12月2日(水)の記 トトロ帽のコミュニケーション (2020/12/02)
トトロ帽のコミュニケーション ブラジルにて
日本でウドンを食べるのは食欲の問題だが、ブラジルでウドンを食べるのは郷愁の問題だ。 こんな言葉だったと思うが、人類学者の前山隆さんの名言。
今晩は、ニョッキにするか。 わが家の近くの日系人経営の食材店の自家製ニョッキがおいしい。 コロナ禍の時期で列ができていることもしばしば。 早めに買いに行こう。
開店早々。 先方からニホン語で話しかけてきた日系のおじさんに、1キロ頼む。 このおじさんとは特に面識がないが、僕を見て日本人一世とわかるのだろう。
会計の段になって「トトロ…」と僕の帽子を指していう。 日本の亡兄の遺品だ。 何度も洗濯して色が褪せて、破れた部分を自分で縫っている。 日本では恥ずかしくてかぶれない。
おじさん曰く「こどもらが、何度も見て…」 「うちの子も大好きでしたよ」 『となりのトトロ』をめぐるこんな会話がサンパウロの街角で。
僕の帽子を見て、黙っていられない人との出会いが楽しくてこれを大事にしているのかもしれない。
あの父親が考古学者で縄文文化を研究していて… といったマニアックな話までできる人はブラジルではむずかしそうだけど。
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