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岡村淳のオフレコ日記
     岡村淳/住めばブラジル (改訂版)  (最終更新日 : 2020/07/11)
ブラジルの年越し事情 [画像を表示]

ブラジルの年越し事情 (2020/06/09) ブラジル年越し事情(西暦2004年1月発表)

FELIZ ANO NOVO!

(フェリス・アーノ・ノーヴォ)

今回は、ひと口ポルトガル語講座から始めましょう。
FELIZは英語のハッピー、ANOはイヤー、NOVOはニュー。つまりハッピー・ニュー・イヤー、「新年おめでとう」でした。
さてブラジルでは、どのように年末年始を過ごすのでしょう?
まず日本との一番大きな違いは、気候。南米最大の都市で最も日系人の多いサンパウロは、南回帰線の近くにあるため、年末年始は真夏、日中は30度を越す暑さとなります。
大晦日の朝。サンパウロと日本の通常の時差は12時間、10月以降はサマータイムで1時間早くなり、日本の11時間遅れとなります。近年は衛星放送でNHKの番組を視聴する日系人の家庭が増えましたが、時差のため、紅白歌合戦の放送が始まるのは午前8時半から。大晦日は朝から紅白を見やりながら大掃除やおせち料理の支度、あるいは遅ればせながら年賀状代わりのクリスマスカード書き、といったところがサンパウロの日系家庭の風物詩です。
東洋人街と呼ばれるリベルダーデの広場では餅つき大会と、南米大神宮の宮司によるお払いが行なわれます。
紅白の餅が市民に配られますが、路上生活者がさっそくナマのままの餅にかじりついているあたりがブラジルらしいところ。
大晦日から新年にかけて、ブラジル人の間でもいろいろな行事があります。
まだ夏の陽射しの厳しい夕方、サンパウロのパウリスタ大通りを起点にサンシルベストレ国際マラソン大会が始まります。市内を15キロにわたって一回りするこのマラソンには、世界各地からプロもアマも参加して一緒に走り、2003年はおよそ1万5000人が参加しました。
深夜、いよいよ新年まであとわずか、日本なら除夜の鐘が始まる時刻になると、各地でいっせいに花火が打ち上げられます。耳をつんざく打ち上げ音と破裂音、そしてさまざまな色と形の光が町中を覆い、賑やかにニュー・イヤーを迎えます。
私の自宅はサンパウロ市内の団地の10階ですが、窓から花火の硝煙が流れ込んで息苦しいほど。不謹慎ながら、アメリカ軍の爆撃の始まったイラクのバグダッドのニュース映像を思い出しました。
リオデジャネイロのコパカバーナ海岸での年越し花火大会は、観光客で町中のホテルが満室になるほど有名で、海岸に集う群集と花火の模様がテレビで全国中継されます。ブラジル人の間では、新年と共に海の波を七回飛び越えながら願い事をするとかなう、という言い伝えがあり、海からはるかな内陸まで、人々が波の上を飛ぶ光景が電波に乗って放送されます。
日本の皆さん!
元旦の日本の海岸で花火を上げたり、波をピョンピョン飛び越えている不審なグループを見かけたら、110番に通報する前に、どうぞフェリス・アーノ・ノーヴォと一声かけてみて下さい。
おそらくブラジル時間で新年を祝う在日ブラジル人たちでしょう。ワールドカップ5回優勝の強運なブラジル人にあやかって、思わぬ願い事がかなうかもしれませんよ!

※南米大神宮
南米大神宮は伊勢神宮系の神社で、1978年から大祓いの茅の輪神事を行なっています。
ちなみにブラジルには、日本人移住地に築かれた「氏神」系の神社、都市部にみられる「霊能者」系の教団、そして南米大神宮のように日本の神道系集団が直接進出したもの、など主に3系統の神社があります。

(西暦2020年6月改定)
FBバストス鳥居.jpg

16年後の補稿

16年ぶりに読み返してみましたが、ブラジルの年越し風物は特に変化が思い浮かびません。
こうした概論を書くのは僕のガラではなく、概論からこぼれ落ちることどもにこそ自分は向いているのだなと再認識しています。
最後のオチで、なんとかオカムラらしさをとどめているかもしれません。

写真はサンパウロ州内陸の日系人移住地、バストスの町にある鳥居です。
ブラジルの多くの鳥居と同様に、ここにも鳥居はあっても神社はありません。


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