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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2018年の日記  (最終更新日 : 2019/01/04)
7月の日記 総集編 茨城ミッション

7月の日記 総集編 茨城ミッション (2018/07/03) 7月1日(日)の記 茨城ミッション
日本にて


映画一本ぐらいの時間のささやかな睡眠で、ふたたび祐天寺を午前6時台に出家。
最安ルート:地下鉄とJR鈍行の乗継ぎで、土浦駅へ。
行ったことのないカトリック土浦教会の日曜のミサにあずかろうと思う。
ブラジルでも日本でも、知らない教会のミサに出てみるのが、最近の趣味となった。
この教会は月に一度、ポルトガル語のミサも行なっているようだ。
僕の最新作の舞台で、明日も訪問する予定の神立(かんだつ)にあるブラジル系児童の学童保育兼学習塾:キッズ&スクールも土浦市にあり、そのあたりも考えての早起き参上だ。

駅から徒歩15分あまり…
すでに灼熱状態で、けっこうバテる。
はじめての教会は、それなりに気をつかう。
概して日本のカトリック教会はブラジルに比べて排他感があり、フレンドリーさ、気安さが乏しいことがしばしばだ。
この教会は、炎熱のなかのシェルターのように大勢が集まっていた。

神父はアイルランド人で、聖堂にはフィリピン人らしい人たちが集まっている。
「ミサ次第」も日本語と英語のものが置いてある。
第二聖書朗読は英語で行なわれて、神父の説教も日本語と英語でほぼ同じ時間、行なわれた。

これは中規模以下の教会ではしばしばあるのだが、終了近くに「はじめてこの教会のミサに来た人を紹介します」というのがあった。
昨日のギャラリー古藤さんでのいち観客として参加した上映会で、いきなりふられてなにか話を、ということになった。
その前に自ら講師の横まで出てきた女性が、自分の海外旅行の飛行機での体験から中国人韓国人はなっていない、やっぱり日本人、と執拗に語って面食らっていた直後だった。
ご自身の父親の世代は、団体の飛行機旅行でアジアの買春ツアーに繰り出していたのをご存じないのかな。
そもそも僕は微妙な立場にいるので、誰に向けて何を話していいかもつかめず、醜態をさらしていた…
さて。
この教会ではフィリピン人らしい若い人が数名紹介されたが、僕は人として扱われなかったようで、やれやれ。

ミサ終了後、炎天のなか、近くの桜川まで行ってみる。
写真のネガを見るような、ぶっ飛んだ明るさ。
ブラジルマットグロッソ州の熱帯都市ロンドノポリスを流れるヴェルメリョ川を想い出す。

水戸に到着。
15時のホテルチェックインまで、駅前のミネルヴァさんで避暑と読書でも、と考えていた。
喫茶ミネルヴァさんでは拙作上映会もしてもらったことがあり、お店で販売している世界の雑貨も面白い。
あ、どうやら休業?
これまで何度も日曜の臨時休業にぶつかっている。
今日の理由は…
「子供を授かったため」とある。
最初は「子供を預かったため」と読み間違えた。

さて水戸は飲食店は多いのだが、日中開いている喫茶店を探すのがひと苦労なのだ。
今日もひと苦労、ふた苦労…
酷暑の水戸砂漠を彷徨、ミラージュのようなお店を発見。
店の名は、ZIN。
洋書が並び、明るくすっきりしたお店で、他客は誰もおらず。
「ゲイシャ」コーヒーをメニューに見つけてマスターに話しかける。
他の客が来るまで、話は尽きず。

さあ17時より水戸にのまえさんで『リオ フクシマ 2』の上映。
参加者それぞれから思わぬ、そして貴重なご意見をいただく。
はじめての母娘お二人が参加。
お嬢さんの方、こんな作品をきちんと見てくれている。
中学生ぐらいだろう。
「高校生かと思った」とおだてようと思った。
するとなんと小学生だというではないか!
この家族はブラジルやパラグアイで暮らしていたという。

今回の訪日のメインイベント、来週日曜日の水戸芸術祭映像部門のフィクサーらも来てくださった。
その関係者のコメントに度肝を抜かれて、また助けてもらった。


7月2日(月)の記 神立の至福
日本にて


水戸の格安かつ朝食バイキング付きの、みまつホテル。
昨日の上映に参加するために東京からきてくれたアミーゴも、示し合わせたわけでもなかったが、同宿。
ちなみに、アミーガではなくてアミーゴ。
朝食時から、 ばか話が尽きない。

のちににのまえマスターの眞家さん、そして彼の刎頸の友も合流することになった。
昼ぐらいまで、どこかに行ってみようということになる。
かなりヘンタイな案も出されるが、常識的穏健派のオカムラが強く制す。

どこかカフェでも、といっても水戸駅周辺にはフランチャイズぐらいしかない…
するとフンケイの友が、近くのカフェが日本刀のキャラをウリにしているらしい、という。
わかりにくい話だ。
とにかくオプションがない、行ってみましょう。

いやはや驚いた。
よくわからないまま「燭台切光忠」というのをイメージしたらしいコーヒーを頼んでみる。
息をのむプレート。
スレートのプレートにどでかい切り花と金粉をまぶしたコーヒー豆が配され、中央にアズレージョ風味のコーヒーカップ。
これで600yen、もうひとケタ多くとってもよさそうだ。

このお店、残念なのは喫煙オッケーなこと。
近くの女ががばがば煙草の毒煙をまき散らしてくる。
ケムラー女の恐怖。
一太刀、お返しして進ぜようか。
『リオ フクシマ』シリーズの主人公の喫煙についての是非をめぐってケムリにまかれながら討論。

