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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/07/10)
1月の日記 総集編 星野智幸さんと世良美香

1月の日記 総集編 星野智幸さんと世良美香 (2020/02/10) 1月1日(水)の記 元旦のブラックアウト
ブラジルにて


サンパウロはずっと冷夏日和だったが、今日はそこそこ亜熱帯の本来の夏っぽい暑さに。

カトリック教会の元旦の早朝のミサを経て、連れ合いの実家へ。
家族らはお節料理の準備。

わが家の冷蔵庫に、自家製の粕漬チーズがあったのを思い出し、持参。
今日は料理準備要員も多く、そもそも量は少ない。

準備中のオツマミ程度として提供。
好評。
もっとつくらねば。

ブラジル製の日本酒「東麒麟(あずまきりん)」の Dourado:ゴールデンというのを買って持参したが…
これなら、せめてプラチナぐらいじゃないと。

まだ明るいうちに帰宅すると、雨。
追って、停電!
雨が入り込むので窓を閉めて、この暑さで扇風機もNG…

日は暮れて。
窓からやはり停電となっている向かいの団地を眺めていると、そこそこに面白い。
映画一本分ぐらいの時間を経て電気は回復。
あちこちから歓声が上がる。


1月2日(木)の記 房総の燭光
ブラジルにて


ブラジルは今日から平日のはじまり。
わが家も一名、朝から出勤。

さあ、つなぎはじめ。
ギャラリー古藤での特集上映の作品選びの際。
オーナーの田島さん大崎さんの是非に、という押しで『山川建夫 房総の追憶』も加えることにした。
ブラジルのブの字も出てこない、全編房総ロケの作品だ。

登場人物の山川さんに照会。
撮影から6年が経ち、自分の考えも変わっているので…という。
それでは現在の山川さんも新たに撮影しましょう、とさる11月にふたたび房総ロケをした。
その映像の編集だ。

市原市五井での山川さんの朗読教室の様子も撮影した。
このシーンはばっさり落とそうかと思っていた。
試写をしてみると、つなぎようによっては面白いかもという気になる。

101分の作品のあとでの上映なので、あまり長くはできない。
朗読教室は3カットで、編集の醍醐味。


1月3日(金)の記 時空をかけるバス
ブラジルにて


山川建夫さんの新撮映像の編集、ほぼ順調。
山川さんとギャラリー古藤さんに連絡しよう。

夕方より外出。
メトロと市バスを乗り継いで。
専用レーンを走る連結バスの壁に、青光が。
USBのコンセントだという。
一カ所にふたつの差込口。
これは初見。
新しいバスにはあるという。

日本では…
空港のシャトルバスでもあったりなかったり。
東京の私鉄の車両にUSBコンセントがあって驚いたことがある。

専用レーンだと、スイスイ走るな。
車内の青光が未来世紀を思わせる。
車掌はスマホから目を離さない。


1月4日(土)の記 聖州巡礼
ブラジルにて


早朝から車を繰る。
連れ合いとサンパウロ市からノンストップの運転で3時間余りかかるという新しい巡礼地に行ってみることにした。

途中、お世話になった老修道女を安息地に見舞う。
来てよかった。

近年、築かれたというカトリックのコミュニティの大聖堂を目指す。
英語名だと NEW SONG というそうで、テレビ局も持ち、ブラジル以外でも活動しているようだ。

イタリアのピオ神父のサン・ジョヴァンニ・ロトンドを思わせる場所と大聖堂のつくり。
正午のミサに間に合った。
重度の身心障害者たちがそこかしこに。

大聖堂の正面には巨大な「慈愛の父」のモザイク画。
向かって左には「ピエタの聖母」像。

このピエタ像、ヴァチカンのミケランジェロのピエタ像とサイズもポーズもそっくりで、複製かと思って近寄ってみる。
聖母の顔を見ると、まるで別モノ。

強い雨となった。
帰路はワイパーを最速にして徐行。

車体に鳥の糞などが目立ち、洗車を考えていたが、きれいになった。
帰宅まで12時間余り。
疲れた。


1月5日(日)の記 竹酒に乾杯
ブラジルにて


今日は、ブラジル南部にお住まいの佐々木治夫神父の誕生日。
満90歳を迎えられる。

お祝いのメールに添付するのにふさわしいニュースがネットで目についた。
http://karapaia.com/archives/52275666.html

佐々木神父は奥地の零細農民の支援のために、タケを利用できないかと思いつき、いろいろと努力と試行錯誤を重ねてきている。

この竹酒はイケるのではないか?
佐々木神父の拠点、パラナ州のサンジェロニモの近くに日系人移住地として知られるアサイの町がある。
かつてアサイの町の夜市で、青竹にブラジルの国民的アルコール飲料カシャッサ(サトウキビの蒸留酒)を入れたものが売られていた。
竹の香りが香ばしく、なかなかよろしかった。

これなどはこの記事の中国産のような手間暇をかけたものではなく、切った青竹にカシャッサを注いだだけのものだったろう。

ブラジルの東洋人街で売られていた、中国産の竹の湯呑みが食器棚の奥にあって先日、使ってみた。
お茶の熱が伝わらず、ブラジルで高名な陶芸家の薄い湯呑みより使い勝手がいいではないか。
昨年、佐々木神父のところで知人にワークショップを開いてもらったが、竹を草木染して湯呑みにすれば、ワビサビ感もあってコストもさほどかからず、よろしいかも。

