に、シマカツオときた。 よっしゃ。
タタキにしようと、ガス火で軽くあぶる。 おっと、カツオのタタキは氷水で冷やすんだったな。
家族には好評だったが、いまひとつ水っぽく身の締まりがなし。 もっとキンキンに冷やすのかな。
思えばカツオの町・枕崎に3泊もしたのだが… カツオバーガー、カツオの腹身のあぶりなどはいただいたが、直球のカツオ料理は逃してしまった。 「風の芸術展」の白波酒造での前夜祭にあっただろうか? あの時は撮影やら、南米に赴任していたという人のお話の聞き役やらで、食べる暇もなかったな…
8/16(月)記 戦災復興記念(イベントのお知らせ!)
ブラジル→ 訳のわからないカタカナのハコモノが林立する祖国日本のなかで… 「戦災復興記念館」 http://www.stks.city.sendai.jp/hito/WebPages/sisetu/sensai/index.html という建物が仙台にある。
今回の訪日のメインは、ここでのイベントの撮影だ。 8月26日(木)17時30分開場 18時開演・20時15分終演予定。 和田恵秀さん構成・演出・出演・朗読・歌・作画。 和田さんの古希記念自主公演「あの戦争が始まるまでは」。
和田さんはまことにマルチな活動をされてきた。 僕らの世代でいちばんピンとくるのが、あの「サンダーバード」4号のゴードンの声優。 アートネイチャー初代のCM、映画では美空ひばりとの競演も。 岡村は映像記録の兵隊時代、新宿のスナック「8&8」でお世話になった。 江戸っ子の和田さんは居を福島の山中にホンキで移し、古農家を劇場と茶房「心滋館」に改造、まさしく半農半〇を実践するアーチストである。 同館に展示されている和田さんの切り絵の仏画には、息を呑む。
昨年、古希記念公演のお話をうかがい、岡村ごときでよろしければ、と友情撮影を申し出た。 JALの機中で何度も「THIS IS IT」を見ておいてよかった。 舞台裏の撮影をとのご希望のため、当日は12時間近く三脚なしでほぼ回しっぱなしになりそうだ。
完成バージョンは本番が始まるところで終わるような作品をちょっと考えているが、さて。 和田さんはご自分の葬式で流したい、などとおっしゃっているが、生前に何度も見返せる作品を目指したいもの。 まずはバッテリー、長時間用録画テープなどをきちんと準備しないと。
8/17(火)記 白いブラジル
→アメリカ合衆国→ 廃線間際の日本航空サンパウロ-成田路線。 二等船客は、ほぼ満席。 おや、どっかで見たことのある人たちが少なくない。 ちょうど1週間前にブラジルに着いた便で乗り合わせた人たちだ。 なにせJAL便はいまや週に2便のみなので、おそらく日本のお盆休みを利用してブラジルに短期旅行をした人たちと一緒になってしまうのだろう。
客室乗務員の半数はブラジル人女性。 それにしても、見事なまでに白人系ばかり。 ブラジル女性の代名詞のようなモレーナ(褐色女性)はフリークエントトラベラーの私をして、拝んだ覚えがない。
して、彼女たちはJALのブラジル撤退後はどうするのだろう? マニュアル通りだろうが、泣かせるほど丁寧な日本語を使ってくれる。 明るい未来を願いたいもの。
8/18(水)記 「うつろ舟」!
→日本 日本のこの夏、三たびの訪日。 自分史上、前代未聞。
まずは東京の実家へ。 この街、暖房が効き過ぎ。
実家に出版社から「松井太郎小説選 うつろ舟」(松籟社 http://shoraisha.com/ )が届いている。 よくぞ日本の出版社が出してくれた。 装丁、質感がなかなかよい。 これが2000円未満とは、まことにお手ごろ。
「うつろ舟」をコピー版で初めて読んだ時の、えもいわれぬ感動を想い出す。 ブラジル日系人モノでは、関わりたくもないものが少なくないが、この企画にささやかながらも関与させていただけたのはうれしい限り。
松井ワールドはモニターなどではなく、ぜひ紙で読んでいただきたい。
君は、松井を、「うつろ舟」を読んでいるのか?