午後、いよいよ神立へ。
PARC自由学校の岡村講座担当スタッフと神立駅で合流。
9月のオカムラ連続講座でおもにブラジル系の学童の学童保育兼学習塾の「神立 キッズ&スクール」も訪問の予定で、その打ち合わせ。
僕の方は最新作の短編『未来のアミーゴたち 神立キッズ&スクール』をこの学校を営む櫻田さん夫妻と生徒たちに見てもらうというミッション。
思わぬ間違いや、被写体の人を傷つけてしまうシーンがあるかもしれない。
とっても緊張。

生徒たちは、激しく盛り上がる。
もう作品の音声は聞き取れないほど。
生徒たちは大喜び、櫻田夫妻からはお礼を言われる。
ドキュメンタリストの至福のとき。


7月3日(火)の記 海面公園
日本にて


茨城ミッションから目黒の実家に帰還したのは、日付が今日になってから。
時差ボケ、ハードスケジュール、夏バテで、さすがに疲れた。

横になって、いくらでも眠っていられそうだ。
時刻は午後1時半を回った。
思い切って、行ってみようか。

わが実家の近く、五差路の脇にミタケ・オアシンという飲食店が移ってきた。
もとは祐天寺駅近くにあり、知人に勧められていたのだが、なんと店の方が僕の方にぐっと近づいてきた。
営業日が変わっていて、月火はランチのみ営業、水は休みで以降は夜のみ営業。
女性一人で切り回しているそうで、さして広いお店ではなく、これまでのぞいてみても空席がむずかしそうだった。

今日もけっこうな占拠率だったが、テーブル席の相席ということで。
斜め向かいには、まさしくニコリともされない老女。
あとの席は、30代ぐらいの、すべて女性。
東南アジア指向の装飾品、グッズが並ぶ。

ポキ丼を頼んだ。
先に出てきたサラダを見て、「おぬし、できるな」。
採算効率は二の次にしていることがうかがえる。
きれいでおいしく、カラダにいい感じ。
ポキ丼は、日本では安くないだろうアボガドたっぷりだ。

僕あたりのストレンジャーにも声掛けしながら、ひとりでてきぱきと動く女性の姿そのものが感動だ。
わがライブ上映と、同じ空気の成分を感じる。

お店を出ようとする女性が「カイメン(海面)公園はどっちの方ですか」と聞いている。
油面(あぶらめん)公園のことだな。
僕がそっちの方に帰りますから、と名乗りを上げる。
「見るからにアヤしいですけど」と自己紹介すると、テーブル客たちにウケている。

海面公園、わるくないな。
油面は、縄文遺跡でもある。
縄文海進の時代を想う。


7月4日(水)の記 世田谷の平和
日本にて


感ずるところあって、 世田谷区立平和資料館に行ってみる。
わが目黒区と隣接する三宿の世田谷公園のなかにあるようだ。
かつての coffee caraway さんのあたりを通って行く。
あ、あそこの交差点のところにあった銭湯寿湯が廃湯になっている。
湯船につかりながら大きな水槽と鯉をながめられる面白い銭湯だったのだが。
caraway さんの後は、オルガニック系のお店になっている。
入って何も買わないのはむずかしい気がして、入店は控えて目的地へ。

東京都立青鳥特別支援学校というのがある。
ブルーバードカフェという現役学生らがはたらくカフェもあるが、今日は休みのようだ。
今度、来てみよう。

世田谷公園、近隣にこんなひろく緑と土のあるスペースがあるのはお恵みだな。
さて、平和資料館はどこだ。
ちょっと縁のあった人の証言DVDがあるとのことで、それを見ておきたかった。

さあこれをすませて、自分のなかの整理がついた。
この資料館そのものは、現政権につぶされる前に見ておいた方がいい。
繰り返して。


7月5日(木)の記 台風と『リオ フクシマ 2』
日本にて


いろいろまわろうと考えていたが、台風と雨が気になる。
体力温存も図ろう。

渋谷で用足しをいくつかして…
BICカメラでのプリペイドSIMチップ手配、そしてJRでのレールパス引換え。

西荻窪の聖地APARECIDAへ早めにうかがう。
店主Willieさんに今日の上映のためにプロジェクターの設置場所を移してもらっていた。
9月のPARC講座についての打合せもそこそこに、Willieさんらの先のブラジルミッション時の、お互いのトホホ話を交換。

イベント開始時刻が迫るが、客足がイマイチ。
・台風の影響
・酷暑続きでの夏バテ
・深夜と未明のワールドカップ観戦疲れ
…こんなところだろうか。
それでも、ぜひこの作品をご覧いただきたかった夫妻に来てもらえた。
上映参加人数が少ないと、その分、それぞれの方々と濃密なひと時を過ごせるというもの。

東京のwi-fi事情はサンパウロよりだいぶ劣るが、プリペイドSIMをいれたおかげでスマホでそこいらでも終電を調べられるようになった。
12時近くまでアパレシーダにいてしまうが、渋谷からの東横線に間に合いました。


7月6日(金)の記 目黒のオフラインぢから
日本にて


日本でお付き合いのある80代以上の方でメールをたしなむ方は複数おられる。
して、そのなかの少なからぬ方々が送受信でのトラブルをこぼされている。

地元目黒のそんな方に電話をする。
サシで話しておきたいことがあったのだが、仲間に声をかけるという。
そのまま返しの電話がないな、といぶかしがっていると…

実家の玄関先で「岡村さん…」と女性が呼ぶ声が聞こえた気がした。
なにかの配達か、実家の家族の近所の知人かな、と思って玄関へ。
するとなんと、先ほど電話で話した人のお仲間のひとり。
その人が岡村に電話をしたものの、音声どうのこうのという通知でつながらないので、自分に連絡するようにと頼んできたとのこと。
12時半に学芸大学のアジト集合。

総勢6名の女性陣が飲食物まで持ち寄って集まってくれた。
いずれもそれぞれ活躍されている方で、その日の午前中の連絡でよくぞ!
気をきかせてくれた人からビールやワインを進められて、昼からゴキゲン。
女性陣が岡村抜きで盛り上がられているのに甘えて、ソファで少し横にならせてもらう。

