11月の日記 総集編 教皇突破 (2020/05/02)
11月1日(金)の記 たこのみ焼き ブラジルにて
日中は粛々と「光州事件発掘」(仮題)の編集。 わが家のネット回線がアウトに。
さて。 夜はお好み焼きをこさえよう。 小麦粉、ヤマノイモなどを買い出しに。
わが子がたこ焼きをつくった時のタコのブツ切りが冷凍庫にある。 海の幸はこれぐらい。 ヤキソバをいためて、あとはひき肉、ウインナーソーセージ、キャベツにヤシの若芽、ネギ、ポロねぎ、紅ショウガ、鰹節...
広島で買ってきた牡蠣エキス入りお好み焼きソースなんてのもあった。 いつどこで買ってかはよく覚えてないけど。
かつては450cc分の小麦粉、それにヤマノイモと卵と水をプラスした地で家族4人分まにあい、翌日分まで少し残ったもの。 量的にはこれで、最近は夕食時に子供がひとり欠けてちょうどいいぐらいだ。
タコも悪くはない。 タコ以外が入っても、たこのみ焼きか。
11月2日(土)の記 大きな鳥と小さな鳥、逃げた? ブラジルにて
きたる月曜からクルマで遠征だ。 お相手とようやく確約ができた。
次回訪日も迫っているのでビデオ編集もすすめていく。 拙作それぞれのタイトルも考えないと。 『屋根裏の暦』かな。
さる木曜日に観ようと思って会場に到着してから土日限定と知った、釣り落とした鳥に再挑戦。 パゾリーニの邦題『大きな鳥と小さな鳥』という西暦1966年の映画。 聖フランシスコが、イタリアの有名なコメディアン扮する旅の男らにご宣託を垂れるという話らしい。 日本ではマイナーな公開にとどまり、情報も限られているようだ。 鬼才パゾリーニが聖フランシスコをどのように描いたのだろう?
会場のラザール・セガール美術館に到着。 あちゃー、映写機の事故のため、上映はない「だろう」とのこと。 今日は「死者の日」の休日で、修理の術がない由。 つくづくこの映画には縁がないか?
お気に入りの美術館の展示をざっと見て、安くはないカフェをすすり、持参した資料に目を通す。 帰りは、歩くか。
11月3日(日)の記 自宅蟄居 ブラジルにて
連れ合いの実家でシュラスコ(バーベキュー)を昼にするとのことで、妻子はそれに。 僕は明日早朝からの旅があり、業務も追い込まれているので家に残る。
次回訪日時のメインである11月30日の上映の、三つの上映作品のうち二つまではなんとか固まったかな。 あとひとつ、どうなることか。
家人が僕にも焼いた肉を持ち帰ってくれる。 江田島でやたらに好評だったヴィナグレッテソースをさらさらとつくる。 うーむ、まことにおいしい。 実家から少し持ち帰ってきたチミチュリソースよか、ずっとよろしい。
さあ明日からの準備、ぬかりはあるまいか。
11月4日(月)の記 小心者の運転旅行 ブラジルにて
さあ佐々木神父のところへクルマで遠征だ。 小心者ゆえ、こういう時は熟睡できず、1時間ごとぐらいに目覚めてしまう。
ここにきて日本とのやり取りでスマホでは片付かないことがいくつかあり。 小さい方のノートパソコンを持っていくか。 現地の通信状況も危ないけど。
午前6時出発のつもりだったが、3時過ぎには眠れなくなる。 思い切って起きて、パソコンのチェックはじめ諸々を手掛ける。 けっこう後がきつくなるかも。
サマータイムが今年から中止になったので、5時前にはだいぶ明るくなる。 出発! 近くのガソリンスタンドでアルコールを満タンに。 ここは傾斜があるので、きちんと満タンにはならないのだが。
草木染のスペシャリストの川上久子さんをご自宅でピックアップ。 佐々木神父の竹利用をメインとした零細農家支援計画をお話ししたところ、協力を快諾していただいた。 まずは僕が現地にお連れすることになった次第。 川上さんは植物学者の橋本梧郎先生のサポートを長年されていた。 拙作『パタゴニア 風に戦ぐ花』にもご登場していただいている。
川上さんはブラジルのアマゾン地方をはじめ、アフリカでも現地の生産物を活用した女性支援を続けている。 お話は面白く、運転で眠けをこらえる心配もなくなった。 サンパウロ州からパラナ州へ。 勝手知ったる道とはいえ…
