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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2019年の日記  (最終更新日 : 2019/08/21)
4月19日(金)の記 インパールとインディアン

4月19日(金)の記 インパールとインディアン (2019/04/22) インパールとインディアン
ブラジルにて


当地は今日からイースターの三連休。
本日はその主役のイエス・キリストが磔刑に処されたことを祈念する日。
あまりへらへらきゃっきゃっとはできない。

自宅の混沌スペースに探りを入れる。
日本から持ち帰ってそのままになっている資料や書籍など。
川越のアンティーク屋で買った奇書発見。
小峰書店発行の小学生文庫。
『コロンブス』、文は佐藤春夫、絵は向井潤吉!
西暦1959年、占領下日本で発行された絵本だ。

ヴィジュアルな資料も限られていた時代に、よくぞ。
僕のいちばんの関心は、向井潤吉が新大陸の風土と人をどのように描いているかだ。

敗戦後、日本全国を行脚して、消えゆく古民家を描き続けた向井潤吉。
『影』と題された彼の戦争画に、息を呑んだ。
当時の中華民国の都市に襲い掛かる日本軍の爆撃機からの視点で描いた「鳥観図」。
向井は、インパール作戦にも従軍していた。

世田谷の向井潤吉アトリエ館だったと記憶する。
戦後の古民家画家時代に、向井は緑がきらいだというような発言をしているのを知った。
インパールのトラウマだろうか?

この『コロンブス』で描かれている新大陸は、あっさりしすぎ。
向井はコロンブスのたどり着いたカリブ海の島と、自ら死線をさまよっただろうインパールの熱帯降雨林の緑と闇を結びつけることに無頓着だったのか。
あるいは確信犯で忌避したのか。

彼の描き続けた古民家の仏間には、どれだけ「大東亜戦争」で亡くなった人たちの遺影が飾られていたことだろうか。
そして、現地で殺された人たち。
考えるほどに、「コロンブス」は重い。

あ、今になって今日は「インディオの日」でもあったと気づく。
磔刑のイエスと、当地の先住民が重なる。


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