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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2016年の日記  (最終更新日 : 2017/01/01)
11月25日(金)の記 溝部さんの蔵書

11月25日(金)の記 溝部さんの蔵書 (2016/11/28) 溝部さんの蔵書
ブラジルにて


目覚めると、長距離バスの読書灯は消されている。
うるさい車内テレビも消されているのはありがたいけど。

夜明けの光量がじゅうぶんになるのを待って、読書を再開。
行きと帰り、それぞれ3冊ずつ読めた。
読書のための旅というのは、なんともぜいたく。

今回の旅で、最も印象に残った本。
それは、溝部さんのお宅でみせていただいた、愛読書。

僕が購入して謹呈したものと、NHKの取材班が来る時に溝部さんへのお土産として持参を依頼したものだが、山根一眞さんの『フルメタルカラーの時代』の文庫版の数冊。
溝部さんは瀬戸大橋、明石大橋といった日本の橋に興味津々なので、その工法などを紹介するこのシリーズを手配した次第。

本は、ここまでなるかというほど、破れて汚れて傷んでいる。
溝部さんは当時、郊外の農園にお住まいで、始発のバスで街なかの自身が仕切る建築現場に通っていた。
バス待ちの間、そして車中で、何度となく読み耽ったという。
家禽の世話と建築作業などで汚れた手で持ち運び、読み返し続けて、ここまでなったのだろう。
他人なら不快の叫びとともに打ち捨てられるだろ、すでに書籍と呼べるかどうかというシロモノだが、溝部さんにとってはまさしくバイブルだ。
これほど読み込まれた本を、僕は他に見たことがあるだろうか。

書籍の究極の形を見た思いだ。
本にこころがあったなら、それこそ本望だろう。

サンパウロ着は、1時間の遅れ。
日中だし、その分、本が読めたぞ。


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