帰路、流浪堂さんに届け物で寄って、その帰路にドトールコーヒーへ。
気になっていたアイスフルーツコーヒーというのに挑戦。
想像以上にいける。
ちびちびすすりながら、ちびちび課題図書を読み進める。


7月7日(土)の記 水戸をあるけば
日本にて


早朝の所用を済ませて。
いよいよ緊張の水戸行き。
荷物もそこそこあり、外は炎天、さあどのように行くか。

中目黒駅まで歩き、日比谷線とJR鈍行の乗継ぎとする。
さあ水戸駅からの炎天をどうするか。
明日の主催者に予約してもらったホテルまで、徒歩だと25分とウエブサイトにあり。
とほほ。

渡世人かつ河原こじきは、あるく。
歩きには、ご褒美がともなった。
何屋だ、これは?
これまで未確認だったお店。
どうやらミニカー専門店だ。
のぞいてみたいが、荷物が多いので断念。
店頭にあった take free の小冊子をいただく。

「夜の子」と書かれた面白いチラシをホテル近くのビルの入り口で発見。
ここの3階のギャラリーで展示をしているようだ。
ホテルにたどり着き、チェックインしてひと汗流して。

明日への予習として、水戸芸術館に行こう。
その際、行きに見た「夜の子」展に行ってみる。
渡辺彰吾さんという水戸生まれの若いアーチストの個展。
『もののけ姫』に出てきた沼地の精霊のような、新大陸の先住民の描く人物像のような、ETのようなイメージをひたすら描かれている。
作家さんご本人も応対してくれた。
お得感たっぷり、明日までの展示。

夜は明日のメインイベントの関係者と会食。
お店は、嘉永元年の創業とか。

さあ、体力温存


7月8日(日)の記 水戸ミッション
日本にて


時こそ来たれ。
今回訪日のメインイベント。
水戸市芸術祭のなかの映像祭のコメンテーターを担当。

応募された短編映像全17本への講評と、わが招待作品の初公開。
僕の招待に尽力をつくしてくれた人の顔に泥を塗るわけにはいかない。

水戸市中央図書館に午前9時出頭。
今日も猛暑だ。
開始は、午前10時30分。

事前に僕の紹介はされたが、僕自身のあいさつというのはなかった。
それぞれのコメントのなかで、僕が何者かも語っていくことにしよう。

みなさん、アマチュアである。
とにかくよい点を見つけること、今後の制作意欲をそがないこと。
技術的作品的に向上が見込まれる人にはアドバイスをすること。
僕自身が、謙虚に勉強させていただくこと。

出品者は、高校生から90歳近いご年配まで。
高校映画部の顧問の先生は来ているが、肝心な高校生の姿が見られないのが残念。

僕にとってはそこそこの作業となった『未来のアミーゴたち 神立キッズ&スクール』。
主人公の櫻田さん夫妻も来てくれた。
他にもオカムラ系が複数、来てくれて頼もしい。
場内どよめきの初公開。

デリケートな自作の初公開で緊張。
締めの講評は、もっと出品者に寄り添って話すべきだったと反省。
いっぽう終了後も出品者の方々から僕に語り掛けてくれるケースはまれで、この人たちのことがよくわからないまま、世話人の方々からうかがうにとどまった。

いずれにしろ、われながら及第点かと。
いただいた謝礼分のお仕事はさせていただいたかな。
世話人の方々と美酒美食をいただく。


7月9日(月)の記 いい日 好文
日本にて


今回、水戸でとっていただいたホテルはチェックアウトが午前11時。
ゆったりまったりさせてもらう。
朝のお勤めを終えた真家さん(水戸にのまえ店主)と合流。

千波湖畔の好文cafeへ。
外は、灼熱。
よもやま話は尽きない。
千波湖畔を行き交う人々の奇態も観察できる。

このお店には茨城、水戸に関する書物も売られている。
お、『血盟団事件』文庫版(中島岳志著)があるではないか。
これは買いそびれていた。

上り鈍行列車でさっそくひもとく。
面白い。
うつらうつらもしながら、ゆったりまったり帰京。


7月10日(火)の記 世田谷のブルーバード
日本にて


先日、通りかかった世田谷公園の隣にある都立青鳥特別支援学校付属の喫茶室ブルーバードへ。
世田谷区民となった福祉志向の友人も誘って。
ドリンクはすべて100円、しかも手作りクッキー付き。
現役の生徒さんのコミュニケーション能力の訓練の場でもある。
来客まばらで、もったいない。
しおりやハガキなどの手作りグッズも買わせてもらう。

友とどこかでランチ、と歩いてみるが、意外と手ごろなところがない。
なぜかイタリアンがぽつりぽつりとあるが、いちばん安いパスタのランチで1000円はする。
おっと、学芸大学まで歩いてしまう。
まだ昼時なのに、人の入りのまばらな定食屋に入る。
そこそこの広さの店内に、僕らを入れて3組程度の客が散らばる。
食後、セルフサービスの冷茶を飲みながらよもやま話。

と、堅気には見えない男が去り際に「うるせえんだよ」と罵声を浴びせてきた。
店の人は知らん顔。
灼熱の帝都にはけっこう悪意が渦巻いているな。
われわれも腰を上げる。
この店が客足もまばらなどがわかった気がした。
もう生涯、来ることもないだろうけど。
他人に罵声を浴びせて去って行った男のことを考える。
アクション映画でヒーローに真っ先に片づけられるチンピラ、といったところか。
庶民の実生活で身近な障害がこうしたチンピラなのだろう。