現地着は午後4時。 佐々木神父らがお待ちかね。 当初の話、打合せとは違って、人を集めるので明日朝から実践講座を開いてほしいとのこと。
まずは本来の計画の、小川べりに生えるネイティヴのシノダケのような細い竹を刈りに行く。 大地はカラカラである。
久しぶりの長時間の運転で、とにかく疲れた。 夕食後、神父さんとの晩酌もそこそこに床に就かせてもらう。
それにしても、このあたりを覆う不思議な音はなんだ? シスターたちによるとセミだという。 日本ではありえそうもない、擬音の思い浮かばない妙なる音。
11月5日(火)の記 南回帰線にセミがなく ブラジルにて
日本人の僕にはこの星ならぬ音に聞こえるセミの鳴き声が早朝から。 今朝も佐々木神父のところでカメラをまわしてみようとするが「また」トラブル。
今日は草木染の川上さんが急きょ地元の人たち相手にワークショップ:体験型講座を開いてくれることになった。 古釘500グラム、木灰など、ふつうはいきなり言われてもむずかしいものがなんとかなってしまうのがすごい。
川上さんにさぞお疲れでしょうとねぎらうと、これまでブラジルの奥地やアフリカなど、椅子もなければトイレの水もままならないところに比べれば、とのこと。
夕方、この世の終わりのような豪雨。 停電。 外にテーブルを出して夕明かりのもとで夕食。 今日も早く休ませてもらおう。
日付が変わる前に電気復帰。
11月6日(水)の記 鳳凰木街道 ブラジルにて
北パラナのサン・ジェロニモ・ダ・セーラにて。 染色家の川上さんは今日の午前中もワークショップを続けてくれることになった。 して、今朝もあのセミが鳴く。 早朝、面白いことに一斉に鳴き、一斉に止むのを繰り返しているようだ。 シスターたちはかんたんに見られるというが、近くの林をまわっても、声はすれども姿は…
フマニタス診療所の崖のところに、ホウオウボクが真っ赤な花を咲かせている。 植物名は川上さんに教えてもらった。 マダカスカル原産か。 サンパウロでは気づかなかったが、北パラナは街道沿いに見事に花並木が続く。
帰路も話題は尽きない。 意外な共通の知人がぼろぼろと出てきた。 夜9時過ぎ、サンパウロ着。
11月7日(木)の記 サンパウロでコリアンヌ ブラジルにて
昨晩から、誕生祝のメッセージを続々と受信。 ありがとうございます。 こういうのに、個別に返信しないと気が済まない性質で…
午前中はけっこうそればっかりになる。 富山妙子/メキシコ編の編集を急がないと。
夜は家族で外食ということに。 僕の好きなところ、というところで。 コリアンレストランにさせてもらおう。
まだ行ったことのない、アクリマソン地区にある「月宮」というところにしよう。 どちらかというと住宅街。 こちらの民家風のつくり。 サーブするのは非韓系のブラジル人。 ブルゴギの大サイズ、ビビンバ、豆腐入り海鮮スープを頼む。 韓国から輸入したマッカリも。 小皿料理がいくつも出てきてお代わりし放題なので、それだけで家族は満足。
祖国日本のおろかしい朝鮮系のものに対する蔑視について、簡単に話しておく。
家族からおいしかった、満腹、また来たい、の声で、僕へのいちばんの誕生プレゼントだ。
11月8日(金)の記 オカムラよばわり ブラジルにて
日中は『富山妙子/メキシコ編』の編集に精を出す。
今日は僕が連れ合いの実家に泊まり込むことになった。 念のためノートパソコンも持参しよう。 夕方4時を過ぎて出ると、クルマで1時間半近くかかる。
アサリのスパゲティをさっさっとこさえる。 白菜があったので、サラダにして。 好評。
片づけは義母がするというので、その間、NHKの国際放送を視聴。 僕はまるで蚊帳の外の朝の連ドラ。 続いて、朝イチとやら。
チコちゃんとかいう、5歳の女児という設定の着ぐるみが幅を利かす。 NHKのスタジオものもいまや「笑い屋」をはべらしているようで、白々しい笑い声が目障り。 そもそもこのチコちゃんとやら、誰かがフェイスブックで指摘していたが、なかなか不快である。 5歳の幼児、そして女の子というこちらが批判しにくい隠れ蓑から暴力的な言動で攻撃をしてくる。 彼女のセリフを実際に考えているのは放送作家のオッサンだろう。 何重にも卑怯な存在だ。
