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岡村淳のオフレコ日記
     岡村淳/住めばブラジル (改訂版)  (最終更新日 : 2020/07/11)
ブラジルの日本食最前線 [画像を表示]

ブラジルの日本食最前線 (2020/05/26) ブラジルの日本食最前線(西暦2003年11月発表)

いま、ブラジルの日本食が面白い!
さて皆さん、ブラジル料理というと、何を思い浮かべますか? 牛肉を串刺しにして焼いたシュラスコ、豆とソーセージなどを煮こんだフェイジョアーダあたりが本国ブラジルでもポピュラーな料理です。

ブラジル最大の都市・サンパウロでは、今年(西暦2003年)になってなんと日本食レストランの数がシュラスコ専門店より多くなってしまいました。大変な日本食ブームです。以前はブラジル人にとって、日本食レストランといえば高級料理店のイメージでした。近年、健康食・自然食志向の高まりと共に日本食が脚光を浴びるようになり、ミドルクラスの家族連れや独身女性にも手の出る価格の日本食レストランが増えたためとみられています。
ブラジルでもかつては頑固な日本人の寿司職人がいて、ブラジル人の客が来ると「満席だ」と追い返すような店もありました。今日では寿司マンも日系二世・三世、そして非日系のブラジル人と多彩になってきました。

作り手が伝統的な日本食文化にこだわらないため、私たち日本人の常識では考えられない日本食に出くわすこともあります。手巻き寿司のネタにアボガドを用いるカリフォルニア巻きは、日本でも市民権を得て久しくなります。我らがブラジルでは、マンゴー巻き。ちょっとイメージすると気持ち悪くもありますが、ねっとりとしたマンゴーの甘味が千切りのニンジンやキュウリ、そして醤油と意外にマッチして、なかなかのトロピカルな味です。

最近、招かれたパーティでは、舟盛りの寿司のなかに、なんとイチゴの太巻き寿司がありました。大粒の真っ赤なイチゴ、銀シャリに黒光りの海苔で視覚的には鮮やかなのですが、やはり私の日本人の血が寿司にイチゴは許せません。しかし、ここは多様性に寛容なブラジル。食べてみないことには批判も出来ません。意を決して醤油にたっぷりワサビも溶いてイチゴ巻きに挑戦してみました…これがまさしく新感覚の珍味、悪くないのです。

ブラジル生まれのイチゴイチエの味でした。

(西暦2020年5月改定)

香港ズシ.jpg
わが屋の近所の香港人経営のレストランで。
スシネタはチリサーモンばかり。
手前は、サーモン手巻きのフライ!
その向こうは、サーモン握りクリームチーズ乗せ…
    (西暦2018年撮影)
17年目のあとがきと反省

このエッセイを書いた後で知己をえた画家の千住博さんは「日本語でものを考える人が作るのが日本食」と喝破しました。
これをもとに考えると、かなりすっきりと、そして奥深くジャパニーズ・フードを味わうことができそうです。
日系人がつくっていても、言語的に日本文化に属していない人のつくった「日本食」は文化の新解釈によるものといえそうです。
逆に、日本語に堪能な非日系人のつくった日本食をたべてみたいものです。
ブラジルは数のうえでは日系人が圧倒的に多く、いっときは30万人を超えた日本への出稼ぎブームもあり、他国とは「ひと味」違っているように思えます。
そうした影響の少ないエキゾチックな日本食を「試食」するのには福江誠さんの『日本人が知らない世界のすし』(日経プレミアシリーズ)が面白いです。
そもそも祖国日本のスシなどもこの16年でだいぶエキゾチックになっていると思います。
話す日本語が変化してくれば、食材も調理法も味つけも変化してくるのでしょう。
(西暦2020年5月27日記)


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