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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/08/07)
7月18日(土)の記 おからとおかむら

7月18日(土)の記 おからとおかむら (2020/07/18) おからとおかむら
ブラジルにて


3月末にブラジルに戻ってから、どれぐらいの本を読んだだろう。
もっとも衝撃的だったのは、藤崎康夫さん著の『棄民 日朝のゆがめられた歴史のなかで』(1972年)だ。

大日本帝国が大韓帝国を併合したのち「内鮮一体」という政策がすすめられた。
具体的には朝鮮半島出身者の男性と日本内地の女性の結婚である。
そして日本の敗戦後、朝鮮半島に残った女性がどんなことになっているかを訪ねたルポルタージュである。
悲惨、のひとことである。
ソウルの橋の下から僻地の山村の仮屋まで。
今日のブラジルのファヴェーラ(住まい)が豪華に思える。
まさしく自分たちをそそのかした日本政府によって捨て去られて、大日本帝国が植民地時代に朝鮮半島の人々におかした非道の数々への恨みつらみをひとえに浴びせられ続けるのだ。

こう書いてくると、だいぶ気が引けてきてしまったが…
その韓国残留の日本妻と家族が、かろうじて食べているのがオカラまじりのお粥だという記載がいくつも出てくる。
韓国でもオカラを食べるというのが新鮮な驚きだった。
考えれば韓国料理に豆腐も用いられるから、オカラも当然あるわけだ。

寡聞にして日本では貧困の象徴としての、そしてそもそもオカラを粥にするというのを聞いたことを思い出せない。

さて、いろいろはしょろう。
サンパウロの我が家の近くの日本食材店で、ときどきオカラが置かれている。
これが、タダなのだ。
さすがにそれだけもらってくるわけにはいかず、ほかに2品ぐらいはカッコつけて買うのだが。
そもそもこれはない日の方が多い。

最近はコロナ問題での人数制限のため、この店にも入店待ちの列ができるようになった。
オカラ狙いも楽ではなく、ハズレもしばしば。

さあオカラも伝統的な「卯の花」にはじまり、アラブ風の「フムス」までいろいろアレンジしてきた。
日本のツイッターで話題となっているポテトサラダ風に今宵もチャレンジ。

今回はゆで卵も刻んで入れる。
しかも有精卵。
ちょっと日にちの経った自家製ヨーグルトと。
オリーブオイルも多めに。

絶品に近い味わいとなった。
ダイナミックな価値観の変換の、ささいな練習問題。
そして祖国に捨てられた亡き同胞たちへのささやかなはなむけにできれば。
あなたがたの価値にこそ、あやからさせていただきたく。

山村のいわゆる粗食が長寿の要因となったという日本は山梨の棡原(ゆずりはら)村のことを久しぶりに想い出す。




  


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