他人様のための企画を考えるのは気がラクで楽しい。


1月6日(月)の記 断食とCNN
ブラジルにて


今年はじめての一日断食。

アメリカとイランの開戦、さらにそれが第三次世界大戦を巻き起こす危機が喧伝されるようになってきた。

次回訪日まであと一週間。
よりによって今回はアメリカの航空会社、アメリカ本国経由を選んでしまった。
それなりの覚悟をせねば。

いったいどうなるのか。
わが家のテレビでCNNが受信できる。
折に触れてCNNをチェック。


1月7日(火)の記 ココナッツミルク粥
ブラジルにて


昨日、緊急にして重要な原稿を書き上げることになった。
今日は付表の作成、写真類の手配。
案ずるより産むが易し。
さて、採用されるや否や。

日本は七草がゆの日か。
先日、一族で行ったレストランで食べたエビのリゾットをアレンジしてみよう。
冷凍のエビを購入。
こっち産のジャポニカ米のお冷はある。

生クリーム味にしようかと思うが…
トマトピューレの開封済みのを使おう。
未開封のココナッツミルクがある。
これを使ってみるか。

生クリームよりビーガンでトロピカルな風味。
土鍋にいっぱい作ったが、家族が思ったより消費してくれる。

冷蔵庫の残りものがおいしくエコロジカルに、かつ創作意欲が報われてかたづく喜び。


1月8日(水)の記 本の洪水
ブラジルにて


パウリスタ地区に所用で出る。
大通りに面した老舗の大型書店で年末から特別セール中と聞いていた。
帰りに寄ってみる。
なんと50~70パーセント引き!
野外スペースも含めた1フロアぜんぶが特売開場。

そもそも蔵書を減らすべき段階なのだが…
ざっと見て。
アート系、写真集などが乏しく、がっかり感と安心感。

いったん一冊だけ買って会計を済ませてから、未踏の販売スペースがあるのを発見。
念のため行ってみて、ビンゴ!
一冊はギャラリー古藤さんでの星野智幸さんとの対談のネタに使えそうだ。
しめて三冊購入。

下にカフェスペースがあるが、親の座っているうえに小学生ぐらいの子供が腰かけるほどの混雑。

わが家に帰ってホクホクと透明ビニールを開封。


1月9日(木)の記 命の糸
ブラジルにて


午前中、サンパウロのど真ん中で友人とカフェ。
その足でブラジル銀行文化センターへ。

在ベルリンの現代芸術家、塩田千春さんの『命の糸/LINHAS DA VIDA/LIFELINE』展を見る。
なるほど、なにか生の根源的なものを感じる。
繭だったり、蜘蛛や鳥の巣だったり、胎内だったり体内だったり。

生命は、EDITING から生まれたのかもしれない。
EDITING は、いのちの創生かも。

泥からうまれたいのちを、からめ、つないでいく…

EDIT する営みをみつめてみたい。
人でも、蛾でも、蜘蛛でも鳥でも。


1月10日(金)の記 BOA NOITE PUNPUN
ブラジルにて


土産物の買い出しもあるので、東洋人街で友人と待ち合わせ。
メトロ駅前のカフェ。
ブラジルと日本の共通の友人知人の話が尽きない。
思わぬ話が続出。

買い物は歩きとメトロで運べる限界の量に。

年末から日本のマンガの単行本を読み始めていた。
浅野いにお著『おやすみプンプン』全13巻。
主人公の異形の描写と設定についていけないな、と思いつつ…
どんどん引き込まれて行ってしまった。

ブラジルでは『BOA NOITE PUNPUN』のタイトルで翻訳されて出版されている。
評価は分かれるが支持者が少なくない由。
これはすごいマンガだ。
青春などという言葉では覆いきれない若者のどろどろとした情欲、妄想と絶望をよくとられている。
そして日本の閉塞状況も。
これは、たいへんな傑作ではないか。
この才能と作品の芽を摘まずに育んだ編集者もすごい。
それがポルトガル語にされて、ブラジルの「通」の間でも支持されるというのもあっぱれ。

覚悟をして、ようやく13巻目を読了。
大河小説を読み終えてしまうときの、あの寂寥感。

年末からようやく見始めた『ショア』DVDの続きは今度ブラジルに帰ってきてからだな。


1月11日(土)の記 アリを見ていた午後
ブラジルにて


訳あって、サンパウロ市の住宅街で人が住まなくなって久しい家を訪ねる。
所用が終わり、そこの玄関先でしばし待機。

母屋の外壁の角あたりにアリの行列を見つける。
体長2ミリ弱の黒褐色。
行列は地面から母屋の角部を伝って梁の部分に至っている。

行列は上下に往復しているが、数匹でなにかの小片を上方に運び込んでいるので、家屋の上部に営巣しているのかもしれない。

数匹で担いでいる3~4ミリほどの物体は何だろう?
アリの蛹か、昆虫の死骸の小片か。
眼鏡をはずして、肉眼で接近。

なんだろう?
はて。
どうやらワラジムシの干からびた死骸のようだ。
間隔を置いて数個体が運ばれているが、いずれもワラジムシとみた。
わがデビュー作『ナメクジの空中サーカス』のアリのシーンを思いさす。

