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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/06/30)
4月15日(水)の記 古本お大切

4月15日(水)の記 古本お大切 (2020/04/15) 古本お大切
ブラジルにて


東京古書組合の4月14日付「古本を愛してくれるお客様へ」というお知らせに接した。
https://www.kosho.ne.jp/?p=374&fbclid=IwAR23UutwrESGDyx-C2BvFPB-x_cRTwngG5ft7xkXM5iJBQtntq6xikfEdxw
筆者は、東京都古書籍商業協同組合広報部長にして学芸大学の古本遊戯こと流浪堂店主の二見彰さん!

日本の行政は、古書店を骨董品店と同様の不要不急のものとして営業自粛を要請したという報に接したばかり。
古本屋のニーズは、骨董品店と同じ?
祖国の官僚も行政担当者も、市民、生活者の実生活となんと乖離してしまっていることだろうか。

日本では各地の図書館も閉鎖されていると聞く。
日本の行政は市民に外出制限を要請しながら、自宅で読まず食わずで寝ていろというのだろうか?
品揃えが乏しくなるばかり、ヘイト本ばかり、高い、の新刊本屋の営業はオッケーで古書店はNGという文化・歴史観はお粗末どころか恐ろしい。

僕はANAのビューロクラシーのせいで、危うく日本に留め置かれるところだった。
ブラジルで外出制限のもとで暮らす今、祖国日本の不快なニュースに接するのは精神衛生上よろしくないと思っている。
だが、これは黙ってはいられない。

僕自身、流浪堂さんはじめ日本各地の古書店に、わが作品の上映と拙著の販売はさし置いて、いち読書子としてお世話になり、育ててきてもらっている。
僕の場合、流浪堂の二見さんがまさしくそうなのだが、顧客の嗜好を知る古書店さんはいわば主治医のような存在だ。
こちらのツボを押さえて掘り出し物を取り置いてくれる古書店があることの幸せは、かけがえのないものだ。

これはライバルを増やすのであまり明かしたくないのだが、西荻窪APARECIDAさんの古書棚、そして流浪堂さん店頭左サイドの100円均一コーナーはまさしく宝の山である。
流浪堂さんのこのコーナーで辻原登さんの『闇の奥』に接した時の興奮!
なんと、わが憧れの博物学者、鹿野忠雄がモデルとされているではないか!
いままで、誰もこの本を教えてくれなかった…
どころか、知るべき人たちがこの本の存在を知らなかったようだ。

最近では、これも流浪堂さんで見つけた角野栄子さんの『トンネルの森 1945』。
角野さんのことは『魔女の宅急便』の原作者でブラジルに滞在したことがある、ぐらいのことしか恥ずかしながら知らなかった。
これは自伝かと思わせる内容で、第二次大戦中に疎開をする少女が主人公。

「『おれは、地獄を見てきた。もうこれ以上は聞かないで』
 (中略)
  日本の人がどんどん死んでいく。」
『トンネルの森 1945』角野栄子 著(角川書店)

流浪堂さんのお店での懸念は、客が多い時は店内の移動もたいへんなこと。
いまや密教の三密は、コロナウイルスから身を守るためという3密にとって代わられてしまった。
(サンパウロで手元にある学研のムック『空海の本』も流浪堂さんの店頭で求めたもの。)
二見さんはテント劇団の水族館劇場のサポーターでもあるので、入店人数制限などでこの問題も乗り切ってくれることだろう。

新本屋がなくなっても、残る古本屋は残るに違いない。


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