11月27日(金)の記 ミスカルの発見 (2020/11/27)
ミスカルの発見 ブラジルにて
今日は東洋人街に出るか。 過去に書いたエッセイをリニューアルするために添える写真がほしい、というのが主な理由。
月曜から連日、のぞいている近くの私立学校にまず寄る。 この学校の外壁にグラフィテイロ(グラフィティ作家)のクラウベルさん兄弟が作画を続けている。 https://www.instagram.com/p/CIGObHeHcXy/ 向こうも仕事中、町はコロナ自粛要請が出ている時期なので、長話は控える。
グラフィテイロというとパンク系の若者を想像しがち。 ところがこの兄弟は地味な感じの人で、最初はペンキ職人かと思った。 画材の選択、作品とも目をひく味わいがある。 日本の銭湯の壁画職人、かつての映画館の看板描き職人もかくや。
東洋人街で、まずBORI CAFE に寄る。 ブラジル生まれの若いコリアン女性の経営。 路上に面した解放の店で、換気は抜群。 今日もほかの客がいないので、彼女に質問。 BORIは韓国語で麦の意、と聞いたが、韓国にも麦でつくった代用コーヒーはありや?
何回か質問を繰り返して、ようやく理解してもらえたようだ。 彼女は「ミツカル」と日本語のような単語を発した。 韓国では幼児の飲み物です、奥にあるから取ってきましょう、とのこと。
のちに「ミスカル」だと知る。 彼女が持ってきた袋はハングル文字表記だが、ポルトガル語の成分表記もあり、ブラジル製のものだ。 さまざまな雑穀をまぜて粉にしたようだ。 彼女は牛乳を沸かして、これで溶かして飲んでくださいという。
ふーむ。 キナコの味わい。 牛乳で割っていて、しかもすべて穀類なので腹持ちもいい感じ。 偉大なコリアン文化のひとつを教えてもらった。
ちょうどわが家のコーヒーが不足してきていた。 お店のコーヒー豆を挽いたものを買うことにした。 サンパウロ州奥地の産とある。
聞くと彼女はバリスタで、産地まで車を運転して買ってくるという。 長い時間をかけて生産者と信頼関係を築いている由。 わが意を得たり。
日本では… 故郷目黒は祐天寺の coffee carawayさん、那覇の屋台コーヒーのひばり屋さんが僕のお気に入りだが、いずれも女性が一人で経営している。 どちらもこだわり抜いたお店だが、さすがに日本では自らクルマでコーヒー生産者のところまで買い出しというわけにはいかないだろう。
あ、沖縄だと可能かもしれないな。 (追記:那覇のひばり屋の辻さんに確認してみると、国頭まで車で買い出しに行かれているとのこと!!)
今度、BORIさんにS.サルガドの写真集『PERFUME DE SONHO:夢の香り』を知っているか聞いてみよう。 世界各地の家族規模の農園でコーヒーを生産している人たちの写真だ。 その多様性が、ここちよい夢の香りに誘ってくれる。
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