移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
岡村淳のオフレコ日記
     西暦2018年の日記  (最終更新日 : 2018/02/18)
1月23日(火)の記 私は図書館

1月23日(火)の記 私は図書館 (2018/01/26) 私は図書館
ブラジルにて


先週、長々蛇の列にてあきらめたサンパウロ近代美術館の「セクシュアリティの歴史」展。
今日は朝イチで挑戦、10時開館で10時10分着。
アナコンダ世界最大長3頭程度の列。

ティーンエージャーとみられる少女たち、小学生ぐらいの子どもを連れた家族も少なくない。
展示内容は、ずばりセックスにまつわる古今東西のアート作品。
「性行為がなければ、我々の存在もない」という至極もっともな大前提のもと、隠ぺいされがちなセックスに関する表現をミュージアムとして公開する、という意欲的な企画だ。

われらが誇る日本からは…
菊川英山の春画群。
そして写真家、吉田耕平の『ドキュメント・公園』。
1970年代の東京の公園でのいわゆるアオカンと、それに群がるノゾキ屋たちをとらえた写真群。

おなじ大通りにある安倍内閣と電通の蜜月から生まれて、日本国民の血税を投じた「正しい日本文化」発信のジャパンハウスではお目にかかれるべくもない、世界の期待している日本文化だ。

僕にとっては美的感動、性的興奮とは程遠い性にまつわる展示も少なくない。
ふと、日本では絶滅の危機に瀕している秘宝館、珍宝館の類を思い出す。
今も存続していれば、さぞ外貨獲得に貢献できたろうに。

もう一軒、イタウ銀行文化センターをハシゴ。
ブラジルの西部アマゾン、アクレ州の先住民 Una Shubu Hiwea 自身による「生きている学校」展。
映像で見た、部族のシャーマンの古老の言葉。
「自分は図書館だ。自分は知識であり、人々は自分から学ぶ。」

そうか、僕にとって移民小説家の松井太郎さん自身が図書館であり、学びの対象であったのだ、と気づく。
松井さんの蔵書そのものは…
いわば、ある画家の描いた絵の顔料に興味を持つようなものかもしれない。
研究者には大切であっても、僕にはもっと画家自身のことが知りたい。

その意味からも、すでに段ボールに詰められた松井さんの蔵書そのものより、そのなかにささやかに潜んでいる遺稿類の発掘と発表が僕の役回りかもしれない。


前のページへ / 上へ / 次のページへ

岡村淳 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2018 岡村淳. All rights reserved.