と、上部に数匹で運び上げたものをまた下に戻しているグループを発見。
運び上げていたものの不用となったなら、そのまま遺棄してしまえばよさそうなものに。
わざわざ下まで担ぎ戻している理由がわからない。

アリがたき事態。


1月12日(日)の記 ブラジル間氷期
ブラジルにて


さあ出ブラジル前日だ。
最後の晩餐は手巻き寿司にしよう。
路上市でアジとマグロを購入。

冷蔵庫にブラジル製のカンピョウがあったはず。
しばらくカンピョウを戻していない。
ネットで戻し方を検索。

お節料理用の稲荷ずし用につくったダシ汁も冷蔵庫にあったはず。
うむ、まだいたんでいない。
カンピョウの煮付けに使おう。

戻して煮たてたカンピョウはけっこうな量になってしまった。
とても今晩の手巻きでは使いきれない。

オレがいなくなったら誰も使わないだろうしなあ。
冷凍するとどうなるだろう。
おや、カンピョウと間氷期でオチがついちゃった。


1月13日(月)の記 めりけんまわり
ブラジル→


近年の訪日はもっぱらエチオピア航空使用で、最後はトルコ航空だった。
今回は、よりによってユナイテッド航空でのアメリカ回り。
値段が安かったからというのがこの転身のいちばんの理由。

ところが、アメリカが新たに戦争を始める危機が新年から勃発。
最悪の事態は免れたようだが、予断は許さない。

グアルーリョス国際空港にて。
2か月以上前に航空券を購入、しかもスターアライアンスのゴールドステータスなのに通路側座席は取れないという。
むむ。

今度は搭乗前に日系らしい女性のスタッフにストップをかけられた。
さらなる罰ゲームか。
ところが、どんでん返しのアップグレード!

ヤッホー!


1月14日(火)の記 アメリカでの逮捕歴
→アメリカ合衆国→


訳あって道中、石川達三の『蒼茫』を再読。

シカゴ空港にて。
女性の入国審査官。
英語でいくつか質問される。
ESTA(アメリカの電子渡航認証システム)を取得したことがあるか、と聞かれたと思い、イエスと答えて紛糾。

何度か聞き直して
Have you ever arrested in Unaited States?
(アメリカで逮捕されたことがありますか?)
というようなことを聞かれていたことがわかる。
arrested を ESTA と聞き間違えたのだ。

また聞き取れない質問があり、聞き返す。
もういい、オッケー、となる。
わからないときは、わからないというに限るな。


1月15日(水)の記 日本で日のあるうちに
→日本


今回の機内映画の白眉はタランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
あいかわらずポピュラー音楽のインサートが絶妙。

「実際」を思い出して吐き気を催すのが日本の現職総理と取り巻きを描いたコメディー『記憶にございません!』。
実物の方はホラーを超えた敗戦後最悪のグロ。

サンパウロを出た時間も早かったが、成田到着も早い。
冬の日本の日のあるうちに到着。
さすがに東京に向かう間に暗くなるが、まだまだ外仕事ができる。

渋谷に出てスマホのSIMチップを購入。
学芸大学に行き、流浪堂さんで手配をお願いしていた「岡村ZINE」と言われる伝説の冊子のハードカバー販売の打ち合わせ。

さあ10年に一度あるかないかの大イベントが始まるぞ。


1月16日(木)の記 祭りの準備
日本にて


訪日翌朝から、おおわらわ。
まずは、世田谷にお住いの画家の富山妙子さんを訪問。
喜んでいただく。
さっぱりとしてお元気そうで何より。
これからヘルパーさんと年賀状書き、とのこと。
去年は僕が担当。

午前10時から千歳船橋駅前のカフェで新聞記者さんの取材を受ける予定。
あわただしく、再会を約して富山さん宅を出る。
記者さんとは1時間程度のはずが、盛り上がって気がついたら午後2時近く。

ギャラリー古藤さんにお伝えしていた出頭時間から、だいぶ遅れてしまった。
まずは上映用に納品しておいた素材をいくつか改訂版と差し替え。
明後日から、8日間の岡村特集上映まつりがはじまる。

通常なら上映素材を用意すれば、こちらの業務はおしまい。
今回は、まつりを盛り上げるためにいろいろやってみることにした。

まずは、チラシやビラ(どう違う?)など、紙モノを壁に貼りまくる展示を考えてみた。
全体のヴィジョンもないまま、ブラジルでゲットしたものを中心に貼っていってみる。
ふむ、なんだかわからないが、それなりな感じ。

向かいの壁には、かつてポケットデジカメで撮って日本のコンビニでA4光沢紙に焼いた写真類を貼っていく。
これも全体のイメージのないまま着手。

僕の最初の自主制作作品『生きている聖書の世界 ブラジルの大地と人に学ぶ』の取材の時に一緒にブラジル各地を回ったフォトグラファーの木田新一さんと、ギャラリー古藤さんの縁でまたつながった。
して、木田さんは岡村上映まつりに合わせて当時の写真を新たに焼いて展示してくれることになった。
その準備に来た木田さんと23年前の旅をふりかえる。