8/19(木)記 ある移動料理人のツイート
日本にて 今日は東京の実家で「ブラジル家庭の味噌汁」といわれるフェイジョン(豆の塩煮)を煮る。 相手は豆なので、味噌汁より格段に時間がかかる。
つかのま戻っていたブラジルでは、向こうの家族にサシミや手巻き、さらに日本のB級料理の数々を…
多少、料理の心得があるとこういうことになる。 ああ、その土地の郷土料理をその土地で食べたい。
ま、喜ばれるのが何より。
8/20(金)記 不動態
日本にて 昼まで、実家の方の用事。 午後より、一服してからいくつか手がけようと思っていたが… 心と体の乖離。 体が動かない。 とりあえず遠出は見合わせよう。 人との予定が入っていなくてよかった。 明日から北上、夜には上映だ。
8/21(土)記 八月の八戸
日本にて 渋谷駅でジャパンレイルパスを発券。 さっそく北上。 新幹線はつる八戸へ。 ますますパンクなYAMさんが駅まで迎えに来てくれる。
いつもの本八戸のホテルが満室とのこと、八戸駅近くのホテルを取ってもらう。 少し時間があるので、かって知ったる上映会場の「そうる・ぶらんち」さんにはひとりでJRに乗って行ってみると申し出る。 八戸線のホームで入線している列車を見て、驚く。 窓が開いているではないか。 日本の8月の列車で、今どき冷房の効いていないのがあるとは。 さすがに扇風機は回っている。 そういえば、列車の扇風機も見なくなった…
夏の土曜の夕方だが、部活帰りらしい学生が多い。 田んぼと人家とそこそこの緑、ときどき川。 なんだかタイムマシンに乗ったような懐かしさ。
かつて自分の書いてしゃべったナレーションみたいだが、ようやく自分の知っている日本に帰って来た感じ。 八戸は、サウダーデの町。
8/22(日)記 夏草の縄文
日本にて 早起き、というか2時間ぐらいの仮眠で八戸の朝市へ。 いきなりガツンとブラジルがぶつかってきた。
さらに北上、三内丸山遺跡を目指す。 青森駅に世界遺産暫定のこの遺跡の観光案内は見当たらず。 ロッカールームは100円玉3枚なければNG、両替お断り。 重い荷物を引きずり、プリプリとバスターミナルに向かい、運転手にどのバスに乗ればいいかを聞くと、案内所で聞いてくれときた。
もうシンキ臭い遺跡なんか見ないで帰ろうか。 ところが、なかなかよろしかった。 より規模の大きい吉野ヶ里より、こっちの方がいい感じ。 吉野ヶ里はカネを取られたが、こっちはタダ。 展示も親しみやすい。 吉野ヶ里は国民に死を強要する天皇制国家の萌芽のグロテスクさが匂った。 三内丸山は、よりヒトのぬくもりが伝わってくる。 まさか原子力のカネが動いたんじゃなければよろしいが。 いまやトイレ施設扱いの古い方の展示室を見ていて、もう枯渇したかと思っていたこっちの知的好奇心が復古してくる。
夜は秋田北部・毛馬内の盆踊りを見させていただく。 日本の祭りらしい祭りをライブで見るのは、学生時代以来かも。
8/23(月)記 涙の理由
日本にて 昨晩の毛馬内の盆踊り見学など、今回も白神山地きみまち舎さんにたいへんお世話になった。 http://shirakami.hots.jp/ 再会を期して、二ツ井駅でしばしの別れ。
秋田駅着。 ついに涙のマリア像を訪ねることに。 聖体奉仕会を目指し、バスで最寄りの停留所まで向かう。 ここから歩き。 途中の森の小径、江戸期の墓地などがムードを高める。 突如、日本の仏教寺院建築の巨大な建物が。 え、これが!? マリア像落涙の開始の頃は、人里離れた簡素極まりない女子修道会のとことだったが…
今日は団体参詣客もなく、静謐そのもの。 ここに至るまでのいくつもの「偶然」を振り返る。
駅からここまでのバス路線の途中に、日帰り温泉あり。 帰りに、ひつ風呂いただく。 と、JRレールパスが、ない…!