日本に渦巻く、ブラジルでは考えにくい悪意に備えて炎熱の祖国の綱渡り旅行に臨もう。


7月11日(水)の記 はじめに音楽ありき
日本にて


今宵は茨城水戸で、お呼ばれのコンサート鑑賞。
そのまま水戸に泊まり、明日からジャパンレールパス使用の列島巡礼上映開始だ。

それぞれの訪問先への土産物、そしてこの暑さなので着替えもそこそこの量になる。
炎天下に大荷物を持っての移動がなるべく少なくて済む行程としよう。
鈍行列車の乗継ぎで、水戸へ。
今度の訪日ではまことによく茨城に通った。
車窓から見るばかりの森に踏み込んでみたいものだ。

格安ホテルにチェックイン、ひと汗流して。
水戸にのまえさんでのケーナ奏者にして音楽人類学者の岩川光さんのソロコンサート「未来の古代人」。
https://www.facebook.com/tours/2089352774614529/

にのまえさんの座敷に並べられた楽器類、そしてそれぞれについての講釈が面白い。
たとえばコンドルの体は、骨や羽、そのものがもう楽器だという。
ヒトは、ヒトたりえた時に、もう音楽を奏でていたのだろう。

さあ僕の旅がはじまる。


7月12日(木)の記 射水に入る
日本にて


水戸の格安ビジネスホテル「みまつ」にて、朝食バイキングをそこそこがっつりいただいて。
今日からジャパンレールパス使用だ。
特急「ときわ」にて上野まで。
上野で北陸新幹線に乗り換えて、まずは富山まで。
下車した新高岡は、新幹線の停車駅だがまるでドバイの空港だ。
周囲に、なんもない。
今宵の宿の東横インだけが、ぽつねんと。
エミレーツ航空がブラジル就航開始時に無料で提供していたドバイの大衆ホテルとオーバーラップ。

JR在来線、さらに万葉線というローカル線に乗り換えて。
今日の上映を主催してくれる林さんと合流。
彼女との出会いはブラジル、よもやま話は尽きないまま天然温泉「海王」で男女の泣き別れ。
林さんの勤務する学校は高岡市だが、今日の上映会場は射水市。
これは偶然だが、僕の母方の祖母の出身地である。

あっと驚く。
母方の祖父の出身地は今の行政区ではおそらく浜松。
父方は二人とも三重の四日市。
いずれも日系ブラジル人が集中するところではないか。
な、なんなんだろう。

林さんと、そのお友達ぐらいの少人数にご覧いただく予定だった。
ところが、なんとも濃い方々が…
詳細は語らなかったがアマゾナス州マナウスに5年間、いたという女性。
ブラジル以来の再会となる、サンパウロのブタンタン毒蛇研究所に派遣されていた日本人の研究者夫妻。
フマニタスの佐々木神父を知るという夫妻。
東京のシンパの紹介で、地元のテレビ局の最前線で活躍する人も来てくれた。
特にうれしいのは、林先生にわが子がお世話になったという地元の町工場勤務の人が拙作に感動して懇親会まで来てくれたこと。

地元の海幸を、たらふくいただく。
巨大な岩ガキの昆布〆めが特によろしかった。


7月13日(金)の記 雨後のタケノコ
日本にて


さあ今日も鉄路の大移動。
北陸新幹線を大宮で秋田新幹線に乗り換え。
大曲下車、在来線で横手駅へ。
出迎えをいただき、秋田県羽後町へ。

西馬音内盆踊りや、土方巽の鎌鼬美術館で知られるところ。
上映会発起人の方の実家にうかがう。
彼女は、岡村がビデオプロジェクターも持参するものと思い込んでいた。
急きょ、手配していただく。
なんとかなったようだ。

上映会場に、4月の秋田市での上映にも来てくれた方が風呂敷に包んだ手料理を持参してくれた。
ネマガリタケと、地元でミンズと呼ぶ山菜(ウワバミソウ)、豚肉の煮つけ。
絶妙においしい。

今宵の上映作品は『ブラジル移民のひとり芝居』と『60年目の東京物語』。
終映後、目頭を押さえている人を複数、確認。
先ほどのお宅で、懇親会。
参加者から、さっそく次回の上映会を企画しようかという声が。
うれしい限り。

せっかく地元の旅館をとっていただいたが、熱帯夜なれども空調は轟音のみで涼しくならない。
扇風機もなく、布団はカビの匂い。
縁側の窓を開け放って窓寄りの畳で横になる。
少しでも安まないと。
まだまだ旅は続く。


7月14日(土)の記 松本の虜たち
日本にて


秋田県羽後町から長野県松本市へ…
いまさらながら、東京まで戻って中央線の特急に乗るより、大宮で北陸新幹線に乗り換えて長野乗換えの方が1時間以上早く着くことに気づいた。
ヤッホー、到着後にひと風呂浴びて着替えができるかも。
3連休のせいだろう、北陸新幹線は満席。
長野から名古屋に向かう特急はガラガラ。
車窓から見る信州の盛夏の光景は、なんだか胸キュン:サウダージ。

松本駅に迎えに来てくれた増田さんが市内のレトロ銭湯、塩井の湯に案内してくれる。ほぼ貸し切り状態。
石鹸を買おうとすると、置忘れのを使っていいとのこと。

銭湯から松本城沿いに歩いて今宵の上映会場「恋する虜」さんへ。
築100年近い木造家屋のブック&カフェスペース。
僕を待っていただろう本が目に入り、さっそく購入。
オーナーの村田さんはパレスチナなどをフィールドとするフォトグラファーで、共通の知人の話などが尽きない。

上映会場は、奥の座敷。
上映作品はヤマベボッサのしえさんが選び抜いた2本。
『ブラジル最後の勝ち組老人』と『焼肉と観音』。
熱中症が心配なほど集まってくれた人たちの、食いつきがいたくよろしい。
質疑応答が尽きない。
しえさんは、声をかける人も選び抜いていてくれた。
さっそく次回を望む声がいくつも上がる。

