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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2011年の日記  (最終更新日 : 2012/01/01)
7月の日記・総集編 ローシャとゲバラ

7月の日記・総集編 ローシャとゲバラ (2011/08/01) 7/1(金)記 ブラジルの底力

ブラジルにて
昨晩まで観光の案内をしていただけとはいえ、けっこう疲れた。
少し休みたいが、そうも言っていられない。
急ぎで日本に送るものが出てきた。

近くの郵便局に行って、1通は日本宛て書留便で、もう1通はサンパウロ市内宛て普通便で、とカウンターのおばさんに頼む。
計量してから切手を貼り始めたが、どうもおかしい。
レシートを確認すると、サンパウロ宛てのも日本宛ての料金となっている。

もちろん2通とも宛名はアルファベットで表記している。
「サンパウロ市は日本でなくて、ブラジルの領土だよね?」
最初にこっちが言ったことも聞いていないぐらいだから、こんなジョークが通じるわけもないけど。
こっちが悪いとばかりに舌打ちをされなかっただけでも、よしとするか。

ブラジルの郵便局員に、ふたつも用件を頼んだこっちが悪いか。


7/2(土)記 蝶の名は

ブラジルにて
今度の訪日はヨーロッパ経由。
1500万人もの死者を出したという第一次世界大戦のことを少しは考えたい。
先回、日本で買ってきたパブリックドメインのDVD「西部戦線異状なし」を観る。
1930年の作品。
小津がサイレントやってる時に、後の敵国はトーキーでここまでやっていた。
英語を日常語とするドイツ兵、というのはこのあたりが嚆矢かもしれない。
ペキンパーの「戦争のはらわた」のナチス兵士たちも英語堪能だったな。
このあたりの興行主義的伝統を、近年ではタランチーノが「イングロリアス・バスタース」で見事に破壊してくれた。
ドイツ語とフランス語の通訳行為までがシーンとなるのだから迫力だし、ヨーロッパを感じることができた。

さて「西部戦線異状なし」、これだけの戦争批判の大作が生まれても、世界は、その後…。

そうか、有名な蝶のシーンはこういうことだったのか。
マダラチョウの仲間のような感じだが、あの蝶はなんだろう。
ググってみるが、意外とそこまで言及しているのが見られない。
それどころか「一匹の蝶」といったレベルの文が多い。
蝶は「一羽」だろうな。
昆虫屋なら「一頭」か。
あの主人公も、ナメクジあたりを嗜好していれば、別の人生があったかもしれない。


7/3(日)記 おととやさん

ブラジルにて
今村昌平の「人間蒸発」に「おととやさん」という人が出てきたかと。
お魚を買いに行く。

さすがにイワシも家族に飽きられてきたようだ。
あんちゃんに、そうとう大ぶりのサワラの切り身を勧められる。
大ブリでもサワラとは、これいかに。
サワラぬ神に、たたりなしというがごとし。

マグロ、サーモンなどと同じ高級魚の切り身のところに置かれている。
まあ、このあんちゃんが僕に勧める魚は、はずれたことがない。

米も買ったし、いただき物の海苔のストックもある。
夜は手巻きにするか。

このサワラ、なかなか裁きにくい。
しかも、色がちょっと。
実物を見た覚えはないが、ドザエモン(変換できず)の顔色というのはこんな色味かも。
わずかに黄味のある灰色。
関東ローム層の下方にあるブラックバンドという土層はこんな色だったかな。

家族からも、この色にクレーム。
しかし、味は脂が乗っていてよろしい。
照焼きにでもすればいいんだろうが、もったいない値段。

食材、特に刺身ネタのヴィジュアル効果の大きさを知る。


7/4(月)記 秒読みの台所

ブラジルにて
追試などを残して、子供たちの学校は休み入り。
自宅での食事が倍増となる。
朝はお湯を沸かすプラスアルファーぐらいだが、昼夜がある。

もう来週には料理人は出家である。
そう思うと、一食一食の準備もいとおしい。
一食一会。

して、今日の料理人は断食。
それにしても寒くなった。
腰に毛布を巻いてPCに向き合う。


7/5(火)記 週遅れの週刊誌から

ブラジルにて
先日、会食した人が、成田で週刊誌など雑誌を何冊か買ってきてくれた。
ネット・ツイッターの時代だが、雑誌系の情報は貴重である。
カネ払ってなんぼ、というプロのかもす迫力か。