まだまだ、秋田から東京、そして東京-仙台往復と活躍してもらわなければならない。 こちらが泣きたくなる。
8/24(火)記 秋田→APARECIDA
日本にて 駅ビル管理事務所、JR、駅の交番、バス会社、聖体奉仕会、温泉プラザ、そして唯一立ち寄ったカフェすべてに問い合わせるがJRパスは見つからず。 消えたとしか思えない。 夜には東京で上映がある。 やむをえず。 駅近くで見つけた金券屋で新幹線の切符を買う。
午前中、急ぎ足ながら市立美術館で魯山人を見て、蓮のお堀に見とれながら県立美術館で藤田嗣治を見る。 藤田のブラジル時代の仕事を見ることができた。
今回のみちのくの旅では買ったりもらったりした書籍がたっぷり。 うれしい悲鳴、なれども重い。
東京の実家に重荷をおろして、西荻窪APARECIDAへ。 トークと上映。 満員御礼。 今回も尾を引きそうなうれしい出会いがいろいろあった。
8/25(水)記 SUDOKUのヒミツ
日本にて 最近、ブラジルでポピュラーになった日本語のひとつにSUDOKUがある。 ブラジルオカムラファミリーでも、バガボンドおやじ以外はみなハマる。 高校時代以来、数学アレルギーとなった不肖岡村は、数字の羅列を見るだけでむかむか。
昨晩、深夜も営業している東急ストアに上映会帰りに寄る。 レジの近くにあった小さなフリーマガジンをいただく。 こういうのに意外な掘り出し物の記事があるのだ。
これに世界に広まる「数独」の発案者であるクイズ雑誌発行者のインタビューが。 面白かった。 数独にハマった世界各地の人々のそれぞれのエピソードが感動モノ。 近年の日本人の世界への貢献で特筆すべきかも。
8/26(木)記 「THIS IS NOT」
日本にて 夜行バスで早朝の仙台に着。 国分町のサウナで旅の汗を流す。
さあ昨年からお約束していた和田恵秀さんの戦語りの舞台の撮影。 いいもの撮れてるのが実感できる。 原爆編、沖縄編の通し稽古をノーカット、手持ちで行なう。 気分は、ソクーロフ。 もうこれで燃焼。
和田さんが、新たに「天声人語」の引用を加えた。
もとの今年の8月3日付をご紹介しておこう。
日本に住む米国人の詩人アーサー・ビナードさんに『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』(集英社)という絵本がある。米国の画家、故ベン・シャーンが死の灰を浴びた第五福竜丸を描いた連作に、日本語で詩をつけた。 犠牲になった久保山愛吉さんの墓に参りつつ、詩人は言葉を刻む。〈「久保山さんのことを わすれない」と/ひとびとは いった。/けれど わすれるのを じっと/まっている ひとたちもいる〉。忘却を拒み、風化に抗(あらが)う、固い意志に貫かれた一冊である。 福竜丸の遭遇した水爆は広島型原爆の千倍もあり、島を三つ吹き飛ばした。その閃光(せんこう)をはじめ、冷戦下に米国が67回も核実験を繰り返したのが太平洋のビキニ環礁一帯だった。海底に残る巨大なクレーターは、人類の愚行の刻印である。 そのビキニ環礁がユネスコの世界遺産に登録されるという。紺碧(こんぺき)の海に抱かれた珊瑚礁(さんごしょう)は本来なら美しい自然遺産であろう。しかし文化遺産として登録される。「負の遺産」として狂気の時代を記憶し、伝える役を担うことになる。 遺産とはいえ、話は過去のものではない。現地の島々には病に苦しむヒバクシャも多い。何より人類は核兵器を葬ってはいない。国際世論が細れば、「忘れるのを待っている者たち」がまたぞろ増長しかねない。 〈ペンキはがれ朽木のごとき船体なりされど眠れぬ第五福竜丸〉と先の朝日歌壇にあった。ビキニ環礁とて過去を忘れて眠れまい。広島・長崎から65年。福竜丸から56年。核廃絶の意思を新たにする夏でありたい。