さあ明日からの関西上映巡礼に備えて、土産物と着替えを補充しなければならない。
ふたたび長野駅経由でいったん帰京。
明日早朝の出発まで、つかの間、横になる。


7月15日(日)の記 燃える京都
日本にて


朝イチ、そこそこの荷物を引きずって目黒駅まで歩いてしまう。
いざ、京都へ。
知人にとってもらった宿に荷物を置いて。
フマニタスゆかりの河原町教会のミサにあずかる。
神父さんはミサ中でもどうぞ水を飲んでください、自分も飲んでいますと語りかける。

教会近くのインド料理屋で京の友とランチ。
猛暑の地でのインド料理は理にかなっていると体感。
食後の京ブラ、町屋にある文祥堂書店という本屋さんに入ってみて、実に濃い思いをする。
お店で出会った人が、本屋は人をつなぐ水脈、と語るがそうあれかし。

夕方の上映準備まで、宿でしばし休息。
『土地なし農民の闘い』と京都ではじめての『京 サンパウロ』上映。
京都新聞がカラー写真2枚も配した記事でこの上映を紹介してくれていたことを、来場された方が教えてくれた。

懇親会ではイノシシやシカなどのジビエの鉄板焼きをいただく。
油はゴマ油、どばっと鉄板に注いで、どばっとその飛沫を浴びる。
もう一枚、着替えを持ってくればよかった。


7月16日(月)の記 ウドンギョウザの震源地
日本にて


京の朝。
海の日の祭日、祇園祭の真夏日。
僕が「太鼓の哲人」と呼ぶ新川哲也さんと合流。
近くの老舗のカフェのモーニングサービス、仏光寺のカフェでのランチをはしご。
それでも話は尽きない。

地下鉄とJRを乗り継いで高槻に行こう。
が、京都線ほか運転見合わせ中。
空気が高温になり、線路高温のためという。
もはや鉄道というインフラは、今後の日本の夏には不適ということか。

ようやく電車は速度を落として運転再開。
高槻駅近くの天然温泉「天神の湯」付属ホテルへ。
この湯は僕が「マチュピチュ(行ったことないけど)の湯」「棚田の湯」と名付けている。
ビルの屋上から、段々で5層をなしている。
都市部の天然温泉ではいちばん気に入っている。
気温38度でも露天風呂に入ってしまえば、さほど苦にならない。

ミソギを済ませて上映会場へ。
会場はそこそこに広い。
主催者に用意していただいたシネコンの映画料金より安い購入価格のパソコン用のスピーカーでは、ちょっと音声が厳しそうだ。

今日はスペシャルゲストとして、反原発活動と人権擁護活動に奔走される水戸喜世子さんをお招きしている。
僕は水戸さんとの対談とその撮影に備えなければならないが、機材の設置がうまくいかず、そっちの方にかかりきりとなる。

『リオ フクシマ 2』のヴァンダナ・シヴァさん撮影よりもいただけないポジションから撮影。
水戸さんは貴重なお話をしてくれた。
実現に尽力された、たまい企画さんのおかげ。

懇親会は水戸さんが親しくされているマリアンさんのお店。
6月18日(ブラジル移民の日!)の大地震により、18万円ほどの洋酒を失なったという。
高槻名物だという、ウドンギョウザをいただくことにする。
見当のつかないシロモノだ。
細切れにしたウドンと餃子の具、そしてシイタケをハンバーグ状にして焼いたものだった。
B級の名にふさわしい一品。

23時の入湯終了時刻までに宿に帰れる。


7月17日(火)の記 京都盛夏大学
日本にて


温泉と、朝食バイキングにはさもしくなる。
高槻の天神の湯付属ホテル。
朝食の前後に入湯。

さあふたたび炎熱の京都へ。
京都精華大学で昼と夕に留学生相手の上映会を頼まれている。
今日は祇園祭の前祭りだ。
山鉾の巡行を少しだけでも見てみたい。
だが、相当量の荷物を引きずっている。
京都駅付近のロッカーをまわるが、大荷物用のロッカーの空きがない。

だらだらしていると、大学での待ち合わせ時間に遅れてしまう。
しかたがない、地下鉄国際会館駅まで荷物を引きずっていき、駅のロッカーに預ける。
無料バスがあると大学のウエブサイトで読んだような気がするが、有料のバスに乗る。
大学前のバス停で降りると、何の表示もないのには驚いた。

スマホ頼りに登山。
早目に着いたので購買部を冷かし、面白い本を見つける。
今日のメンバーはブラジル人はじめ中南米の学生、と受け止めていたが英語圏の学生が主だ。
いやはや、なかなかエイゴが出てこない。
昼は『ブラジル移民のひとり芝居』、夕は『京 サンパウロ』を投影。
深い思いが英語で話しきれずに残念。

レールパス使用のため、最終の「ひかり」に間に合うか心配だった。
講義終了と同時に今度は無料の学バス乗り場に向かう。
おかげさまで、余裕で京都駅に到着できた。
さあ、明日は福島と山形へ日帰りミッション。


7月18日(水)の記 福島山形
日本にて


さあ今日で一週間のJRレイルパスの使いおさめ。
限界に挑戦。
今日は日帰りだから荷物も少ない、歩いて目黒駅へ。
まずは郡山。
ブラジルコネクションの知人母子と再会。

僕のもう一つの目的地、郡山市美術館まで車で連れて行ってもらい、緑濃い駐車スペースでよもやま話。
オニヤンマが老刀自のところに何度もやってくる。
ついにターナー展を見る。
ターナーがもう少し後の生まれだったら、南米の地誌画を描いていたかもしれない。
時間はあまりないが、常設展も見ておいてよかった。

郡山駅の立ち食いそば屋。
昼時で混み合い、おばさんたちがてんてこ舞いで数方向の客に対応している。
40がらみの男が自分のはどうなってるんだ、と怒鳴り始めた。
先週の学芸大学の定食屋の男と同じものを感じる。
ブラジルではちょっと見られない日本の暴力的光景。