福島に首都機能移転を、などというのが刺激的。
ドキュメンタリー映画「1000年の山古志」の橋本信一監督が40代の若さで亡くなられたことも週刊誌の記事で初めて知った。
一味変わったコールスローのレシピはさっそくチャレンジ・アレンジ。

もっともケッサクだったのが「週刊新潮」6月30日号の「原発対応『スポークスマン』愛の日々 経産省『美人職員』を弄ぶ『西山審議官』」。
ツイッターで見出し程度は知っていたが、原典を拝読できるとは。
西山氏は日本でカツラ業界との国策タイアップかと思うほど、テレビ露出が続いていた。
当然、プライベートにも週刊誌系のマークがあると身構えてもよさそうなのに、危機管理ゼロで酒癖と下半身事情を「曝露」。
自滅を志向したとしか思えない。

祖国では読み終えた週刊誌は捨てる・リサイクルごみに出すぐらいしかないだろうけど、さあ誰にまわそうか。


7/6(水)記 原発以前

ブラジルにて
日本の友人からの頼まれものなどを探しに、ダウンタウンに。
メトロ車内で。
座っていた若い女が、お菓子のゴミを換気用の窓に投げ捨て始めた。

走行中の乗用車、バスからゴミを投げ捨てるのはブラジルの日常的な光景。
これまで見た限りでは女・子供が多い。

日本で地下鉄の窓から物を捨てる若い娘はいるだろうか。
そもそも日本の地下鉄は、窓が開かないか。

女は何度も投げるが、シュートに失敗したゴミは車両内に散らばる。
顔にキラキラとする粉をつけた女だった。

この国の放射能殺人事故を思い出す。
1987年、チェルノブイリ事故の翌年。
ブラジル中部のゴイアス州の州都・ゴイアニア。
廃屋となった病院に放置されていたセシウム137入りの容器を、物取りに入った若者が中身がわからないまま持ち出した。
結果、わかっているだけで4人が被曝死。
セシウム137を体に塗ると青く光るのを面白がって、周辺住民ら数100人が被曝したとされる。

民度ということばを思い出す。
ラテンなイタリア人でも、自分たちには原子力コントロールは無理と決断する英知があった。
ブラジルよ、日本を反面教師として、イタリアに学ぶべし。


7/7(木)記 ローシャとゲバラ

ブラジルにて
来週の今頃は日本、のはず。
今回の訪日のメインはなんといっても横浜シネマジャック&ベティの「ブラジルの映画遺産」グラウベル・ローシャ監督特集へのゲスト参加と「南回帰行」上映。

加えて思いもよらないことが実現することに。
特にあてもないまま、ここのところたしなんでいた「赤い大地の仲間たち」スペイン語字幕修正版を、チェ・ゲバラの令嬢で訪日中のアレイダ・ゲバラさんとともに横浜大口「GAUSHA」で鑑賞・トークというイベントが実現することになってしまった。

ローシャについてはネタも少しは集めてきたが、チェ・ゲバラについては不勉強。
まあ当日はそもそも撮影を頼まれているので、ボロは出さなくてすむかも。

このことをフマニタスの佐々木神父にお伝えしたところ、今日、電話をいただいた。
チェ・ゲバラは今もササキ農学校の生徒や土地なし農民関係者の熱いヒーローなので、ぜひアレイダさんにサインをもらってきてほしい、とのこと。
ゲバラやサルガドなど、かの奥地には熱く語られるヒーローがいる。

