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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2019年の日記  (最終更新日 : 2019/08/21)
4月21日(日)の記 『生き物の集まる家』

4月21日(日)の記 『生き物の集まる家』 (2019/04/24) 『生き物の集まる家』
ブラジルにて


自分の知るキリスト教とは異質のものらしい、とそれだけは確信できた。すると、安心もでき、意外ななつかしさを覚えた。留都は十字架を見る機会が人よりも多かったのだが、その形にはどうしても不満で、こんなものならいいのに、と勝手に思い描いていたのが、ちょうど目の前に現れた感じだった。
津島佑子『生き物の集まる家』


今日は、復活の日。
早朝のミサへ。
はじめてみる神父の司式。
頭髪は薄いが、若そうだ。
聖体拝領の時、微笑んでいたが、思えばこれは意外とないことだと気づく。

イースターの昼食会で、準備もありミサのあとで家族全員で連れ合いの実家へ。
ふだん台所に立っているので、こういう時は運転手役だけでカンベンしてもらう。
今日の友は、津島祐子さんの『生き物の集まる家』。
日本とブラジルを2往復ぐらいした本だが、冒頭だけ読んでそのままになっていた。

この著者の名前を意識したのは、西暦2016年に畏友の星野智幸さんが日本の新聞に追悼文を寄稿した時だと思う。
その後、思わぬ縁で故人となった津島祐子さんが身近になった。
この本を買ったのは沖縄の くじらブックスさんだったかな。

東京で生まれ育った主人公の女性は、実際の記憶にない山里の夢を見るようになる。
東京での人間関係で心身がずたずたになった彼女は、亡き父の故郷を訪ねてみようとするが…

これまで読み進められないでいたが、今日はいっきに読んでしまった。
西暦1973年の刊行だから、四捨五入すると半世紀前の小説だ。
調べてみると旧JRの国鉄が「ディスカバー・ジャパン」のキャンペーンをはじめたのはこの小説より古く、1970年からだった。
ちなみに、山口百恵さんの『いい日旅立ち』のリリースは1978年か。

小説で描かれるのは、いわば土俗、伝奇の世界。
横溝正史『八つ墓村』や宇佐美まこと『入らずの森』を想い出した。
それが旧約聖書の『ルツ記』をベースにしていて、今村昌平的な性の世界に通じているのが面白い。

この小説についてネット検索してみると、ほとんどヒットしない。
人文書院で刊行されている津島佑子コレクション第Ⅰ期にも収録されておらず、文庫本にもなっていない。
しかるべき識者の解題が読みたいところ。


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