福島で地元紙を2紙、購入。
両紙とも、地味な掲載の県内各地の放射線量測定値一覧以外に、人類史上最悪の原発事故をしのばせる記事が見当たらない。
あ、片方の新聞にあった。
「ふくしまは負けない 明日へ」という特集。
なにに負けないのか?
その紙面をよく見てみる。
「東日本大震災」の文字はあるが、原発事故については触れられていないようだ。

山形寒河江へ。
施設暮らしの親類の訪問。
終電を乗継いで帰京。


7月19日(木)の記 農業最前線異常なし
日本にて


昨晩から、ただならぬ疲労を感じていた。
強行軍の連続に加えて、酷暑の日々だ。
朝も体が重い。
パソコン作業も滞っている。
昼過ぎまで、目黒の実家でゆっくり過ごす。

夕方から淡路町のPARC自由学校にてライブ上映だ。
今日のテーマは「ブラジル農業最前線」と銘打ったが、僕は概論に疎い。
日本語とポルトガル語のネット検索でデータを集めておく。
しかし、ネットで簡単に出てくるような情報を書きとってしゃべってもシャレにならない。

主催者のチョイスは『土地なし農民たちの闘い』と『ササキ農学校の一日』。
ニューフェイス、思わぬ懐かしい人、常連さんが程よく入り混じる。
人間いかに生きるべきか、社会の弱者の尊厳というみどころに参加者もフォーカスを合わせてくれたようだ。

昨年の札幌での上映会のような、誤解をされたムキもいなかったようで。
北の町では「ブラジルへの投資と起業を考えて参加したが、期待外れ」という人がいた。
なにを勘違いしてやってきたのだろう?
おかげさまでPARCビルまでやってくる人には、この手の勘違いは稀有のようでありがたし。
いっぽう懇親会の自己紹介では、例によってエンドレスの人が少なくない…
それをどう仕切るかが、エンターティナーの手腕。


7月20日(金)の記 東京2万歩縦断
日本にて


まずは朝イチで下高井戸シネマへ。
気になっていた『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を見に行く。
ウエブサイトでこの映画と拙作『あもーる あもれいら』シリーズを比較考察していた人がいたため。
タイトルではなにがなんだかわからない映画だ。
あまり他人のことは言えないけど。

これはすごい映画だった。
マイアミのディズニーランド近くにあるモーテルに定住する人たちの群像。
イケイケのタトゥーをしたシングルマザーと、その娘が主人公。
なるほど、『あもれいら』シリーズの特に2と3にあるエピソードと重なるところあり。
とくに子役の演技には、息をのむ。

帰路、明大前の七月堂さんへ。
那覇のウララの宇田智子さんの新刊『市場のことば、本の声』がサイン入りで販売されていると知って。
この本には岡村の上映会のことも書かれていると聞いて、気になっていた。
七月堂さん、なんともうれしいスペースではないか。

ああ、 佐々木美智子さんの新刊写真集『新宿 ゴールデン街のひとびと』があるではないか!
https://dokushojin.com/article.html?i=3483
佐々木さんから世田谷の女性が経営する出版社が出してくれたと聞いていたが、ずばりこの七月堂だったか!
女将の知念さんがいらして、いろいろとお話をうかがう。
そもそもだいぶ本を買ってしまった。

友人から教えてもらった、芝に移った東京都人権プラザ での名越啓介写真展『Familia 保見団地』を見に行く。
住民の半数がブラジル系の愛知の保見団地に腰を据えた写真の数々。
生態写真、と呼びたい境地だ。
僕には撮れそうもない世界。

私用で麻布十番に寄って。
今日は2万歩以上歩いていたぞ。


7月21日(土)の記 今日も大江戸縦断
日本にて


地元の めぐろ歴史資料館で「目黒のタケノコ~竹がもたらすもの」展開催中。
今日は13時半から展示解説あり。
この学芸員さんは西アジアの考古学が専門だったと記憶するが、竹の栽培についてもよく勉強されていた。
フマニタスの佐々木神父の竹プロジェクトの参考になればと思って。

その足で目黒区美術館の「フィンランド陶芸」展へ。
なんの予習も予断もなかったが、日本の現代作家の作品、で通りそうな作品群。

さて、池袋の「がんばれ!子供村」へ。
「ストリートチルドレンを考える会」主催の『あもーる あもれいら』第一部の上映会。
ありものと持参の機材を用いて、このスペースでしかるべき上映を可能とするには・・・
それなりのワザとノウハウがものをいった。
いやはや、なんとかなったけど。

上映後は時間の制約であわただしかったが、珍しい手料理をご用意いただき、楽しい懇親会だった。
有志と鬼子母神近くで再懇親。


7月22日(日)の記 世田谷から新宿へ
日本にて


さあビデオカメラを準備して。
バスを乗り継いで、世田谷区の最深部へ。
今日はビデオ撮影のOKはいただけず。
こちらが語り、先方のお話をうかがうにとどめる。
思わぬことが誤解を招き、なかなか前に進めない。

午後から、芝居の招待券をいただいている。
四谷区民ホールにて、きむきがんさんのひとり芝居『在日バイタルチェック』。
開場の少し後に到着すると、広いホールの前方および中央はほぼ埋まっているか、席取りがされている。
最後列近くでようやく空席にありつく。

そもそも連日の強行軍と酷暑の疲れがたまっていて、はじめの方はウトウト。
広いホールの最後部からひとり芝居を見ているので、ディテールはわからない。
舞台は「在日コリアン1世が通うデイサービスセンター」だったとは、終演後にチラシを見て初めて知った。
終演後は寄付を募る主催者の話が延々と続く。

新宿御苑の縁を歩きながら、ゴールデン街へ。
佐々木美智子さんの「ひしょう」へ届け物、そしてもろもろのご報告。


7月23日(月)の記 烏山の旅がらす
日本にて


渋谷で買い物をしてから、京王線千歳烏山へ。
千歳台遺跡の発掘調査でこのあたりをうろついたのは、もう40年前のことか。
40年目の烏山物語。

玄米食堂、楽多さんでの上映。
楽多創設メンバーの面々と、和気あいあいと会場設定。
今日もまた一期一会の濃ゆいメンバーが集ってくれた。
地元烏山原人から、秋田、岩手の人たちまで。