夜はギャラリー古藤のオーナー夫妻と、美味美酒。
お二人と重い話をする必要にかられていたが、さっそく済ませることができた。


1月17日(金)の記 岡村淳のスクラップウオール
日本にて


未明から東京の実家の収納スペースを漁る。
明日からの岡村特集上映の会場・ギャラリー古藤さんに展示するブツを探す。
いつのまにか身動きができないほど周囲に紙類の堤が。

さあ、わが主戦場・ギャラリー古藤へ。
今日、発売の『週刊金曜日』1月17日号に特集上映のことを1ページ寄稿。
主催者、サポーターの方々から快哉の声をちょうだいする。
まことに幸先がよい。

夕方まで諸々の準備。
スクリーンに向かって右側の、雑多な紙モノを貼りめぐらせた展示は「岡村淳のスクラップウオール」と題した。
左側の写真展は「岡村淳のちょっと時差ボケ」。

あとは上映中の日替わり新聞発行だ。
実家に戻って新聞の準備。


1月18日(土)の記 「夢と知りせば」新聞発行秘話
日本にて


さあ、8日間の特集上映で毎日、会場で配るつもりの新聞の作成。
二日前から準備を進めて、昨晩もいくつかの見出しともに記事を書き出していた。

今朝4時台に起床、どれも書き直すことにした。
ワード横書き、12ポイントの文字で2ページ分。
手元にプリンターがないので、まずPDFに変換。
これをコンビニでまずA42枚にプリントアウト。
それを2枚並べてA3一枚にコピーという段取りだ。

今回はアンケート用紙も僕がつくることになる。
以前、使用した手書きのものを加筆コラージュするが、これに手間取る。

開会2時間前に入廊。
まずは近くのコンビニでコピー作戦。
100枚単位なので、時間もかかる。
上映協力スタッフらが来場。
さあ、まつりのはじまりだ。

改訂版『郷愁は夢のなかで』初上映。
映写事故がなくてなにより。
あわただしく、ゲストにお招きした石原燃さんとの対談。
石原さんと気ごころが知れていて、ありがたい。

さしてまもなく『赤い大地の仲間たち』上映、続いて『パタゴニア 風に戦ぐ花』。
初日そうそう、コンデンスミルクの濃厚さ。

懇親会はおなじみ江古田駅前「同心房」。
休憩時間が少なく、連続鑑賞の人は食事の寸暇もなかったとのクレームありとのこと。
確かに。
明日の新聞の構想を浮かべつつ、実家戻りは午前1時。


1月19日(日)の記 星野智幸さんと世良美香
日本にて


深夜1時、目黒の実家に帰宅。
午前5時には本日付の岡村上映まつり新聞の作成にかかる。

今日のメインは畏友の小説家、星野智幸さんとの対談。
なんと星野さんは『ブラジルの土に生きて』の主人公、故石井敏子さんのこさえたセラミカ(焼き物)を持参してくれた。

僕は星野さんにこれを謹呈したことも失念していた。
なかなかの逸品である。
敏子さんの生前に僕がもらったものを、拙作に映し出された敏子さんの姿にいたく感動し、そして拙作を応援してくれていた星野さんに差し上げたことを思い出してきた。

ブラジルのわが家にあった敏子さんお手製のセラミカの多くは引っ越し作業を頼んだブラジル人に見事に落とされてしまった。
石井延兼さんの遺品の時計と同じで、このトシコ作品は国外に持ち出したおかげで難を逃れていた。

拙作のなかで敏子さん自身が驚きの言葉を発しているように、星野さんも敏子さんの作品がいきもののように変化(へんげ)して輝きを増してくることに舌を巻いていた。
ギャラリー古藤オーナーの田島さんもこの焼き物を鑑定し、太鼓判を押してくれた。
カネにはかえられない価値がある。

星野さんとの対談は用意してきたネタに頼ることなく、話したいことをどんどん削っているうちにタイムアウトとなった。

新たに再生された敏子さんの「センプレ・ジュント(いつも一緒)」の語に今日も少なからぬ人たちが感応したようだ。

岡山から、現地での拙作上映会でお世話になったと星野さんにひとことお礼が言いたいと来てくれたアミーゴがいた。
まさかと思ったが、北海道で拙作上映会を開いてくれている女性が来てくれた。

私のつとめは明日も続く。


1月20日(月)の記 今日の「ものいい」と岡村作品の迷宮
日本にて


江古田ギャラリー古藤おかむら上映まつり三日目。

今日のゲスト対談は、ギャラリー古藤を支える武蔵大学の永田浩三さん。
永田さんは聞き役の方が得意とのことで、お任せすることにした。
上野英信のこと、NHKの有名なブラジル移民ものの番組のこと、等々。