この番組のレギュラースタッフにオカムラという姓の芸人がいるようで、ほかの登場人物から、そして「5歳の女児」からもオカムラよばわりされている。 これまた愉快ではない。 ああ、有働のお姉さまの頃が懐かしい。 ごくたまに拝むくらいだったけど。
ラッシュ時の運転疲れもあり。 義母が片づけを終えてくると、そこそこに休ませていただく。 緊急事態に備えて戸を開けて、廊下の電気はつけておく。
11月9日(土)の記 朝ゼミの波 ブラジルにて
サンパウロ市西部の義母の暮らす高層アパートにて。
夜明けとともに、数日前に北パラナの佐々木神父のところで浴びるように聞いていたセミの鳴き声らしきものが聞こえ始めた。 不思議なことに気づく。 このアパートの南面に巨大な森林都市の観をなすサンパウロ大学のキャンパスが広がっている。 しかし、このブロッコリのような緑の塊の大学方向からはまるでセミの鳴き声がうかがえないのだ。
聞こえてくるのは、ちょぼちょぼと緑のあるスラムを含めた住宅街の方向。 鳴き声からして、パラナと同種のセミとみてよさそうだ。 彼の地の植生も、森林というより林といった程度。 そうした環境を好むのかもしれない。
一斉に鳴き始めて、一斉に鳴き止むのを繰り返すのも彼の地と一緒だ。 それにしてもサンパウロ住まい30有余年で、この強烈なセミの鳴き声を意識したことがいままでない。 気候変動もあるのかな。
午前中、帰宅。 土曜なのでスムース。 さあビデオ編集を続けよう。
11月10日(日)の記 ラテンアメリカとの出会い ブラジルにて
連れ合いが昨晩から実家に泊まり。 僕は路上市でなにか刺身用の魚を見つくろって昼に持参するつもりだった。
電話があり、別の兄弟がマグロを買ってきたので、僕は来なくてもいいということになった。 その分、映像編集に没頭。 『ラテンアメリカの出会い』といったタイトルで、二部構成で。 それぞれのタイトルを模索中。 「いのり」の語は欠かしたくない。 「メキシコ」も入れて。
おかげさまで、だいぶメキシコの貌の目鼻がついたかと。
11月11日(月)の記 断食しいしい ブラジルにて
来週はまたさっそく訪日である。 ビデオ編集作業の追い込み。 今回のブラジル滞在中、最後になるだろう一日断食。
来年1月の訪日航空券の予約も進めないと。 年末年始のフライト料金はそこそこに上がるが、思わぬ掘り出し物を見つけた。 油断大敵だけど。
エージェントに予約をお願いしておく。 来週の訪日の件でも二つほど発注。
さあ(おそらく)今年最後の訪日までカウントダウンだ。
11月12日(火)の記 一月日本本土決戦 ブラジルにて
いつもは即日返答のある旅行エージェントから返しがない。 電話をしてみると、ネット回線不良とのこと。 そもそもわが家のみの回線問題と言われていたのが建物ブロック全体だったらしかったり。 まるで今の日本国並みの事態だ。
ビデオ編集作業と並行して、来年1月の訪日便のやり取り。 いったん日にちを決めて日本に打診。 先方は慎重なご性格。
僕の方は一便、問題があっても何とかなる予定にしてみたが。 もう一日、早めましょうか。 僕にとっては10年ぶり、かつ先回のプログラムをしのぐ特集上映会だ。
この11-12月にも祖国で大切な上映会があり、目がくらむありがたさ。 まずは今年の上映素材を完成させないと。
11月13日(水)の記 サンパウロでミュシャ修行 ブラジルにて
ビデオ編集の追い込み中なれど… パウリスタ地区の旅行代理店に出る。 こころも追い込まれているが、せっかくのついでなので… 近くのFIESP文化センターのミュシャ展を見る。
なんたってタダ、しかも列なし。 ウエストポーチも受付に預けなければいけないけど。 これは見といてよかった! https://www.instagram.com/p/B5C9LoXAVXH/
ミュシャの絵には日本の学生時代からなじんでいたと思う。 かといって積極的に知ろう、求めようというレベルには至っていなかった。 広告と作品の両立の成功例をヴィジュアルに伝えてくれる。