上映作品は東京初公開の最新作『未来のアミーゴたち』、そしてブラジル日本人移民110周年祈念として『ブラジル移民のひとり芝居』と『60年目の東京物語』。
山海の珍味美味美酒を囲んでの懇親会がまた楽し。

主催者のつわもの女子が、意外な臨死体験を披露してくれた。


7月24日(火)の記 金砂郷を撮る
日本にて


千歳烏山から祐天寺裏の実家に戻って、すでに日付は今日。
ビデオカメラを担いで、午前4時には出家しなければならない。

4時32分発目黒駅始発の山手線に間に合う。
さっそく汗だくとなる。
日暮里で常磐線鈍行下り始発に乗り換えて、牛久へ。

南米コロンビアの取材から一昨日戻ったばかりのフォトグラファー、柴田大輔さんと合流。
柴田さんの運転で、茨城最北の金砂郷に向かう。
拙作『金砂郷に打つ』の舞台。

柴田さんとも奇縁だ。
常陸秋そばの栽培を続ける農家へ。
すこし撮影。

さて、どうしよう。


7月25日(水)の記 足柄のお日がら
日本にて


急きょ決まった本郷での打ち合わせ経由で。
神奈川の最西部、丹沢や小田原にほど近い足柄地方での上映へ。
今年はじめの学大ライブ上映に来てくれたメンバーが、地元での上映をしてくれることになった。
上映会場は、開成町というところ。
寡聞にしてこの町の存在を知らなかった。

町役場のなかの施設で、畳の間二つを打ち抜き。
温泉旅館の宴会場のノリ。
外光を遮るカーテンがない。
襖を外して白ガラス部を覆うことに。

近隣各地の、これはという方々に呼び掛けたようだ。
手ごたえのある方々に集まっていただけた。
上映作品は『リオ フクシマ 2』。
作品後半になっての登場人物に「この人、知ってる!」の声が。
思わぬ場所での上映で、こういうことがあるのだ。

懇親会は、ガラパゴスの名を冠した地ビールを供するお店。
主催者が僕の終電を調べてくれて、参加してくれた若い農家さんがダイハツの軽トラで開成駅まで送ってくれた。
間に合った。


7月26日(木)の記 大東京を往く
日本にて


東京近辺の気になるスポットや展示、会っておきたい人とのアポ。
まずは石神井公園ふるさと文化館へ。
「石神井川流域の縄文文化」展。
上野の国立博物館の縄文展を見る前に、こうした地域の縄文文化展を見ておきたかった。
わがふるさと目黒や学生時代に掘り散らかした世田谷と同じく、縄文時代中期の遺物が中心。
展示物には、あまり逸品はない感じ。

練馬大根に関する常設展が面白かった。
練馬大根でつくったタクアンがかつて缶詰で輸出されていたそうで、そのラベルだけでも面白い。
練馬の給食のご当地メニューだという練馬大根パスタもいけそうだ。

酷暑も少しは収まり、ふつうの夏の暑さ。
石神井公園、なんとも心地よいスペースだ。
今日は予定が押していて、ゆっくりできないのが残念。

ついで江古田のギャラリー古藤さんにて「横浜事件」展。
夜の講演の資料折込みにきていた武蔵大の永田さん、そして木村まきさんと言葉を交わす。

ブラジルがらみ、アートがらみの人と銀座のギャラリーで待ち合わせ。
先方はギャラリーで僕より優先したい人に出会ったようで、ほどほどのところで失礼する。
「絵の具代を稼がないと」と懸命に営業活動をするアーチストもご苦労なことだ。


7月27日(金)の記 縄文ものカルチャー
日本にて


異常な酷暑から、ふつうの暑さになった感じ。
日比谷線で上野へ。
家族連れでにぎわう上野公園。

「縄文」展の国立博物館は運慶快慶展のときのような度肝を抜く入館待ちの列もなく、やれやれ。
縄文の国宝をひと通り集め、日本各地の逸品を集めてきたとあって、それなりにすごい。
が、それ以上でもそれ以下でもない。
すでに定評のあるモノを集めてきて並べているに過ぎない感じ。

縄文時代の世界各地、という地図があるが、南北アメリカもオセアニアもそぎ落とされている。
縄文期に相当する時期にアメリカ大陸でも優れた土器が作成されているし、縄文土器と縄文人が南米大陸に渡ったという説もあるぐらいなのだが。
さらにアマゾン流域で出土する土器は、縄文土器に勝るとも劣らぬ過剰な装飾を誇っている。

モノばかりの展示のなかに、縄文時代の人と生活を再現したらしい小さな模型がいくつか置かれている。
再現の根拠は明らかにされないまま、女性が土器を作っている。
これでも、博物館か。

縄文土器は、あらゆる角度から眺めたい。
しかしそんな工夫も見られない。
そもそもオトナの目線に合わせた展示でそこそこ混雑していて、子供を連れてきた親御さんは気の毒な限り。
お子さんを肩車して、展示品に子供の気を引こうとしているが、むずかしいよね。
昆虫展にしとけば!