わすれるのを じっとまっているひとたちもいる。
8/27(木)記 窓とカマキリ
日本にて 戦災復興記念館近くのホテルで和田さんと朝食バイキング。 話は尽きない。 次は和田さんの一人芝居に期待したい。
近年の旅の楽しみとお勉強・地元の美術館探索。 宮城県美術館まで歩く。 建物は強烈。 大阪の国立国際美術館の収蔵品約75点が特別展だが、これで1000YENとはお高い感じ。 ミュージアムの壁が汚いと思ったのも、ここが初めて。 町内会の掲示板のように、何度となく展示に使った痕がまざまざとわかる。
ミュージアムショップで一枚のカードにひきつけられる。 長谷川潾二郎の「窓とカマキリ」。 10月からここで大回顧展を開くとのこと。 目録を大人買い。
仙台の友と昼食。 午後のバスで帝都に向かう。
8/28(土)記 横浜パラダイス
日本にて 思い出の横浜・黄金町へ。 横浜下町パラダイスまつり/よこはま若葉町多文化映画祭。 http://downtownart.hama1.jp/ フィリピンを舞台にした「クアリ~米軍に依存し傷ついた人々~」と台湾を舞台とした「トーテム」の2本のドキュメンタリーを観させてもらうが、どちらも観ておいてよかった。 拙作の上映会場は、高校か大学の文化祭の会場の雰囲気。 終了後、ブラジリアンバーへ。 ママさんがパステル(ブラジル餃子)を作ってきてくれた。 お味は、合格。 こちらからブラジル風つまみを、と頼んでおいただが、お代は取らないという。 頼んでもないつまみを恩着せがましく出してきて、ボッタくるサンパウロは東洋人街の日系飲食店とは、真逆の志だ。
おまつりは9月4日まで続く!
8/29(日)記 ルーツ上映
日本にて 今回、最後の上映。 早めに現地へ。 上映会場最寄りのJR田町駅の反対側、芝浦が岡村ファミリーのルーツ。 かつての記憶を再検証しておく。 初代ゴジラ、ここに上陸。
会場はアクセスといい、広さといい、何かと手ごろ。 映写を担当してくれる人もいて、心強い。 集まってくれた人たちはガリ版通信「あめつうしん」の読者が中心。 ボルテージが高く、質疑も手ごたえあり。 見るべき人たちに見ていただいている感。
日曜日のオフィス・学生街。 がらんとした居酒屋貸切状態の飲み会も楽し。 それにしても、夜でもこの生ぬるい暑さ。
8/30(月)記 ぼけぼけ
日本にて あとは離日まで、東京の実家のことを主にして過ごすつもり。 なんだか、ぼけぼけのミスが少なくない。 今日も… この異常なクソ暑さのせいにさせていただくか。
今回のメインの撮影、致命的なエラーはなかったようで何より。 冬のサンパウロで頭を冷やすのが楽しみ。
8/31(火)記 目黒天空
日本にて 灼熱の目黒を、歩く。 知人の紹介で知り、気になっていた展示。 東京都庭園美術館・有元利夫展-天空の音楽。 http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/arimoto/index.html 「風化」のことなど、彼の言葉が琴線に触れ、目録を購入。
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