作品を概観していくと、ミュシャは外見がキレイな女性ばかりを描いていたわけではないことがわかる。 https://www.instagram.com/p/B5C9wvXAdc-/ 児童の鑑賞禁止の部屋があり、のぞいてみると彼が撮った裸の女性の写真など。 そして今日の世界各地のアーチストにミュシャ嗜好がうかがえることもヴィジュアルに展示している。 ミュシャ本人も、この展示も、ナイスである。
なんだか自分をゆたかにしてもらった思い。 これがアートのちからか。
11月14日(木)の記 キューバしのぎとアイフォン王 ブラジルにて
次回訪日が迫る。 されど日本で上映する作品の素材焼きまでまだ至っていない段階。
それでも避けられない外出を、午後から。 まずはスマホのバッテリー交換。 この分野に僕は疎い…
2年数か月前に、こちらの親類から買い替えるとのことで譲り受けたもの。 小さすぎるのがちと問題だが、機能的には使いこなせないほど。 だがバッテリーの消耗が激しくなってきた。 フル充電後、数時間:長編映画1本強、ぐらいでアウト。
本体ごと買い替えるしかないとも言われるが… サンパウロのいわばアキバ地区にある、直訳すると「アイフォンキング」というところに行ってみたらという家人の意見。 ようやく行ってみることにした。 このあたりに詳しい友人から「危ない」と脅されながら…
うむ、メトロの駅からソコソコ歩くな。 「お茶の水橋」を渡って‥ ごちゃつく一帯からは意外な、ビルのなかの上階。 オフィス内は気の利いた外資系の銀行、といった感じ。 さして人もおらず、すぐにアテンド。
邦貨にして3500円弱でチェンジOK、一年の保証付き。 スタッフが換えてくれるのを見るが、これは僕の手には負えないな。 なんと店内にはそこいらの店ぐらいのスペースのカフェまであるではないか。
そろそろ夕方のラッシュ。 なんだかキューバリブレが飲みたい。 荷物もあるし、そこそこ疲れたが… メトロをひとつ前の駅で降りて、ブラジル国産のラムとペプシコーラを買う。 わがアパートの鉢植えで繁茂するミントを添えて、ヴィヴァ!
11月15日(金)の記 残り時間60時間以上って? ブラジルにて
今日はブラジルの祝日。 共和制宣言記念日。
さてひと通り来週からの訪日で公開する映像の編集のめどはついた。 DVD焼きの作業に入ろうとすると、メモリーの容量不足の表示が。 不要のものの処理と、さしあたって使わないデータを据付けメモリーに移さなければならない。 このデータを移す作業が僕にはよく理解できていない。 編集システムで編集済みの素材をどのように外部メモリーに移したらよいのか。 いろいろな方式があり、まだよくわからないまま。 ネットで調べてもらちがあかず。
日本の誰かに尋ねてみるか? 祖国はもう夜中だ。 どちらにしろ、時間がない。 いくつか試行錯誤を繰り返す。
なんと2時間余りのデータ移行に60数時間かかるという表示が。 日曜までかかる? 待つしかないのか… おや、数時間でストップしてしまった。 試行錯誤のうえ、応急方法を考えるに至る。
やれやれ。 加えて日本などからのごちゃごちゃした連絡が錯綜、もうこんがらがる。
11月16日(土)の記 「時空をかける少女」 ブラジルにて
ブラジルは三連休の中日。 おかげさまでビデオ編集のピンチは切り抜けたようで、DVD焼き作業をすすめる。 先回、訪日時の上映に来てくれた方々への御礼メール送りも並行して。 さっそく返しをくださる方もいる。 なかなか追いつかないウエブ日記の更新、遅れがちな今度の訪日時の上映情報のアップも。
次回訪日のメインは11月30日、東京大学東洋文化研究所での拙作披露だ。 画家の富山妙子さんに寄り添って紡いだ記録のなかから、時局を考慮してチョイスした作品群を上映していただくことになった。 そのイベントのタイトルは、僕もお気に入りの「時空をかける少女 画家・富山妙子を撮る」にしてもらった。
まずあの『時をかける少女』にかけているのだが、誰でも考えそうなタイトルかなと思って検索してみると… まるでヒットなし。 ホッ。 「少女」にも重層の意味をかけているが、「妙子」の「妙」の字にもちなんでいる。 オンライン上映告知のヒット数もいい感じだ。 さあどのようにご覧いただけるか。
