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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2020年の日記  (最終更新日 : 2020/10/28)
9月16日(水)の記 禁域探検

9月16日(水)の記 禁域探検 (2020/09/16) 禁域探検
ブラジルにて


密林のなかをひとり踏査して、樹木に覆われた思わぬ石造遺跡を発見した思いはかくや。

今日は水曜のオルガニック野菜市がある。
それに合わせて、近くの「制作途中」のグラフィティがどうなっているか見てみよう。
https://www.instagram.com/p/CE6uDADAWs-/
この写真を撮ってから、ちょうど一週間。

あ。
左側に、金系の色で顔面デッサン風の線が描き込まれている。
壁面に直射日光の当たる時間帯だが、街路樹の枝の影が差して見づらい。
写真を撮ってみるが、野菜市の客目当てとみられる路上系の人たちが複数、視界に入る。
全貌をおさえるには車道に出ざるを得ず、両方向から、そして右折左折の車が錯綜して、複合リスク。

これはもう少し制作が進むのを待つとしよう。
ほかのグラフィティを探すか。
存在も知らなかった道を阿弥陀籤のように歩いてみるが、ない…

とりあえず、オルガニック市で買い物をして。
近くのグラフィティは確実にあるが、「気」がヤバい一角へ。
路上生活者の居住空間だろう。
昼前の今は、とりあえず人影は見当たらない。

アヴェニーダに交差する、暗渠らしい小径の入り口だ。
https://www.instagram.com/p/CFNEmEDBelz/
路上生活者の生活用具らしいものが散見。

暗渠の小径は奥が見渡せないほど続き、手前は日陰になっている。
両側にグラフィティ。
…行ってみるか。

日本の都市部の暗渠の道も、安全とはいいがたい環境が少なくない。
だが、現在のブラジルのコロナ感染死者が日本の100倍!であるように…
暗渠での遭難のリスクも100倍、あるいはそれ以上ありそうだ。
日本なら暗渠を探索して、せいぜい痴漢か下着ドロの嫌疑で警察に通報されるぐらいだろう。
こちらでは物盗りに襲われて、殺される危険もある。

まず普通の市民が立ち入る空間ではない。
入ったのがバカ、わるい、ということになろう。

暗渠の下の下水道からの湿気と臭気、そして糞便のニオイ。
両側の壁は続くが、交差している道がなく、逃げ場がない。
時折り、壁に閉じられた勝手口。
いつ、誰が飛び出してくるか。

両側にはグラフィティの逸品がいくつも。
画面からシダが生えているのがあるくらいで、あまり最近のものではないだろう。
すごい。
戻れ、戻れ、という自分と、先を極めろ、という自分。
この地区はグラフィティ探しである程度、歩いているので、先に少し心当たりがある。

やはり。
暗渠の先は、鉄策で閉じられていた。
いま、来た方から何者かがやってきたら、逃げ場がないのだ。
叫び声を聞く人もいないだろう。

それにしても。
サンパウロでは観光名所化したグラフィティ地区もある。
ところが、ここは隠れ、立ち入り者を拒む環境だ。
しかし、アートの逸品絶品。
もったいなさすぎ。

ヨーロッパの洞窟遺跡、密林の廃墟の神殿を発見した思いもかくや。
アマゾン流域周辺で仲間と岩絵遺跡を発見した遠い記憶がよみがえる。
いまは、ひとりだ。

興奮しつつ、人影も見ず、出口到着。
助かったか。

ここを見つけて入ったことは、まだ家族にも言っていない。
連れ合いと娘に怒られそうだから。

もし僕が近日中に消息を絶ったら、上に紹介した矢印と幻覚状態風の顔面画のある廃ガソリンスタンドの脇の暗渠の小径を思い出してほしい。
なにか手掛かりがあるかも。

血文字で、日本語で壁にさいごに何をかこうか。


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