今のわが祖国にヒーローはありや。
京大の小出先生か。


7/8(金)記 ファゼンダ文化

ブラジルにて
真っ暗闇の知らないでこぼこの土道、どうなることかと思った。
岡村一家は昨晩、ファゼンダ(大農場)のコロノ(大農場の労働者)住宅で一泊。
今日は支配人に大農場の本宅やチャペルを案内してもらう。
まさにぶったまげ。
ブラジル近代のファゼンダの富がパトロンとなったアートには、親しみやすいものが多いのに気づく。
僕が初めて絵画のなかに入り込んでしまったのを感じたのも、この地方のその時期の画家の作品だ。
日本人移民がカンケーないあたりの方が面白い感じ。


7/9(土)記 おそるべきエッシャー

ブラジルにて
今日のブラジルは、新しい祝日。
なんの祝日かは、家族も知らない。
ブラジル製のカレンダーをふたつ見てみるが、今日は祝日になっていない。

そろそろおしまいになるエッシャー展を息子と観にいくことに。
がらんとした中心街でびっくり。
会場のビルを取り巻く長蛇の列。
スタッフがここらで1時間待ち、といったがぴったり1時間。
会場内でも列、列。
すでにエッシャーを堪能する気力も乏しくなる。

エッシャーがオランダ人だったとは、今回初めて認識した。
僕の学生時代に日本でエッシャー展があったように記憶する。
いまやエッシャーの世界を立体化したり、3Dで映像化する仕掛けとなった。
彼の作品がほぼ年代順に並べてあるので、エッシャーがどのように「だまし絵」の世界に「メルトアップ」していくかがうかがえて面白い。

日本なら入場料1000yenはくだらないだろう内容。
それでいて、タダ。
ブラジル銀行の主催だが、まことに潔い文化事業。

国民・住民から血税をしぼって、だましを続けるわが祖国とはえらい違い。


7/10(日)記 未熟なパッション

ブラジルにて
路上市でマラクジャ(パッションフルーツ)が目に付いた。
ファゼンダの宿で管理人のおじさんが作ってくれた、パッションフルーツとイチゴのカイピリーニャの絶品ぶりを思い出す。
妻からマラクジャはしおれて痛みかけているかと思えるようなものの方が、なかが熟れていていい、と聞いていた。
いちばんそれっぽいのを購入。

イチゴは真っ赤で甘そうで、しかもお手ごろ価格のものを探す。
さあ挑戦。
おお、マラクジャはこんなに皮が厚く硬かったか。
最初のマラクジャはまだ種もカエルの卵状に黒くなっていない。
お味もいやな酸っぱみ。

3個目にしてカエルの卵を発見。
砂糖を入れずしてこの甘み。
あとはどうもピンガ(サトウキビの蒸留酒)そのものの問題があるかと。
日本から無事戻ったら、少しはいいピンガでやってみるか。
イチゴもいくらか安くなっているだろう。


7/11(月)記 変わり目

ブラジルにて
ここのところ、我が家で機械類・電気類の事故が続いた。
なかには怪現象もあり、ポルターガイストの可能性ありやと思ったり。
ひとつずつ解決を図る。

今日は居間の電気をみてもらう。
とりあえずの応急処理。
台所の切れた蛍光灯も買えて。

さああとは身辺をテキトーに整理して、出家だ。


7/12(火)記 梧郎

ブラジル→
「南回帰行 橋本梧郎と水底の滝」の橋本梧郎先生の「梧」はアオギリの意。
昨年、広島で拙作の上映をしてもらった時、被爆アオギリの種子をいただいた。
これはぜひ橋本先生を看取ったゆきさんに謹呈したいと思っていた。
本日、サンパウロ近郊に身を寄せているゆきさんと電話。
日本から戻ったら、種子をお届けするとお約束。

