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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2018年の日記  (最終更新日 : 2019/01/04)
12月16日(日)の記 ガガンボの白い脚

12月16日(日)の記 ガガンボの白い脚 (2018/12/16) ガガンボの白い脚
ブラジルにて


書籍から新聞記事まで、読もうと思うものをだいぶ宿まで担いできた。
しかし、スマホの字以外に読む気がしない。
ただ、海岸山脈のこの地にいるだけで満足。

この宿は高台の景色は絶妙。
しかし、手ごろに入れる自然林が近くにないのが難点。
思い切って、ちょっとハードな谷底の細流までひとりで行ってみる。

昨晩あれだけの降雨があったのに、不思議なほど子実類の発生が見られない。
先回はツノゼミのコロニーもお気軽に観察できたが、かつての場所にもいない。

小径の脇の植物にとまろうとしていたガガンボのような羽虫が印象に残る。
全身は黒で、長い後脚の先端が帯状に白かった。
どんな機能があるのだろう?

ブラジルではガガンボをなんというのか?
こうした俗名は見当たらず、学名Tipulidae(ガガンボ科)を用いることになる。
ポ語のウイキをみてみると、ガガンボの幼虫は土中に生息するもの、水中に生息するものがあるが、幼虫について知られているのは記載されているガガンボの2パーセントに過ぎないという。
ガガンボという日本語も奇異な感じだが、「蚊の母」といった意味合いらしい。

たとえば、このガガンボから考える。
ヒトは偉そうにしていても、こうしたいのちひとつ創造できるわけではない。
ガガンボの側から世界を見てみると…
僕あたりの思惑も存在も、まるでどうでもよくなってくる。
いま、このガガンボがこの宇宙にある意義。
それを含むことのない宗教や哲学こそ、意義があるのだろうか。

森でのひとりの時は、根源的な気づきの機会だ。

夕方、サンパウロの我が家に戻る。
今朝、知人の父親が亡くなった、という事態にどう対処するか。
今晩、墓地での通夜はないようだ。
人の世の諸々にもまれると、ガガンボの教えがどんどん遠ざかっていく。


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