現在もNHKのディレクターだと名乗る輩から新たに不埒な目に遭わされている僕としては、わが意を得たりの言葉をいただく。

さて、昨日今日と会場で直接、僕に苦言を呈してくれる人がいた。
昨日は『ブラジルの土に生きて』の上映のあと。
その女性は自分の知っている伝聞推定の「貧しい」ブラジル移民像を延々と語る。
言いたいことはブラジル移民のほとんどが貧しいはずなのに、なぜ金持ちのブラジル移民を取材するのか、ということのようだ。
僕の他の作品を見るなり、拙著を読んでいただければすぐに解消する疑問だろう。
同じ話がエンドレスに続き、こちらの話を聞く気はないようだ。
周囲には僕にひと言挨拶をしたい人、さらにお買い上げいただいた拙著を持ってサインを待ってくれている人もいるので、そちらに会釈をすると「もういいです!」と背を向けられた。

今日の場合。
その男性はかつて、メディアへの露出度が高く世界的に知られる日本の炭鉱の閉山を写真に収めたという。
拙作は『消えた炭鉱離職者を追って』というタイトルなので気になって来てみたが、実際の炭鉱離職者の暮らし向きが出てこないではないか、というクレームだ。
この作品の誕生経緯については今日も語り、何度も語り、書いている。
それをさておくとしても、それではこの拙作の最後に登場する北海道からの炭鉱離職者のご夫妻とその証(あかし)はなんだと思われているのだろう?
炭鉱離職者=九州、という限定化。
さらに「貧しさ」「棄民」も期待されることもしばしば。
僕はそうしたワク組から自由でありたい。

この作品そのものが、迷宮である。
上野英信、犬養光博という強烈なキャラクターと「地味」なつくりで見逃されそうなこと。

今日は新たに伊豆大島冨士見観音堂の堂守を買って出てくれた伊藤修さんが「食うための仕事」を休んで横浜から来てくれた。
今日は岡村より富山妙子さんに詳しい和田翼さんも来場してくれた。
伊藤さんは和田さんに、すでに見ているこの作品のあることを確かめたくて来たのだと語ったという。

さすがは、伊藤さん。
はずすことも少なくないが、強烈な見抜きを以前にもしていただいている。


1月21日(火)の記 勝手口の賑わい
日本にて


江古田おかむら上映まつりの4日目。
日刊新聞も三日坊主を超えた。
けっこうたいへんだけど。

さあ今日のゲスト対談は、日本カトリック正義と平和協議会の昼間範子さん。
キリスト教も宗教もカンケーない、どころか拒否感も持っている方々にも共有してもらえるような話を…
対談タイトルは『キリスト教 裏口入門』で昼間さんからもオッケーをいただいていた。
しかしカトリック業界内部には思わぬ揚げ足取りもいるので『キリスト教 勝手口入門』に変更させてもらった。

昼間さん、そしてブラジルの佐々木治夫神父らのはたらきかえにより、修道服姿のシスター3人、そして複数の神父も来ていたという。
こうした、その道のエキスパートにも聞くに堪える内容を心掛けねば。
これは簡単なことではない。
そして、画家の富山妙子さんにも言及するとは、もはや神ワザの部類かも。

…反省はきりがないが、場内満席、どうやら及第点はいただけたようだ。
四日目にしてホストとしての対談のツボがわかりかけてきた感じ。

昼間さんには懇親会までお付き合いいただく。
開場は連日、江古田駅前の大衆中華食堂、同心房。
そうそう、今回の特集上映のフリーパスを購入してくれたわがシンパが、なんと高校時代に昼間さんの美術の授業を受けていたことが判明。
いやはや、面白い。


1月22日(水)の記 まぼろしの「フーテン老女のオカムラ愛」
日本にて


いやはや、ギャラリー古藤特集上映5日目。
折り返し地点到達。
「起承転結」の「転」に到達だ。
上映プログラムもブラジルの部の字も出てこない『明瑞発掘』から。

今日のゲストは肩書「岡村ファン」の野村瑞枝さん。
思えば、野村さんとのご縁がギャラリー古藤さんにつながった。
野村さんのプロフィールはユニークだが、本人に話させると長い。

近年は有名な女性講談師に弟子入りしていたものの、思うところあって袂を別った由。
その野村さんにおかむら祭りのなかで講談を披露してもらおうということになった。
さて野村さんの告知用プロフィールをどうするか。

僕は人目を引くようなのをいくつか提案したが、すべて野村さんに却下された。
野村さんとその講談のタイトルとして挙げたのが「フーテン老女のオカムラ愛」。
これは本人にも伝えられずに却下されたかもしれない。

野村さんの講談のタイトルは「幣原喜重郎~憲法9条を生み出した男~」とご本人から連絡があった。
音で聞かせる講談で「~」をどう表現するのか。

そもそも開始直前になって確認してわかったのだが、講談ではなくて朗読だという。
ブラジル駐在歴もあるジャーナリストの伊藤千尋さんの書いたものを読み聞かせる由。
幣原喜重郎とマッカーサーのやり取りが書かれたものを野村さんが朗読。

「その本の出典は?」といった素朴な疑問を僕も覚え、会場からも上がるが、
「わかりません。ご自分で調べてください。」

残りの時間を僕の写真紙芝居で帳尻を合わせる。
なにせA4に焼いた写真を用いるので、この会場ではちと広い。
案の定、アンケートに年配の男性から「後ろの方で見えなかった、機械で映し出すべきだ」といった記載が。
野村さんも僕も、機械を用いずに何ができるかにトライしているのだが、その基本が伝わっていなかったか。