まもなくネット上のニュースで被爆アオギリの詩人、そして被爆の語り部として知られる沼田鈴子さんが日本時間の今日、亡くなったことを知る。

サンパウロ出家前の奇遇。


7/13(水)記 テロルの銀幕

→イギリス→
ロンドンまでのブリティッシュエアウエイ、サービスはJALには劣るがアメリカンエアラインよりはよろしい。
機内映画、日本語視聴可能が5本あった。
おっと、日本映画まであるぞ。
「SP FINAL(革命編)」。
テロリスト化したSPが国会議事堂を占拠、政治家たちをピストルでおどして犯罪行為を告白させる。

ロンドンで12時間以上のトランジット。
パソコンいじったりうつらうつらしたり、日本語の新聞雑誌を読んだりしているうちに、けっこう時間は経ってしまう。
JALはエコノミーでもそこそこ快適。
機内映画はみてもよさそうなのがいくらでもあり。
「アマルフィ 女神の報酬」。
舞台はイタリアだが、これも日本の政治家を武器で脅かして隠蔽事件を告白させるというもの。

日本の福島原発事件。
加害者・責任者たちはみえすいたウソをつき、自らの保身に死に物狂い。
日本には大東亜戦争敗戦をピークに、自死という責任のとり方があった。
原発事故では、ささやかな生活を侵された被害者たちが次々と自死を遂げていく。

加害者・責任者たちへのテロ行為は、フィクションの世界だけでとどまるだろうか。


7/14(木)記 熱帯都市

→日本
成田から降機した時の熱気!
アマゾンどこじゃない。
不愉快な暑さ。

東京に向かうリムジンバスは満席気味。
こんな状態の日本に来てくれるガイジンさんもこんなにいるとは。
街ではマスクをした人をまるで見かけない。

東京の実家、扇風機で間に合う暑さ。
さあ明日は朝から…


7/15(金)記 なつまつり

日本にて
横浜づくしのはじまり。
まずはラテンフィルムフェスタ前夜祭。
僕の短編2本上映とトークだが、まさかこれらの短編を映画館で上映できる機会があるとは。
うれしい人たちが集まってくださる。
一人ひとりとゆっくりお話しできずに残念。

午前中から別件もあり、ばたばたした。
時差ぼけ、熱ぼけ、疲労で岡村節もセカンドギアぐらいまでな感じ。
「まつりのはじまり」感、しかも真夏とあって、なんだか胸キュン。
♪えいがーが、はじまるー

懇親会の韓国料理「仁川」。
アボジが自分で栽培しているという野菜がいとおしい。
東京まで戻るとなると電車の時間が気になり、堪能できずに残念。

さっそくいろいろな出会いがうれしい。


7/16(土)記 ハマのローシャvs映像ロームシャ

日本にて
昨晩は都に向かうラストトレインまで懇親会。
時差ぼけもある。
実家にてちょっとの仮眠だけで、今日のローシャトークネタを構成・整理。

午前11時、「南回帰行」上映始まる。
連休の初日、午前中から猛暑のなか横浜くんだりまで足を運んでいただいた方々に恐縮・感謝。
映画館のスクリーンと音響で「南回帰行」が観られる喜び。

さてトーク、多めに用意しておいたネタを時計を見つつどんどん削る。
昨日よりはエンジンがかかったかもしれないが、まだサードギアぐらいまでの感じ。

そのあと、終映まで4本、ローシャ作品鑑賞。
日本語字幕でしっかり観ておきたかった。
しかし寝不足・過労でついウトウト。
かけがえのない時が過ぎてゆく。


7/17(日)記 ローシャよ今夜もありがとう

日本にて
実家で今晩のトークの準備と構成、推敲。
昼よりジャック&ベティにて「大地の時代」から鑑賞。
大スクリーンで見ると新たな発見。
しかもエンディングは、僕がブラジルで購入したDVDリマスター版と異なるではないか。

おそらく日本唯一のローシャ研究者・山本利彦さんが遠路、やってきてくれた。
ブラジル以来の再会。
さらに教えを乞う。
ローシャ話は尽きず、幸せな時間。

夜、「南回帰行」上映と岡村ローシャトーク。
サシでとくと話したい濃ーい友人知人が数々集まってくれて、感激。
トークもようやく少しは落ち着いてたしなめるようになってきた。