昼はスープから醤油ラーメンをつくって好評。 麺はブラジル製の生ラーメンを買ってきた。 たしかに、ヘタなこちらのラーメン屋よりよろし。
夜は冷ゴハンを用いてエビのリゾット。 ポロネギを入れてみた。 これも悪くなし。 冷蔵庫も少し片付く。
11月17日(日)の記 しったかブリ ブラジルにて
来週からの訪日、そして来年早々の訪日に備えて。 御礼メール作戦がいまさらながら続く。
明後日はふたたびサンパウロ出家だ。 連れ合いの実家に刺身用の魚を買って昼食に持っていくことに。
路上市へ。 まずアジをすすめられるが、ここのところアジが続いた。 オプションに、スズキをすすめてくる。 スズキは値段は高いが、さほど好みではない。
もう一軒ものぞくとブリをすすめてきたが、一尾で2キロ半以上もある。 値段もはるし、使いきれない。 最初の店に戻ると、特別なブリの切り身があるという。
こちらでの人気魚かつ高級魚のマグロ、チリ養殖サーモンの横にある。 値札を見てオッケーを出し、1キロ強ほど切ってもらう。 計ってもらって値段を聞いて驚いた。 1キロで18レアイスと思い込んでいたが、48レアイスだった。 こちらの手書きの1と4を見紛えたケース。 キロあたり「中ぶり」のブリの倍の値段ではないか。 サーモン、マグロよりは安いが牛フィレミニオンより高い…
今さらいらないというのもカッコわるい。 買うか… 骨と皮を取ってもらうが、僕なら可食部分もバッサバッサと切り捨てられ、わが身を斬られる思い。
うむ、確かにうまそうだけど。 昼に連れ合いの実家で、夜はわが家で刺身でいただいて。 刺身を食しない家族のために、塩コショウ、バターとオリーブオイルでステーキに。 ネットでレシピをみると、照り焼き系が多いが、なんだか照り焼きにはもったいない。
おう、ぶりステーキ、あっぱれな味だ。 たまには大ブリもいいな。
11月18日(月)の記 訪日前の終わりの始まり ブラジルにて
あらたなサンパウロ出家が明日に迫る。 サンパウロ恒例の月曜一日断食はやめておく。
午後、ようやく先回訪日時の御礼メールを送り終えた。 やれやれ… つかのま横になり、うたた寝。 なんとも爽快な午睡じゃった。
家族のリクエストを受けて、夜は豚リブと大根のおでん風煮込み。 好評。 さあ、忘れていることはないかな?
11月19日(火)の記 空港待機晩成 ブラジル→
さあサンパウロ出家当日となった。 あちこち散らかしたものを少しは片づける。
夜は鉄板でミックスグリル。 冷蔵庫の残りものの牛肉、ブリの切り身、野菜類を焼く。 日本から担いできて、30年以上も働いてくれている電気鉄板焼き器。
フライトは明日の午前4時過ぎ。 なじみのタクシーを夜10時発で予約。
夕食後、横になって体を延ばしておく。
タクシードライバーからわがアパートの前の大通りに増えてきた路上生活者の話を聞く。 この人たちの間にドラッグが蔓延して、殺し合いまで生じているという。 そうした抗争から逃げてきたグループがわが家のある地区に増えているようだ。 家族の無事を願う。
11月20日(水)の記 トルコ更新曲 →トルコ→
トルコ航空のサンパウロ発は、午前4時過ぎ。 空港には前日の午後11時前に到着。 第3ターミナルには座席の空きもまばら。 ようやく見つけて、まずは腰をおろす。
長時間待機を覚悟していたが、0時過ぎにチェックインがはじまった。 スターアライアンスのゴールドステータスであるので、それ用の列に着く。 有効期限中のカードも提示したが、コンピューターではもう失効しているとカウンターの女が言う。 愛想も融通もなく、スマホのアプリが機能しないので、ノートパソコンをつないで航空会社のウエブ上でちゃんとゴールドステータスであることを示す。 「もうこんな航空会社は使わないからね」などと言っても相手は委託会社のスタッフなので、カエルの面に小用、である。
いやはや第3ターミナルのラウンジは、蚊がすごい。 数匹たたき殺すが、吸血されてしまった。 サンパウロのVIPラウンジは蚊取り線香持参で!