今晩は一昨年のPARCオカムラ講座の同窓会も兼ねさせてもらう。
PARC系は想定通り、それ以外の方々とも懇親会でよく交わってくれた。


1月23日(木)の記 イシの勝利
日本にて


さてさてギャラリー古藤おかむら連続上映第6日目。
深夜1時帰宅、5時起床で新聞づくりの毎日、われながらよく持っている。

今日はゲストのアンジェロ・イシさんのご都合に合わせて、夜の部に対談。
お互いの話を照らし合わせると、アンジェロさんとの出会いは25年以上前にさかのぼる。
近年はアンジェロさんもメジャーになってしまい、なかなかお会いする機会がなかった。
まさしく旧交を温める。

日系ブラジル人のアンジェロさんの姓は「石」だと思っていたが、「石井」だったという。
彼が黒澤明フリークだったことも今晩、はじめて知った。
ずっとクロサワの話をしていたいくらいだが、そうもいかない。
まさしく、話は尽きなかった。


1月24日(金)の記 ソフビって、なに?
日本にて


岡村淳特集上映まつり、創造主も休む七日目に突入。
岡村ひとりづくりの新聞も、休刊日なし。
懇親会は毎晩、江古田駅前の同心房、こちらも休肝日なし。

起承転結でいくと、いよいよ「結」の部である。
ゲスト対談は、今日が最終日。
今日がいちばんむずかしい。

ギャラリー古藤から徒歩5分とかからない商店街にあるソフビクルーズ「コスモナイトα」の店主、依田雅彦さん。
依田さんとも奇縁である。
311以前にさかのぼるが、ブラジルの知人の紹介で武蔵大学の東郷賢さんの授業枠で拙作上映をしてもらったことがあった。
その後の懇親会に参加した学生から、僕の怪獣嗜好を知って江古田にこんなお店があると教えてもらったのだ。

依田さん自身がおっしゃるように、たしかにウエルカムな店ではない。
しかしそのハードルを越えてしまえば、もう同好者の熱い世界。
ウルトラ怪獣シリーズ、ゴジラシリーズ好きには、もう聖地の領域だ。
お店では創作ソフビ(ソフトビニール)怪獣から水木しげる系、藤子不二雄系等々のグッズもところ狭しと陳列販売している。

ところで僕にはたまらなく面白いが、一般人、とくに女子にはいかがだろうか?
そんな思いから今回も上映期間中に2度、戦線離脱して依田さんを訪ねている。
依田さんも一般向けのトークや対談ははじめてというが、かなり普遍性のある話題を準備してくれていた。
とにかく引き出しがたくさんあって、面白い。
あとは聴き手の力量か。

依田さんは一般人の関心もひくいくつもの高価なレアものフィギュアを持参してくれた。
人の入りもまずまずだ。
案ずるより、生むが易し。
依田さんのご尽力によるところが多いが、わがプロデュースはまちがっていなかった。

怪獣好きでよかった。


1月25日(土)の記 大団円/NHKの暴挙に屈せず
日本にて


ついにギャラリー古藤岡村上映まつり8日目の最終日。

ここへきて、昨年末から僕に迷惑行為を繰り返しているNHKのディレクターだという人物がトンデモな手を打ってきた。
事実だけを淡々と記そう。

日本起源の国際テロ組織と親しく、海外で銃砲を振り回していたことをウリにする人物を使って僕に脅しの電話をかけてきた。
しかも今日の上映終了後、上映会場で会場オーナーも含めてNHKディレクターと話し合いをしろと僕に命令をする。
常識で考えれば、8日間の上映終了後は懇親会である。
僕や主催者、協力者、来場者のことなどは考慮を払わず、テメーの番組の都合しか眼中にないのだ。
そのために平気で嘘デタラメをかまし、そもそも最初から番組名も明かさず、こちらの人間関係もハチャメチャにするという作戦を繰り広げられている。

すでにあらましのサワリを僕はSNSで公開して、少なからぬ方々からの支持と応援をいただいている。
それを糧に、NHKの無体な要求を断固として拒否する。

おかげさまで今日の『アマゾンの読経』全3部の上映は成功裏に終わる。
僕は、記録映像作家として作品をもって語っていることも新たに認識する。

ありがとうございます、皆さんの応援のおかげでここまで闘ってきました。


1月26日(日)の記 新聞休肝日…
日本にて


特集上映は、自重自戒のオマケを最後にいただいた。
上映に乗り込んでくるというNHKの輩を駆逐するまではよかった。
おなじみ同心房での懇親フィナーレも貸し切り状態で、僕も自在にそれぞれのテーブルをまわって、それぞれの皆さんと盃を重ねることができた。

さらにもう一軒。
なおも残る10人近い人員の収容できるお店を探すのがひと苦労。
地元系のナイスなお店にイン。
終電を気にすべき時間となった。

期間中、何度も小竹向原駅まで一緒に歩いたアミーゴとふたたび。
ありゃ、のぼり電車がもうない。
池袋まで歩くか…
会場から書籍類を詰め込んだバッグを担いできただけに、重い…
冬の深夜の7キロの行軍。
疲労もたまっていて、途中、倒れるかとも思う。
いい内省のひとときだ。