かつてブラジルでカトリック式で結婚するため、洗礼を受けていた。
僕が選んだ洗礼名は、アントニオ。
ローシャの「アントニオ・ダス・モルテス」は「死神のアントニオ」の意。
聖アントニオそのものは人の縁を結ぶ縁結びの聖人とされ、僕はアントニオを選んだ。
今回の上映、すでに僕を飛び越えていろいろな濃い出会いが生まれ、さっそく芽生えているようだ。
あなかしこ、あなかしこ。

さあこれで僕の出番は終了。
3月に話をいただいて以来、最大の懸念だったローシャ語り。
自分の想定を超える出来だったと自己評価。

出会いのローシャ。
出会いのアントニオ・オカムラライブ上映。
出会い系シネマ・ジャック&ベティ。
ジャックとベティはどう出会った?


7/18(月)記 ゆもけんとラテンな仲間たち

日本にて
海の日。
横浜の若葉町から大桟橋に河岸を移す。
第1回横浜大桟橋シネマフェスタ。
Jack Cafe Basementというオシャレなカフェ。
築80年、横浜大空襲にも耐えたという重厚なビルジングの地下階。

主催してくれたのは、これまで横浜能見台近辺で何度か拙作上映会を実施してくれたゆもけんさん。
ゆもけんは今でこそ堅気のサラリーマン。
ブラジル日本交流協会研修生でアマゾンで暮らしたという過去を持つ。
サンパウロで知り合った。

彼がこのお店を知り、オーナーと盛り上がったのがこのフェスタの発端。
いろいろな試行錯誤があったが、横浜にちなんだオカムラ作品2本の上映に落ち着いた。

ゆもけんさんは特に映画オタク、ドキュメンタリーおたくという訳でもない。
なのに、なして時間もカネも持ち出しの上映会をしてくれるのだろうか?
彼は人が集まること、人を集めることが好きなのだろう。
これまでの上映会でも、ゆもけんの中学や高校、そしてブラジル時代の同期生らが手伝ってくれ、盛り上げてくれて自分たちも盛り上がっていた。

昨日までのジャック&ベティの岡村作品上映では、ゆもけんは毎回やってきて今日の上映のチラシを配っていた。
初日では、参加者にゆもけんの高校時代の教師がいて、驚きの再会。
殴り合うこともなく、旧交を温めていた。

今日は上映、懇親会の後、ゆもけんと高校時代の親友および岡村の3人で最後に近くの中華街で軽メシでも、ということになった。
ゆもけんさんは中華街の端にある、田舎の駅前の大衆食堂みたいな店を「前から気になっていた」と押す。
キャントクが「せっかく中華街に来て、ここまではずさなくても…」と難色。
3人は当てもなくチャイナタウンを流浪。
まもなくゆもの相棒が路上駐車していたスキンヘッドに大声で挑みかかった。
彼はふたりの高校の同期で、眼前の高級中華料理店の営業をしているという。
ナイショということでサービス券をもらった。
もうこの店しかない。
楽しからずや。