トルコ航空は機内もそこそこきれいで、客室乗務員もエチオピア航空より愛嬌がある。 映画の日本語字幕も充実している。 ハリウッドの新作ゴジラを2回見て、ようやくストーリーを把握。
イスタンブールのラウンジは蚊も見当たらず、アラビアンナイトの世界に迷い込んだようなスケールとサービス。 エチオピアとは比較にならない。 成田や羽田の国際線ラウンジより、ずっとランクは高い。 様々な料理をその場でつくってくれるが、とても制覇できない。 トルコワインもなかなかイケるぞ。
11月21日(木)の記 トルコの思い出 →日本
トルコ航空機中にて。 トルコといえば…日本のプロレスのレフェリーをやっていたユセフ・トルコ。 僕の小学校時代、下の学年に彼の娘だという女子がいた。
トルコ映画を二本ほど見る。 引き気味のサイズの長回しが多いようだ。 今までトルコ映画を観たことがあっただろうか? やはり機内映画で、カッパドキアの遺跡のホテルを舞台にした映画を観た覚えがある。 若い日本人カップルも客として登場したな。
さて、夜の成田に到着。 祖国を感じるのは、空港のトイレにもあるウオッシュレットかも。
うむ、11月下旬だというのに外もさほど寒くなくて助かる。 実家に到着後、郵便物の件でうろたえる。 さっそく先方に連絡。
11月22日(金)の記 ローマ法王を映画でみるまで 日本にて
早朝から外回りをするつもりだったが、忘れ物等があり、断念。 まずは午前中、在世田谷の画家の富山妙子さんを訪ねる。 お暇している間に満98歳になられた。 その間、たいへんだったとおっしゃるが、いまはよろしそうに見える。
今日はDVDプレイヤーとスピーカーを担いできた。 まとめたばかりの短編を試写していただく。 最後までご覧にならないうちに「ものいい」をちょうだいする。 エンディングのカットまで見ていただくとわかりやすいのだが、話し合って納得してもらう。
二人分の弁当を買い出しに行って午後まで滞在。 次いで、本郷に移動、打ち合わせ。
今晩は立教大学での映画『ローマ法王になるまで』鑑賞会に申し込んでいた。 訳ありで足が遠のき、10数年ぶりの立教かも。 アルゼンチンの軍政時代の嵐を描く前半は、重く、しんどい。 ブラジルの佐々木神父を想う。
お開きの後、来場していた情報通のアミーゴとイッパイ。 こちらの諸々のことも話しながら自分でもまとめていける感じ。
11月23日(土)の記 リーメンシュナイダー! 日本にて
時差ボケと疲労で、すべて億劫… なかなか気合が入らない。
1月に大上映イベントを主催してくれるギャラリー古藤さんに打ち合わせにうかがう。 古藤さんでは、今日からリーメンシュナイダー写真展が開催。 今夕はトークイベントと開催記念会があり、お取込みのさなか。
このリーメンシュナイダー写真展、圧巻。 http://furutotenshu.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-04e056.html 中世ドイツの彫刻家リーメンシュナイダーの、主にキリスト教をモチーフとする作品群を、日本人の福田緑さんが撮影したもの。 ああ、知ることの喜び。
キリスト教を少しかじっていると、何倍も面白い。 永田浩三さんのトークにも教わること多し。 記念会で自己紹介があり、熱心なマリア信仰を語る女性がいた。 のちに話しかけてみる。
折しもローマ教皇日本到着の日なり。
11月24日(日)の記 小岩三昧 日本にて
今日は午後から秋のメイシネマ上映会@小岩。 思い切って早起きをして、カトリック小岩教会のミサにあずかってみよう。
実に多種多様な人たちが集まり、不思議な活気があふれている。 同じ東京でも、多摩川べりのお高い教会とは、同じ宗教とは思えないほど。
司祭は日本人で、かなりのお年寄り。 福音朗読も、聞いてきてハラハラする。 カトリックの頂であるローマ教皇が史上二度目の訪日中で、明日は東京でミサがあるというのに、説教でひとこともそれに触れないのもすごい。
教会を出てみると、なんと教会の真向かいに銭湯があるではないか。 ミサと銭湯、どっちが先がいいか。 まだ銭湯は開いていないけれども。
格安床屋、ネパール料理屋をハシゴして、上映会場へ。 今日は僕が映写を担当。 大きなトラブルはなくて済んだ。