帰路は学芸大学で下車。
流浪堂さん、そして久しぶりに開店時間にたどり着けた平均律さんに寄る。
これだけ手間暇をかけてもらうアイスコーヒーのありがたさ。
一杯700円の価値はある。


7月28日(土)の記 台風上映
日本にて


今晩は学芸大学での最終かつメインイベントの『リオ フクシマ 2』上映会。
折りしも台風12号がちょうど上映時間に東京を直撃する気配。
目黒区の1時間ごと、3時間ごとの天気予報を、昨日から何度もチェック。
日中はそこそこにおだやかだったりして。

ふだんは流浪堂さんにお預けしているスピーカー類を事情により実家に持ち帰っている。
通常の機材荷物類に加えて、これらも徒歩にて担いでいくのはなかなか。
タクシーでも電車でも不便なルート。
それが、雨嵐となると…

防水をうたう運動靴着用だったが、会場に到着するとぐしょぐしょ。
今日は裸足で勝負。
地元の SUNNY BOY BOOKSさんも、coffee carawayさんも、金柑画廊さんもツイッターで台風接近による閉店宣言を出した。
上映に参加するつもりが台風により断念、というメッセージが相次ぐ。
流浪堂さんと岡村は、上映決行。

岡村と二見さん夫妻のほかに、4人の方が来てくれた。
上映後の懇親会の話題は、そのまま文字起こししたいほどの濃いものとなった。


7月29日(日)の記 横浜ヌンカ マイス
日本にて


ヌンカ マイス。
ポルトガル語のカタカナ表記だが、英語にすると NEVER AGAIN。
今日の午後、行った映画館のこと。

今日は横浜末吉町のカトリック教会のミサに参加してみる。
フマニタスの佐々木治夫神父がブラジルに派遣されるまで奉仕していた教会だ。
司式の神父は日本人だが、フィリピン人はじめ、アジア諸国の人たちが混じり合っている。
ミサ次第もタガログ語、英語はじめ僕には何語とも判別できないものも置かれている。
神父さんは、ラオスで起こったダム決壊事故の犠牲者に祈りましょうとうながす。
被害は下流のカンボジアにもおよんでいるという。
寡聞にして、そんな事故があったことも知らなかった。

午後。
気になる最寄りの映画館に行ってみることにする。
美空ひばりの記念碑の近く。
ゲイ映画専門館だ。
さるリゾート地で拙作上映会を開いてくれた方のご尊父が、かつて経営されていたという。
拙作をひいきにしてくださる映画監督の作品も上映されていると記憶する。
いわゆるピンク映画には思わぬ佳作があることがわかった。
ゲイ映画も一度ぐらいは見ておいてもいいだろう。

入場…
ロビーには「同好」者を求めているのがありありの男たち。
こちらを「値踏み」してくる視線。
タイムテーブルを見て、切りのいい時間に入場。
あまりにも異常でかえってリアリティがうすい世界だった。
見るも、聞くもおぞましい行為が周囲で展開されている。
ここで起こっていることをズバリ表現する言葉を、この日記に記したくない。

外は白昼、しかも仮にも公共の場で、こんな行為が繰り広げられているとは!
集団に襲われるのではないかという恐怖。
わが身を守るのが精いっぱいだった。
ここは、映画鑑賞が目的の場所ではなかった。

映画は2本立てだったが、映画としてはこれまで見てきたピンク映画よりだいぶ劣ると思う。
そもそもスマホ登場よりはるか以前の時代描写で、10‐20年前の制作ではなかろうか。
それよりもわがカラダが周囲の臭気を帯びていないか、飛び散った液でも浴びていないかが心配。

横浜パラダイス会館まで、無事たどり着いた。
今回の訪日最後の上映会を終える。
『60年目の東京物語』のヤマ場で会場のDVDプレイヤーのヘッドの汚れか、こちらのディスクの汚れか、フリーズと飛びが生じてしまい、残念。

自作の上映の前にあまり刺激の強いところに行くべきではなかったな。
それにしても教会のミサの後にあの映画館という流れの人は、さほどいないかもしれない。


7月30日(月)の記 今日の縄文
日本にて


出ニッポン二日前。
日本で出しておくべき郵便物もろもろの作業。
荒れ狂う実家での使用空間のお片付け開始。

映画『縄文にハマる人々』は見ておきたい。
渋谷のイメージ・フォーラム。
月曜なら1100円に割引とウエブサイトで見て、このチャンスを逃さでか。
が、この福音は9月からだった。
渋谷の金券屋に寄ってみるが、「縄文展」はあってもさすがにイメージ・フォーラムはなかった。
一般1800yen。

映画の冒頭から知人が出てきて驚いた。
故・西垣戸弁護士。
他にも二人、知人が登場。
いま、縄文を考えるうえでのヒントのおさらいに格好。
見ておいてよかった。

東横線で学芸大学へ。
80代女性とデート。
アジアンテイストのお店にて喫茶。


7月31日(火)の記 水の科学
日本にて


灼熱の日本脱出前日。
今日は日本の血筋の小学生女子とのお約束。
夏休み入りした彼女が、午前中のお勤めから帰ったら出発。

彼女のリクエストは、東京都水の科学館。
ただの科学館かと思ってあまり気が進まなかったが、水となると食指も動く。
お昼もごちそうすることにして、できれば彼女の世界を少しでも広げたかった。
しかし彼女は地元祐天寺で行ったことのあるラーメン屋に固執。

水の科学館は、お台場にあり。
JRりんかい線というのに初乗り。
最寄り駅にこれといった案内板もなく、なぜかSIMチップがまだ有効期間のはずのスマホが外でつながらなくなって、ちと往生。
武蔵野大学という大学の横にあった。
水道局の施設で、入場無料。
人気のあるのは、ずばりゲーム機と水遊びスペース。
もう少し水源涵養林はじめ、水そのものを学びたかった。

帰路、スタバを主張する女子を祐天寺まで連れ帰る。
閉店間際の coffee carawayさんで女子向けドリンクをこさえてもらおうと考える。
が、混み合っていて小学生とアヤしい保護者が入るのはむずかしい。
あきらめて近くの「祐」という喫茶店に行ってみる。
こちらはメニューに「こどもアイスコーヒー」というのもある。
彼女は「ミッケ!」という絵本を見つけてきた。
これは一緒にけっこう楽しめた。
お店は全面禁煙、祐天寺で小学生とデートにはここに限るな。


  


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