ゆもけんのこだわるのが、地元横浜と仲間。
こうして出会いと再会がプロデュースされていく。
ここにも、アントニオがいた。


7/19(火)記 台風とゴジラ

日本にて
海ヨコハマ、山ヨコハマ。
昨日までは海ヨコハマ。
これから山ヨコハマに通う。

台風6号に伴う豪雨。
横浜の丘陵を歩いて縦断するが、びしょ濡れとなる。

明日からAPARECIDAさんで二晩連続上映。
明晩は、ちょうど台風が関東に接近しそう。
もし電車が止まったら、上映中止にしようとWillie店主と相談。

ニュースから目を離せない。
311以来だ。

台風は、東アジアの自然現象。
ヒトは先史時代から適応してきた。
原発事故・放射能禍のような見えない恐怖、加害者への怒りはない。

1945年、広島原爆投下後の秋に、大型台風が広島を襲った。
放射能が雨風で流されて、それが幸いしたとされる。
福島には、どうだろう。

台風の進路、上陸情報がゴジラ映画にオーバーラップ。
ゴジラの父・大円谷は福島の人…


7/20(水)記 台風の風評

日本にて
台風6号は東に急カーブを切った。
聖母APARECIDAの名をいただく店主の聖断くだり、今晩の上映は決行。

霊障、アイスランド火山噴火、大地震の余震と原発事故の計画停電、とこれまで聖地アパレシーダ巡礼上映には様々なサクリファイスがあったが、今度は台風。

それでも、複数の人たちが集まってくれた。
「アマゾンの夜と闇」第一夜上映、つつがなく終了。


7/21(木)記 本と人と

日本にて
横浜ジャック&ベティに出頭してから、西荻窪APARECIDAへ。
今日はAPARECIDAの図書コーナーを漁らせていただく。
おう、奇書発見、値段をチェックしてためらわず購入。
ブラジル系出会いスポットAPARECIDA。
今日も本に人に、いい出会いをいただく。
横浜から西荻窪への移動中、かなりの疲労を感じていたが、出会い力が吹き飛ばしてくれた。


7/22(金)記 関西こってり系

日本にて
関西入り。
夕刻からの打ち合わせまで、アート展をひとつ冷やかすぐらいの時間がある。
事前にネットである程度、目星をつけておいた。
ぜひこれ、というものは見当たらなかったが、まあ後学のためにぐらいのものでも。

と、横浜ジャック&ベティ下・ART LAB OVAのヅルさんが、メールにて中之島_4117 http://4117.jp/ というアートスペースを教えてくれた。
行ってみる。

なんだ、国立国際美術館のすぐ脇。
関西の美術展情報のポスターとチラシがぎっしり。
これはよろしい。
明日の午前中、兵庫での身の振り方もふたつのおいしそうな候補が見つかる。

今日は国際美術館で森山大道展を鑑賞することに。
平日なら入館16:30まででアウトだった。
今日は金曜で19時閉館。
これはよろしかった。
ETVで放送された森山さんのドキュメンタリー上映だけで十分面白い。
明日も来たいほど。

目録が欲しいが、まだ旅を続ける身としては、お荷物となる。
新書で面白そうなのが出ていたので、そっちにしておく。


7/23(土)記 関西ノリノリ

日本にて
六甲アイランドでひとつミュージアムをのぞくが、これは期待はずれ。
甲子園口の上映会場へ。

今日の上映は、まことに観客のノリがよろしかった。
中根上映プロデューサーのおかげというもの。
意外な出会い、懐かしい出会い、新たな出会い。
出会いがエネルギー。

それにしても「きみらのゆめに」がこんなにウケるとは。
ブラジル人向けに冷蔵庫のありあわせの素材で作ったメインディッシュの前のツマミの一品が、「一部」日本人にやたらに気に入られちゃったみたいなところか。
参加してくれたブラジルゆかりの女子中学生が、自分の日本の学校より何十倍も楽しい学校、と言ってくれたのが重い。
現役の小学校教員からは「こんな学校、ありえない」。

学校もさることながら、こんなビデオが日本語字幕で鑑賞できることも、ありえないかもね。


7/24(日)記 いばらきウオーカー

日本にて
昨晩は、用意していただいていた深夜バスに乗り遅れ。
なくなく「青春エコ」バスで東京に戻る。
東京駅で、始発の水戸行き高速バスに乗り換え。

夕方の水戸にのまえさん上映の前に、いばらき知的美的散歩を計画。
茨城県植物園に行ってみるつもりが…
午前10時前に茨城駅着、植物園方面へのバス乗り場で時間をみてみる。
なんと、13時台までバスがないではないか!
公共機関での訪問を拒否する施設といえよう。
誰のための、何のための県植物園なりや。

