移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
岡村淳のオフレコ日記
     西暦2016年の日記  (最終更新日 : 2017/01/01)
11月26日(土)の記 「読むほどに地獄」

11月26日(土)の記 「読むほどに地獄」 (2016/11/28) 「読むほどに地獄」
ブラジルにて


「バスで本を読んでいて、車酔いしませんか?」
旅のあとさきで交信のあった複数の方から、こんな問いをいただいた。

車で本を読むと、車酔いをする人がいるのか。
検索すると、確かにこの問題と対策がいくつも出てくる。

今回、車の揺れの激しい地区通過は往復とも深夜だったし、あまり字の小さい本はやめておいた。
眼が悪くなる、という指摘もあるが、こんな読書はめったにすることもない。

亡母は車酔いをする性質で、だいぶつらい人生を送ったようだが、僕はその方面を継ぐことはなかったらしい。

車中読書のフィナーレは『屋根裏の読書虫 今宵の書林の水先案内』(荒俣宏著、ダイヤモンド社)だった。
最後の章に「読むほどに地獄」という言葉がある。

いやはや、こっちも地獄入りか。
して、結びの文章。
「(前略) 読書の地獄で鍛えられたわれら亡者は、現(うつつ)に出現したバブル崩壊だの円高ショックだのに、びくともするものではない。」

この本は1995年刊行、以降20有余年を経て祖国と世界の情勢悪化は激しく「車酔い」するほどだが、今こそ地獄のキャリアが試されるというもの。

ちなみに飛行機酔いをする人がいるからこそ、座席前のポケットに「下呂ブクロ」があるのだろうが、飛行機での読書酔いをする人もいるのだろうな。

さてこの『屋根歌の読書虫』、ハードカバーの美品だが、学芸大学の古本遊戯こと流浪堂さんの店頭100円也で購入したもの。
迷っているより買った方が早いお値段。
あまり人には教えたくないが、流浪堂さんの店頭の安売りコーナーは、このお店の良心の顕現。
忘れられない掘り出し物、優れ本に何冊も出会い、豊かな地獄体験をさせてもらっている。

今日は、拙宅の未読本棚を物色して取り出した江川紹子さんの『大火砕流に消ゆ 雲仙普賢岳・報道陣20名の死が遺したもの』(新風舎文庫)を読み耽る。
いまの日本のマスコミの問題を考えるうえでも貴重。
そしてそろそろ、「忘れた頃にやってくる」地震以外の天災に備えるためにも。
噴火に巻き込まれた、それぞれの報道人についての記載が胸を打つ。

ネットで検索をすると、新風舎文庫はすでに廃刊になっているようだ。
が、江川さんのウエブサイトを見ると、希望の方にはご自身のストックを送料無料で発送する、とある。
これは、あっぱれ。

ああ、地獄まわりはやめられない。


前のページへ / 上へ / 次のページへ

岡村淳 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2017 岡村淳. All rights reserved.