池袋。
アミーゴはファミレスで待機するという。
僕は始発までネットカフェに倒れ込むつもりだが、一軒めは満室!
他を見つけるが、いずれも週末料金、初回料金がかさむ。
いやはや、とにかく空きのあるところにビバーク。

午前5時台に起きて、実家に戻る。
ふらふらだが、徒歩圏のチャペルの9時のミサにあずかる。
こんな時こそ、祈りの時間。

今宵はさっそく横浜パラダイス会館での上映だ。
この上映でいつもブラジル風料理を提供してくれる伊藤修さんは、体調不良で料理は準備するものの欠席する由。
僕もいったん床に就くと、もう起き上がれない状態。

昨日まで、よくも8日間連続で新聞までこさえたものだ。
本日の主催者かつキュレーターの蔭山ヅルさんは、僕にギリの時間の到着でオッケーと連絡をくれた。
過労と電車時間の暗礁に乗り上げてしまい、ギリの時間にも遅れて申し訳なし。

今宵は富山妙子さん特集。
ヅルさんも現代韓国問題に通じ、来浜してくれた和田翼さんは富山さんの40年来のお仲間の音楽家、高橋悠治さんのファンであり、お二人の話が勉強になる。
今日は恒例の近くのお店「アブラカダブラ」行きを勘弁してもらい、ヅルさん鈴木さんらとよもやまアート談義。
アルコール抜きで、いつものアブラカダブラ経由と同じ帰りの時間になってしまった。


1月27日(月)の記 安静の大獄
日本にて


昨日も、アルコール抜きだが午前様となり。
心身ともに疲労困憊。

いつまでも寝ていられる。
急ぎの連絡を確認しつつ、なかなか起き上がれず。

できれば富山妙子さんのところに寄りたかったが、明日以降にしよう。
徒歩圏の流浪堂さんには顔を出しに行こうと思っていたが、午後が夜になり…
今日は見合わさせいただこう。

明日明後日とスケジュールが入り、木曜からは一週間の強行巡礼だ。
休めるうちに休まナイト。


1月28日(火)の記 新ちゃんと肉食
日本にて


午後からギャラリー古藤さんでの撤収作業。
拙作上映期間中、会場の壁の写真展で花を添えてくれたフォトグラファーの木田新一さんと牧子さんも合流。

いちばん手間のかかったのは、古藤さんの凹凸のある壁面にめり込んだ「くっつき虫」系の残滓の除去。
そのために用意した爪楊枝で作業。

準備段階と8日間の期間中に相当量のモノを運び込んでいた。
すでに書籍類は撤去したものの、集めてみるとまだブラジル産大型エコバッグ3袋分はある。
今日だけでは搬出しきれない量だ。

と、クルマで来ている新一さんが僕の目黒の実家まで送ってくれるという。
彼の家はここからすぐなのに、それは申し訳ない。
が、強い申し出をいただいて、お言葉に甘えさせていただく。

木田新一さんは旧約聖書学者の故・木田献一先生の子息だ。
僕のはじめての自主制作作品『生きている聖書の世界 ブラジルの大地と人に学ぶ』で描いた献一先生の旅に同行している。

なんと新一さん夫妻はギャラリー古藤さんの近所に住まい、チェロ奏者である牧子さんは古藤さんでコンサートも実施していることがわかり、この度の運びとなった。

新一さんには当時、交わしたこころに残る会話のことで確認しておきたくもあった。
わが実家のスペースは僕が短期ゴミ屋敷化させてしまっている。
どこか近くで、とお声がけ。
駒沢通りをくだれば、駐車場のあるレストランがあるのでは…

多摩川が近づいてきてからUターン、焼肉レストランへ。
木田献一先生は、宗教家というより、温和なリベラリストという印象の人だった。
その神髄を新一さんたちに如何に伝えたかを教えてもらった。


1月29日(水)の記 Brasileiramente
日本にて


寒くもあり、身心が休息を求めている。
実家でいくらでも床についていられそうだが、そうもいかない。
今晩の上映、そして明日から一週間の巡礼上映の準備あり。

過労と残務の多さのせいにするが、思わぬミスもあり。
夕方、渋谷駅にJRレールパスの引き換えに行くが、ブラジル在住を証明するIDカードを忘れてしまった。
明日の朝イチの行程に差し障らないよう、作戦を練る。

今宵は西荻窪APARECIDAさんでの上映会。
店主Willieさんと相談のうえ、『ばら ばら の ゆめ』を選んだ。
Willieさんは今年になって緊急入院していて、退院したばかりで体調が心配。

今日の上映にはオカムラシンパ、APARECIDAファン、ギャラリー古藤上映で拙作に興味を持ってくれた方々などが程よく集まってくれた。
木村さんよ、Willieさんをまだまだそっちに連れて行かないで、都の祈りを込めて上映。
お店に負担にならないよう、そしてこちらも明日からの旅の用意があるのでいつもより早めに退店。

Willieさんが年末に出したばかりのエッセイ集『Brasileiramente』を岡村さんのことも書かせてもらったから、といただいてしまう。
WILLIEさんはこれまでブラジル音楽に特化した本を何冊か出されているが、今回はブラジルにまつわる諸々についてのエッセイ集。