徳川ミュージアムに行ってみる。
今日の上映にちなんでの思わぬ発見があり、メモる。

手打ち蕎麦にのまえは開店以来3年、今回で岡村作品上映は7回目。
地元の常連関係で毎回、満席になってしまい、岡村の方からの告知は控えている。
今日は「教育」をテーマの献立とした。
橋本梧郎シリーズの序作「花を求めて60年」から始めてみた。
これが意外なほどに好評。
水戸徳川と博物学など、仕入れたてのネタでトーク。


7/25(月)記 茨城ミステリーツアー

日本にて
今日は水戸上映会の有志が、大子町の袋田の滝に案内してくれるという。
袋田の滝は以前から行ってみたかったが、果たせないでいた。
メンバーは一筋縄ではいかない、引き出しの多いエキスパートで、まるで退屈しない。

道中、気になったスポットをひとつひとつ探求していく。
すごい大当たりも引き出してしまった。
アホな紀行番組をはるかにしのぐネタの濃さ。

本命の袋田の滝は、もちろんよろしかった。
滝には、ひとりできちんと時間をかけて向かわないといけないかも。


7/26(火)記 マカオ消失

日本にて
友人と恵比寿で待ち合わせて会食することに。
4月末に恵比寿で会合があった時、マカオ料理屋というのを見つけた。
マカオは東アジアの最果てのポルトガルの拠点だったところ。
味からアプローチしてみたい。

友人の合意をえて、マカオ攻略へ。
しかし、店がない。
おかしい。
ヤキがまわってしまったか?

断念。
この友は恵比寿近辺に詳しく、マカオ料理屋があったはずの辺りのビルの上海料理屋に転進。
お店を出る時、この辺にマカオ料理屋がなかったか聞いてみる。
ずばりこのビルの地下だったという。

ひっくりかえってオカマバーになった、というのはウソ。


7/27(水)記 魔法のはさみ

日本にて
日本橋三越へ。
下山事件の再検証、というのはウソ。

昆虫写真や里山の記録で知られる写真家の今森光彦さんの切り紙展「魔法のはさみ」を見るため。
実家に案内が来ていて知った。
今森さんが切り紙をたしなむとはまるで知らず、驚いた。

1992年、地球サミットの年。
今森さんが大著「世界昆虫記」の完成のために、ブラジルを訪問。
ブラジル各地をご案内させていただいた。
ちょうど僕がテレビクルー取材からひとり取材にメタモルフォーゼする時期。
ハードな現場でもひとり取材を貫く今森さんの姿勢に励まされた。
ツノゼミの魅力にも開眼してしまった。
刊行された「世界昆虫記」に思わぬかたちでオカムラが登場していて、たまげた。

なぜに、今森さんが切り紙を?
書かれているものを読んで、少し理解できた感じ。
博物学的文化人は間口が広い。
サイン会で今森さんと再会。

お互い、すっかりオヤジになったかも。


7/28(木)記 きみらとともに

日本にて
明日のアレイダ・ゲバラさん講演撮影の打ち合わせ等で、横浜大口のステーキハウスGAUCHAへ。
この機会に、最近お世話になっている3人の若い友を招いた。
これまで横のつながりのない3人だが、みな都合を付けてくれた。

ひとりの男子には「南回帰行」の仕上げ作業でお世話になり、明日の撮影のサポートを依頼。
もうひとりの男子は岡村の決定版名刺を製作した人。
今回、増刷を頼むと、新たに優れものの別バージョンを作ってくれた。
さらにもうひとり、紅一点の女子はフリーライター、「南回帰行」の拙妙なレビューを書き下ろしていただいた。 http://d.hatena.ne.jp/cheb_05/20110727/p1

僕は組織に所属せず、群れることが苦手。
でありながら、こうした場がもてるのは、なんともありがたい。

美酒美肉を楽しむ。


7/29(金)記 ゲバラと鷲の湯

日本にて
雨かよ!
今日は横浜大口ステーキハウスガウシャでの、「フマニタス」スペイン語字幕版上映とアレイダ・ゲバラさんと語るイベント。
お店の裏の空き地に設けられた葦簾張りの会場に、店主伊藤さんらが青シートがけを試みているところから撮影。
事前の話では昼間でもばっちりの強力なプロジェクターで上映、とのことだった。
とてもプロジェクターは大丈夫か、音の設定はどうするかなど、こっちに気になることを聞ける雰囲気ではない。

