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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/08/07)
7月2日(木)の記 台湾サウダーデ

7月2日(木)の記 台湾サウダーデ (2020/07/02) 台湾サウダーデ
ブラジルにて


昨日、読み上げた本のなかの一節をツイッターにアップ。

「このパイワン族の人たちの使う日本語の『悲しい』は長い間、会っていない人に対する郷愁のような感情表現でもあることがだんだんとわかってきた。」
『タイワンイノシシを追う 民族学と考古学の出会い』
野林厚志著、臨川書店。

臨川:りんせん、と読むそうだ。
人類学系の書籍が少なくないようで、ここで出している本を偶然だが2冊、並行して読んでいた。
拙著より高い、値の張る本だが、これは新刊で買ったと記憶する。
どこか大型の新刊書店で何冊かオトナ買いしたときだったのだろう。

いい悪いではなくて地味な本だが、タイトルと内容の乖離におどろく。
出版社の売るための事情があったのだろう。
五章からなる本で、最初から三章にはタイワンイノシシは出てこないどころか、出てくる気配もないのだ。

『ブラジルに日本人被爆者を追う』という本で、五章のうち三章が被爆とも広島長崎とも関係のない第二次大戦前の日本人移民のライフヒストリーだったら、あざとくはありはしないだろうか。
僕はタイワンイノシシに惹かれたわけではなく、台湾の少数民族への興味となつかしさからこの本を求めたのだけど、いち読者として指摘しておきたい。

この本で最もウエイトの置かれている蘭嶼島のイバリヌ(野銀)村は、僕の頃はイワギヌと読んでいたが、かつて僕も現地でお世話になっている。
そのあたりの体験は、流浪堂さん限定販売の冊子に書いた。
http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000119/20200501015265.cfm?j=1

冒頭の引用の「悲しい」の語は、ポルトガル語の「サウダーデ」とかさなるようで、ざっくり意訳すると「なつかしい」であろうか。
台湾先住民には、まさしくその思い。

この語をめぐって著者が告発している日本のテレビ番組の問題も深刻だ。
僕自身、日本でのテレビ制作という戦争犯罪の側にいたので、猛省。

タイトルのことをさておけば、台湾先住民に民族学と考古学、僕のキライではないジャンルなので刺激的で面白かった。
著者の専門とするエスノアーケオロジーの理論については、そんな僕にもむずかしいのだが。
研究者をめざさなくてよかった。

 


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