拙作『メイシネマ祭’18』の記録は、見ていただければその面白さと意義をわかっていただけるだろう。 なぜかラストのトークのカットの音声と映像がずれていた。 なんとかできるかな。
小岩駅前のお蕎麦屋さんで懇親会。 さあ来年も撮らせていただくか、メイシネマ祭。 来年は30周年だ。
11月25日(月)の記 教皇突破 日本にて
さあ、この日が来た。 朝から東京駅へ。 新潟から上京したアミーガと落ち合う。
彼女はぜひコピーを取りたい資料を持参していた。 お借りして近くのコンビニへ… コンビニをハシゴするが、スペースの関係だろう、このあたりのコンビニにはコピー機がない…! あてもないまま地下から地上へ。 ふと見た近くのビルの表示を見ると、地下にコピーサービスがあるようだ。 奇跡。 高品質、安価で複写できてしまった。
彼女と別れてから、銀座のキリスト教専門書店に向かう。 と、東京駅構内で車椅子のお年を召したシスターが困っている様子。 いったん通り過ぎるが、Uターン。 「シスター、お手伝いできることはありますか?」
今日は午後から東京ドームでローマ教皇フランシスコのミサがある。 彼女は静岡から出てきたが、ミサはあきらめて新幹線で戻るところだという。 すでにJRに列車の指定とサポートを頼んであるとのことで、その待ち合わせの場所までお連れする。 こんなに感謝されて、こちらこそ感謝である。
東京駅→銀座→東京ドーム。 そもそも東京ドームになってから中に入るのは初めて。 日本の人口の0.5パーセントにも達しないカトリック信者だが、これだけ集まるとスゴい。
ミサの入場券は抽選制で、僕は知人に頼んでいたが落選。 ところが思わぬ「中央」の枠で入場可能となった。 「そのかわり」があるのだが。
僕は先ほどお会いしたシスターのような、このミサに参加したくても参加できない人の側にあるべきではないか? 悩みながらの参加だが、参加して、僕以外の人には気づきにくい、言いにくいことを伝えるミッションがあるのではと考えるようになった。
たとえば、このミサで最初に読み上げられた聖書はなんとポルトガル語で、「創世記:Gênesis」だった。 ちなみに日本で取材プロセスのドキュメンタリー映画が公開されたブラジル人写真家、セバスチャン・サルガドのあの労作のタイトルも『Gênesis』だ。
9月のバチカンで見た教皇は芥子粒ぐらいの大きさだったが、東京ドームではいちばん接近した時で胡椒粒ぐらいか。
もうこの国で、これだけの規模のミサはありえないかもしれないと思うと、感ひとしお。
11月26日(火)の記 潜入!『あめつうしん』編集部 日本にて
世田谷の富山妙子さん宅経由で中野へ。 ガリ版通信『あめつうしん』を発行する田上正子さんのお宅を訪ねる。 『あめつうしん』次号に来年1月のギャラリー古藤さんでの拙作特集上映のチラシを折り込んでいただく件で。
お言葉に甘えてお宅に上がらせていただき… のぞきみたかった『あめつうしん』編集スペースを拝見する。 そのひろびろさ、整然さはオドロキ。
ついつい話が弾んで… 江古田のギャラリー古藤さんへ。 リーメンシュナイダー写真展をもう一度拝見して資料類を購入。 1月上映の打合せ。 ちょうど拙作上映にちなんでブラジルの写真展を開いていただく木田新一さんも登場。 木田さんは拙作『生きている聖書の世界 ブラジルの大地と人に学ぶ』の登場人物だ。
1月おかむら映画まつりのチラシ、すでに不足ぎみの気配でうれしい悲鳴。
11月27日(水)の記 房総ミッション 日本にて
雨模様の朝のラッシュアワーのなか、千葉に向かう。 自分の乗る列車がスマホのアプリに現れないけど。 この電車が存在していれば、約束に間に合うはず。
千葉駅で乗り換え、五井駅へ。 拙作『山川建夫 房総の追憶』の山川さんが迎えに来てくれた。 ギャラリー古藤を経営する田島さんと大崎さんがこの作品をお気に召した。 1月のおかむら映画まつりでも上映しようということになり、山川さんに打診。
拙作以降、山川さんご自身の想いも変化しているとのことで、それを新たに撮影して上映に加えましょうということに。 山川さんが千葉を離れる前日の今日の再会となった。
午前中は千葉県市原市民相手の朗読講座。 それも立ち会わせてもらって撮影。 終了後、おっとり刀で「房総のチベット」へ。
山川さんのお宅のあたりはこの度の豪雨でも甚大な被害はなかった由。 天気は、小雨。 屋内で撮影させていただくことにする。 なんだ、このファインダーの汚れは?
