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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2017年の日記  (最終更新日 : 2017/11/16)
9月8日(金)の記 墓地と犬生

9月8日(金)の記 墓地と犬生 (2017/09/10) 墓地と犬生
ブラジルにて


午後から、連れ合いの実家の墓地をお参り。
奇しくも、松井太郎さんの埋葬から一週間。
こちらでめったに墓参をすることはないのだが、続く時は続くものだ。

今日の墓地は、サンパウロ市内の高台にある。
松井さんの墓所と同様、庭園式でおどろおどろ感が乏しいのがよろしい。
海岸山脈の墓地は野火の白煙が立ち並んでいたが、今日の墓地は谷底からいくつも高層アパートが生えている。

夜、気になっていたアート展をハシゴ。
まずはエリオット・アーウィットの写真展。
英訳すると「LIFE OF DOG」、「犬の人生」いやさ「犬生」か。
「犬の人生」というのはシャレとしては面白いが訳語としては芸はないなと思って検索してみると…
ずばり日本の著名な小説家が訳者として名をあげている同名の書物があり、驚いた。

さて昨今ではSNSでやたらに犬猫の写真が流されてくる。
年賀状に印刷された知らない家族の写真みたいなもので、興味のない人には、ほんと、どーでもいい。
それどころか、不愉快になる人も少なくはないのではないか。
こちらで暮らしていると、致死率100パーセントの狂犬病の危険がある。
そして路上に放置されたイヌのクソの数が半端ではない。
使用人が嫌そうに散歩させている金持ちのイヌの恫喝とクソ、そして死病の伝染病と隣り合わせの日常だ。

そんなことをすっ飛ばすすばらしい写真群だ。
世界各地の風景のなかに、イヌが収まっている。
日本で撮影されているものも3点。
1977年に撮影された京都の店屋のおばちゃんとイヌの写真、奇跡のひとコマだ。
アーウィットのインタビュー映像も流されているが、エラそうではなく、そこいらのおじちゃん然としているのがいい。
「言語の通じないところでは、言語以外でコミュニケーションを、」なるほど。

その足でジャパンハウスの展示へ。
これが10日までなので、夜に出向いた次第。
下の階は隈研吾展。
重厚感のないひらひらした模型がいくつか並べられている。
日本政府のメッセージ発信機関だそうだが、ポルトガル語と英語の解説しか見当たらない。

階上には竹尾の紙の展示。
これには日本語の解説があるが、日本語でも読みこなすのが容易ではない文章だ。
だが、この解説が面白かった。
金魚すくいの紙にまで触れられ、古層の記憶がよみがえる。

いくらでも上げ足を取りたくなる安倍政権と電通が国民の血税を投資したジャパンハウスであるが、夜10時までオープンというのはよろしいな。
場内アナウンスはポルトガル語、英語、日本語で流れるのだが、日本語はいかにもガイジンとわかるアクセント。
この調子で日本の官僚が「正しい日本文化を伝える場」などとのたまうのだから、総理大臣同様、日本語をこれ以上、もてあそぶのはやめていただきたい。


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