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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/06/03)
5月13日(水)の記 ブラジルのクサい飯

5月13日(水)の記 ブラジルのクサい飯 (2020/05/14) ブラジルのクサい飯
ブラジルにて


ブラジルのコメ事情はなかなかややこしい。
コメという植物、食物がそもそもややこしいのだ。

世界で米を語るにはジャポニカ:短粒種でネバネバ、インディカ:長粒種でパサパサ、と縄文研究の学生時代に覚えて、それでひととおり通用するかと思っていた。
ところがどっこい。

もう何年も前になるが、日本のPARCの知人に頼まれて、こちらのコメ事情を調べて驚いた。
ブラジルの日系社会で売られているブラジル産のモチ米は、長粒のインディカだったのだ。
インディカにもモチ種があるのか!

そもそもコメという植物は、他の亜種とたやすく交雑してしまうという。
さらに複雑なことに、ブラジルで南米産にもかかわらず日本米、あるいはオリエンタル料理用のコメとしてい売られているものには単粒種と長粒種があるのだ。
110有余年におよぶ日本人移民のブラジルでのコメ食の歴史と世代による嗜好の変化がうかがえて、これはこれで面白い。
おおざっぱな仮説をたてると、否応なくブラジルでコメを食べるとなると長粒、インディカ、パサパサ系のものが身近だった世代とその子孫は、本国のような単粒ネバリ系より長粒パサパサ系を好むようになってきているように思う。

さて。
コロナウイルスによる長期の外出制限令下で、わが家の米びつが空になる前に早めにおニューを購入しておいた。
在庫が底をつき、そのブラジル産日本米の5キロ入り未開封を開けることになった。
これを買った近所の日本食材店には長粒種ばかりで、僕の好む単粒種はだいぶ値段の違う2種しか見当たらず、しかたがなく安いほうのを買った。

といっても普通のブラジル米よりは倍以上のお値段である。
研ぐときからヘンだった。
何十年前に日本で出回っていたようなビタなんとか米のように黄色っぽい粒がある。
そもそもだいぶ砕けた感じ。

炊きあがりのニオイに仰天。
カビ臭だ。
ナマ米の臭いもかぐと、同じ不快臭がある。

家人にかがせると、農薬のニオイだという。
さて、農薬のニオイって?
そもそも彼女はどうしてそんなニオイを知っているのか?

サンパウロ州奥地での少女時代に、家族に連れられて行った町の知人の農薬販売店でこのニオイをかんだという。
農業技師だった父に聞くと、BHCという農薬の臭いだと言ったという。

BHC。
benzenhexachloride。
調べてみると、日本では残留毒性が強いため、1971年に使用禁止になっている。
『沈黙の春』、『複合汚染』。
ちなみにこのブラジルの「日本米」は日本の植物の名前を付けて売られているが、ブラジル南部の日系ではない穀物会社の販売だ。

いずれにしろ、これを食べるのはつらい。
とりあえず今日は、在庫のあった日本のふりかけをかけてごまかしごまかし食べる。

他のコメを買ってきて、少しずつ混ぜて使うか。
それもおかしい。
購入店に持っていって、かけあうか。

 


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