続々と参加者がやってくる。
おやまあ、雨は止んでしまった。
今度は熱射が心配。

11時開始予定だが、アレイダさんは交通渋滞とかで大幅に遅れる由。
伊藤マスターの指示で上映開始。
まさかと思った板がスクリーン。
うっすらと映像が映る。
ブラジル系スタッフが音をきちんと設定してくれ、ほっとする。
アレイダさんにご覧いただくためのスペイン語字幕版上映だったが、これなら日本語版の方がよかったかも。

上映終了10分前ぐらいにアレイダさん登場。
後方のかなり厳しい位置から、触り程度はご覧いただく。

「確かに私はチェ・ゲバラのDNAを受け継いでいますが、大切なのはキューバ国民であることです」など、いいお話をなさる。
今日は岡村の短いトークもあるので、友人にサポート撮影を頼んだ。
2カメでの撮影は、岡村としては極めて異例な贅沢。
10時から午後3時まで、友人にも飲まず食わずで撮影してもらうが、終了後は肉・サラダ等、食い物は見事に残っていない。

大口駅近くのオモニの店でねぎらう。
さあ夕方からは引き続きガウシャで、PARCオカムラゼミで出会って結ばれたカップルのお祝いフェスタ。
汗だくかつバーベキューの煙で燻されているので、銭湯を探して町をさまよう。
おう、鷲の湯!
黒い天然温泉と来たぞ。

アマゾン・ネグロ河な湯に身を沈めると、キューンと癒されてしまった。
さすがに夜は食べ物がある。
気のおけない仲間たちとのひと時。
新郎はしゃぎっぱなし。
伊藤さん、お疲れ様でした。


7/30(土)記 国際縄文

日本にて
まことに奇縁。
今日は「縄文人になろう会」主催、国際縄文学協会 http://jomon.or.jp/ にて拙作「KOJO ある考古学者の死と生」を上映。
重厚な図書に囲まれての上映。
昨日のゲバラの野戦地状態でのまぶしい上映とのコントラストに目がくらむほど。

それにしても濃いメンバーが寄り合ってくれたもの。
主催者のご尽力の賜物。

岡村の映像作業は、死者と生者の架け橋、と先週の「日伯かけ橋の会」主催の上映で宣言したが、極めつけがこの作品かと。

古城さん、ほんとうは古城さんに語っていただく場でしたよ。
合掌土偶。


7/31(日)記 ボロみてボロださず

日本にて
田園都市線沿線の施設によってから、浅草へ。
PARC主催の、浅草ミステリーツアーと岡村作品上映の夕べ。

ツアー先は、畏友の紹介で絶妙なところへ。
浅草寺脇にあるアミューズミュージアムの「BORO展」。
http://www.amusemuseum.com/
世代を経て加工して使われてきた日本の東北地方の「ぼろ」布の数々。
だいぶ期待をしていたが、それをさらに覆す面白さだった。
人生、そして世の中を変えるパワーがある。

しかもお勉強抜きの、アートとしても十分楽しめる。
たとえば今回、関西で神戸ファッション美術館も見てきたのだが、歴然とした段差がある。
浅草アミューズミュージアム、面白すぎ。

PARCスタッフが奔走して探してくれた徒歩圏の会場も、シアター感覚でよろしいかと。
先回のトラブルで僕も主催者も、悪意と邪気あふれる罵詈雑言誹謗中傷を浴びせられていた。
これで見事に除染、逆転ゴールだ。

おっと、浅草観音のお参りと、浅草観音とブラジルの護国聖母アパレシーダのつながりを語るのを失念していた。
僕が代表して今週中にお参りしておきますので、皆の衆、ご安心を。


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岡村淳 :  
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