西荻窪から実家までの帰路、開いてみる。
在ブラジル30年以上の僕にも面白く、発見があり、そしてそれぞれのエピソードからWillieさんの誠実な人柄が伝わってくる。
新書サイズでハンディ。
明日からの旅の供に持参しよう。


1月30日(木)の記 はじめにラジオありき
日本にて


富山(とみやま)から、富山(とやま)に切り替え。

早朝6時台に祐天寺裏の実家を出家。
まずは東京駅へ。
午前7時30分営業開始のJRの窓口で、ジャパンレールパスのヴァウチャーの引き換え。
なんとか10時台に富山駅着の北陸新幹線に間に合った。

さあ、いい日旅立ち、北の空に向かって!
長野を過ぎて富山県に入るとどんより、おお日本海側。
巡礼上映の初日は、富山県射水市、最寄りの新幹線の駅は新高岡駅。
が、1年半前の富山上映に来てくれたブラジルゆかりの地元のテレビマンが、同系列のラジオ番組生出演をアレンジしてくれた。
北日本放送(KNB)の「とれたてワイド朝生」という番組。
今晩の上映会の宣伝にもってこいだ。

富山駅から歩いてKNBへ。
キーパーソンと打合せ兼雑談。
日本の原発の父ともいわれる正力松太郎が富山出身と気づかされる。

ラジオ出演体験は…
1年半ぐらい前に、秋田のラジオがあったな。
あの時はこちらは東京にいて、先方の指定する時間に静かで電波の状態のいいところに待機セヨという難題だった。
今日はラジオ局で緊張もするが、相手がヴィジュアルでわかるのがよろしい。

僕と同年配だという男女のパーソナリティと。
ふたりとも僕の原点である『すばらしい世界旅行』で育ったとかで、それだけでも盛り上がる。
本番は10分程度だったが、まあ及第点かな。

新高岡駅の今宵の宿に荷物を置いて。
先回訪問時に入湯した天然温泉「海王」を目指す。
公共機関だとアクセスがたいへん。
JRから万葉線というのに乗り継ぎ、最寄りとは言えないほど離れた駅から歩く。
氷雨舞うなか、深々と1時間経過…
東京以来の疲労がぶり返す…

上映準備の待ち合わせ時間を遅らせてもらって、入湯。
温泉感たっぷりの黒湯、まずは凍てつく露天風呂へ。
あーら不思議!
まさしく温泉が全身に沁みわたってくる。
これまでの疲れが溶けていく。
妙なるかな!

思えば僕のクオーター、母系のルーツがここ富山の射水(いみず)なのだ。
ルーツの地の湧き湯のもつ力もありそうだ。

今日の上映の首謀者は、ブラジル以来のアミーガ、ハヤシさん。
地元の学校に勤め、広島からの出張から戻ったばかり、しかも体調を崩していた由。

ふたりで会場を準備しているうちに彼女の同僚が助太刀に。
ラジオを聞いてきた、という人もさっそく来場。

あらあら、ナミの東京での上映に勝るとも劣らない数の方々がいらしてくれた。
上映作品は林さんチョイスの『きみらのゆめに』と『あもーる あもれいら』第一部。
富山人は、周囲への気兼ねから人前で発言しないとは聞いていた。
それでも、上映中のリアクションはなかなかよかったかと。

懇親会は、上映会場から遠いものの僕の宿の至近を選んでくれた。
東京にもある居酒屋のチェーン。
酒どころ富山。
「富山のお酒は?」
女子店員「ありません。」
地元富山の海幸もなし。
まあ先回は申し訳ないほど地元の美酒珍味をいただいているし、食と酒にありつけるだけでもありがたいというもの。

ハヤシさんの同僚たちと盛り上がる。


1月31日(金)の記 トヤマ ヒロシマ
日本にて


ジャパンレールパス使用二日目。
冬の北陸で目覚め。

今日は夕方から広島で上映予定。
少し余裕があるが、富山で美術館に詣でるほどの時間はない。
新高岡駅の徒歩圏に瑞龍寺という国宝の寺があるのを知る。
朝メシ後に行ってみよう。

8時半には到着するが、ありゃあ9時拝観開始。
しかも有料。
思案の末、ぶらぶらしながら待機することに。
そうこうしているうちに、氷雨。

ここは訪ねておいてよかった。
みどころは、トイレの神様とされる烏枢沙摩(うすさま)明王。
瑞龍寺は曹洞宗の禅寺であり、禅の場もトイレも風呂場も修行の場、という考えからウスサマがトイレにおわしますことになったようだ。

新高岡駅で昨日、飲み損ねた富山の酒のワンカップを購入。
金沢で特急に乗り換え。
新大阪から、さくら号で広島へ。
可部線上八木駅下車、ひさびさのアビエルトさんに到着。
大槻さんと旧交を温める。

大槻さんに気を使っていただき、カレーをごちそうになる。
大槻さんは鳥取米子の出身で、鳥取県民が日本でいちばんカレーの消費量が多いと教えてもらう。
今宵の上映は、富山妙子さん特集。
よくもこれだけ、と思うほど善男善女が集まってくれた。

上映後の懇親は盛り上がり続け、「そろそろ」の切り上げとなったのは日付が変わってから。
近くのオーナーさんのお宅に泊めていただく。


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岡村淳 :  
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