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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2017年の日記  (最終更新日 : 2017/08/16)
6月5日(月)の記 はるかなるチロエ島

6月5日(月)の記 はるかなるチロエ島 (2017/06/07) はるかなるチロエ島
ブラジルにて


サンパウロの月曜恒例の一日断食。

仮題『ブラジルのハラボジ』、冒頭部分を少し練っておく。
語り口さえ決まれば、あとは時間と手間の問題かと。

午後から、今日もエコロジー映画祭を2セッションほど見に行く。
1セッション目はブラジルの作品。
北東部のサトウキビ栽培地帯での労働組合が舞台。
いろいろな労働者と組合の担当のやり取りが続く。
ワイズマン気取りの観察映画といったところか。
特にメリハリもなく、まさしく、延々と続く。
これを永遠に見せ続けられるのではないかという恐怖を感じる。
終わりが見えた時の、安堵感。

2セッション目はチリの作品。
スペイン語のタイトルは『El Viento Sabe Que Vuelvo A Casa』。
「風は私の帰宅を知っている」、といったところか。
チリ中南部の太平洋岸のチロエ島が舞台。

チロエ島には因縁がある。
牛山純一門下時代に『ブラジルの珍漁』というのを手掛けたことがある。
僕には言わないが牛山さんは気に入ったようで、珍しくリサーチャーを使って『南米の珍漁』というのを調査するよう僕に命じてきた。
チリについては、僕は面識のない現地在住の日本人にお願いすることになった。
どこあたりを調査してもらうかで、日本で閲覧できる文献にあたってみた。
民族学系の本と記憶するが、先住民の居住するチロエ島の存在を知ったのだ。
現地に行っていただいての調査報告では「すばらしい世界旅行」のネタになるような漁法はなく、取材には至らなかった。

さて、この映画。
チロエ島での映画作りをもくろむ人物が、島の先住民とそれ以外の「混血」といわれる人たちとの溝を探っていく。
牛山ドキュメンタリー的な意味では、なにも生じず、なにも写っていない。
牛山プロデューサーの番組としては企画も成立しないはなしなのだが、これが面白いのだ。
実際にオバケが写っているわけでもないのに怖く面白いホラー映画のようなものか。
島の住民の見えない溝を探っていくなかで、チリのあのクーデターのトラウマまでさりげなく浮かび上がってくるなんで、すごすぎる。

ドキュメンタリーの、物語の語り口は、無数にあることを改めて思い知らされる。


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