撮影後も話は尽きないが、山川さんは明日から秋田。 僕も明日は横浜で上映だ。 また五井駅まで送っていただく。
小腹がすいた。 乗換えの千葉駅構内で… 駅構内にも行列のできるラーメン屋が。 行列のない餃子屋で定食をオーダー。 アルコールはやめておこう。
11月28日(木)の記 横浜でいいと思います 日本にて
横浜へ。 崎陽軒のシウマイと神奈川新聞を買いそびれる。
まずはシネマ ジャック&ベティさんに1月の拙作特集上映のチラシを置いていただくようお願いする。 ガウジイこと伊藤修さんに、あわただしいながらも喫茶店で近況をうかがう。 まことにいい人に伊豆大島の観音堂を守っていただくことになったものだ。 あなかしこ。
横浜パラダイス会館にて、館主の蔭山ヅルさん、鈴木グリさんらに拙作『いいと思います 中馬一美さんのおえかき』を試写していただく。 ヅルさんはいわゆるアールブリュットに通じているので、この作品をまずはご覧いただきたかった。 鋭く貴重なコメントをたくさんちょうだいした。 情けないことにメモ帳と筆記用具が見当たらない。 紙と鉛筆をお借りする。
僕の狙い、方針はそれほどまちがってはいなかったようだ。 鹿児島の中馬さんと橋口さんにさっそくお伝えしよう。
11月29日(金)の記 世田谷産キウイ 日本にて
午前中、世田谷にお住まいの画家、富山妙子さんを訪ねる。 三軒茶屋から、いつもと違う路線のバスに乗り、お宅から少し遠めのバス停で降りる。
このあたりは農地が散在している。 はじめての道を歩く。 新たに農産物の無人販売所を発見。
キウイがあるではないか。 やや小柄だが、1ダースで200円! 触ってみると、つぶてのように固い。
ちょうど生産者らしいおじさんが来た。 どれぐらいしたら食べられるか聞いてみる。 おじさんもキウイを触ってみる。 あと10日ではむずかしいかも、とのこと。 2週間ではと聞くと、食べられるだろうと。 離日間際に可食となるかな。 リンゴやバナナを一緒に置くと発酵が進み、もっと早く柔らかくなる由。
富山さんにキウイをお見せして、いくらだと思いますかと聞いてみる。 わからないとおっしゃるが、しつこく聞くと「300円?」とのこと。
さあリンゴとバナナを手配しよう。
11月30日(土)の記 嗚呼東京大学血戦 日本にて
今回訪日のメインイベント。 「時空をかける少女 富山妙子を撮る」と題した新作群を午後から東大本郷にて上映。 午前中の打ち合わせにもビデオカメラ持参で参加したが、撮影は見合わせた。
さあ去年のここでの上映の体験から、慎重に行こう。 どんな人が来ているかわからないので、ますます慎重に。
『光州事件発掘』三部作、 『1970-73年 韓国 富山妙子』 『ラテンアメリカとの出会い』二部作 を上映。 いい手ごたえをいただいた。 やれやれ。
懇親会また楽しからずや。 飲み放題コースの由、ワインをがんがんといただく。
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